土木学会論文集G
Online ISSN : 1880-6082
ISSN-L : 1880-6082
63 巻, 1 号
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和文論文
  • 羽田野 袈裟義, 馬 駿, 今井 剛, 藤里 哲彦, 原田 利男
    2007 年 63 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/01/19
    ジャーナル フリー
     湖沼や海域の水質改善,特にDO改善を目的として,気体溶解技術を提案すると共にその性能について実験的検討を行なった.その原理は,貧酸素水塊と連通した筒状体を水中に略鉛直に立て,その内部の水中に気泡発生器とその上方にハニカムを設置し,筒状体内で発生した気泡群がハニカム上で気泡集合体を形成し,被処理液を一旦はすべて気泡薄膜の構成要素とすることで高効率の酸素溶解を達成する.本論文では,種々の空気流量,ハニカムの構造とハニカム高さでDOや処理流量などを調べ,気体溶解効率を最大とするハニカム径が存在すること,そしてその条件は気液相対速度がスラグ流速と同程度であるときに実現されることなどを明らかにした.
  • 大下 和徹, 森 彰宏, 高岡 昌輝, 武田 信生, 松本 忠生, 北山 憲
    2007 年 63 巻 1 号 p. 12-21
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/01/19
    ジャーナル フリー
     塩化第二鉄を凝集剤として用い発生する前凝集汚泥と,従来の下水処理システムで発生する混合濃縮汚泥に対して炭化実験を実施し,炭化処理前後の収率や得られた炭化物の性状の違いから前凝集プロセスが汚泥炭化処理や炭化物に与える影響を調べた.固形分収率は,凝集剤添加量が高くなると増加し,それは凝集剤由来の鉄など無機分の増加が主要因であった.前凝集汚泥炭化物の比表面積は,炭化温度700℃で混合濃縮汚泥の炭化物より高い比表面積を示し,それは前凝集汚泥中に含まれる鉄化合物が汚泥中有機分に作用し,ミクロ孔が発達した結果であることがわかった.最後に炭化物の硫化水素吸着性能を評価したところ,硫化水素吸着性能は炭化物中灰分と相関があり,前凝集汚泥炭化物は混合濃縮汚泥炭化物に比べて高い吸着性能をもつことがわかった.
  • 日比 義彦, 藤縄 克之, 岡村 和夫, 田崎 雅晴, 山本 和明
    2007 年 63 巻 1 号 p. 30-39
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
     ガソリン,灯油や軽油などの鉱物油の浄化処理工法であるガス吸引工法やバイオレメディエーションの設計や効果の判断に際して,土壌の通気帯中におけるガスの物質移動の原理を把握することが重要となる.しかし,通気帯中のガス成分の分散に関する実験はこれまでに行われていない.そこで,本研究では,体積含水率が0%の豊浦砂を用いたカラム実験を酸素と窒素および窒素と二酸化炭素の組み合わせについて行い,通気帯中の流れ方向に関するガス成分の分散特性を把握した.地下水に溶解した物質移動に適用される分散長の概念を用いて分散長と分子拡散係数を求めることができたことより通気帯中のガス成分の分散の現象にも分散長の概念を適用できることが分かった.
  • 堺 孝司, 小嶋 克宏, 草薙 悟志, 入谷 祥王
    2007 年 63 巻 1 号 p. 40-50
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
     土木構造物の建設による社会的便益と環境便益を評価することが重要であるが,これまで環境便益についてはほとんど検討されていない.本研究では,慢性的な交通渋滞交差点における地下道建設による直接的な環境負荷と渋滞解消による間接的環境負荷低減効果を検討し,地下道建設による環境便益を総合的に評価した.その結果,地下道建設に関してCO2およびSOxは資材製造時に,またNOxは施工時に多く排出されること,地下道建設時の環境負荷量は約9年で自動車交通の環境負荷低減分により相殺されること,などが明らかになった.
  • 松古 浩樹, 本田 宗央, 武藤 淳司, 田村 英生, 小島 淳一, 佐藤 健
    2007 年 63 巻 1 号 p. 51-57
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
     ファイトレメディエーション(Phytoremediation)は植物の生理機能と代謝機能を利用した環境修復技術である.本研究は,重金属汚染土の修復に,植物の適用性を調査するため行った現地実証試験の結果をまとめたもので,栽培前期(春播き)植物では,タデ科ソバは鉛高集積植物で,鉛の植物吸収(Phytoextraction)に最も適していた.また,イネ科ライムギ,エンバク及びハゼリンソウ科ファセリアは栽培後期(秋播き)の鉛集積植物として利用できることが明らかとなった.植物を栽培した試験区の全排水量は植物を栽培していない試験区より少ない結果となり,植物の栽培で地下部への排水が抑制されることが明らかになり,鉛汚染土の拡散防止に対しても植物栽培は効果的であることがわかった.
  • 副島 敬道, 伊藤 雅子, 今村 聡, 寺尾 宏
    2007 年 63 巻 1 号 p. 58-67
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
     硝酸性窒素汚染地下水の原位置浄化法として,生分解性プラスチックと鉄粉を反応剤として帯水層中に微生物脱窒環境を形成する,原位置浄化工法を開発した.2000年1月より2003年3月までの3年間,岐阜県各務原市の畑地において実際の硝酸汚染地下水帯水層に浄化壁を設置し,当工法の実証試験を行った.円柱状の浄化壁およびその周囲に観測井を構築し,観測井の水質の変遷から浄化壁の効果,周囲環境の影響を検討した.その結果,畑地からの地下水帯水層への硝酸負荷が観測された.また,浄化壁の硝酸性窒素の浄化効果が確認され,試験開始3年間を経過した時点においても浄化壁の浄化効果が持続していることが確認された.
  • 赤尾 聡史, 津野 洋, 堀江 匠
    2007 年 63 巻 1 号 p. 68-76
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/03/20
    ジャーナル フリー
     非滅菌の模擬生ごみを原料とする高温L-乳酸発酵において,同発酵を行った発酵混合液を植種として利用する回分式培養により運転可能範囲の拡大化を検討したところ,55℃でpH6.0の条件において光学純度99%以上のL-乳酸を得ることができた.次に,この運転条件を半連続式培養へ適用した.運転1日目にL-乳酸発酵混合液を植種し,1日1回の基質添加および発酵混合液引抜き操作,COD負荷率44.8g-COD/L-Reactor/日の条件で培養を行った結果,運転2日目より高い収率でL-乳酸を得た.運転10日目までの発酵混合液の平均乳酸濃度は25.9g/L, 収率は0.51(基質中糖質量基準),生成した乳酸の光学純度は99%以上であった.また,pH値維持のため生成乳酸を中和する中和剤の消費記録により,乳酸発酵過程が記録できることを確認した.
  • 大窪 和明, 稲村 肇, 加河 茂美
    2007 年 63 巻 1 号 p. 77-86
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/03/20
    ジャーナル フリー
     廃棄物リサイクル財は通常の需要主導型の財市場とは異なる供給主導型の市場構造の下で価格が決定されている.供給主導型市場では常に需給ギャップが存在しているため,廃棄物の回収率が上昇したとしても,それら全てがリサイクルされているとは限らない.そして廃棄物がリサイクル財として取引されるかどうかはその市場価格に左右される.本研究では,段ボール及び段ボール古紙市場を対象として需要関数,供給関数を推計し,供給主導型の市場構造の特徴を定量的に評価した.その結果,供給主導型の古紙市場では在庫等の“潜在化した供給要因”が存在している中で価格が決定されていることが明らかになった.
和文報告
  • 牧 孝憲, 高橋 正人, 落 修一, 三宅 且仁, 尾﨑 正明
    2007 年 63 巻 1 号 p. 22-29
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/01/19
    ジャーナル フリー
     全国のダムより発生する流木量を把握するために199のダムに対してアンケート調査を実施し,以下の結果を得た.(1)流木発生量データは,直轄ダムおよび機構ダムが取得比率が高く,その取得期間も長期にわたる傾向であった(2)大半のダムにおいて,流木発生量の管理は見かけ上の体積の測定によっておこなっていた(3)流木発生量は,集中豪雨などの影響により非常にばらつきが大きく,また特定の集中豪雨などの出水によって年間発生量の大半が発生している傾向が示された(4)流木発生量と高い相関のある発生要因を見出すことができず,全国発生量を推定できなかったが,全国のダムからは大量の流木が毎年発生しており,有用な資源になりうることが示唆された.
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