土木学会論文集C(地圏工学)
Online ISSN : 2185-6516
ISSN-L : 2185-6516
72 巻 , 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
和文論文
  • 河野 哲也, 田中 宏征, 七澤 利明, 中谷 昌一
    2016 年 72 巻 3 号 p. 204-223
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/20
    ジャーナル フリー
     斜杭を有する基礎は水平方向の抵抗力が大きいため,軟弱な地盤において大きな水平変位が生じる可能性がある場合には,合理的な設計が可能になる.その一方で,軟弱な粘性土地盤で圧密沈下が生じる場合には,地盤の圧密沈下によって斜杭に作用する荷重を評価し,これに対して安全性を照査する必要があるものの,実務において適用できる照査方法は提案されていない.また,地盤の圧密沈下によって斜杭に生じた曲げモーメントが地震時にどのように変動するのかについては知見がなく,地震時の杭の部材照査にこの曲げモーメントを加味すべきかどうか不明である.そこで,筆者らは実験および解析的研究により,地盤の圧密沈下によって斜杭に作用する荷重およびそれによって斜杭に生じる曲げモーメントの評価方法および地震時の部材照査法を提案した.
  • 野原 慎太郎, 長谷川 琢磨, 田中 靖治
    2016 年 72 巻 3 号 p. 224-238
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/20
    ジャーナル フリー
     原位置で岩盤に存在する割れ目の物質移行特性を効率良く評価する試験法として,単孔トレーサー試験が有効な手段である.既往の研究によって単孔トレーサー試験の評価法が提案されているが,バックグラウンド地下水流れの影響が明らかにされていなかった.そこで,バックグラウンド地下水流れを考慮した数値解析による感度解析を行って,割れ目幅,縦分散長,遅延係数,動水勾配が破過曲線に与える影響について検討した.検討の結果,割れ目幅と縦分散長から成る集中定数,遅延係数,動水勾配によって破過曲線が決定されることを示した.また,非収着性トレーサーの回収率から割れ目幅と動水勾配の組み合わせを評価できることを確認した.さらに,バックグラウンド地下水流れの影響を考慮して効率良く単孔トレーサー試験の結果を評価する方法を提案した.
  • 高井 敦史, 川島 光博, 勝見 武, 乾 徹, 岩下 信一, 大河原 正文
    2016 年 72 巻 3 号 p. 252-264
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/20
    ジャーナル フリー
     東日本大震災からの復旧・復興においては,質量比で約3分の1を占めた土砂分の地盤材料としての再資源化が重要課題の一つであった.しかし,処理方法や設備仕様は地区ごとに様々であったため,得られる処理物の特性も多様であったことから,処理物の材料特性を包括的に明らかにすることは,将来の災害対応にとっても重要な知見となり得る.本研究では,岩手県における計404件のデータに基づき,1)空間的ばらつきと処理内容との関係,2)処理期間内での変動,の2点から分別土砂の地盤材料特性を精査した.その結果,分別土砂は有効活用のための要求品質を満足し,通常の土砂と同等の特性を有していること,改質目的の添加材が物理化学特性に影響を及ぼすこと,等が明らかとなった.さらに各特性の経時変化を評価し,各特性の変動傾向を明らかにした.
  • 新舎 博, 堤 彩人
    2016 年 72 巻 3 号 p. 265-276
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/20
    ジャーナル フリー
     浚渫土を原料土として作製した固化処理土を破砕し,この破砕粒子を砂礫の代替品として護岸背面の裏埋などに利用することができれば好都合である.しかしながら,固化処理土を海水中で長期間曝露すると,海水に触れている表面からCa2+が溶出し,強度の低い劣化層が形成されることが知られている.破砕粒子にこうした劣化が生じると,初期に持っていた内部摩擦角が大きく減少する可能性がある.そこで,含水比が110%の浚渫土に固化材を100~400 kg/m3添加した固化処理土とその破砕粒子を海水曝露条件下に放置し,その劣化特性を調査した.その結果,海水曝露による劣化の影響がない場合は砂礫の代替品としての利用が可能と考えられるが,海水曝露における50年後の長期予測を行うと,劣化の影響が大きい可能性があることが明らかとなった.
  • 富樫 陽太, 菊本 統, 谷 和夫
    2016 年 72 巻 3 号 p. 283-293
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,等方弾性体および異方弾性体に対して平面ひずみ試験を想定した幾つかの境界条件のもとでFEM解析を実施し,等方性材料では見られない異方性材料の非一様で左右非対称な変形特性について検討した.さらに,供試体内にクーロン型の破壊規準を満たすせん断応力を受ける要素が現れた時点のマクロな応力から供試体の降伏強さを求め,境界条件と異方剛性が降伏までの応力ひずみ特性に及ぼす影響を検討した.軟岩を想定した解析では,等方的なせん断強さをもつ材料であっても異方剛性の卓越方向や程度によって試験で得られる供試体の降伏強さは大きく異なり,一般的な異方剛性と方向の範囲で最小では,材料本来の強度特性に対して見掛け上の降伏強さが半分程度に過小評価されることを示した.
和文報告
  • 清原 雄康
    2016 年 72 巻 3 号 p. 196-203
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/20
    ジャーナル フリー
     東北地方太平洋沖地震において,飽和度が高い状況下でしらすからなる宅地盛土が泥流状に崩壊した.このメカニズム解明のために,当該箇所から採取した試料土を相対密度Dr: 60%~65%に再構成し,飽和状態と不飽和状態において,それぞれ100kPaで圧密後(Drc: 70%~75%),液状化強度試験,変形特性試験を実施した.この結果,飽和状態のしらすは,7号硅砂(Dr: 60%)より液状化強度が小さくなった.また不飽和状態でも飽和度,過剰間隙水圧比が上昇し液状化に至ることが確認された.この液状化強度比は0.22となり,飽和状態に比べ1.5倍程度増加した.しかし,この場合でも被災時の加速度,地盤挙動を想定したFL値は1を大きく下回った.Dr: 65%程度の飽和土,不飽和土の変形特性試験から求まった初期等価ヤング率はいずれも90MN/m2であった.
  • 山中 稔, 長谷川 修一, 大嶋 和則, 西田 一彦
    2016 年 72 巻 3 号 p. 239-251
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/20
    ジャーナル フリー
     高松城天守台石垣は,石材の孕み出しや割れ等の変状が顕著になり石垣崩壊が懸念されたために2007~2011年度に石垣の解体修理が実施された.本研究は,この石垣解体修理工事にともなって内部盛土の土質物理試験や簡易支持力試験を行い,内部盛土の堆積状態について明らかにした.さらに,石垣根石の補強として採用された枠工内の砂礫地盤に対する動的貫入試験を行い,枠工施工による地盤の締め固め効果を明らかにするとともに,石垣修理工事の前後に常時微動測定を実施して,得られた振動特性の変化から石垣積み直しによる安定性向上について考察した.さらに,個別要素法を用いた天守台石垣部の自重および地震動による変形挙動を解析し,修理前の石垣変状量との対比から本解析結果の妥当性を検討した.
和文ノート
  • 北詰 昌樹, 牧野 真大, 吉田 有希
    2016 年 72 巻 3 号 p. 277-282
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/20
    ジャーナル フリー
     管中混合固化処理工法では改良土を埋立地などに直接打設する施工の他に,改良土を一旦仮置きした後に掘削・運搬・締固めなどを行う施工も考えられる.その際,既に固化反応が進んでいる改良土は攪乱を受けて強度特性が不攪乱攪乱の改良土と大きく異なる.本研究では,養生中に攪乱を受けたセメント改良土の長期間にわたる材料特性を一軸圧縮試験で調べた.その結果,不攪乱の改良土は脆性的な性質を示すのに対して,攪乱を受けた改良土は延性的な性質を示すことが分かった.しかし,時間経過とともに攪乱を受けた改良土も再び脆性的な性質を示すようになることが分かった.また,走査型電子顕微鏡による観察より,改良土は攪乱を受けると改良土表面に微細な空隙が多数出現するが,長期間の養生中にこれら空隙は水和物などで埋められる傾向が見られた.
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