土木学会論文集C(地圏工学)
Online ISSN : 2185-6516
ISSN-L : 2185-6516
67 巻 , 4 号
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和文論文
  • 岡本 功一, 梅崎 健夫, 服部 晃
    2011 年 67 巻 4 号 p. 407-421
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/20
    ジャーナル フリー
     鋼矢板の引抜き撤去やコンクリートケーソンの沈設においては,地盤との付着力および周面摩擦力が原因となり,多大な引抜き力や推進力が必要であるとともに,周辺地盤の変状を引き起こす場合が多い.また,ソイルセメント柱列壁工に使用されるH形鋼は,二次工事の障害となるために工事終了後には引抜き撤去されることが望ましいが,ソイルセメント改良体との付着力が強力であるため,通常,その引抜き撤去は行われない.これらの問題を解決するために,地中埋設体の付着力と周面摩擦力を低減するための塗料型およびシート型の吸水性高分子材料を開発した.埋設体表面に処理される吸水性高分子材料の性能について,室内実験および現場実験を実施し,その有効性を実証した.
  • 中澤 博志, 菅野 高弘, 規矩 大義, 前田 幸男
    2011 年 67 巻 4 号 p. 422-440
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/18
    ジャーナル フリー
     液状化による地盤の強度,剛性,物性値の変化,あるいは地盤変状の経時変化を把握することは,液状化被害が懸念される土木構造物に対する被災予測をする上で非常に重要である.一般的に液状化が発生すると,過剰間隙水圧の発生により地盤の強度や剛性が消失し,その後,過剰間隙水圧の消散とともに地盤性状は回復すると考えられる.しかし,液状化後に発生する体積ひずみが一様に発生するのか,また,液状化層の密実化やN値の変化に関する調査事例は少ないのが現状である.そこで,本研究では,原地盤において制御発破による現場液状化実験を実施し,液状化前後における各種サウンディング結果の比較や液状化時の地盤挙動の観測を実施した.本論文では,N値の液状化前後の変化に基づき,地盤性状の回復過程について検討した.
  • 鳥居 宣之, 大西 剛史
    2011 年 67 巻 4 号 p. 441-452
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/18
    ジャーナル フリー
     毎年,梅雨期や台風期の豪雨などにより,多数の斜面災害が発生している.我が国では,これら斜面災害のうち,表層崩壊型のがけ崩れを起因とする災害が多数を占めており,表層崩壊発生の主な要因は,斜面表土層内で発生する地下水位の上昇であるため,地下水位の挙動を算定することは斜面災害発生予測にとって重要である.本研究では,リアルタイム型の斜面災害発生予測のために解析を短時間で終えることのできるモデルとして,地下水位と表土層内の飽和度の関係を用いた地下水位算定モデルに着目し,これに属する既往モデルが有する問題点の修正を行った地下水位算定モデルを提案し,その適用性を検証した.
  • 青木 広臣, 鈴木 俊一, 下村 雅則, 川上 博人
    2011 年 67 巻 4 号 p. 453-463
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/18
    ジャーナル フリー
     放射性廃棄物処分施設の安全性能評価においては,放射性物質の移行経路及び処分施設への浸透水量を算定するために施設周辺の地下水流動解析が必要となる.この浸透水量は処分施設の安全性能評価においては,極めて重要な情報であり,精度よく算定される必要がある.本稿では,施設浸透水量を精度良く算定することに主眼を置き,近年,その精度の高さから着目されている混合化形式の有限要素法を含めた複数の解析手法による解析精度の確認を目的とした検討を行った.混合化形式の有限要素法として混合ハイブリット法を用い,有限体積法,非退化形式の有限要素法と流量算定の精度及び要素数による解の収束性について比較し,混合ハイブリット法が流量算定の精度及び解の収束性共に高いことを示した.
  • 菊池 喜昭, 新舎 博, 河村 健輔, 江口 信也
    2011 年 67 巻 4 号 p. 474-487
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/18
    ジャーナル フリー
     防波堤などに用いられるケーソンの波力に対する安定性を高めるために,ケーソン背後に裏込めを用いることがある.しかし,裏込めによる安定性の増加はケーソンの変位量,マウンドの特性や裏込めの形状などによって変化するため,一義的に定めることは困難である.そこで,裏込めを有するケーソン式混成堤を対象として大型の模型滑動実験を行い,マウンドと裏込め内部の変位挙動から滑り線を推定し,実験での滑動抵抗力と設計値との比較を行った.この結果,裏込めを有するケーソン式混成堤の滑動抵抗については,裏込めの形状を考慮した,裏込めとマウンドの受働抵抗を考慮することで評価できることが分かった.また,裏込めがある場合の円弧滑り法の適用方法について検討し,新たな適用方法を提案した.
  • 笹原 克夫
    2011 年 67 巻 4 号 p. 488-499
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/20
    ジャーナル フリー
     降雨浸透に伴う砂質斜面の変形機構の検討のために,不飽和砂質土よりなる供試体を用いて,異方応力条件下でのサクション除荷試験および吸水試験を行った.サクション除荷試験と吸水試験では,吸水過程での各吸水ステップにおける平均的な吸水速度が異なる.吸水試験の結果からは,各吸水ステップにおける偏差ひずみ増分と体積ひずみ増分をステップ継続時間で除した偏差および体積ひずみ増加速度は,吸水速度と明瞭な相関関係を有することが認められた.また各ステップにおける偏差および体積ひずみ増加速度は,各ステップでのサクション応力変化速度との間に,すべての供試体で同一の関係を有する.このことから吸水中のひずみと,サクション応力で補正された基底主応力との間にユニークな関係があると考えられる.
  • 浦野 和彦, 足立 有史, 三原 正哉, 山田 淳夫, 河邑 眞
    2011 年 67 巻 4 号 p. 500-512
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/20
    ジャーナル フリー
     筆者らは杭基礎周辺地盤を固化することにより杭基礎の耐震性を向上させる工法を提案し,振動台実験や載荷試験などによりその補強効果を確認してきた.この固化改良体を設計する場合には通常弾性体として取り扱っているが,レベル2地震動を想定した場合には,引張応力による損傷などを考慮した方が合理的な設計が可能である.そのため,改良土の強度が小さい粘性土地盤を対象とした要素試験を実施し,固化改良土の引張軟化挙動や繰返し変形特性の特徴を明らかにした.また,壁状固化改良体を用いた載荷試験を実施し,改良体の形状の違いが引張軟化挙動や繰返し変形挙動に与える影響についても明らかにした.さらに,損傷を考慮した弾塑性FEM解析により,固化改良土及び壁状固化改良体の引張軟化挙動や繰返し変形挙動などを再現できることを示した.
  • 田中 幸久
    2011 年 67 巻 4 号 p. 513-531
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/20
    ジャーナル フリー
     放射性廃棄物処分では,ベントナイト系材料を人工バリアなど施設の重要な構成要素の一つとして用いることが検討されている.ベントナイト系材料の重要な機能である膨潤性は,ほとんどの場合,室内試験結果により評価されているが,試験結果にはばらつきがあるため,このことが設計・評価上の不確実性を増大させている.そのため室内試験結果のばらつきの原因を調べる研究が既に行われ,試験条件が試験結果に影響を及ぼすことが明らかとなっている.本論文では,ベントナイトの吸水膨潤過程をモデル化し,3つの試験条件(試験装置の変形性,供試体高さならびに初期含水比)の影響が数値シミュレーションにより説明できることを示し,測定された膨潤圧のばらつきは,試験装置の変形性と供試体高さの違いによりほぼ説明できることを明らかにした.
  • 川尻 峻三, 川口 貴之, 澁谷 啓, 高橋 正和
    2011 年 67 巻 4 号 p. 532-543
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/20
    ジャーナル フリー
     締固めた細粒分質礫質砂の変形・強度特性に及ぼす締固め時の含水比および締固め方法の影響を圧密非排水三軸圧縮試験とベンダーエレメント試験を実施して検討した.最適含水比よりやや乾燥側で締固めた供試体では,圧縮性が小さく,非排水せん断時の偏差応力が大きい結果となった.締固め方法の影響は,圧縮性が静的よりも動的に締固めた供試体の方が小さく,偏差応力は静的供試体の方が大きくなった.これらの圧密非排水三軸圧縮試験の結果は,ベンダーエレメント試験より得られた土構造の配向性を反映する弾性係数の異方性と強い相関があった.このことから,締固め時の密度や含水比,締固め方法によって生じる変形・強度特性の違いは,締固めに必要とされるエネルギーや締固めによって生じる土構造の変化と密接な関係にあることが示唆された.
  • 齊藤 泰, 菊池 喜昭, 日下部 治, 清宮 理, 米山 治男, 川上 泰司
    2011 年 67 巻 4 号 p. 544-557
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/20
    ジャーナル フリー
     東京ゲートブリッジの主橋梁部では,大口径の鋼管杭(φ1,500mm)を用いた鋼管矢板井筒基礎が採用されることが決定した.ところで,大口径鋼管杭の支持力については,東京湾横断道路で載荷試験が行われているが,他に載荷試験の実施例は少なく,杭先端の閉塞率を含めた支持力機構が明らかになっていない.そこで,鋼管矢板井筒基礎の設計条件を設定するために本橋の建設地点で静的載荷試験(押込み・水平),急速載荷試験およびコーン貫入試験を実施した.また,得られた試験結果をもとに鋼管矢板井筒基礎設計に用いる設計諸数値を設定し,合理的な照査結果が得られた.
  • 藤原 優, 酒井 俊典
    2011 年 67 巻 4 号 p. 558-568
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/20
    ジャーナル フリー
     グラウンドアンカー(以下,アンカー)は,定期的な点検により,抑止しようとする構造物の安定が保たれていることが重要な対策工法である.アンカー引張り部に作用する残存引張り力は,リフトオフ試験により確認することができるものの,現在までリフトオフ試験に関する統一的な試験方法が定められていない.このため,現状では試験を行う技術者毎で計測値がばらつき,適切な維持管理が行われていない可能性がある.本論文では,こうした課題に対し高速道路の切土法面に施工されたアンカーを対象として,変位計測方法,載荷方法等の試験条件を変化させたリフトオフ試験を通し,得られたデータを分析することで適切な試験方法の提案を行った.
和文報告
  • 藪内 聡, 國丸 貴紀, 岸 敦康, 小松 満
    2011 年 67 巻 4 号 p. 464-473
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/18
    ジャーナル フリー
     (独)日本原子力研究開発機構では,高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する研究開発として,幌延深地層研究計画を進めている.その中で,地下施設の建設に伴う坑道掘削影響試験の一部として,水平坑道近傍を対象に坑道の掘削前から掘削後にかけて,間隙水圧および岩盤水分量のモニタリングを約1年半にわたり実施した.その結果,水平坑道の掘削時には間隙水圧,水分量ともに明瞭な低下が認められた.坑道掘削後の間隙水圧は勾配が緩やかになりながら低下し,現時点でも正の間隙水圧を示している.一方,岩盤水分量は掘削後約半年が経過した頃から増加し,およそ5ヶ月後に再び減少するという挙動を示した.掘削による間隙水圧の低下に伴い,坑道周辺では地下水からの遊離ガスを含む不飽和領域が形成されている可能性がある.
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