土木学会論文集C(地圏工学)
Online ISSN : 2185-6516
ISSN-L : 2185-6516
68 巻 , 1 号
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和文論文
  • 高井 敦史, 乾 徹, 勝見 武, 嘉門 雅史, 荒木 進
    2012 年 68 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     土壌・地下水汚染や埋設廃棄物が存在する土地を有効活用する際の対策方法の一つとして,汚染物質の周辺環境への拡散を防止する封じ込め工法が有効であることから,原位置土とベントナイトを混合・攪拌することによって造成されるソイルベントナイト(以下,SB)を開発し,遮水材としての適用性を遮水性能の観点から実験的に検討した.実施工を模擬して作製したSBに対して,遮水性能に及ぼす影響因子を室内試験により評価した.その結果SBの透水係数は,間隙水中の化学物質濃度やベントナイト添加量の影響を受けることが明らかとなった.またSB自身の自己修復機能により,クラックが生じた場合であっても経時的に遮水性能が再現されることが示された.さらにSBの膨潤圧や物性を評価することで,遮水性能を簡便に評価しうる可能性を検討した.
  • 安原 一哉, 山崎 真司, 榊原 務
    2012 年 68 巻 1 号 p. 15-30
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     本文は,まず,低品質な土質材料による盛土中にジオシンセティックスと砂層を組み合わせることによって得られるアドバンテージ((i)支持力改善効果,(ii)剛性改善効果,(iii)透水・通水性能を長期間維持できる)を利用して,安定した基礎地盤と土構造物を構築できることを模型実験によって実証した.加えて,このようなサンドイッチ補強によれば,上記のような効果に加えて,靭性(粘り強さ)の高い土構造物となりうることも明らかにした.最後に,これらの複合的な構造を有する補強盛土の安定性向上効果を数値実験的に実証し,それらに基づいた設計法を提案した.
  • 畠 俊郎, 佐藤 厚子, 川崎 了, 阿部 廣史
    2012 年 68 巻 1 号 p. 31-40
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     環境負荷の小さい新しい地盤性状制御技術として注目されているMicobial Carbonate Precipitation (MCP)に関連し,pHが低いことに加えて生息している土壌微生物が少ないことで知られる泥炭への適用性について評価した.実務への応用を考え,泥炭内にすでに生息している土壌微生物を対象とした選択培地によるスクリーニングを行い尿素の加水分解活性を持つ微生物を単離した.あわせて単離微生物を用いた炭酸カルシウム析出試験を実施した.その結果,泥炭由来の微生物が尿素の加水分解に伴い発生するアンモニア由来の高pH条件においても炭酸カルシウムを析出させることが可能であることと,豊浦砂を対象とした固化実験における軟岩ペネトロ計の換算値から一軸圧縮強度として最大で400kN/m2程度の強度を確認した.
  • 本城 勇介, 大竹 雄, 加藤 栄和
    2012 年 68 巻 1 号 p. 41-55
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,地盤構造物の信頼性解析に当たり,地盤パラメータの空間的なばらつきと,これに伴う統計的推定誤差を評価する理論の,基本的枠組みと方法について,提案を行うものである.地盤は,定常確率場として単純化,理想化してモデル化され,この確率場より得られた限られた数の標本により,確率場の任意地点の局所平均値を推定する問題を定式化している.推定は,調査位置と構造物建設位置を特定しない一般推定と,これを特定する局所推定に分けて定式化されている.説明のための例題も示されている.
  • 加納 由貴, 日比 義彦, 大平 雄毅
    2012 年 68 巻 1 号 p. 56-67
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     土壌気相中の物質移動に関する物性値は,屈曲度を考慮した分子拡散係数とKnudsen拡散係数および分散長となる.日比らは,以前の研究でカラム実験結果よりこれらの物性値を求める手法を開発した.本研究では,カラム実験より得られた物性値が妥当な値であるか確認するために二次元土槽実験と数値解析を行った.二次元土槽実験では,物性値が得られている乾燥した豊浦砂または豊浦砂とベントナイトの混合土と,酸素と窒素を成分調整した混合ガスで満たされた土槽に二酸化炭素を注入した.二次元土槽実験に関する数値解析は,Dusty Gas Modelを特性曲線型有限要素法で定式化した手法と,以前の研究でカラム実験より得られた物性値を用いて行われた.その結果,カラム実験で得られたこれらのパラメーターが適切な値であることが分かった.
  • 大竹 雄, 本城 勇介
    2012 年 68 巻 1 号 p. 68-83
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,地盤構造物設計の特性を考慮した簡易で実用的な信頼性設計法を提案するものである.提案する設計スキームは,地盤解析と信頼性解析を基本的には分離し,地盤解析から導く応答曲面を用いたモンテカルロシミュレーションにより再結合して信頼性評価するものである.これにより,新しく開発されてくる地盤解析ツールを生かしつつ,信頼性解析を容易に行うことができる.本論文では,複雑に不確実性を含む実構造物の設計例題として,液状化地盤上に設置された延長12kmの長大水路の耐震設計問題を取り上げ,具体的な設計手順・方法を示している.設計例題を通して,設計スキームの実用性や解の安定性等の能力を示すとともに,特徴的な取組みである地盤情報の量,位置関係の評価や各不確実性の寄与度分析が,対策工の優先順位決定や追加地盤調査の実施地点の選定等,施設管理のための有効な資料になることを示している.
  • 宇津木 慎司, 小柳 聡, 吉野 尚人, 成瀬 琢也, 朝倉 俊弘, 菊地 宏吉
    2012 年 68 巻 1 号 p. 84-96
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
     グラウチングによる岩盤の力学的な改良効果については,定量的な検討事例が少ないこともあり,その改良効果がダム基礎設計に見込まれていない.これに対して,筆者らは,岩盤の変形特性および強度特性に関する改良効果を定量的に確認することを目的として,グラウチング前後に,多種の岩盤で原位置岩盤試験を実施するとともに,割れ目を模した供試体を用いて室内せん断試験を行った.また,上記した検討結果をもとに,グラウチングによる岩盤の改良効果を見込んだダム基礎設計への展開について,具体的に検討した.
  • 平田 昌史, 福田 淳, 信田 潤一, 西川 浩二, 山田 耕一, 川井田 実
    2012 年 68 巻 1 号 p. 97-116
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
     真空圧密工法では,載荷する真空圧が改良域の内側方向に作用するため,盛土を併用した場合には周辺地盤の側方変形が低減され,盛土の急速施工も可能となる.このような改良効果は,慣用的な設計法では評価することが困難であり,FEM解析を用いた高度な予測・検討が必要である.本論文では,舞鶴若狭自動車道若狭工事で実施した真空圧密工法の改良効果や変形特性を検証するとともに,二次元の土-水連成FEM解析を実施し,現場の再現性および施工管理等への活用を行った事例について紹介する.若狭工事で実施した真空圧密工法は,周辺地盤の変形抑制や圧密促進,工期短縮に高い効果を発揮している.また,FEM解析では真空圧密による改良効果を精度良く再現できており,解析結果を施工管理に用いることで,安定的な盛土施工が実現できた.
  • 加藤 達也, 國生 剛治
    2012 年 68 巻 1 号 p. 117-126
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
     遠心載荷装置と同様に実地盤の応力状態を再現できる浸透力載荷装置により,杭の引抜き速度および周面粗度を変化させて引抜き載荷試験を行った.模型地盤を150kPaの圧力で浸透圧密することにより,厚さ28cmの模型で厚さ17mの実地盤の有効応力分布を再現し,その後,設置した杭の引抜きを行った.杭頭荷重は引抜き開始直後の僅かな変位で最大値を示し,その後ほぼ一定の残留値へと収束する.その際,引抜き速度を高めた載荷試験においては,杭先端付近ではサクション,また杭側面では正のダイレイタンシーによるものと考えられる間隙水圧の減少が認められた.最大杭頭荷重や軸力,周面摩擦応力は引抜き速度が速いほど大きく,その発現変位も大きくなる.これらの速度に依存した増加傾向は摩擦の大きい杭で顕著に現れることがわかった.
  • 竹村 弥生, 建山 和由
    2012 年 68 巻 1 号 p. 127-137
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
     振動場における粒状材料の振動挙動とそれに与える振動条件や地盤条件の影響を解明する研究の一環として,室内振動実験を行った.実験では,粒子の接触状況を電気伝導を利用して測定する手法を採用した.この手法は,導電性を有する粒状体で供試体を作成し,これに振動を加えた際の供試体中の電気抵抗の変化を計測する手法である.粒子間の接触状況に応じて供試体の電気抵抗が変化するため,振動場における粒状体の挙動を把握することができる.実験結果を振動加速度,粒径の違いによって比較したところ,加速度が一定であれば振動数を変化させるより振幅を変化させるほうが,粒子のかみ合わせが外れ,粒子の相互移動が起こり易いということがわかった.また,粒子のかみ合わせの外れ易さは,粒子の粒径と振幅の比に依存することが明らかになった.
  • 重松 宏明, 小田 憲一, 樋口 恵美子, 高野 典礼, 田崎 宏
    2012 年 68 巻 1 号 p. 138-149
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
     ぱさついたり,ぬかるんだりして使用に耐えられなくなったグラウンド表層部に破砕した貝殻を混ぜ合わせることで,どの程度の性能(高透水性,適度な強度)回復が見込めるのかを把握するために,2種類の砂質土をベースにして一連の室内実験を実施した.これらの実験結果から,貝殻を土質改良材として用いた場合の締固め,支持力,透水性に対する効果を明確にした.特に透水性に対する効果については,実験に用いた供試体を走査型電子顕微鏡で観察し,貝殻と土粒子のインタラクションにまで踏み込んだ考察を行った.また,実験に用いた供試体と同じ配合の試料についてカラム試験を実施し,貝殻混合に対しての環境影響評価も行った.そして,これらの実験結果を踏まえた上で,既存グラウンドにおいて現地実証試験を実施し,本改修工法の是非を検討した.
  • 稲積 真哉, 大津 宏康, 磯田 隆行, 重松 祐司
    2012 年 68 巻 1 号 p. 163-174
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/19
    ジャーナル フリー
     我が国では環境意識の高まりから廃棄物リサイクルが推進されているものの,リサイクルにはコストを要するため,その市場性が問われている.一方,廃棄物リサイクルを実施する本質は環境負荷の削減である.本研究では直接コストに加え,環境負荷を環境コストとして内部化することで,廃棄物リサイクルを社会的に評価する社会環境効率性評価手法を検討・試作する.具体的に,廃棄物リサイクルには様々な不確実要素が絡み合っているため,感度分析およびモンテカルロシミュレーションを用いることで不確実性をも考慮した社会環境効率性評価を実施した.その結果,特に再資源化等率の低い建設汚泥に着目したところ,建設汚泥のリサイクルの社会環境的な有意性を定量的に評価することができた.
  • 石塚 師也, 辻 健, 松岡 俊文, 水野 敏実
    2012 年 68 巻 1 号 p. 175-182
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/19
    ジャーナル フリー
     2011年3月11日,東北地方太平洋沖を震源とするモーメントマグニチュード(Mw)9.0のプレート境界地震が発生し,広範囲の地域で地盤液状化を引き起こした.本研究では,東京湾臨海域の地盤液状化に着目し,衛星リモートセンシング技術の1つである差分干渉SAR解析を用いて,液状化に伴う地盤沈下量と沈下の空間的広がりを調べることを試みた.この解析手法は,衛星によって地表変動を広域かつ高密度に測定できるのが特徴である.本研究で得られた結果と噴砂分布の現地調査の結果は整合的であることから,液状化調査のツールとして差分干渉SAR解析が有効であると分かった.
  • 金子 崇, 兵動 正幸, 立場 晴司, 山田 卓, 中田 幸男, 吉本 憲正
    2012 年 68 巻 1 号 p. 188-198
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/19
    ジャーナル フリー
     砂と含水比の異なる自然粘土を様々な割合で混合した土に対し,一連のベンダーエレメント試験を行った.その結果,細粒分含有率が低く,砂が骨格構造を形成する領域と粘土が構造の主体となる領域の境界は,粘土の含水比により異なることが明らかとなった.初期せん断弾性係数と間隙比の関係は,細粒分含有率によって異なるが,細粒分を粗粒分と等価とみなす割合である寄与率bの概念を導入した等価骨格間隙比を用いることにより,初期せん断弾性係数と等価骨格間隙比との間に一義的対応関係が存在することが明らかとなった.また,等価骨格間隙比,拘束圧の関数として混合土のせん断弾性係数の評価式を提案した.
  • 深田 隆弘, 森 泰樹, 澁谷 啓
    2012 年 68 巻 1 号 p. 199-212
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/19
    ジャーナル フリー
     落石災害は,列車脱線等の重大事故のリスクが高く,発生後の安全確認にも多大な時間を要している.こうした落石による被害を最小限に抑えるため,鉄道事業者は落石注意箇所の点検を定期的に行って必要な対策を講じている.しかし広範な沿線斜面を限られた要員で管理している実情などもあり,効果的で効率的な斜面管理のシステム化とそれをサポートするツールの整備が急務となっている.そこで落石注意箇所と線路への影響度を明示したリスクマップを作成し,これを斜面点検の効率化や線区防災計画の策定に活用する.落石リスクマップの作成において,落石シミュレーションによる方法ならびに斜面を類型化した簡便な方法によって線路への影響評価を定量化する手法を提案し,この手法が斜面管理の実務に適用できることを確認した.
  • 福田 大祐, 金子 勝比古, 石山 宏二, 内藤 将史
    2012 年 68 巻 1 号 p. 213-223
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/19
    ジャーナル フリー
     トンネルの発破掘削では,最外周制御発破による最外周掘削面の平滑性向上は,掘削コスト削減に寄与する重要な課題である.これを目的として,トンネル最外周の装薬孔間に,通常の装薬孔径の2倍以上の孔径を有した大口径の円形空孔を設けた発破工法が提案・実用化されている.本論文では,装薬孔間に空孔を有する一自由面発破を対象として,空孔径が破断面平滑性に及ぼす影響を論じた.具体的にはまず,装薬孔から発生した応力波により空孔側壁に生じる応力を分析し,その応力集中効果が空孔径に依存することを示した.次に,空孔径を変数として,岩盤内の強度不均一性を考慮した破壊プロセス解析を実施し,装薬孔間に大口径の円形空孔を設けることにより最終破断面の平滑性が向上することを明らかにするとともにその機構について考察を加えた.
和文報告
  • 野口 孝俊, 渡部 要一, 鈴木 弘之, 堺谷 常廣, 梯 浩一郎, 小倉 勝利, 水野 健太
    2012 年 68 巻 1 号 p. 150-162
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
     東京国際空港(羽田空港)は,日本の国内航空ネットワークのハブ空港となっている.増加する旅客数に対して発着能力が限界に達していることに加え,国際線発着枠の拡大に対する要請も強い.そこで,新たな離発着能力を創出するために,沖合に4本目の滑走路を新設する羽田空港再拡張事業が2007年3月末に着工され,2010年10月末に供用開始した.羽田空港D滑走路の建設事業は,軟弱地盤が厚く堆積する地盤上の建設であること,河口部に位置するため,洪水時の河川流量を確保する観点から,一部に桟橋構造が採用されていること,短い工事期間が設定されたことなどから,最新の土木技術を集結し,さまざまな設計・施工上の工夫をした.本稿は,当該事業について,主に地盤工学の立場から,事業内容,地盤調査,人工島設計の概要をとりまとめたものである.
和文ノート
  • 高橋 英紀, 生田 瑛穂
    2012 年 68 巻 1 号 p. 183-187
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/19
    ジャーナル フリー
     港湾施設の設計基準書が改訂され,水平震度khの算出方法が大きく変更された.このため,旧基準で設計された既存岸壁が新基準においては耐震性能を満足できないことも想定される.本研究では,旧基準で設計された関東地方の既存岸壁を対象に新旧基準でのkhを比較した.また,重回帰分析によって新旧基準のkhの大小関係に影響を与える因子を調べた.その結果,旧基準よりも新基準でのkhが上回った割合は16%と少なかった.また,特定の港湾に立地する施設,岸壁の壁高が大きい施設,重要度係数が小さい施設において,新基準でのkhが旧基準でのkhよりも大きくなる傾向にあった.
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