土木学会論文集G
Online ISSN : 1880-6082
ISSN-L : 1880-6082
66 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
和文論文
  • 塩坂 邦雄, 西川 肇, 藤井 壽生, 工藤 勝輝, 近藤 勉
    2010 年 66 巻 3 号 p. 85-95
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/20
    ジャーナル フリー
     リモートセンシング技術は,調査対象物の電磁波反射情報を通じて材質や状態を収集する技術である.この技術の特徴は,リモートセンシングデータの画像処理によって電磁波反射情報を可視化することである.最近のリモートセンシングデータは,地上分解能がかなり向上しているので,地表および地質構造を探査する実用的な調査手法として利用されるようになってきた.本研究は,衛星および地中レーダによるリモートセンシングで探査した植生および地質構造に関する情報を地すべり調査に活用した事例研究である.
  • 寺嶋 光春, 小松 和也, 安井 英斉, ラジブ ゴエル, 井上 千弘, 須藤 孝一, 李 玉友, 野池 達也
    2010 年 66 巻 3 号 p. 103-110
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/20
    ジャーナル フリー
     高濃度嫌気性消化槽において攪拌機の混合性能を定量的に評価できるようにするため,嫌気性消化汚泥のレオロジー特性を記述するための擬塑性流体モデルを組み込んだCFDモデルと槽内の均一化の度合いを定量化するためのパラメーター(UI)を用いて,ドラフトチューブ式機械攪拌の実規模嫌気性消化槽の混合を検討した.トレーサーの均一化の進捗はUIによって定量化され,槽内に形成される渦の大きさによって左右される低速度域の大きさが均一化時間に影響した.本検討の範囲においては汚泥濃度(X)と均一化時間-汚泥循環時間比(TH/TR)の間には直線関係が認められた.
  • 松浦 哲久, 江口 拓, 幡本 将史, 原田 秀樹, 大橋 晶良
    2010 年 66 巻 3 号 p. 111-119
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/20
    ジャーナル フリー
     嫌気性処理水中にはバイオガスのメタン分圧に相応するメタンが溶存している.Down-flow Hanging Sponge (DHS)リアクターによって嫌気性下水処理水が後段処理された場合,流入溶存メタンはどのような挙動を示すのか調査した.溶存メタンはDHSリアクター上部で速やかに減少し,流下2mの中間位置では検出されなかった.リアクター上部から1m付近でメタン酸化細菌の検出が最も高く,メタン酸化ポテンシャルも最大値を示した.溶存メタンの消失を記述する数学的モデルを構築し,メタン物質移動係数とメタン酸化活性を用いてシミュレーションを行ったところ,メタン酸化よる溶存メタン消失の寄与は,僅か約5%であった.DHSリアクターにおいては流入溶存メタンのほとんにどは大気に放出されることがわかった.
  • 中久保 豊彦, 山本 祐吾, 盛岡 通, 東海 明宏
    2010 年 66 巻 3 号 p. 120-135
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/20
    ジャーナル フリー
     バイオマス資源の活用が低炭素化や資源循環に向けて重要となるが,様々な変換技術・活用手法が開発されている中,各資源をどのように利用するかに関する政策判断が必要となる.そこで本研究では,中国省レベルにおいてバイオマス需給バランスを推計でき,バイオマス利用施策の立案と評価を支援するためのモデルを開発した.その上で,モデルを浙江省に適用し,GHG排出削減量,鉱物資源節約量,農林地節約面積の3指標でエネルギー変換優先施策と原材料回収優先施策を比較した.エネルギー変換優先施策でのGHG排出削減量は3,144万t-CO2であり,原材料回収優先施策と比べ1.8倍の削減効果が期待される.一方,原材料回収を優先する際にはリン鉱石164万t,農地59万ha,人工林163万haの節約が図れる結果となった.
  • 清水 香奈, 山本 浩平, 東野 達
    2010 年 66 巻 3 号 p. 136-148
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/21
    ジャーナル フリー
     化石燃料の消費などによって大気中へ排出された水銀は,長距離輸送され遠隔地における環境中濃度に影響を及ぼす.また同時に土壌や水面に沈着したものが生物濃縮され,食物としてヒトが摂取する.本研究では,大気化学輸送モデルと運命予測モデルを結合させることにより,東アジア地域で排出された水銀による日本への影響評価を行った.東アジアでの大気中濃度,沈着量を推定した結果,日本における総水銀沈着量に対する国外発生源の影響は,30-48%となった.さらに,日本人の水銀曝露量を推定した結果,魚介類からの曝露量が最も多いことが確認された.さらに国外起源の水銀が日本人の曝露量に及ぼす影響についても魚介類経由が支配的であった.国外での水銀排出が日本人に及ぼす影響としては,総曝露量として83%と推定された.
  • 大久保 努, 山口 隆司, 久保田 健吾, 原田 秀樹
    2010 年 66 巻 3 号 p. 149-158
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/21
    ジャーナル フリー
     インドにおいて,都市下水を処理するUASBリアクターの後段処理に第三世代型DHSリアクターを設置し,スタートアップ特性および処理性能を評価した.DHSリアクターは処理水量500m3/d(返送無し)で運転を開始し,その後運転条件を変えながら約1年にわたり現地の気候や下水性状等のプラクティカルな条件の下で連続モニタリングを行った.その結果,DHSリアクターは短いHRT(0.66 h)条件下においても,有機物および窒素態の優れた除去性能を示した.また,DHS基軸方向から採取した保持汚泥の酸素利用速度試験を行い,基質別の酸素消費活性を明らかにした.
  • 坂本 靖英, 西脇 淳子, 原 淳子, 川辺 能成, 菅井 裕一, 駒井 武
    2010 年 66 巻 3 号 p. 159-178
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/21
    ジャーナル フリー
     鉱物油に起因した土壌・地下水汚染を対象とした地圏環境リスク評価システム(GERAS-3,詳細型モデル)を開発し,油の土壌・地下水環境における移動現象の解析を行うとともに,複合成分に起因した人への健康リスクを定量的に評価した.汚染状況として表層土壌への油の排出を伴う現在進行形の汚染や,表層土壌が既に汚染されている条件を想定し,揮発の取り扱いの有無や油の種類,汚染浄化対策の種類をパラメータとして変化させた.流動挙動や汚染物質の濃度,汚染リスクの時空間的分布に及ぼす各種パラメータの感度解析を実施するとともに,浄化対策を適用させた場合のリスクの低減効果について検討した.
英文論文
  • Kazuyuki OSHITA, Kazuya TAKEDA, Masaki TAKAOKA, Hideki KANDA, Shinsuke ...
    2010 年 66 巻 3 号 p. 96-102
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/20
    ジャーナル フリー
      The suitability of using dimethyl ether (DME) in dewatering coal for the treatment of sewage sludge has been found empirically to be highly effective. We investigated the effectiveness of a method involving the use of DME for dewatering electroplating sludge and tried to clarify the mechanism and characteristics of the dewatering process. Two zinc-containing sludge samples were examined and the effect of the volume of liquefied DME on the dewatering process was assessed. During the initial dewatering phase, the dewatering ratio is dependent only on the saturation degree of water in liquefied DME. In the later phase, it depends proportionally on the water concentration in the sludge and has a pattern that reduces the dewatering rate as dewatering is proceeded. Moreover, the dewatering pattern can be expressed using one dewatering rate constant, k.
      The water contained in the sludge samples was analyzed using thermogravimetry/differential thermal analysis and the evaporation temperature range was determined. The water remaining in the samples after dewatering was found to be thermally stable and tightly bound. We further determined the amounts of total carbon and metal elements in the dewatered water and compared the concentrations to those specified in the Japan Water Pollution Quality Control Act. An important observation is that the dewatered water from the samples requires further processing before it can be discharged into the drainage system due to the presence of large amounts of Cu, Pb and Zn.
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