土木学会論文集C(地圏工学)
Online ISSN : 2185-6516
ISSN-L : 2185-6516
68 巻 , 2 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
和文論文
  • 村上 武志, 新原 雄二, 山田 岳峰, 大野 進太郎, 野口 孝俊, 宮田 正史
    2012 年 68 巻 2 号 p. 224-238
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/04/20
    ジャーナル フリー
     東京国際空港(羽田空港)D滑走路は,埋立部と桟橋部からなるハイブリッド構造であり,埋立/桟橋接続部には鋼管矢板井筒基礎を用いた抗土圧護岸を築造する.本滑走路には,100年間の設計供用期間が要求されており,埋立部の高盛土によって発生する長期的な接続部護岸の水平変位を精度よく予測する必要があった.そのため,井筒護岸の設計では,関口・太田による弾粘塑性構成モデルの降伏曲面形状を修正カムクレイ型に変更した構成モデルによる土・水連成弾粘塑性FEM解析を行い,地盤の長期的な力学挙動を評価した上で接続部護岸の水平変位を予測した.本論文ではまず,採用した構成モデルの概要とその検証を目的として実施した遠心模型実験結果について述べ,その後,FEMによる鋼管矢板井筒護岸の長期挙動解析結果について報告する.
  • 本島 貴之, 佐々木 泰
    2012 年 68 巻 2 号 p. 239-250
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/04/20
    ジャーナル フリー
     岩盤の透水性が不均質な場に対して連続体モデルを用いて地下水流動解析を行う際には,透水係数の代表値として巨視的透水係数を設定する必要がある.一方,原位置試験によって算出される透水係数の分布は,同じく岩盤の不均質性に起因して実際の岩盤の透水係数分布よりも大きく計測される.そのため大きく計測される原位置試験の結果から岩盤の透水係数分布を適切に推定した上で巨視的透水係数を設定する必要がある.本論文では確率有限要素法を利用した逆解析によって岩盤の透水係数分布を推定し,巨視的透水係数を設定する手法を提案し,数値実験によって妥当性の検討を行った.さらに,サンプルデータを対象とした巨視的透水係数推定例を提示した.
  • 鈴木 輝一
    2012 年 68 巻 2 号 p. 251-259
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/04/20
    ジャーナル フリー
     せん断挙動に影響を及ぼす要因として種々の要因があるが,一般的な3次元挙動では中間主応力の相対的大きさを考慮することも重要となる.本論文では,球形粒子による密な試料を用い,特に構成則の構築に必要な主偏差ひずみに着目して,室内実験とDEM数値実験との定性的比較,および,巨視的挙動と微視的挙動との関連等について検討を行った.その結果,正規化塑性仕事・等価塑性偏差ひずみ関係は,b値に関して厳密にはユニークにはならないこと,相対的に接触力が大きな接触点の方向性とb値による拘束の両方に起因して主偏差ひずみの線形関係からの逸脱が表れること,数値実験結果とLade and Duncanの破壊基準がよく一致していること,配位数,塑性体積ひずみ,等価塑性偏差ひずみとの間にユニークな関係があることなどを明らかにした.
  • 藤原 優, 酒井 俊典
    2012 年 68 巻 2 号 p. 260-273
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/04/20
    ジャーナル フリー
     グラウンドアンカー(以下,アンカー)工法は,法面等の安定を維持する抑止工法である.アンカーは,施工後の残存引張り力の管理が重要とされており,一部のアンカーに対して残存引張り力を確認し,その結果をもとにアンカーや法面の健全性などが評価される.しかしながら,アンカーは,時間の経過とともに残存引張り力が個々でばらつきながらも法面の安定性を面的に維持する性質を持っていると考えられ,一部で確認された結果のみで健全性を評価するのは困難といった課題がある.そこで,道路法面に施工されたアンカーを対象として面的調査を実施し,背面地質やアンカーの健全性のばらつき,法面変状に伴う過緊張等の発生割合などに着目した検討を行い,アンカーの残存引張り力の分布特性に着目した新たなアンカー法面の維持管理手法の提案を行った.
  • 高橋 啓久, 吉田 純也, 仙頭 紀明, 森 友宏, 渦岡 良介, 風間 基樹
    2012 年 68 巻 2 号 p. 274-285
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/18
    ジャーナル フリー
     砂地盤の液状化後の残留変形量を評価するため,中空ねじりせん断試験で圧密‐非排水繰返しせん断‐排水の全過程においてK0状態を制御可能としたシステムを開発した.それをオンライン実験に適応させ,液状化後の残留変形量に与える初期K0状態や入力波,過圧密比(OCR)の影響について評価を行った.実験の結果,入力地震波やOCRの相違によって残留体積ひずみεvや残留せん断ひずみγrが変化することを示した.さらに,液状化後の残留体積ひずみと残留せん断ひずみの両方を考慮した残留変形指標を提案し,残留変形指標と累加せん断ひずみγacmに正の相関関係があることを示した.
  • 渡邊 保貴, 小峯 秀雄, 安原 一哉, 村上 哲, 豊田 和弘
    2012 年 68 巻 2 号 p. 286-296
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/18
    ジャーナル フリー
     廃棄物や副産物の長期利用や繰返し利用を評価する上で,物理的・化学的な変質を明らかにすることは重要である.本論文は,浄水汚泥の保水性に及ぼす陽イオン溶出の影響を論じたものである.具体的には,浄水汚泥が雨水に曝され,陽イオンが溶出する現象をカラム通水試験で模擬し,陽イオン溶出後の浄水汚泥を用いて保水性試験を行った.その結果,陽イオン溶出後は浄水汚泥の保水性は低下することが明らかとなり,それは液性限界・塑性限界試験とも整合する結果であった.カラム通水試験すなわち陽イオンの溶出前後で浄水汚泥の微視構造と交換性陽イオンに明瞭な変化は認められなかった.Alの溶出により,凝集剤ポリ塩化アルミニウムの親水性が失われたことが保水性低下の一要因と推察された.
  • 石川 明, 社本 康広, 張 至鎬, 木村 匠
    2012 年 68 巻 2 号 p. 297-304
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/18
    ジャーナル フリー
     砂のせん断ひずみの蓄積による累積損傷度の概念と均質化法による等価な地盤せん断モデルを用いた格子状改良地盤の簡便な液状化評価法を提案する.まず,前提となる既往の実験事実-繰返しにともなうせん断応力比と累積損傷度,過剰間隙水圧比の関係-について示し,地盤条件により一意に定まる砂の初期せん断ひずみと過剰間隙水圧比の関係を提案する.次に,この関係と初期せん断ひずみを等価な地盤せん断モデルにより算出することからなる液状化評価法の内容について示す.実案件を対象として具体的な計算方法を例示するとともに,3次元有効応力解析により格子内地盤の過剰間隙水圧比の抑制効果について検討する.
  • 多宝 徹, 鈴木 雅行, 菅原 健太郎, 北村 良介
    2012 年 68 巻 2 号 p. 321-340
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/18
    ジャーナル フリー
     南九州には,火砕流堆積物の未固結部分であるいわゆる「しらす」が広く分布している.しらすの地盤特性に関する研究は広く行われてきているが,しらすの分類・定義が未だに明確でないためトンネル工学の分野では少なからず混乱を招いている.また,しらすは未固結土でありながら,切羽の自立性が比較的良く,施工条件によっては軟岩地山相当の支保パターンでの掘削が可能であることが知られているが,このようなしらす地山のトンネルの力学特性は解明されていない.
     そこで,本論文では,トンネル工学の立場からしらすの再定義・分類を行った上で,しらすの地盤調査,室内試験の結果を整理し,しらすの拘束圧に依存した変形特性を確認した.さらに,この変形特性に着目した非線形数値解析モデルを構築し,しらすトンネルの力学特性について考察を行った.
  • 藤井 直, 大内 正敏, 酒井 運雄, 西垣 誠
    2012 年 68 巻 2 号 p. 341-354
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/20
    ジャーナル フリー
     砂地盤を不飽和な状態にして液状化強度を高める液状化対策工法が研究されている.著者らは,残留空気の持続性を簡易に検証するために,常温による不攪乱試料と地下水のサンプリングによる方法を提案し,施工時に漏れた空気がトラップされたと考えられた高架橋ニューマチックケーソン(以下,ケーソンと称す)基礎の近傍地盤で実際に実施した.サンプリング試料の圧力や溶存空気の影響について補正方法を示し,求められる飽和度の精度について検討した.この結果、液状化の対象となる砂地盤においてエントラプトエアーとして残留する空気は,約28年間もの持続性を有することを示した.
  • 中村 洋丈, 横田 聖哉
    2012 年 68 巻 2 号 p. 355-374
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/20
    ジャーナル フリー
     高速道路建設において,コスト縮減や現地発生材の有効利用が可能な盛りこぼし橋台の採用が増加している.その構造は,盛土で構築された地盤(以下,「盛土地盤」という.)上に橋台を設け,地盤内に杭を設けて橋台を支持するものである.したがって,盛土地盤は杭に必要な地盤抵抗が求められるが,その設計施工法に確立されたものがない.そこで,筆者らは,盛土地盤の設計施工法の確立を目的として,高速道路での施工事例についてデータ整理・分析してきた.本論文では,これまでに施工された107橋台の盛土地盤を対象として,盛土地盤の強度・変形特性や圧縮沈下特性の施工記録の分析結果,及び地震時における地盤の変位が杭の安定性に与える影響について検討した結果,またその結果を基に設計法や施工管理基準を確立したことについて述べる.
  • 安里 俊則, 佐溝 純一, 前田 良刀, 安部 哲生, 松木 聡, 奥谷 淳平
    2012 年 68 巻 2 号 p. 385-399
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/20
    ジャーナル フリー
     岩盤を主体とした斜面上の深礎基礎について,塑性化前後(弾性的挙動および塑性的挙動をする前後)の岩盤の物性を適切に評価することでより合理的な設計が可能になると考えた.よって,塑性化前後の地盤定数を一体的に評価する要素試験の実施や地盤定数をパラメータとした試設計を行うことで地盤定数が計算結果に与える影響を検討した.また,検討結果の妥当性を検証するために,縮小実物供試体を用いた載荷試験を実施し,得られた実験結果と解析結果とを比較考察することで,斜面上の深礎基礎の支持力特性を解明し,その合理的設計法を構築するための新たな知見を得ることができた.
  • 白 宗和, 松田 博, 石藏 良平, 白 元珍, 山田 和昌
    2012 年 68 巻 2 号 p. 400-409
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/20
    ジャーナル フリー
     飽和粘性土の圧密に関してこれまで多くの理論が提案されているが,沈下の予測を行うにあたっては,室内試験結果をもとに現場の挙動を正確に把握することが必要となる.特に一次圧密中に生じるクリープが沈下特性に及ぼす影響は大きく,未だ明確にされていない点も多い.そこで一次圧密中に生じるクリープが沈下特性に及ぼす影響を把握するため,粘性土の有効応力緩和とクリープひずみの関係を種々の粘土について調べた.その結果,有効応力緩和とクリープひずみの間には,非線形関係が存在することが分かった.また,一次圧密段階で非排水とすることによって生じる有効応力緩和の経時変化をもとに,一次圧密中に生じる全沈下ひずみとクリープひずみの関係について考察を行った.
  • 北爪 貴史, 酒井 俊朗, 佐藤 博, 佐藤 正行
    2012 年 68 巻 2 号 p. 410-421
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/20
    ジャーナル フリー
     排水条件下において繰返しせん断を受ける不飽和砂質土の体積収縮挙動について,応力制御方式による中空ねじり排水繰返しせん断試験から定量的に評価した.これらの試験結果から設定したせん断応力~体積ひずみ~繰返し回数の関係(等体積ひずみ曲線)に対し,地震応答解析から求めたせん断応力時刻歴を用いた累積損傷度解析を行い,沈下量を評価する手法を示した.2007年新潟県中越沖地震の際に実際に沈下した地盤の計測値と評価値を比較し,両者が整合することを確認した.また,観測地震動によって地盤に生じるせん断応力波形を模擬した不規則波荷重を直接供試体に加えた室内試験結果から,この体積収縮特性が評価値と一致することを示し,評価手法の適用性を確認した.
  • 横浜 勝司, 三浦 清一, 松村 聡
    2012 年 68 巻 2 号 p. 422-432
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/20
    ジャーナル フリー
     築堤材として用いられる砂質シルトを対象として,締固め管理条件の違いによる力学特性の変化を評価するために一連の試験が行われた.締固め度および締固め時の含水比を調整した供試体を準備し,非排水三軸圧縮試験,せん断剛性率測定および変水位透水試験を実施した.試験結果より,締固め度および締固め時の含水状態が異なると非排水せん断強度,せん断剛性率および透水係数が異なることが明らかとなった.これらの試験結果の相互関係を具体的に検討することで,締固め条件が力学特性に及ぼす影響を議論している.さらに,供試体内の間隙形状および土粒子配列パターンの考察から,締固め条件の違いによる力学特性変化のメカニズムを考察している.
  • 篠田 昌弘, 中島 進, 阿部 慶太
    2012 年 68 巻 2 号 p. 433-450
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/20
    ジャーナル フリー
     従来,鉄道土留めにおける健全度診断は目視が主体であり,定量的な診断法は確立していないのが実情である.そこで,土留めのうち,もたれ壁に着目し,もたれ壁の安定性に係わる健全度を定量的に評価するために,従来から鉄道橋梁下部構造物の健全度診断に適用されている衝撃振動試験を既設もたれ壁に対して実施し,既設もたれ壁の振動特性の実態把握を行った.また,土留めの振動特性把握のために小型起振器を開発した.次に,もたれ壁の健全度と振動特性の関連性を把握するために,開発した小型起振器を用いて,もたれ壁の模型実験を実施し,健全度と振動特性に相関性があることが分かった.以上の結果と既設もたれ壁に対する振動試験結果を基に,パワースペクトルを用いた既設もたれ壁の安定性に係わる健全度診断法を提案した.
和文報告
  • 野口 孝俊, 渡部 要一, 鈴木 弘之, 奥 信幸, 大和屋 隆司, 渡邊 雅哉
    2012 年 68 巻 2 号 p. 305-320
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/18
    ジャーナル フリー
     東京国際空港(羽田空港)では,新たな離発着能力を創出するために,羽田空港再拡張事業として,沖合に4本目の滑走路(D滑走路)を新設する事業が2007年3月末に着工され,2010年10月末に供用開始した.羽田空港D滑走路の建設事業は,軟弱地盤が厚く堆積する地盤上の建設であること,河口部に位置するため,洪水時の河川流量を確保する観点から一部に桟橋構造が採用されていること,短い工事期間が設定されたことなどから,最新の土木技術を集結し,さまざまな設計・施工上の工夫をした.本稿は,当該事業の埋立部を中心に主に地盤工学の立場から,地盤改良工の施工,軽量土の施工と品質管理,埋立部の計測施工,盛土の施工と品質管理,供用開始後の維持管理について,その概要をとりまとめたものである.
  • 西山 卓, 今西 肇, 千葉 則行, 伊藤 孝男
    2012 年 68 巻 2 号 p. 375-384
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/20
    ジャーナル フリー
     地すべりや斜面崩壊は三次元的な移動現象であり,その安定を論じるには三次元的に取り扱う方が理解しやすい.筆者らは,極限平衡法に基づく準三次元斜面安定解析法(本研究では,簡易三次元斜面安定解析法(ΔB法)と呼ぶ)について,解析式の展開と適用性について検討してきた.ΔB法は,斜面の安定性を評価するために,二次元断面の安定計算結果を拡張した準三次元斜面安定解析法である.その方法は,既往のスプレッドシ-トや二次元斜面安定計算ソフトウェアを用いて計算することができる.本論はこれまでの研究成果をもとに,ΔB法に基づく対策工設計のための抑止力導入方法の考え方を整理し,他の抑止力導入方法(案)と比較してそれぞれの持つ特徴を示し,三次元解法に基づく抑止力導入方法の考え方を早期に確立する必要があることを示した.
feedback
Top