本研究では,黄鉄鉱の酸化が進行しCd溶出が促進される条件における高炉水砕スラグによる掘削土砂の酸性pHの中和,Cd溶出抑制機構の解明を試みた.高炉スラグ未添加の掘削土砂のpH,Cd溶出量は,それぞれ経時的に低下あるいは増加した.高炉スラグを7.5wt%, 25wt%添加することで,90日間の掘削土砂のCd溶出量を0.05mg/kg未満に抑えられ,掘削土砂のpHをそれぞれ中性,アルカリ性で維持できた.高炉スラグの添加によって掘削土砂中の黄鉄鉱の酸化反応に変化はなかった.高炉スラグを添加(25, 50wt%)しても一軸圧縮強さは,未添加と違いはなかった.中性pHで高炉スラグに収着されたCdの90%以上は,中性からアルカリ性pHにおいて脱離されなかった.高炉スラグは,黄鉄鉱を含む掘削土砂の再利用化に向けた混合資材として利用できることが見出された.
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