土木学会論文集G
Online ISSN : 1880-6082
ISSN-L : 1880-6082
65 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
和文論文
  • ―秩父におけるケーススタディ
    中川 直子, 大瀧 雅寛
    2009 年 65 巻 2 号 p. 97-103
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
     現在の流域・都市の水循環が抱える問題を解決するために,水を使用せずかつ資源回収が可能なコンポスト型トイレを用いた分離分散型排水処理システムが注目されている.本研究では,本システムの水環境中への汚濁負荷,及び本システムのエネルギー負荷を算定した.結果として,汚濁負荷に関しては,従来型システムと比較して,特にリン・窒素の負荷量の低減効果が大きく,水洗トイレ用水が不要となることから,水使用量も削減することが示唆された.また,エネルギー負荷に関しては,米ぬか(熱源)および生ゴミ投入を行うことで,トータルのエネルギー消費量を減らすことができ,スケールメリット的には有利な下水道システムに比べても,省エネルギー型のシステムであるということが示唆された.
  • 小林 拓朗, 李 玉友, 久保田 健吾, 原田 秀樹, 前田 武己, 河合 和保, 吉田 尊彦
    2009 年 65 巻 2 号 p. 104-113
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/06/19
    ジャーナル フリー
     メタン発酵プラントにおいて,発酵槽気相部へ微量の空気を吹き込むことによるバイオガスの生物学的脱硫の実証実験を行った.発酵槽のHRT25日で平均3500ppm程度の濃度であったバイオガス中の硫化水素は,空気吹き込み開始後は平均1100ppm程度の低水準で推移し,生物脱硫が乾式脱硫の負荷軽減に実用可能であることが実証された.発酵槽内部にはTS比90%程度のS0を高度に蓄積したsulfur matが形成された.微生物群構造解析から,mat内では硫黄酸化細菌Halothiobacillus neapolitanusSulfurimonas denitrifiacansに近縁な細菌が微好気環境で硫黄生成を行っていることが示唆された.活性試験の結果,水分含量の大きいmatの方が高い脱硫活性を持つことから,微生物の生息環境として最適な脱硫スペースの設計の必要性が示唆された.
  • 池上 貴志, 荒巻 俊也, 花木 啓祐
    2009 年 65 巻 2 号 p. 114-129
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/06/19
    ジャーナル フリー
     下水熱利用の地域冷暖房(DHC)システムの導入効果を定量的に解析するため,下水幹線モデルおよびDHCモデルが開発されている.これらを仮想地区に適用した結果,熱供給の対象となる建物が業務,宿泊,医療施設の場合においてCO2排出削減率が高く,CO2排出削減コストが低いことが分かった.また,東京都区部全体にモデルを適用し,地区特性の異なる様々な地区での下水熱利用効果の定量的評価を行うと共に,区部全体におけるCO2排出削減ポテンシャルの推計を行った.区部内320ヶ所のDHCの導入により年間約14万トン,区部内の民生部門のCO2排出量の約0.54%のCO2排出削減ポテンシャルを有していることが分かった.また,このときのCO2排出削減コストは平均でCO21トンあたり約16,800円であることが分かった.
  • 加納 陽輔, 秋葉 正一, 栗谷川 裕造, 栗栖 一之, 久保 和幸
    2009 年 65 巻 2 号 p. 130-142
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/06/19
    ジャーナル フリー
     近年,土木分野では主要な建設資材である骨材の枯渇化を背景に,代替骨材の安定供給と安全担保が課題となっている.特に,銅やフェロニッケル等を製錬する際に副生する非鉄金属スラグは品質管理された工業製品であり,天然砂や他のスラグ類に比べて品質のばらつきが小さいものの,供用性や安全性等のデータ集析が不十分なことから道路用骨材としての規格化には至っていない.そこで,本研究では非鉄金属スラグの道路用骨材としての適用性を明らかにするため,スラグ単体での安全性と骨材物性を評価し,これらが混合物に与える影響と供用性及び環境安全性を室内実験,試験舗装から検証した.この結果,非鉄金属スラグの道路用骨材としての適用性が確認され,整粒機による形質改良の有効性が認められた.
和文報告
  • 高橋 剛一郎, 藤田 幸雄, 吾田 幸俊, 奥川 博也, 美馬 純一, 久保田 憲昭
    2009 年 65 巻 2 号 p. 77-86
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/20
    ジャーナル フリー
     2004年,富山県西部の庄川において,下流のサケ捕獲施設が洪水によって破壊されたため,サケの自然産卵が観察された.産卵に関連した行動およびふ化したサケ稚魚の調査から,産卵場所は庄川扇状地下流端付近の湧水帯と一致していた.湧水は二次流路やサイドプールといった多様な環境をもたらしていた.また,冬季においてはこれらの湧水起源の水域はそれ以外の水域よりも高い水温を保っていた.これらの特性がサケの再生産に貢献しているだけでなく,環境と生物の多様性にも関わっていたと考えられる.河川整備において,湧水の保全が重要であることが確認された.
  • 稲冨 芳寿, 吉武 勇, 杉本 健, 前田 志保, 三浦 房紀
    2009 年 65 巻 2 号 p. 87-96
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,プレキャストコンクリートを用いたマイクロパイル工法のCO2排出量を定量的に評価することを目的としている.本報では,プレキャストコンクリートをしばしば用いるL型擁壁およびボックスカルバートのモデルケースについてCO2排出量を推定した.さらに現場打ちコンクリート構造と対比しながら,マイクロパイルを基礎としたプレキャストボックスカルバート建設の実施工例について,CO2排出量の推定を行った.その結果,プレキャストコンクリートを用いたマイクロパイル工法は,一般的な工法に比べ,CO2排出量の低減に有効であることが示された.
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