土木学会論文集C(地圏工学)
Online ISSN : 2185-6516
ISSN-L : 2185-6516
74 巻 , 3 号
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和文論文
  • 曽田 英揮, 佐藤 信光
    2018 年 74 巻 3 号 p. 248-258
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/20
    ジャーナル フリー
     フィルダムの安全管理上,堤体変形挙動を把握することは重要である.ダムを所管する各機関では,GPSを用いたフィルダムの変形計測による安全管理が積極的に進められ,GPSの導入によりダムの安全管理の高度化,合理化が期待されている.GPS計測による多点での連続かつ三次元の変位データは,既存の光波・水準測量に比べて時間的なデータ密度が増加する.本研究では,これら増加したデータ量のうち特に水平変位に着目し,ダムの安全管理に役立てることを目的とした水平変位挙動の分析と近似式の構成を検討した.作成した近似式は,長期的なクリープ変位挙動,貯水位変動による弾性変位,およびその他の要因による誤差で構成される.近似式は過去の挙動との比較による現在の変位挙動の評価にあたり定量的な指標とできる可能性が示された.
  • 中村 晋, 阿部 慶太, 渡辺 健治, 中島 進
    2018 年 74 巻 3 号 p. 259-274
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/20
    ジャーナル フリー
     大型の斜面模型を用いた崩壊土の模型である砕石,土砂の流下実験,反力壁への衝突実験の分析を実施した.さらに,その流下,衝撃作用の評価手法として,粒子法(MPM),および流体力の評価手法の適用性について検討を実施した.その結果,斜面,平坦部における崩壊土の模型に応じた挙動の差異は,摩擦係数や勾配に応じた滑りや転がりなどの流下性状の差異に起因して生じていることが分かった.MPMを用いた解析では,解析パラメータとして,材料試験などの結果をふまえた現実的な値を設定することにより,流下,堆積,および衝撃力の挙動を良く再現でき,それら挙動の評価への適用性を有していること,流体力による衝撃力の評価手法は,地盤材料によっては危険側の評価となる場合があることが明らかとなった.
  • 金田 淳, 豊田 浩史, 高田 晋, 池本 宏文
    2018 年 74 巻 3 号 p. 275-288
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/20
    ジャーナル フリー
     高架橋を走行する列車から発生する振動が地盤に伝播し,地盤振動問題を発生させる場合がある.特に,近年考えられている新幹線の高速化により,この問題の解明と対策の立案が急務となっている.地盤振動への対策のひとつとして,地中防振壁(以下防振壁と記す)が知られている.理論,実験,解析による検討が試みられているものの,設計条件を決めるまでの統一的見解は得られていない.そこで,防振壁の効果を確認するとともに,地表面鉛直振動の平面的な分布を調べる模型実験を実施した.本論文では,今回行った実験の手法と結果について報告する.実施した試験ケースからは,剛な防振壁の十分な効果が確認でき,起振源と防振壁端からの距離により防振壁による振動低減効果が変化することが明らかとなり,効果的な防振壁長さについての目安を示した.
  • 竹國 一也, 秦 二朗, 中田 幸男
    2018 年 74 巻 3 号 p. 289-299
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,降雨に起因する土砂災害が多発していることを踏まえて,盛土構造物を対象とした排水対策工の効果検証と土砂災害の要因として考えられる断層破砕帯から供給される地下水流量の推定について考察を加えた.検討にあたっては,高速道路盛土での地下水流量と地表流量の常時現地計測を行った.その結果,高強度降雨時の排水にはのり尻工(フトンカゴ)の設置が有効であることが検証できた.また,断層破砕帯が地下水を供給する事実を究明し,その供給される地下水流量は盛土流域のみならず,断層破砕帯が影響する隣接流域も対象流域に加えることが推定の一助になることを明らかにした.さらに,その供給量に対応した具体的な排水対策工の設計と維持管理手法を示した.
  • 川合 彩加, 早野 公敏, 山内 裕元
    2018 年 74 巻 3 号 p. 306-317
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/20
    ジャーナル フリー
     本研究では養生がペーパースラッジ(PS)灰系改良土の強度特性に及ぼす影響を調べるとともに,養生にともなう物性変化の要因を検討した.その結果,PS灰系改良材の吸水性能は経時変化しないにも関わらず,養生にともない液性指数が低下しPS灰系改良土が硬化すること,またコーン指数はゆるやかに増加し液性指数と一義的な関係があることが明らかになった.一方,PS灰系改良材の成分組成は普通ポルトランドセメントのものに定性的に類似し,養生にともないPS灰系改良土にエトリンガイトが生成することが確認された.このエトリンガイト生成などによるPS灰系改良土中の拘束水量の経時変化を,40℃加熱の含水比試験結果により評価した結果,液性指数の変化とよい相関が認められ,さらに拘束水量に基づいて評価したコーン指数は実測値に比較的一致した.
  • 松丸 貴樹, 佐藤 武斗, 工藤 敦弘
    2018 年 74 巻 3 号 p. 318-331
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/20
    ジャーナル フリー
     本論文では,地震時の液状化による地盤変状が一様に生じない現象の解明を目的として,2011年東北地方太平洋沖地震で液状化被害が生じた地盤を対象に,表面波探査による液状化層の層厚やS波速度の大きさの空間分布を把握するとともに,2次元有効応力解析により被災要因の解明を行った.まず,液状化程度の異なる複数の箇所において表面波探査を実施したところ,得られた液状化対象層のS波速度の大きさや空間分布と被災の程度に相関があることがわかった.また,調査結果を踏まえた地盤モデルを対象とした2次元有効応力解析を行ったところ,液状化層厚や強度の空間分布に起因して地震後の地盤変状が一様に生じないことが示され,表面波探査による層厚やせん断波速度の把握が液状化時の危険箇所の抽出に対して有用であることが明らかとなった.
  • 仙頭 紀明, 齋藤 和寿, 平山 拓海
    2018 年 74 巻 3 号 p. 332-341
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/20
    ジャーナル フリー
     地震による液状化により埋設管の被害がこれまでに数多く発生している.本論文では液状化による埋設管の浮き上がりメカニズムを詳しく調べるために,比較的浅い位置に設置した埋設管を対象に模型振動実験を実施した.実験では管のみかけの比重の違い,埋設管に作用させる上向き浸透流の有無の影響を調べた.埋設管の浮上速度は,埋設管の見かけの比重が小さい程大きくなった.また埋設管は上下に振動しながら浮上し,その振動は過剰間隙水圧の振動応答とほぼ同期し,地盤のダイレイタンシー挙動が埋設管の浮上に影響を及ぼすことがわかった.さらに上向き浸透流の作用により,液状化した地盤のみかけの粘性係数が低下することで,埋設管の浮上速度は1.7倍となり,周辺地盤からの間隙水圧伝播による埋設管の浮上被害を裏付ける実験結果が得られた.
  • 藤原 優, 酒井 俊典
    2018 年 74 巻 3 号 p. 357-373
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/20
    ジャーナル フリー
     斜面に設置されたグラウンドアンカー(以下,アンカー)は,大部分が地中に存在し,直接引張り材を確認することが困難な状態にある.アンカーのリフトオフ試験は,一般に残存引張り力を確認することを目的として行われているが,試験から求めた荷重-変位曲線はアンカーの状態を推定するための手掛りとなる.しかし,油圧ジャッキを用いてアンカーに与える引張り荷重は,アンカー体部の定着方式の違いにより異なる伝達状況を示すことに加え,アンカー頭部の定着方式の違いがグラフ形状へ与える影響など,明らかにされていない点が多くある.本研究は,アンカーの実物大試験体などを用いたリフトオフ試験の分析結果から荷重-変位曲線の特性を評価した.
  • 澤田 茉伊, Tumurkhuyag ENKHTUVSHIN, 三村 衛
    2018 年 74 巻 3 号 p. 374-387
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/20
    ジャーナル フリー
     古墳は,自然作用や人為的破壊により損傷を受けており,特に地震動による墳丘の崩壊や石室石材の落下等の損傷は深刻である.本研究は,遠心模型実験と再現解析により,古墳の動的挙動と地震による破壊メカニズムの解明を目的とする.1/50スケールの古墳断面模型を用いて加振実験を行ったところ,盛土の天端と法面表層に亀裂が生じた.また,石材を模した樹脂板間の摩擦の大小により,石室周辺の破壊形態が異なった.摩擦が小さい場合は,樹脂板がすべり,背面土が崩壊したが,摩擦が大きい場合は,石室は変形せず,隅角部から亀裂が生じた.これらの亀裂は,再現解析により,引張応力に起因することがわかった.また,石材間の摩擦は,盛土内の応力分布にはあまり影響しないが,背面土の崩壊を抑制し,石室空間を維持する上で重要であることがわかった.
和文報告
  • 橋本 聖, 林 宏親, 川尻 峻三, 川口 貴之, 山梨 高裕
    2018 年 74 巻 3 号 p. 342-356
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/20
    ジャーナル フリー
     軟弱地盤対策における「工事期間」と「建設費用」の関係はトレードオフにあるといわれるが,泥炭地盤で固結工法を採用する際に如何に建設費用を抑制するかが課題である.本稿は,経済的で施工性に優れた軟弱地盤対策技術である『グラベル基礎補強併用低改良率地盤改良』の改良効果を把握するため,試験施工の長期計測結果から,盛土の安定性およびジオテキスタイルの健全性について述べる.さらに,試験施工の計測履歴を二次元弾塑性FEM解析によって再現した結果を基に,改良率,盛土高,ジオテキスタイル引張剛性などをパラメータとしたパラメトリックスタディを実施し,不同沈下抑制効果に関する検討を行った.これらの検討結果を踏まえて,本工法を実施する上で必要な設計手法を提案した.
和文ノート
  • 山田 俊子, 櫻井 英行, 鈴木 誠
    2018 年 74 巻 3 号 p. 300-305
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/20
    ジャーナル フリー
     解析領域や構造物の大きさに比べて径が非常に小さな注水孔や揚水井等は,有限要素法による浸透流解析において,点の連なり(点源)としてモデル化されることがある.しかし,点源を含む要素を適切な大きさで分割しないと解析精度は低下することが知られている.著者らは,点源を用いたモデル化における解析精度の改善を目的として,二次元放射状流問題などの理論解から,点源が属する要素サイズに応じて透水性を補正する簡易な方法を提案してきた.また,V&V(Verification & Validation)の観点からの検証のうち,最初のプロセスであるコード検証により,提案モデルの性能を示してきた.本稿では,次のプロセスである解検証として,離散化誤差の定量化に関する検討結果を報告する.
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