土木学会論文集C(地圏工学)
Online ISSN : 2185-6516
ISSN-L : 2185-6516
71 巻 , 4 号
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和文論文
  • 中島 進, 篠田 昌弘, 阿部 慶太
    2015 年 71 巻 4 号 p. 254-271
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    ジャーナル フリー
     既設鉄道土留め擁壁の健全度診断は,目視を中心とした手法により行われている.このため,定量的な指標に基づく健全度診断手法の確立が求められていた.そこで,橋梁下部構造物の健全度診断手法である衝撃振動試験の土留め擁壁への適用性を検証することを目的とした模型実験および現地試験を実施した.模型実験の結果,変状の進展に伴い衝撃振動試験により得られる応答速度の振幅が増大することと,低振動数側の応答が卓越する傾向を確認した.そこで,土留め擁壁の現地試験結果を分析し,特定の周波数帯における速度の振幅スペクトルの大きさと低振動数帯域における応答の卓越度を指標として,構造物の健全度を評価する手法を提案した.提案手法を模型実験,現地試験に適用した結果,土留め擁壁の安定性に関わる変状を診断可能であることを確認した.
  • 宮本 慎太郎, 安福 規之, 大嶺 聖, 石藏 良平, 川井 晴至, 山脇 敦
    2015 年 71 巻 4 号 p. 278-291
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    ジャーナル フリー
     産業廃棄物の不法投棄等現場の斜面崩壊や処分場跡地の高度利用を考える上で,廃棄物の力学特性の解明やその評価法の提示が強く求められている.特に,廃棄物地盤は現場によって組成割合が大きく異なることから,組成割合と力学特性の関係を明らかにすることは重要である.本研究では,組成割合の異なる国内不法投棄等現場2ヵ所と海外の埋立処分場2ヵ所を含めた計4ヵ所の廃棄物地盤を対象として原位置試験を実施し,原位置での力学特性を明らかにすると共に,組成割合との関連性を考察した.その結果,廃棄物は繊維廃材を多く含むことにより,延性的な挙動を示すことを明らかにした.またせん断強度特性と繊維廃材含有率の関連性の評価を行い,組成割合の異なる廃棄物のせん断強度を評価する上で,繊維廃材含有率が重要な指標になり得ることを示した.
  • 安原 英明, 緒方 奨, 木下 尚樹, 岸田 潔
    2015 年 71 巻 4 号 p. 292-300
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    ジャーナル フリー
     放射性廃棄物地層処分施設近傍の岩盤の水理学特性を詳細に把握することは,安全に処分事業を進めるうえで必要不可欠である.周辺岩盤には,掘削影響による応力場の変化,廃棄体からの放熱,地熱や地殻応力による地化学反応が複合的に絡みあい,各現象を統合的に評価する必要がある.本研究では,岩石構成粒子接触部における圧力溶解現象を考慮した熱・水・応力・化学連成解析モデルを開発し,放射性廃棄物地層処分施設の周辺岩盤の透水性の長期予察解析を行った.その結果,圧力溶解現象を考慮しない場合,周辺岩盤の透水性変化は確認されず,圧力溶解現象を考慮した場合は,時間の経過と共に透水性が最大1オーダー程度低下する傾向が得られた.
  • 渡邉 真悟, 兵動 正幸, 東 佳佑, 梶山 慎太郎
    2015 年 71 巻 4 号 p. 301-316
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    ジャーナル フリー
     砂と非活性および活性細粒土を様々な割合で混合した試料に対し,一連の非排水繰返しせん断試験を行った.その結果,砂・非活性細粒土混合土では細粒分含有率Fc=30%程度付近で,砂・活性細粒土混合土ではFc=20%程度を境界に砂から細粒土の挙動に遷移することが明らかになった.実験結果に基づき,砂から細粒土に至るまでの細粒分含有率の変化に対する繰返しせん断強度を示した.また,砂が構造の主体となる領域において,細粒分の体積を砂の体積と等価とみなす補正係数である寄与率bを導入した等価骨格間隙比を用いることで,細粒分含有率の違いに拘わらず,繰返しせん断強度と等価骨格間隙比との間に一義的な対応関係が存在し,寄与率bは砂と細粒土の粒径比χより求められることを明らかにした.
  • 中島 進, 渡辺 健治, 神田 政幸, 藤原 寅士良, 高崎 秀明, 池本 宏文
    2015 年 71 巻 4 号 p. 317-334
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/20
    ジャーナル フリー
     石積み壁は地震時に脆性的に破壊する例が多い.そこで,石積み壁の地震被害の実態を把握することを目的に文献調査を実施し,石積み壁の被害は壁体の破壊によるものが多いことを把握した.壁体の破壊は,石積み壁の壁体に一体性がなく,一部の積み石の抜け出しが全体に伝播することによるものであると推測し,壁面にネットを敷設し,地山補強材で背面地盤の安定化を図る耐震補強方法を提案した.提案工法の補強効果を確認することを目的とした模型実験を実施し,提案工法による石積み壁の崩壊防止・変形低減効果を確認した.また,その補強効果が,ネットによる積み石の抜け出し防止効果と,壁面の拘束効果に加えて,地山補強材の背面地盤安定化効果によるものであることを明らかにし,静的安定解析による補強効果の評価法を提案した.
  • 加藤 真司, 佐々木 徹, 山田 満秀, 澤野 幸輝, 齋藤 邦夫, 太田 秀樹
    2015 年 71 巻 4 号 p. 335-351
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/20
    ジャーナル フリー
     米沢盆地の北東端に,有機質土と粘性土を主体とした100m以上の深さの軟弱地盤(白竜湖軟弱地盤)地帯がある.この軟弱地盤において高速道路を建設するに当たり,真空圧密工法による地盤改良を計画しているが,当該地盤の最上部は有機質土の中でも未分解の泥炭(高有機質土)が分布しているうえ改良対象深度内に砂層も存在しており,真空圧密工法の効果に対する懸念があった.このため,高速道路本体の設計に先立ち,試験盛土を構築して改良効果を確認するとともに,周辺への影響や盛土本体の挙動等を観測したうえで,真空圧密工法の適用性を判断するものとした.構築した試験盛土を観測した結果から,地表部付近の気密性を高めたうえで,補助工法で周辺地盤の変状を抑制すれば,真空圧密工法の当該地盤への適用性がより向上するものと判断した.
  • 澤田 豊, 三宅 達夫, 宮本 順司, 河端 俊典
    2015 年 71 巻 4 号 p. 352-364
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,港内側が石材で補強された混成堤の津波に対する安定性評価を目的に,水平載荷を受けるケーソンの二次元個別要素法解析を実施した.越流の発生の有無により着力点を変えた条件で解析を実施した.解析結果より,補強時の水平抵抗力は無補強時に比べて最大3倍程度まで増加することが明らかとなった.また越流の発生の有無により,ケーソン挙動および土圧分布に相違が認められた.DEM解析結果を基に外力条件を設定し,円弧滑り解析を実施した.その結果,越流が発生する条件での支持力を評価できることが明らかとなった.越流が発生しない条件においては,ケーソン背面の土圧を補強領域の形状に応じて設定し,モーメントの釣り合いから,極限時の作用荷重を求めた.DEM解析結果との比較から,当安定性評価法の妥当性が明らかとなった.
  • 澁谷 啓, 白 濟民, 齋藤 雅彦
    2015 年 71 巻 4 号 p. 380-394
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/20
    ジャーナル フリー
     近年,集中豪雨による都市型水害の緩和策の一つに,公共の道路等に沿って雨水浸透施設を設置し,地盤内への雨水浸透を促進する方法があるが,コスト面・安全面の観点から設置に適した地域(適地)とそうでない地域(不適地)を区別する必要がある.本論文では,実在する都市をモデルケースとして,雨水浸透施設の設置場所選定のために,[1]3次元地形・地盤モデルの構築,[2]表層地盤の不飽和浸透特性の把握,[3]広域地下水流動解析の実施と結果の定量的評価,[4]雨水浸透適地マップの作成,という一連の流れに沿った地盤調査・解析手法を提案している.広域地下水流動解析により,広域に亘る地下水位の変動をうまく表現できること,雨水浸透適地マップに基づいて浸透施設を計画的に配置することにより,地盤災害のリスク低減が可能となること,等が分かった.
  • 永尾 浩一, 末政 直晃, 片田 敏行, 山田 早恵香
    2015 年 71 巻 4 号 p. 395-406
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/20
    ジャーナル フリー
     地盤へ空気を注入し不飽和化させて液状化強度を向上させる対策工法は,経済的であり,周辺環境への影響が少ないなど特徴があるが,空気は浮上するため,改良領域の制御が難しいと考えられている.そこで,本研究では,微細気泡を多く含み浸透性が水に近いマイクロバブル水に着目し,砂地盤供試体への注入を試みた.マイクロバブル水注入時透水性が変化しないことを確認すると共に,生成圧と注入量による飽和度低下の関係を定式化することで,マイクロバブル水注入による飽和度低下能力を明らかにした.また,浸透流による気泡残存性ついても調査すると共に,再注入により飽和度低下が可能なことも確認した.さらに繰返し三軸試験で,マイクロバブル水注入不飽和砂供試体の液状化強度を調べ,飽和度の値により液状化強度の評価が可能なことを証明した.
  • 山田 俊子, 櫻井 英行, 鈴木 誠
    2015 年 71 巻 4 号 p. 407-417
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/20
    ジャーナル フリー
     解析領域や構造物の大きさに比べて非常に小さな径を有する注水孔や井戸等を有限要素法の浸透流解析モデルに考慮する際に,それらの径を無視して,一連の節点群で表し,流量や水頭値などを与えて点源としてモデル化することがある.しかし,そのようなモデル化による孔は,点源が属する要素サイズに依存した径を有することに相当し,その径と実際の孔径とが異なると解析の精度が低下することが知られている.著者らは,このモデル化における解析精度の改善を目的として,二次元放射状流問題および三次元球状流問題における理論解から,点源が属する要素の透水性を補正する方法を導出した.この補正式の適用性を検証するため,要素サイズをパラメータとした数値実験を実施した結果,従来モデルと比較して大幅な解析精度の向上が認められた.
  • 重松 宏明, 能澤 真周, 藤原 慶美
    2015 年 71 巻 4 号 p. 418-426
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/20
    ジャーナル フリー
     一連の工程を経て製造した発泡割合(空隙率)の異なる5種類の発泡ガラスに対して,先ず水浸試験および電子顕微鏡観察を行い,各種発泡ガラスの気泡特性(独立気泡と連続気泡の割合,気泡の形状や大きさ)を把握した.次に各種発泡ガラスを破砕機に通して骨材にし,所定の粒径になるようにふるい分けした後,これらの骨材に対して破砕値試験を実施した.その実験結果から,空隙率の異なる骨材を力学的に評価し,発泡割合と破砕性の関係を明確にした.また,得られた破砕値試験の結果をBS規格で規定されている方法で整理し,発泡ガラス骨材の破砕性を評価した.さらに,発泡ガラス骨材を強く締め固めて作製した供試体に対して定水位透水試験を実施し,締固めに伴う骨材の著しい破砕が透水性にどのような影響を及ぼすのかについても実験的に検証した.
和文報告
  • 小野 正揮, 新舎 博, 中川 大輔, 丸岡 弘晃, 堤 彩人
    2015 年 71 巻 4 号 p. 365-379
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/20
    ジャーナル フリー
     東京都新海面処分場は東京港内の最後の廃棄物処分場であり,できるだけ長く利用することが求められている.そこで,Cブロックにおいて,粘土の減容化施工を実施した.施工は幅150 mm×厚さ3.9 mmのPBDを1.8 m間隔の正方形配置で,平均A.P. +1.5 m~-33.8 mまで水上から打設し,-65 kN/m2の負圧を310日間継続して作用させるものである.工事は2005年度の試験施工から始め,本施工は2007年度~2015年度まで実施した.施工面積は38.3万m2であり,平均沈下量は5.13 m,総沈下容積は216.7万m3である(2015年4月の推定値).この沈下容積は東京都の浚渫土埋立処分計画量の約2.3年分に相当する.本文は地盤工学の観点から,減容化施工とその効果について,総合的にまとめたものである.
  • 佐藤 厚子, 川﨑 了, 畠 俊郎, 山梨 高裕, 西本 聡
    2015 年 71 巻 4 号 p. 427-439
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/20
    ジャーナル フリー
     北海道内の建設工事などで発生する泥炭の新たなリサイクル技術として,施工現場に既に生育している微生物を利用して,炭酸カルシウムを析出させることで固化効果を得る技術に着目した.北海道内の複数箇所で採取した泥炭を対象とした室内試験結果から,道内の泥炭にはウレアーゼ活性が陽性を示す微生物の存在が明らかになった.そのため,1)施工現場の微生物のみを用いた場合,2)初期の強度増進を期待して施工現場の微生物に酵素(ウレアーゼ)を添加した場合の2ケースについて室内泥炭固化試験を行った.その結果,養生期間半年で目標とする50kN/m2までの強度増進効果を確認することができ,提案技術の有効性を明らかにすることができた.
和文ノート
  • 佐野 博昭, 山田 幹雄, 柏原 司, 金子 敏行, 古川 幹人, 原 良治, 澄川 圭治, 中村 貴敏
    2015 年 71 巻 4 号 p. 272-277
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,製鉄所構内でのエージング処理工程中における製鋼スラグのpH低減効果を室内で評価するために,室内エージング実験を最長1年間行い,エージング日数の経過にともなう含水比,pH,電気伝導率,炭酸カルシウム含有率の推移を調べた.この際,エージング期間中の加水および撹拌状態が炭酸化の進行に及ぼす影響について検討を行った.得られた結果より,室内エージング処理を施した製鋼スラグのpH,電気伝導率はエージング日数の経過にともなって徐々に低下し,その傾向には含水比の高低が大きく影響していることが示された.また,製鋼スラグの炭酸カルシウム含有率はエージング日数の経過にともなって徐々に増加し,その傾向には含水比の高低が大きく影響していることが明らかとなった.
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