土木学会論文集G
Online ISSN : 1880-6082
ISSN-L : 1880-6082
65 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
和文論文
  • 小澤 徹三, 小林 達明, 森本 幸裕
    2009 年 65 巻 4 号 p. 212-217
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/20
    ジャーナル フリー
     生育状況に差のあるケヤキの降雨前後の樹液温度等を測定し,樹液温変化率算定式の分母値と分子値の比較を行った.降雨後の分母値は生育状況に関係なくほぼ一定の傾向をしたが,分子値では生育状況により差が生じた.降雨後(水ストレスの改善)は,根系に水分が補充され分母値の差が少なくなったが,分子値は樹液上昇に関係するため生育不良要因等により異なる傾向が認められた.また,降雨前後の樹液温変化率の比較により生育状況改善の程度を把握できる可能性が推定された.
  • 越後 信哉, 伊藤 禎彦, 宮川 幸雄, 谷田 慎也
    2009 年 65 巻 4 号 p. 218-225
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/20
    ジャーナル フリー
     臭素酸イオンや有機臭素化合物などの臭素を含む消毒副生成物の前駆体である臭化物イオンについて,琵琶湖・淀川水系を対象として調査を行った.この結果,環境水中の臭化物イオンは琵琶湖流入河川源流域に対して淀川下流域では 3~4倍に増加することがわかった.すなわち,下流での臭化物イオン負荷量に対する寄与は,天然にもともと存在する臭化物イオンよりも,人間活動に由来するものの方が大きいことが示唆された.このため,水系内の下水処理施設に由来する負荷量を調査し,それぞれの処理区域の用途地域構成とあわせて発生構造について検討を行った.その結果,この流域では家庭排水のみでは説明できない量の臭化物イオンが排出されており商工業活動が臭化物イオンの増大に寄与していることが示された.
  • 保高 徹生, 馬場 陽子, 松本 亨, 伊藤 洋
    2009 年 65 巻 4 号 p. 226-236
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/20
    ジャーナル フリー
     研究では,土壌汚染措置方法の選択において外部環境負荷を一つ指標にすることを目的として,土壌溶出量基準を超過する重金属類汚染土壌に対する6つの措置方法のライフサイクルCO2(以下,LCCO2)を算定するモデルを構築し,モデルサイト(汚染土量900m3)に適用し感度解析を行った.
      その結果,モデルサイトにおけるLCCO2は掘削除去で埋立処理をする措置が最大で約212,000kg-CO2,最も小さいモニタリング措置で約2,000kg-CO2と約106倍の差が確認された.また,汚染土量,汚染土壌の搬出方法・搬出先までの距離,難透水層確認深度をパラメータとした感度解析の結果,モニタリング措置のLCCO2は常に最も小さいが,それ以外の工法のLCCO2の順列は条件により変化することが確認された.
  • 小林 慎也, 吉村 千洋, 河井 良友, 葛口 利貴, 李 富生
    2009 年 65 巻 4 号 p. 237-245
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/20
    ジャーナル フリー
     粒状有機物動態に対する試験湛水期のダム(徳山ダム)の影響を解明するために,揖斐川上流域の森林河川を対象として2007年8∼12月に調査を実施した.その結果,ダムの影響がない地点では粒径1μm以上のすべての画分で他生性有機物(河畔林由来)が優占しており,2mm以上のPOMでのみ落葉期に対応した季節変化が見られた.ダム直下では粒径2mm以上のPOMでのみ有機炭素濃度が低下していた.また,粒径63μm∼2mmのPOMでは下流3km区間でダム由来の POMの約50%が交換されていることが示唆され,1∼63μmのPOMではダム下流でも土壌由来有機物が優占することが示された.よって,試験湛水期におけるダム貯水池での一次生産の低さが,ダム下流河川での有機物動態にも反映されていたと考えられた.
  • 毛利 光男, 貫上 佳則
    2009 年 65 巻 4 号 p. 246-259
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/20
    ジャーナル フリー
     土壌洗浄法によって汚染土壌中の重金属含有量の大部分を除去し含有量基準を十分に満足しても,洗浄砂の溶出量が環境基準を超過する場合がある.洗浄砂が溶出量基準を確実に満足するためには,重金属の中で溶出量に関係する化学形態の画分を除去することが必要である.本研究では,日本の汚染土壌で頻出する鉛とフッ素を対象とし,改良BCR逐次抽出法を用いて鉛とフッ素の化学形態を調べた上で,酸洗浄の処理特性を実験的に検討した.酸洗浄は酸濃度を2∼3段階,L/S=2,4の条件で行った.塩酸による鉛抽出量は,硫酸や酢酸よりもかなり大きな値であった.溶出量に関係する形態の鉛やフッ素を抽出し溶出量を大幅に低減するという酸洗浄の最も期待された役割は,鉛に対しては一定の効果があること,フッ素に対しては限定的にしか機能しないことが判明した.
  • 片倉 徳男, 村上 和男, 今井 大蔵, 国分 秀樹
    2009 年 65 巻 4 号 p. 260-270
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/20
    ジャーナル フリー
     沿岸域の環境保全対策の一環として進められている人工干潟の造成法として,浚渫ヘドロを干潟生物の栄養源となる資源ととらえ,この脱水ケーキと海岸の砂質土を混合して造成する資源循環型人工干潟造成工法が提案され,三重県英虞湾内で7200m2の造成が行われた.筆者らは浚渫ヘドロを低圧縮力で固液分離する低圧脱水処理システムを開発した.本報は本システムで処理した低圧処理土を資源循環型人工干潟へ利用するための実用性について,32ヶ月間にわたる現地実験で物理特性の変化,底生生物の生息量の面から検証するとともに,低圧処理土で構築した人工干潟の環境改善効果を評価した.実験より低圧処理土を用いた資源循環型人工干潟は天然砂質土干潟に比べ大型のマクロベントスが生息しやすく,高い基礎生産力を有することを確認した.
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