土木学会論文集C(地圏工学)
Online ISSN : 2185-6516
ISSN-L : 2185-6516
70 巻 , 1 号
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和文論文
  • 加賀 宗彦
    2014 年 70 巻 1 号 p. 1-15
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/20
    ジャーナル フリー
     これまで著者は,静水養生した水ガラス系注入固結砂の経時的強度の予測に関して成果を上げてきた.しかし,実際の注入改良地盤では浸透水圧や外力が作用した場合も想定され,これまでの予測は実務面で適用できない場合も考えられる.そこで,本論文は浸透水圧を作用させた状態で供試体を養生できる試験装置を作製し,注入固結砂の強度の経時変化を調査した.浸透水圧の影響は注入材の種類で異なった.またメスフラスコでゲル化した注入材を養生して物理,化学的安定性に関連する注入材そのものの体積変化とシリカの溶脱を約9000日(25年)間調査した.その結果,体積変化やシリカの溶脱は一定期間を経過するとほぼ停止した.また,少なくとも25年間はゲルの解重合はなかった.
  • 吉中 龍之進, 岩田 直樹, 佐々木 猛
    2014 年 70 巻 1 号 p. 16-32
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/20
    ジャーナル フリー
     岩盤は節理などの不連続面が極めて多く分布し,その力学的挙動は節理の幾何学的分布に強く支配される.岩盤上構造物の地震時挙動も同様の影響が想定され,中越地震(2004年)頃から節理系を考慮した地震応答解析法を研究してきた.宮城県沖地震(2005年)の際,同県の牡鹿半島にある大型構造物直下の岩盤内地震計記録をえたので,従来の弾性解析と上記手法で比較を試みた.その結果,観測された記録は不連続性を考慮した手法で比較的良く一致するが,弾性解は大きな違いがあった.2011年に東北地方太平洋沖地震(Mw = 9)が発生し,その規模は宮城県沖地震より格段に大きい.本研究は,先と同じ場所で取れた地震記録で不連続面を考慮した同じ地震応答解析を行い,その手法の巨大地震への適用性の有無を照査し,ほぼ同様の結論をえたのでその結果を述べている.
  • 見掛 信一郎, 西垣 誠, 佐藤 稔紀
    2014 年 70 巻 1 号 p. 33-43
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/20
    ジャーナル フリー
     本論文は,高圧湧水下でのグラウチングの注入範囲設定に関する理論構築及び考察について論述する.注入範囲における地下水の浸透力に着目し,坑道周辺に作用する地下水圧を算定することにより,注入範囲で受けもつことができる圧力と注入範囲に作用する圧力との関係を示した.その結果,高圧湧水下で地山粘着力が小さい条件では,注入範囲で受けもつことができる圧力は,作用する圧力を下回る場合があり,地山の安定に不利な可能性があることがわかった.さらに,注入範囲の透水係数の低減割合と作用する圧力との関係として,注入範囲の透水係数を小さくするほど注入範囲に作用する圧力は大きくなる結果が得られた.本論文では,これらの結果を把握したうえで注入範囲設定を評価することの重要性を提示した.
  • 佐野 博昭, 山田 幹雄, 稲積 真哉, 由見 真治朗, 吉武 篤, 渡邉 洋三
    2014 年 70 巻 1 号 p. 44-52
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,廃石膏ボード由来再生石膏を主として地盤改良材として利用する観点から,再生および試薬の石膏の熱的挙動を詳細に調べるとともに,再生石膏の簡易な品質判定法として密度に着目した半水石膏含有率を求める方法について検討を行った.得られた結果より,再生石膏を24時間加熱した場合,二水石膏は90℃で半水石膏へ,120℃で無水石膏へと形態変化が生じることが明らかとなった.また,石膏の密度を求めるにあたってはセメントの密度試験が有効であり,試料の乾燥状態によって結果が異なること,また,密度を用いた半水石膏含有率の推定法の妥当性が実験的に確認された.さらに,再生石膏の密度の測定結果から半水石膏含有率を計算により求め,密度を基にした品質管理法の有効性が明らかとなった.
  • 濱野 太宏, 冨樫 聡, 上原 健人, 藤縄 克之
    2014 年 70 巻 1 号 p. 54-66
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/20
    ジャーナル フリー
     地盤の熱物性を求める目的で実施される熱応答試験の解析結果に,地下水流動や土壌水分が与える影響を定量的に評価するため,地下水位および浸透流量が調整でき,熱応答が測定できる室内実験装置を製作し,熱応答実験を実施した.飽和帯が卓越し,地下水流動が無視できる条件下での実験結果を用いて逆解析より求めた熱伝導率を,同様の環境下にある原位置試験より得られた結果と比較したところ,ほぼ同程度の値が得られた.そこで,浸透流量や地下水位を変えて熱応答実験を実施したところ,浸透流量が増大するほど,また土層の飽和度が高くなるほど見かけの熱伝導率が増大した.さらに実験により,地下水位が同じでも,不飽和帯における土壌水分の多い排水時の方が,土壌水分の少ない吸水時に比べて,見かけの熱伝導率が大きくなることが明らかになった.
  • 海野 寿康, 林 健太郎, 大野 康年, 浅沼 丈夫, 仙頭 紀明, 渦岡 良介
    2014 年 70 巻 1 号 p. 67-82
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,遠心載荷模型実験を用いて過剰間隙水圧消散工法においてドレーン配置の設計地震動よりも過大な入力振動を受けた際の改良地盤の挙動や変形抑制効果に対する基礎的検討を行った.入力振動に対してドレーンの排水能力が十分な場合には,加振中に発生する過剰間隙水圧を低い値で納めることや振動終了後,早期に過剰間隙水圧を消散させることができる.一方,ドレーン配置の設計地震動よりも過大な入力振動を受けた際には,改良地盤に残留変位が生じる.ただし,この値は未対策地盤と比べ小さい値または同等であり,特に矢板背後地盤に発生する側方変位に対しては,一定の効果が確認された.
  • 西垣 誠, 瀬尾 昭治
    2014 年 70 巻 1 号 p. 83-95
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,不飽和土中における浸透問題を気相と液相の二相流の観点から定量的に評価するために,気相の透気機構を支配する透気係数を飽和度の高い範囲において計測できる室内透気試験法を提案した.この方法は,非定常法の室内不飽和透水試験法である瞬時水分計測法を応用したもので,原理的に不飽和土の透水係数と透気係数を同時に計測できる.また,提案した試験法で間隙空気圧の変動を精度良く計測するため,不飽和土の気相と液相の圧力を分離して間隙空気圧を計測するためのフィルター材についての検討を行い,従来,間隙空気圧の計測に用いられてきたガラスフィルターに代わるフィルターを提案した.
  • 小野 誠, 鈴木 俊一
    2014 年 70 巻 1 号 p. 96-105
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/20
    ジャーナル フリー
     地盤や岩盤中の2相流に関連する問題には,地下構造物の建設,地下水汚染,放射性廃棄物処分等が挙げられる.2相流は水飽和度に対する非線形性が強いため,問題の解を得るには数値解析が主たる手法となる.本稿では2相流解析を精度よく解くための離散化手法として,圧力定式化による混合ハイブリッド有限要素法を採用し,圧縮性を考慮した2相流の空間離散化方法を示した.
     さらに,混合ハイブリッド有限要素法による解析手法の精度を確認するための検証解析を実施し,要素分割数と要素形状が圧力や流速ノルムの計算精度に対して大きな影響を与えないことを確認した.また,計算の過程で確認された数値拡散や数値振動について,支配方程式を基にした理論的な検討を行い,圧力定式化を用いる際の数値安定性に係る留意事項を示した.
  • 北浦 光章, 河野 哲也, 西田 秀明, 七澤 利明, 中谷 昌一, 横山 雅樹, 吉川 那穂, 津田 和義
    2014 年 70 巻 1 号 p. 106-124
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
     既製杭本体の周囲にソイルセメント状の地盤改良体部を有する杭工法は,大地震時に地盤改良体部が損傷し,大地震後に杭基礎の性能が変化する可能性がある.しかし,大地震後の地盤改良体部を有する杭基礎の性能を確認した研究はなく,明確な知見は得られていない.そこで,本研究は原地盤に施工したプレボーリング杭工法の実杭を対象として,大地震及びその後の余震等による大変形を想定した鉛直及び水平載荷試験を交互に繰り返し実施するとともに,載荷後の地盤改良体部の状態を確認し,杭の鉛直支持力特性及び水平抵抗特性との関係を整理して大変形後の杭の性能について検証したものである.
  • 中村 洋丈, 横田 聖哉, 藤岡 一頼, 横浜 勝司, 三浦 清一
    2014 年 70 巻 1 号 p. 125-134
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
     新東名建設では圧縮性の高い火山灰質粘性土である愛鷹ロームを盛土材料に使用し,これまでに経験のない最大高さ55mもの高盛土を構築したが,施工にあたっては,盛土施工中の沈下,盛土完了後の残留沈下が未解明であった.そこで,筆者らはこの高盛土の動態観測や施工後の地盤調査・試験結果に加えて,これまでに実施した東名愛鷹試験盛土の沈下実測を用いて,愛鷹ローム高盛土の施工中や将来の沈下量を評価することを試みた.その結果,施工中の盛土の圧縮沈下率は5~9%程度生じ,将来の残留沈下量は,これまでの実測値からの予測に対して,圧縮沈下試験による予測では沈下量が小さくなり,短期間の動態観測による予測では沈下量が大きくなること,また数10年後には100cm程度の残留沈下が生じる可能性があることを明らかにした.
  • 松丸 貴樹, 小島 謙一, 舘山 勝
    2014 年 70 巻 1 号 p. 135-149
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
     近年山岳部を中心に,降雨や背面地山からの浸透水の影響を受けた盛土の地震被害が多く発生している.本研究では,背面地山からの浸透水の影響を受ける盛土の模型振動台実験を実施し,変形の進展,過剰間隙水圧の上昇や加速度応答の変化,すべり面の発生過程などを詳細に検討し,盛土が破壊に至る過程について解明した.また,地山補強材を用いた対策工に関する振動台実験を実施し,変形の抑制だけでなく,盛土内での過剰間隙水圧の上昇についても抑制効果があることを明らかにした.さらに,一連の模型振動台実験で得られた知見をもとに,盛土の簡易な地震時残留変位算定手法であるNewmark法において,水位線と盛土内での飽和度の上昇に伴う強度低下を考慮する手法を構築し,振動台実験の再現計算を通じて提案手法が妥当であることを示した.
  • 高橋 秀明, 田邉 成, 河村 直明, 松島 学, 谷 和夫
    2014 年 70 巻 1 号 p. 150-169
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
     本論文は,傾斜地に建設される送電用鉄塔の深礎基礎を対象に,急斜面の水平地盤抵抗メカニズムを検討した結果を報告する.不連続面の発達した中硬岩地盤で中規模の水平載荷実験を行い,30度と50度斜面の実験結果を比較した.岩盤の力学特性は,直径5~30cmの三軸圧縮試験のデータからせん断強さとヤング率に関するばらつきと寸法効果を評価してモデル化した.地盤の抵抗メカニズムは,岩盤のひずみ軟化特性を考慮した弾塑性有限要素解析を利用して詳細に分析した.その結果,深礎の水平地盤抵抗は基礎の前面と側面に分離して評価できること,前面地盤の受働抵抗は基礎幅の3倍程度であること,すべり面の角度はCoulomb土圧論に基づく上界値が急斜面に対する適用性が高いことを示した.
エラータ
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