土木学会論文集C(地圏工学)
Online ISSN : 2185-6516
ISSN-L : 2185-6516
68 巻 , 4 号
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和文論文
  • 小西 純一, 鈴木 素之, 高原 宏吏, 藤井 公博
    2012 年 68 巻 4 号 p. 564-582
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/19
    ジャーナル フリー
     泥岩の膨潤とスレーキングは,現象の形態,発生メカニズムにおいて異なる現象であるが,いずれも浸水による劣化現象であること,切土面の劣化や斜面崩壊に関与すること等の共通性がある.著者らは,膨潤およびスレーキングの効果的な抑制技術の提案を念頭にして,不撹乱泥岩およびその再構成供試体を用いた一次元膨潤圧・膨潤率測定試験,浸水崩壊度試験を実施した.その結果,最大膨潤圧と最大膨潤率は両対数軸上でいくつかの直線的な相関に膨潤区分されること,乾燥条件は膨潤およびスレーキングに共通の影響要因であることがわかった.また,生石灰を添加した再構成供試体を用いた一次元膨潤率測定試験,浸水崩壊度試験から,乾燥質量比5%の生石灰添加により,膨潤率の低下や浸水崩壊度の遅延・抑制効果が得られることがわかった.
  • 山本 卓生, 澁谷 啓, 大島 昭彦, 折橋 恒春, 南部 光広, 野並 賢
    2012 年 68 巻 4 号 p. 583-596
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/19
    ジャーナル フリー
     神戸空港島内の超高含水比状態にある浚渫粘土層にプラスチックボードドレーンを打設したときの地盤改良効果を検証するために,各種計測結果に基づく検討を行った.その結果,当初の予測通り,プラスチックボードドレーンと浚渫粘土層の水頭差により圧密促進効果が発揮されていること,自重圧密状態の浚渫粘土層は過剰間隙水圧の消散をあまり生じずに沈下が進行することが確認された.また,不攪乱試料採取が可能な程度の強度が発現されれば,ボールコーン試験結果より推定した含水比は,原位置の含水比の計測値と比較的良好に対応することが分かった.また,プラスチックボードドレーンの変形は一部で非常に大きかったが,透水能力そのものの低下はみられなかった.
  • 松村 聡, 三浦 清一, 横浜 勝司
    2012 年 68 巻 4 号 p. 597-609
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/19
    ジャーナル フリー
     地震による盛土被害が絶えない現状を鑑みると,盛土に対する耐震設計の高度化は不可欠である.現行の締固め度管理や空気間隙率管理では,実際に盛土がどの程度の繰返し抵抗を有するのか不明瞭である.そこで,築堤材として使用された砂質シルトを用いて,飽和した締固め供試体について,一連の繰返し非排水三軸試験を行った.そして締固め度管理規定値が示す繰返し強度を定量的に評価した.様々な観点からの考察により締め固めた土の力学性能を決定し得る締固め時の含水比および締固め度が,繰返し強度を始め様々な繰返し非排水せん断特性に無視できない影響を与えることがわかった.その結果を踏まえ,耐震性の観点から盛土の高安定化に寄与する締固め条件について検討している.
  • 松原 仁, 原 久夫
    2012 年 68 巻 4 号 p. 610-620
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/19
    ジャーナル フリー
     サンゴ骨格の微細構造を形成する孔が一軸圧縮強さやその破壊性状に及ぼす影響について,乾燥供試体および水飽和供試体を用いた一軸圧縮試験および圧裂試験をもとに考察した.室内実験にて得られたサンゴ骨格の特徴的な破壊挙動(乾燥供試体と水飽和供試体の強度に顕著な差は見られない,というもの)は,Griffith理論に浸漬液体の表面自由エネルギーを導入した従来の考えのみでは説明できない.そこで本研究では,サンゴ骨格の孔内における液圧と孔径の影響を考慮することで理論的な説明が可能であることを示した.また,サンゴ骨格における破壊性状に関しては,サンゴ骨格が有する構造の多孔性が破壊を局所化させ,さらには一軸圧縮強さに対する寸法効果を抑制する可能性があることを実験的に見出した.
  • 鬼塚 克忠, 原 裕
    2012 年 68 巻 4 号 p. 621-632
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/19
    ジャーナル フリー
     吉野ヶ里遺跡の墳丘墓(B. C. 150年頃)は主に層築で構築された我が国最古の巨大盛土構築物である.盛土の構築技術は,レベルの低いものから,堆築,層築,版築の3段階に分類できることを示し,吉野ヶ里墳丘墓の構築技術のルーツであると考えられる中国江南地方の土□墓(西周~戦国時代),と山東半島の墳墓(前漢~後漢時代)と吉野ヶ里墳丘墓の埋葬物の墳墓内の位置など様々な実態の比較,ならびに上記3段階の構築技術のこれら墳墓への適用についての検討を行った.墳丘墓以外の文化・技術のルーツや伝播も考えた結果,江南の土□墓もしくは山東半島の墳墓の構築技術が,朝鮮半島経由ではなく海を経て直接,北部九州の吉野ヶ里に伝播したことを結論とした.
  • 森 拓雄, 齋藤 典之, 小峯 秀雄
    2012 年 68 巻 4 号 p. 633-642
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/19
    ジャーナル フリー
     放射性廃棄物処分における人工バリア要素である緩衝材は長期に亘って廃棄体周辺に健全な状態で存在することが必要である.そのため緩衝材の候補材料であるベントナイトの廃棄体支持性能の評価は重要な課題の一つとされている.緩衝材の廃棄体支持性能を評価するため余裕深度処分概念を模擬した遠心模型実験を実施し挙動予測を行なった.その結果,最も大きな変形が予測される緩衝材乾燥密度ρd=1.20Mg/m3と最も大きな廃棄体重量2,840kN/mの条件で施工を行なった場合,約55年後の廃棄体の沈下は緩衝材厚さ1mに対して8mm程度で約0.8%の軸ひずみが発生すると予測された.さらに廃棄体重量を約1.8倍にすると沈下量が4倍になるが,ベントナイトに珪砂を30%混ぜると沈下を40%抑制できることが明らかになった.
  • 川村 志麻, 三浦 清一
    2012 年 68 巻 4 号 p. 643-657
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/19
    ジャーナル フリー
     海岸斜面の侵食およびそれに起因する被害が,世界的にも数多く報告されている.特に,英国や米国,カナダに分布する氷成堆積土や,未固結な地盤から構成される海岸崖では,波の侵食作用により崩落・崩壊が生じており,重要課題として取り沙汰されている.本研究では,低気圧などの暴風時の波浪によって突発的に侵食が進行するケースを対象とし,未固結な地盤からなる海岸斜面の波の侵食作用に起因する斜面崩壊の可能性を調査している.はじめに波の侵食作用が著しい北海道東部の海岸斜面の力学挙動を解明し,次いで1G場および遠心力場の模型実験から,波の侵食作用による斜面後退距離の推定と崩壊機構を検討している.得られた結果と考察から,波の侵食作用に起因するノッチの後退距離を考慮した斜面安定評価法を提案している.
  • 荒木 裕行, 長谷川 修一
    2012 年 68 巻 4 号 p. 658-669
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/19
    ジャーナル フリー
     管渠築造工事では,非開削かつ比較的短い工期で施工可能であることから推進工法がしばしば採用されている.近年では同工法は硬質岩盤へも適用されるようになったが,岩盤掘削に関する工学的知見は未だ十分ではない.本研究では,推進工法を花崗岩地山に適用した事例を対象に,インタクトロックとしての花崗岩の力学特性と当該花崗岩を構成している造岩鉱物粒子の力学特性を評価し,そこで発生した掘削トラブルとの関連性の検討を行った.造岩鉱物粒子の力学特性評価のため,微小な圧子を試料に直接押込むDSI試験を実施した結果,当該花崗岩を構成する長石は硬度およびヤング率が著しく小さいことがわかった.このような造岩鉱物粒子の力学特性が掘削の難易度に対して影響を及ぼす可能性があり,それを定量的に評価する上でDSI試験は有用である.
  • 西澤 貴樹, 加藤 雅彦, 北沢 遥, 佐藤 健
    2012 年 68 巻 4 号 p. 670-679
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/19
    ジャーナル フリー
     濃尾平野の西濃地域では,南部一帯の第1礫層地下水から自然由来と考えれられるヒ素が環境基準を超えて検出される.この原因の調査のため,第1礫層まで掘削されたボーリング試料を用いて,堆積層のヒ素量及びヒ素の化学形態の分析を行った.さらに溶出メカニズムの解明のため,酸化還元電位及びpHを変化させた抽出試験を行った.
     その結果,第1礫層に接する濃尾層においてヒ素溶出量及び鉄マンガン酸化物態のヒ素が多かったこと,全鉄,全炭素及び全ヒ素量に相関がみられたことから,濃尾層の鉄酸化物等に含まれるヒ素が第1礫層のヒ素の主な起源であると考えられた.
     また,平野北西部に比べて南西部の第1礫層地下水の酸化還元電位が低いこと及びpHが高いことに加え,濃尾層から溶出した溶存有機物もヒ素溶出を促進する要因であると考えられた.
  • 海野 寿康, 仙頭 紀明, 小野 大和, 林 健太郎
    2012 年 68 巻 4 号 p. 680-694
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/19
    ジャーナル フリー
     繰返しせん断による砂質土の体積収縮挙動に関連し,中空ねじり試験を用いて,液状化後の再圧密体積ひずみに対する細粒分や初期密度,試験後の残留せん断ひずみの影響に関する検討を行った.要素試験の結果,細粒分の有無に関係なく,砂質土の液状化後の体積ひずみは,繰返しせん断中のせん断ひずみ履歴に依存しており,繰返しせん断ひずみ履歴が多いほど,相対密度が小さいほど液状化後の体積ひずみは大きくなる結果となった.一方,繰返し載荷後に残留せん断ひずみが生じる場合,残留せん断ひずみが多いほど体積ひずみは小さくなる.本稿では,要素試験の結果を検証する為に振動台による模型実験を実施し液状化による沈下量の把握を行ったが,要素試験同様に加振中のせん断ひずみ履歴をもって沈下量を整理した結果,高い相関性を示す結果となった.
  • 並河 努
    2012 年 68 巻 4 号 p. 695-706
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/19
    ジャーナル フリー
     深層混合処理工法により構築されるセメント改良体の一軸圧縮強さにはばらつきが存在し,そのばらつきの影響を考慮した品質管理が現在行われている.現行の品質管理手法では,コア供試体の一軸圧縮強さの確率分布に対し正規分布をあてはめる手法を取ることが多い.本研究では,コア供試体の一軸圧縮強さquの確率分布に対し,正規分布と対数正規分布の適合度の検定を行った.さらに,強度の確率分布の違いが実大セメント改良柱の一軸圧縮強さQuに与える影響を調べるために,ばらつきを有するセメント改良柱の一軸圧縮挙動のシミュレーションをFEM解析により実施した.解析結果より,quが正規分布に従う場合,Quは正規分布への適合性が高く,quが対数正規分布に従う場合,Quは対数正規分布への適合性が高いことが明らかとなった.
  • 藤原 優
    2012 年 68 巻 4 号 p. 707-719
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/19
    ジャーナル フリー
     切土補強土工法は,地山に棒状補強材を構築し補強土構造体を形成することにより切土法面を安定化させる抑止工法である.切土補強土工法は,材料手配や施工が容易なことから短期間で法面の自立性を向上させる効果があるものの,地山内で注入材の劣化や棒鋼芯材の腐食などが進行し対策機能が低下していくことが懸念される.しかしながら,こうした機能低下の実態には未解明な部分が多く,切土補強土工法が施工された法面(以下,切土補強法面)の長期耐久性についてこれまで明らかにされていない.本論文は,こうした課題に対し高速道路の切土補強法面を複数選定して調査を実施し,棒鋼芯材の腐食進行や亜鉛メッキなどによる防食効果について明らかにするとともに,切土補強法面の長期耐久性を踏まえた維持管理方法についての提案を行った.
  • 浦野 和彦, 足立 有史, 西村 毅, 大部 哲哉, 河邑 眞
    2012 年 68 巻 4 号 p. 720-731
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/20
    ジャーナル フリー
     筆者らは杭基礎周辺地盤を固化改良する杭基礎耐震補強工法を提案し,地下構造物への適用についても検討を行ってきた.この固化改良体を設計する場合には通常弾性体として取り扱っているが,レベル2地震動を想定した場合には,引張応力による損傷などを考慮した方が合理的な設計が可能である.そのため,改良土の強度が小さい粘性土地盤を対象とし,まず気中模型載荷試験を実施し,改良体による補強効果と破壊挙動を明らかにした.また,土槽載荷試験を実施し,地盤との相互作用を考慮した場合の改良体の補強効果や破壊挙動についても明らかにした.さらに,改良体の引張軟化特性を考慮した弾塑性FEM解析により,土槽載荷試験における地盤,改良体及び構造物の変形挙動を再現できることを示し,より合理的な設計方法に用いるべき解析手法を示した.
  • 山田 哲司, 西形 達明, 西田 一彦
    2012 年 68 巻 4 号 p. 732-741
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/20
    ジャーナル フリー
     原料や製造方法が異なる酸化マグネシウムを用いて,酸化マグネシウムスラリーおよび酸化マグネシウム改良土を作製し,熱重量分析や養生条件を変えた一軸圧縮試験を行った.鉱成酸化マグネシウムと海成酸化マグネシウムとでは水や土に含まれる粘土鉱物との反応特性が異なり,酸化マグネシウムの水和物である水酸化マグネシウムの生成速度およびその量が酸化マグネシウム改良土の強度特性に影響を及ぼすことがわかった.また,鉱成酸化マグネシウムでは,その比表面積が大きいほど改良土の強度が大きく,空気中の二酸化炭素による改良土の強度への影響は,養生日数が120日程度では認められなかった.酸化マグネシウムを地盤改良に適用する際には,酸化マグネシウムの種類による改良土の強度特性の違いを把握しておくことが重要であると考えられる.
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