土木学会論文集C(地圏工学)
Online ISSN : 2185-6516
ISSN-L : 2185-6516
69 巻, 3 号
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和文論文
  • 今井 久, 雨宮 清, 松井 裕哉, 佐藤 稔紀, 三枝 博光, 渡邉 邦夫
    2013 年 69 巻 3 号 p. 285-296
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/19
    ジャーナル フリー
     放射性廃棄物の地層処分や液化石油ガスの地下貯蔵においては,処分場地質環境の評価や貯蔵ガスの漏えい防止の観点から,地下空洞周辺岩盤内の不飽和領域の把握やその適切な管理が要求される.このためには浸透流解析が必要で,解析の実施に際しては岩盤の不飽和浸透パラメータの設定,掘削状況に応じた空洞壁面への適切な境界条件の設定という二つの課題が存在する.岩盤の不飽和浸透パラメータは土壌に対する測定方法を応用した方法を考案,また,浸透流解析の境界条件設定に関しては,固定水位境界と固定流量境界を合わせたハイブリッド境界を考案した.考案した測定方法を室内試験に適用,ハイブリッド境界条件を仮想モデルに対して適用し,これらの適用性を確認するとともに,地下空洞周辺岩盤内の不飽和領域の評価解析手法を提示した.
  • 冨樫 聡, 藤縄 克之
    2013 年 69 巻 3 号 p. 297-311
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/19
    ジャーナル フリー
     信州大学の長野若里キャンパスにおいて,不圧帯水層とその下部の被圧帯水層の飽和透水係数および縦分散長を求めるため,塩水を用いた2孔式トレーサ試験を実施した.注入孔と観測孔でモニタリングした地下水の電気伝導度データを基に,密度流を考慮した飽和・不飽和流動および保存性トレーサの移流分散の連成問題を解くための3次元数値モデル(SIFEC3dp)にパウエルの共役傾斜法を組み合わせた逆解析法を適用することにより,パラメータの同定を行った.開発した逆解析法はまずパラメータが与えられた任意のテストケースで検証し,ついで現場のデータを用いてパラメータ同定を行った.同定されたパラメータを用いた数値シミュレーションによる計算濃度は実測された塩分濃度と良く一致した.
  • 篠原 聖二, 金治 英貞, 鬼木 浩二, 木村 亮
    2013 年 69 巻 3 号 p. 312-325
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/19
    ジャーナル フリー
     本論文では,鋼管集成橋脚の基礎を合理化するために杭基礎一体型鋼管集成橋脚を提案し,従来のフーチング形式と地震時応答特性を比較することで構造成立性の検討を行った.プッシュオーバー解析や時刻歴応答解析を用いたケーススタディの結果,従来のフーチング基礎形式に対して,杭基礎一体型は橋脚と基礎の剛性差の解消による柱基部に発生するひずみの緩和,フーチングの省略による杭基礎の負担重量の軽減などの利点を有していること,また,フーチングの省略による杭体の応答ひずみや杭頭変位の増加などの不利な点もあるが地中梁の設置などによって改善可能であることが示された.また,杭基礎一体型鋼管集成橋脚は液状化流動力に対して必要な抵抗性能を有していることも確認した.
  • 玉手 聡, 堀 智仁, 三國 智温, 伊藤 和也, 吉川 直孝, 末政 直晃
    2013 年 69 巻 3 号 p. 326-336
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/19
    ジャーナル フリー
     斜面工事では崩壊防止が原則として推奨される措置であるが,労働者の安全をより確実なものとするためには,崩壊の発生を仮定した対策の検討も必要と考えられる.本研究では人的被災を防止する観点からモニタリングによる崩壊予兆の把握と避難への適用について検討した.特に,工事中の仮設的なモニタリングを考慮して,浅い斜面部分のせん断ひずみ増加を簡易計測することに着目し,その有効性を確認するための大型模型実験を行った.その結果,せん断ひずみには崩壊の約7分前から定常的増加が見られ,約2分前には加速的増加に推移するクリープ的モードが崩壊プロセスに観察された.本研究では危険を2段階で指標化し,その判定のための設定値を実験から逆解析して例示するとともに,小型警報器を試作して工事現場における補助的利用の概念を提案した.
  • 荒牧 憲隆, 天本 徳浩, 大鶴 将司
    2013 年 69 巻 3 号 p. 337-349
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/19
    ジャーナル フリー
     本研究では,セメント系固化材を用いた安定処理への竹炭の適用性について,実験的に検討することを目的としている.固化材は普通ポルトランドセメントならびに高炉セメントB種を用い,強度特性の確認には一軸圧縮試験を行った.また,環境庁告示第46号法,タンクリーチング試験を実施し,竹炭混合安定処理土からの六価クロム溶出抑制効果について考察した.その結果,セメント処理土の場合と比較し,竹炭混合安定処理土の一軸圧縮強度は増加し,六価クロム溶出濃度は抑制された.加えて,ある一定期間の水浸下で,粗砕および塊状の竹炭混合安定処理土からの六価クロム溶出濃度は減衰し,化学的に安定した.さらに,高温で作製された竹炭を混合することで,水浸による強度低下はなく,気中養生のみの場合と同程度か増加することが認められた.
  • 植田 謙三, 深川 良一
    2013 年 69 巻 3 号 p. 350-366
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/20
    ジャーナル フリー
     本論文では,斜面上に立地する各種構築物における直接基礎の合理的な設計に関連して,接地圧分布・変位を簡便に計算する手法を提案している.一般に,傾斜地盤を利用して造成地敷地面積の拡大を効率的に図るために,段差フーチング構造が基礎形式として良く用いられるが,斜面を段切りする際,段差フーチング構造の設計法が問題となる.既報において,平坦な地盤上に長方形を任意に組み合せた剛体基礎底面の接地圧分布等の推定法を比較的単純な仮定に基づいて提案・検討した.本論文ではこの推定法が段差フーチング構造にも適用できることを示した.またいくつかの具体的基礎を対象に,地盤係数法に立脚する修正変位法に基づき数値シミュレーション解析を実施し,提案した解析法の適用性・妥当性を検証した.
  • 広瀬 孝三郎, 江戸 孝昭, 松原 仁
    2013 年 69 巻 3 号 p. 367-377
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/20
    ジャーナル フリー
     岩盤内のき裂等の不連続面は,岩盤の力学的特性および水理学的特性を支配している.本研究では,岩盤内におけるき裂の観測データを基に,観測範囲を岩盤の狭小領域と仮定し,狭小領域の浸透特性を考慮した広大領域の浸透流解析を行った.狭小領域では,き裂ネットワークモデルと浸透理論を併用した浸透流解析を行い,1次元き裂頻度と浸透率の関係がロジスティック曲線にて近似できることを示した.広大領域では,水頭および水頭勾配を自由度とする一般化有限要素の各積分点に,上記のロジスティック曲線とワイブル分布から決定した透水係数を与えることで,狭小領域を考慮した広大領域の水理学的特性を評価できることを示した.その結果,モデル岩盤における浸透流の主な経路となりうる流速が卓越する箇所の出現を確認できた.
  • 笹沼 公美, 濱本 昌一郎, 川本 健, 榊 利博, 小松 登志子
    2013 年 69 巻 3 号 p. 378-385
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/20
    ジャーナル フリー
     土壌汚染サイトにおいて,汚染範囲を正確に把握し汚染除去工法の最適化を図る上で,吸引圧や飽和度とガス輸送特性の理解することは非常に重要である.本研究では異なる粒径・形状を有する砂試料を用い,乾湿履歴が土壌の通気係数に与える影響を調べた.その結果,同気相率条件で脱水過程の方が吸水過程よりも低い通気係数を示した.これは,ガスの通り道となる間隙の連続性が吸水過程に比べ,脱水過程で低いためと考えられる.通気係数の実測値にべき乗の予測モデル式を適用した結果,ガスの通り道の連結性を表すパラメータと水分特性曲線のモデルパラメータに相関性があることが明らかになった.粒径の違いによる影響は明確にはみられなかったが,粒子形状の違いが粒子間接点数ならびに通気に寄与する間隙の連結性に影響を与えることが示唆された.
  • 海野 寿康, 渦岡 良介, 仙頭 紀明, 風間 基樹
    2013 年 69 巻 3 号 p. 386-403
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,三相系多孔質体理論と簡易な弾塑性構成式による液状化解析法を用いて不飽和砂質土の非排気・非排水繰返し三軸試験のシミュレーションを実施しその適用性を検討した.また,不飽和土の繰返しせん断変形解析を実施する際に取扱いが問題となる間隙空気圧について前述の三相解析と間隙空気圧と間隙水圧を等しく(pa = pw)した二相解析を用いて検討を行った.その結果,提案する手法により初期のサクションが10kPa以下の場合には,飽和度が50%以上であれば繰返しせん断時の有効応力や間隙水圧,間隙空気圧,間隙比の挙動が再現可能であることを示し,さらに二相解析は,間隙空気の圧縮性を簡易に取り扱う為に三相解析に比べ繰返しせん断に伴う体積収縮について実験値と解析値で生じる差が大きく収縮量を過大に見積もることを示した.
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