土木学会論文集C(地圏工学)
Online ISSN : 2185-6516
ISSN-L : 2185-6516
72 巻 , 2 号
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和文論文
  • 河村 精一, 白鳥 洋平, 大塚 悟, 保科 隆
    2016 年 72 巻 2 号 p. 48-61
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
     応答変位法等で用いる杭に作用する地震時地盤変位による水平地盤反力の極限値は,杭の地震時性能照査の際,評価結果に大きな影響を与える.地震動による地盤変位が大きくなると地盤と杭の変位はギャップを生じて,地表面付近の地盤は上部方向へくさび形状の土塊の変位を生じるが,杭の深部では地盤の水平変位による杭のすり抜けが生じる.既往の研究では,液状化する砂質地盤に対する知見は多くあるが,粘性土地盤に対して実験と解析から検討されたものは見当たらない.そこで,本研究では粘性土地盤が杭をすり抜ける2次元挙動に着目した模型実験を行うとともに,剛塑性有限要素法を用いていくつかの数値実験を行った.また,得られた知見に対して各種設計基準類と比較することで,杭の地震時照査時における注意点を考察した.
  • 澤村 康生, 石原 央之, 岸田 潔, 木村 亮
    2016 年 72 巻 2 号 p. 62-73
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
     3ヒンジプレキャストアーチカルバートは本体にヒンジ機能を有する柔な構造であり,従来型のカルバートとは異なる設計思想に基づいている.このため,耐震設計を必要としない慣用設計法を適用することができない.本研究では,盛土施工過程の変形挙動と強地震時における損傷形態の把握を目的に,実構造に対して1/5スケールの3ヒンジプレキャストアーチカルバートを用いて振動台実験を実施した.実験準備の盛土施工過程において,盛土高さが天端以上になるとアーチ部材には静止土圧よりも大きな水平土圧が作用することを確認した.さらに,強地震が作用した場合には,カルバートの内空側の鉄筋から順に損傷が進展するが,地盤のせん断ひずみが数%を超えるような条件でも,ヒンジ部が先行して逸脱することはなかった.
  • 新舎 博, 堤 彩人
    2016 年 72 巻 2 号 p. 74-85
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
     浚渫土を原料土として作製した固化処理土を破砕し,この破砕粒子を砂礫の代替品として護岸背面の裏埋などに利用することができれば好都合である.しかしながら,利用可能か否かを判断できるデータは未だ十分に得られていない.そこで,含水比が110%の浚渫土に固化材を100~400 kg/m3添加して固化後に破砕した粒子を作製し,破砕粒子の強度試験を実施した.試験は単粒子(4.75~9.5mm)の圧縮試験と破砕粒子(粒度分布は0.85~2mmおよび2~4.75mm)の圧密排水(CD)三軸圧縮試験である.その結果,体積圧縮量が大きいが,内部摩擦角は30°以上が確保できることが明らかとなった.
  • 大塚 悟, 高原 利幸, 保坂 吉則, 磯部 公一
    2016 年 72 巻 2 号 p. 86-100
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/20
    ジャーナル フリー
     信濃川大河津分水旧可動堰の撤去に伴い,基礎構造の調査と基礎と地盤間の空洞発生の原因調査を実施した.ボーリング調査より,基礎の木杭や止水鋼矢板は地盤状況を把握した施工が実施されたことを確認した.また木杭は,現地載荷試験より施工後80年を経過しても健全で,設計荷重を満足することを示した.更に旧可動堰基礎および床固に分布する空洞状況の調査から,空洞は杭支持または矢板工を実施した箇所で発達することを明らかにした.旧可動堰の周辺構造物は1964年(昭和39年)新潟地震等で液状化被害を受けたことから,不撹乱試料の繰返し非排水三軸試験により基礎地盤の液状化の可能性を検討するとともに,旧可動堰に対する振動台模型試験を用いた検討により,基礎と地盤間の空洞発生機構を示した.
  • 澤田 茉伊, 三村 衛, 吉村 貢
    2016 年 72 巻 2 号 p. 101-116
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/20
    ジャーナル フリー
     墳丘の崩壊や石室の漏水等の古墳に生じる損傷の多くは雨水の浸透に起因しており,古墳の修復・保存に適用可能な雨水の浸透抑制方法が必要とされている.本稿では,キャピラリーバリアを発現しうる覆土を有効な方法のひとつと考え,遮水のメカニズムと遮水性に影響を与える要因について,模型実験と数値解析による評価をもとに研究した.実験は数値解析により,定量的に再現できたため,これをもとにバリアが発現している地盤内の雨水の浸透を分析した結果,遮水は細粗粒二層地盤の層境界における透水係数の差異に起因することがわかった.また,バリアの遮水性は,地盤の傾斜角,層厚,降雨強度に依存することが確認された.これは,地盤や降雨の条件に応じて,地盤に浸透する雨水の総流量が保存されるよう,各層の透水係数が変化するためと考えられる.
  • 菊本 統, 石野 守
    2016 年 72 巻 2 号 p. 117-125
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/20
    ジャーナル フリー
     走査電子顕微鏡により水砕スラグの潜在水硬性の発現と析出物の生成過程を微視的・経時的に観察するとともに,X線結晶構造解析による化合物同定法を用いて析出物の特定を試みた.その結果,養生液や養生温度・期間を変えて実施した一連の試験では,水砕スラグの潜在水硬性を励起して固化作用を促進するには,水砕スラグの溶出物と化合するイオンを含む人工海水での養生や,刺激剤としてのスラグ微粉末の添加が効果的であることを示した.また,潜在水硬性により析出する物質は粒状,皮膜状あるいは柱状の結晶構造を形成しており,スラグ粒子間を固結させる効果と間隙構造を充填する効果を発揮することを示した.
  • 菊本 統, 福田 拓海, 京川 裕之
    2016 年 72 巻 2 号 p. 126-135
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/20
    ジャーナル フリー
     乾湿繰り返しに伴う風化現象であるスレーキングを,従来型の促進スレーキング試験と一次元圧縮条件下で湿乾履歴を与える圧縮スレーキング試験により検討した.促進スレーキング試験では,試料によるスレーキング特性の違いや,細粒化に伴う土の力学特性の不可逆な変化について考察した.圧縮スレーキング試験では,圧縮過程での粒子破砕が圧縮性の増加に寄与すること,拘束応力下のスレーキングは土の大圧縮を引き起こすことを示した.最後に,湿乾履歴を考慮した粒度指標IGの発展則により記述し,粒度指標IGと最大・最小間隙比や限界間隙比を関係付けることでスレーキング現象を構成則の範疇で考慮できるとの考えを示した.
  • 増岡 健太郎
    2016 年 72 巻 2 号 p. 136-148
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/20
    ジャーナル フリー
     離島の新しい淡水確保技術として,帯水層の空隙内の塩水を淡水で置換して蓄えるフローティング型地下ダムが考案されている.対象となる環礁島の帯水層は,第四紀のサンゴ礁堆積物から成る幅広いスケールの空隙を有する石灰岩層が主で,淡水貯留時の塩分残留性が懸念事項の一つに挙げられる.本稿では,第四紀のサンゴ礁堆積物から成る石灰岩として琉球石灰岩を用い,マイクロフォーカスX線CTを用いたトレーサー試験を行い,塩淡水置換時の供試体内部の濃度変化を可視化した.その結果,狭隘部の幅が500μm程度の空隙部分が主要な地下水の流動経路として機能していること,基質部分の一部の微小空隙で水の流れが生じていることを明らかにした.同石灰岩を大空隙と基質に分けたモデル化を考える場合,基質部分の流れを考慮する必要性が指摘される.
  • 中村 宏, 三平 伸吾, 羽矢 洋, 山内 真也, 古関 潤一
    2016 年 72 巻 2 号 p. 155-163
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/20
    ジャーナル フリー
     東北地方太平洋沖地震で発生した鉄道切土斜面の崩壊事例を対象として,実務設計的な視座で再現解析を行った.これまで粘性土地山は,一般に盛土に比べて安定性が高く,耐震性も高いとして取り扱われてきたが,粘性土高切土が崩壊した当該事例は復旧に多大な時間を要し,今後の営業鉄道路線の設備管理の観点においても無視できない崩壊規模であった.そこで,現地での地盤調査と不撹乱試料の室内土質試験を実施し,これらの結果と近傍で観測された地震動を用いて2次元地震応答解析を行った.さらに,室内土質試験結果に基づいてすべり面で発揮されるせん断強度の低下特性をモデル化し,これを考慮した修正Newmark法により地震時変位量を算定した.その結果,当該事例の崩壊規模を概ね再現することができた.
  • 加藤 雅彦, 森口 周二, 沢田 和秀, 高木 信浩, 赤司 有三, 佐藤 健
    2016 年 72 巻 2 号 p. 179-189
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,黄鉄鉱の酸化が進行しCd溶出が促進される条件における高炉水砕スラグによる掘削土砂の酸性pHの中和,Cd溶出抑制機構の解明を試みた.高炉スラグ未添加の掘削土砂のpH,Cd溶出量は,それぞれ経時的に低下あるいは増加した.高炉スラグを7.5wt%, 25wt%添加することで,90日間の掘削土砂のCd溶出量を0.05mg/kg未満に抑えられ,掘削土砂のpHをそれぞれ中性,アルカリ性で維持できた.高炉スラグの添加によって掘削土砂中の黄鉄鉱の酸化反応に変化はなかった.高炉スラグを添加(25, 50wt%)しても一軸圧縮強さは,未添加と違いはなかった.中性pHで高炉スラグに収着されたCdの90%以上は,中性からアルカリ性pHにおいて脱離されなかった.高炉スラグは,黄鉄鉱を含む掘削土砂の再利用化に向けた混合資材として利用できることが見出された.
和文報告
  • 山田 淳夫, 千々松 正和, 秋山 吉弘, 小峯 秀雄, 飯塚 敦
    2016 年 72 巻 2 号 p. 164-178
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/20
    ジャーナル フリー
     余裕深度処分は,低レベル放射性廃棄物のうち比較的放射能レベルの高い放射性廃棄物を対象とする.同処分施設におけるベントナイト系材料を用いた低透水層には人工バリアとして放射性物質の移行抑制等の機能を期待されている.この低透水層の設計や施工方法の検討にあたり,原位置における実規模での施工性の確認と性能の確認を行うことが重要である.本報告では,ベントナイトによる側部低透水層を転圧工法にて構築することを目的とした施工試験と,性能を確認することを目的とした室内試験の結果を報告する.本試験では,トレンチ状の狭隘部に適合した施工システムの実現性を確認するとともに,施工後の品質として低透水層に求められる透水係数等の性能が確保可能なことを確認した.
和文ノート
  • 榎本 忠夫
    2016 年 72 巻 2 号 p. 149-154
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,0.25 mmふるいを通過した珪砂6号にDLクレーを混合した非塑性シルト質細砂を用いて湿潤突固め法により作製した供試体に対して非排水三軸試験を行い,その液状化特性,液状化後の非排水せん断特性,微小ひずみ領域における剛性について検討した.その結果,細粒分含有率0 ~ 50%の範囲において当該率の増加に伴って液状化強度が減少することを示した.また,同じ条件下であれば細粒分含有率が高いほど液状化後の非排水せん断強度が低いことを明らかにした.さらに,液状化強度は,微小ひずみ領域における剛性とは相関が見られない一方で,液状化履歴を与えない場合の非排水せん断強度やダイレタンシーの影響を含んだ軸ひずみ0.1%における割線ヤング率とは良い相関があることを示した.
  • 中村 謙吾, 青木 飛翔, 渡邉 則昭, 駒井 武
    2016 年 72 巻 2 号 p. 190-195
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/20
    ジャーナル フリー
     異なる方法でカラム試験用カラムに充填した土壌試料の通水前後の間隙率分布をX線CTを用いて可視化し,間隙率分布によってどのような流体流動が生じうるかを考察した.水締め法で充填した土壌中の間隙率分布は均質であり,通水後の変化も顕著でなかったことから,このような均質な間隙率分布における流体流動は安定した一様なものであることが示唆された.一方,自由落下法で充填した土壌中の通水前の間隙率分布は,間隙率の大きな部分と小さい部分が層状に存在し,不均質であることが示された.不均質な間隙率分布では,流体流動はらせん状に生じ,さらに流量が時間とともに変化することが示唆された.その間隙率分布に起因して生じる流体流動‐輸送‐反応の連成現象を理解することが,必要不可欠なことであると考えられる.
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