土木学会論文集C(地圏工学)
Online ISSN : 2185-6516
ISSN-L : 2185-6516
73 巻 , 4 号
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和文論文
  • 武藤 裕久, 神谷 隆, 長沼 明彦, 小高 猛司, 崔 瑛, 中野 正樹, 野田 利弘
    2017 年 73 巻 4 号 p. 311-329
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー
     補強土壁構造物は,これまでの地震時の実績より抗土圧構造物よりも高い耐震性が示されている.また,多くの機関で実施された実験により,その耐震性能の高さが証明されている.しかしながら,既往の研究はジオテキスタイルを用いた室内実験や模型実験が多く,全体安定などの挙動は示されているが,補強材軸力の効果や挙動については十分に把握されていない.本研究では,支圧抵抗と摩擦抵抗を組み合わせたアンカー式の補強材を用いた補強土壁において,2011年東北地方太平洋沖地震の余震時の補強材軸力を計測することができた.その結果,地震時には支圧補強体と摩擦補強体のそれぞれが抵抗力を発揮し,その抵抗力は補強材の土被りが小さい位置では支圧補強体,土被りが大きい位置では摩擦補強体が効果的に抵抗力を発揮することが示された.
  • 平岡 伸隆, 田中 克彦, 岩佐 直人, 酒匂 一成, 藤本 将光, 酒井 直樹, 深川 良一
    2017 年 73 巻 4 号 p. 330-341
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー
     降雨による表層崩壊を予測するためには,土中の水分および地下水位のモニタリングが有効である.原位置においてモニタリング計測を実施するためには,計測機器の価格,設置の容易さ,メンテナンスの頻度等を考慮する必要があり,我々は,超音波を使った土中水分・水位モニタリング技術を開発した.本論文では実大斜面に超音波測定システムを設置し,降雨を与え崩壊させることで,斜面内の水分および水位の上昇を捉えられるか,また計測値が崩壊に至るまでにどのような変化を示すか検証した.実験の結果,超音波土中水分水位測定システムによって水分動態と誘電率土壌水分計やテンシオメータから得られた水分動態が同様な変化を示し,土砂災害のモニタリングシステムのセンサの一つとして利用できる可能性を示唆した.
  • 吉川 絵麻, 小峯 秀雄, 後藤 茂, 吉村 貢, 鈴木 聡彦, 成島 誠一, 新井 靖典, 氏家 伸介, 佐古田 又規, 長江 泰史
    2017 年 73 巻 4 号 p. 342-354
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー
     福島第一原子力発電所の事故以来,覆土式一時保管施設に代表されるように,土による直接的な放射線遮蔽が求められている.このような遮蔽用土構造物に対して,確実な施工管理を行うためには,土の状態を表す基本量を用いて放射線遮蔽性能を管理できることが望ましい.本研究では,覆土用土質材料および土質系充填材料を想定し,ガンマ線および中性子線透過量に対する土の基本量の関係について検討した.各土質材料の条件を変化させて透過線量を測定した結果,同一厚さの土のガンマ線低減率は湿潤密度に正比例し,中性子線低減率は体積含水率に依存することを明らかにした.また,上記に示した状態量に各放射線透過距離を乗じることで,ガンマ線および中性子線低減率に関する一義的な関係が得られることを示した.
  • 平岡 伸隆, 吉川 直孝, 伊藤 和也, 笹原 克夫
    2017 年 73 巻 4 号 p. 355-367
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー
     土砂崩壊・落盤による労働災害の死亡者のうち斜面掘削工事中の斜面崩壊による死亡者が約半数を占め,労働安全行政における重要なテーマである.本研究では,実大規模の模型実験を実施し,掘削工事における斜面の変状をモニタリングすることで,崩壊の前兆を捉えることが可能か検証した.その結果,機械掘削中に発生する崩壊と,掘削後クリープ現象を伴った崩壊が確認され,後者について地表面変位の計測結果から変位の逆速度を算出し,既計測結果の予測線から退避判定をリアルタイムで実施したところ,崩壊7分前での警報発出が可能である結果が得られた.また本手法を伸縮計,ひずみ計,傾斜計に適用したところ,同様に崩壊7分前に警報を発出可能であり,クリープ変形を伴った崩壊であれば,種々の計測機器で退避判定が可能であることが示唆された.
  • 澤田 茉伊, 三村 衛
    2017 年 73 巻 4 号 p. 368-381
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー
     内部の石室に装飾が施された古墳では,石室の室温変化やそれに伴う水分移動に由来した石材や装飾の劣化が問題となっている.こうした劣化を抑制する方法として,覆土を施して石室を断熱する方法が有効と考えられるが,覆土の仕様を決定する上で,周囲の土が石室環境にどのように影響するか明らかにする必要がある.そこで,本稿では,墳丘の層厚,乾燥密度,飽和度が石室環境に与える影響を調べた.一次元熱伝導方程式を解き,石室の温度と結露を評価したところ,石室環境は層厚に敏感である一方,乾燥密度や飽和度には実質的にあまり影響を受けないことがわかった.したがって,石室の温度環境が重視される古墳に覆土する場合,最も重要なパラメータは層厚であり,他のパラメータについては,力学的安定性や雨水浸透の観点から決定するのが適当である.
  • 大竹 雄, 七澤 利明, 本城 勇介, 河野 哲也, 田辺 晶規
    2017 年 73 巻 4 号 p. 396-411
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/20
    ジャーナル フリー
     構造物基礎の設計では,弾性床上の梁理論に基づく等価線形解析により基礎の変位が計算される.この等価線形解析における重要な地盤パラメータに地盤変形係数がある.地盤変形係数は,軸差応力-ひずみ関係の割線勾配として定義される指標であり,設計で着目する基礎の変位や地盤のひずみレベルに応じて,本来変化させるべきである.しかしながら,従来の地盤変形係数の推定方法は,着目する地盤のひずみレベルが不明確であり,このことが基礎の変位計算の精度を低下させていると考えられた.そこで,本研究では,各種調査方法間の整合性,関係性を理論的に考察した上で,日本全国の橋梁架設地点で実施された地盤調査データに基づいた統計解析により,地盤調査法とひずみレベルを考慮した合理的な地盤変形係数の推定方法を提示している.
  • 大竹 雄, 七澤 利明, 本城 勇介, 河野 哲也, 田辺 晶規
    2017 年 73 巻 4 号 p. 412-428
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/20
    ジャーナル フリー
     構造物基礎の設計では,地盤をバネ(地盤反力係数)でモデル化し,弾性床上の梁理論に基づく等価線形解析により基礎変位が計算される.この計算を汎用的かつ精度良く行うためには,着目する変位が基礎に生じる場合の地盤の非線形特性をそれと等価な線形モデルに適切に置き換える必要がある.本研究は,大規模なデータに基づく統計的考察により,着目する対象基礎の変位レベルと地盤のひずみレベルを関係づける方法を提案する.これにより,要求される様々な変位の制限値に対して,着目する変位と地盤のひずみの関係から適切な等価線形用地盤パラメータ(地盤変形係数)を推定することにより,構造物基礎の変位を汎用的かつ精度よく計算するための地盤反力係数の設定方法を提示した.
  • 宮崎 祐輔, 澤村 康生, 岸田 潔, 木村 亮
    2017 年 73 巻 4 号 p. 429-441
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/20
    ジャーナル フリー
     ヒンジ式プレキャストアーチカルバートは,2011年に発生した東日本大震災により,供用性を損なう大きな被災を初めて経験した.被災状況から,アーチ部材の損傷がカルバート縦断方向に規則的に並ぶといった一方向に強い地震動を受けたような損傷が確認されており,土被りが小さい領域や坑口部で損傷が集中している.そこで本研究では,ヒンジ式アーチカルバートを含む盛土模型に対し,盛土形状に注目した動的遠心模型実験を実施した.その結果,カルバートの土被りが小さい場合,最も盛土の拘束効果が小さくなる坑口部で,カルバートの応答が大きく増幅し周辺地盤の応答を卓越することを確認した.さらに,カルバートの土被りが大きい場合,盛土の拘束効果が増加することで,カルバートは周辺地盤に追従的な応答を示すことを確認した.
  • 居上 靖弘, 渦岡 良介, 上野 勝利
    2017 年 73 巻 4 号 p. 442-449
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー
     1948年の福井地震により被害を受けた河川堤防は多く存在し,その後の集中豪雨による水位上昇に伴った高水で河川堤防が破堤するといった報告がある.従来,地震後における河川堤防の安全性は,地震時の天端沈下量と平常時の最高水位を基準に越流への評価はされているが,浸透への安全性が考慮されていない.地震・高水のような外力が作用する状況下で,地震による堤防の沈下量だけでなく,地震による堤体の変形と浸透性能の関連性の明確化を目的として,加振で変状した堤防の水位上昇に対する浸透性能評価を行うため,遠心模型実験を実施した.結果として,加振による堤防の変状により川裏側法尻部でクラックが発生した堤防は,高水時において滲出流量が増加し,クラックが起因となった進行的な破壊が発生することを確認した.
  • 山田 俊子, 櫻井 英行, 鈴木 誠
    2017 年 73 巻 4 号 p. 450-459
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー
     解析領域や構造物の大きさに比べて径が非常に小さな注水孔や揚水井等は有限要素法による浸透流解析において,点の連なり(点源)としてモデル化される場合は少なくない.しかし,それらの点を含む要素を適切な大きさで分割しないと解析精度は低下することが知られている.著者らは,点源のモデル化における解析精度の改善を目的として,二次元放射状流問題などの理論解から,点源が属する要素サイズに応じて透水性を補正する簡易な方法を提案し,数値実験によりその有効性を既報により示してきた.本論文では,V&V(Verification & Validation)の観点から提案モデルのコード検証を行った結果を報告する.
  • 藤原 優, 酒井 俊典
    2017 年 73 巻 4 号 p. 460-474
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー
     グラウンドアンカー(以下,アンカー)は,道路法面などに複数設置され,法面の安定を面的に維持する役割を果たす.アンカーは,一般に自然地盤に設置するため,対策効果を発揮する過程において,アンカーの残存引張り力はそれぞれで異なる複雑な変化を示す.しかし,アンカーの健全性評価は「点」としてのものに留まっており,「面」として捉えるまでには至っていない.これに対して,著者らは複数の道路法面で実施したアンカーのリフトオフ試験データを分析し,法面変状の程度が試験結果に与える影響について検討してきた.本研究は,この検討内容を発展させ,アンカーが施工された法面の健全性を「点」から「面」へ展開して評価する手法について提案した.
和文報告
  • 新舎 博, 堤 彩人
    2017 年 73 巻 4 号 p. 382-395
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー
     浚渫土を埋立処分した高含水比状態の浚渫粘土地盤を対象として,水平ドレーンを利用した真空圧密工法を開発し,既に10件の現場施工を実施した.この工法は地盤内にキャップ付ドレーンを水平に埋設し,粘土に負圧を作用させて圧密による地盤改良を行うものである.工法の特徴としては,ドレーンの埋設長が200 mを越えるなど非常に長くなることから圧密遅れが生じない大断面ドレーン材を使用することと,ドレーンを所定の深度に真っ直ぐに埋設するためにドレーン埋設船を利用することである.本文は,水平ドレーン真空圧密工法に関して,これまでの研究の成果を設計,施工方法および施工事例の観点から総括的に取りまとめたものである.
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