土木学会論文集C(地圏工学)
Online ISSN : 2185-6516
ISSN-L : 2185-6516
75 巻 , 1 号
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和文論文
  • 東田 淳, 島津 多賀夫, 吉村 洋, 井上 裕司
    2019 年 75 巻 1 号 p. 15-34
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/20
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     地震時の地盤のせん断変形を模擬して模型を遠心場で静的にせん断する遠心実験を行い,埋設RC管,FRPM管,矩形渠の土圧と断面力の測定結果から管渠に働くせん断土圧が垂直土圧よりもごく小さいことを明らかにし,管渠面の滑動を考慮した弾性FEM解析と実験結果の整合性を確かめた.さらに下水道管渠の現行耐震設計法による予測は実験結果と合わず,これは現行設計法が応答変位法に基づくためであることを弾性論によって検証した.そして弾性FEMを用いる埋設管渠の耐震設計法を提案し,現行設計法による3種類の管渠の耐震設計例と提案設計法による予測が全く異なることを示し,提案設計法が土と構造物の相互作用を正当に考慮し,遠心実験や地震による被災状況と矛盾しない挙動を予測するので,現行設計法に対して優位性を持つと結論した.
  • 水野 弘二, 藤原 寅士良, 野澤 伸一郎, 水谷 羊介
    2019 年 75 巻 1 号 p. 35-48
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/20
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     古くから構造物の基礎として利用されてきた木杭に関して,施工後100年以上経過し,地下水位以浅かつ砂質土中にある場合の耐久性を評価した.評価方法として,木杭の目視確認,木杭周辺の土質調査,部材性能確認のための実大の木杭を用いた一軸圧縮試験と縦圧縮試験,表面劣化を確認するためのピロディン試験,支持性能確認のための鉛直載荷試験を行った.その結果,杭頭部から最大1.5mの範囲を除き健全であり,木杭の強度や支持力は建設当時の設計値や許容応力度を満足している点を確認した.評価した木杭は,地下水位以浅に90年以上位置し,松を使用した含水率45~80%の木杭であり,木杭周辺の土質は,細粒分含有率15~25%程度,自然含水比20~30%程度の砂質土であった.以上の木杭と同程度の物性を有する木杭は著しく劣化しないと言える.
  • 豊田 浩史, 三上 和久, 高田 晋, 金田 淳
    2019 年 75 巻 1 号 p. 49-61
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/20
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     近年,鉄道の高速化により,鉄道沿線の地盤振動が問題となる可能性がある.振動への対策としては,地盤振動の周波数特性を把握し,卓越する周波数帯において振動低減効果が発揮される対策を選定することが効果的である.既往の研究から,地中に設置した防振溝・壁に振動低減効果があることは,理論的な考察やFEMなどによる解析的な検討から明らかとなっている.しかし,実際の振動伝播機構の解明や,防振効果の高い防振材の特定にまでは至っていない.本研究では,新幹線振動の低減を目的とした防振対策工法の効果に関する模型実験を実施した.その結果,防振壁の方が地表面に設置した錘より振動低減効果が高いこと,剛な防振壁は分割せず,地盤振動の小さくなる箇所までサイズを大きくすることで,高い振動低減効果が得られることがわかった.
  • 新舎 博, 松本 歩, 長尾 喬平, 小森 裕
    2019 年 75 巻 1 号 p. 62-75
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/20
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     浚渫粘土に固化材を混合して,10 MN/m2以上の高強度固化処理土ブロックを製造することを検討した.配合試験の結果によると,名古屋港粘土の場合は水固化材比を1.2,含水比を60~100%に設定すると,10MN/m2以上の強度を確保することができた.固化処理土ブロックの製造実験においては二軸強制練りミキサを使用した.このミキサを用いて固化処理土ブロックを製造する際の制約条件は,処理土をミキサの開口部から押し出すための流動性の確保であった.水固化材比を1.2に固定し,含水比を80%から約10%毎に増加させる実験を行った結果,含水比が約107%において,固化処理土ブロックを製造することができた.ブロックから採取した処理土の強度は10 MN/m2以上であった.
  • 藤原 優, 山崎 勉, 高島 誠
    2019 年 75 巻 1 号 p. 76-89
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/20
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     グラウンドアンカー(以下,アンカー)は,老朽化などの要因により機能低下することがあり,追加アンカーの検討において当初設計の内容が重要な参考情報となる.しかし,導入初期に施工されたアンカーの中には供用期間が40年を超えるものがあり,対策工に関する情報が十分に残存していないことがある.また,変状の進行が収束した法面では,ボーリング調査や動態観測を行ってもすべり面の推定が容易でない場合があることに加え,アンカーは大部分が地中にあるため,確認できるのはアンカー頭部に限定される.このようなケースでは,追加アンカーの設計において,アンカーの設置本数などを決定する抑止力の設定が困難となる.本研究は,補強法面の外観調査などで得られる情報を基に,既設アンカーの抑止力評価のためのすべり面推定方法を提案した.
  • 浜崎 智洋, 笠間 清伸, 松永 嵩, 小川 良太, 礒部 仁博, 佐山 政幸
    2019 年 75 巻 1 号 p. 90-102
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/20
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     切土のり面などの安定化策として用いられているグラウンドアンカー(以下,「アンカー」という)の点検・管理にあたっては,リフトオフ試験により残存引張り力(以下,「緊張力」という)の計測が実施されてはいるが,その代替となる簡易な緊張力計測手法の開発が必要とされている.本研究では,原子力発電所施設などのアンカーボルトを対象とした非破壊検査で実用化されているAcoustic Emissionセンサを用いた打音診断技術に着目し,それを応用した緊張力計測手法(以下,「本技術」という)の開発に向けた検討を行ってきた.本稿は,ネジ式定着のアンカーに対し緊張力評価への適用を試みるにあたり,室内実験,FEM解析および緊張力の現地計測結果をもとに,本技術における適用性の評価・検証ならびに課題抽出を行ったものである.
  • 伊藤 和也, 林 豪人, 吉川 直孝, 平岡 伸隆, 小浪 岳治
    2019 年 75 巻 1 号 p. 103-114
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/20
    ジャーナル 認証あり
     本研究は,斜面崩壊によるリスクが高いと判断された斜面を簡易的かつ仮設的に補強する地山補強土工法について掘削除荷過程における斜面安定効果を把握するために,新たに開発した遠心場掘削シミュレーターを用いて遠心場掘削実験を実施した.斜面勾配の違いや補強材の有無等を変化させた斜面の掘削段階毎のせん断ひずみ分布や変形挙動を各種変位計測およびPIV画像解析を用いて検討した.その結果,段階的な切土掘削作業を行うことにより法尻部の位置が変化することからひずみが集中せずせん断帯が広範囲に分布する傾向を示した.また,補強材長が1m程度の補強材の設置により変形が抑制され,無補強の場合と比べて最大せん断ひずみが斜面内部に広がっており,斜面補強効果が確認された.
  • 藤原 優, 村上 豊和, 福田 睦寿, 高島 誠, 長木 大剛
    2019 年 75 巻 1 号 p. 115-130
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/20
    ジャーナル 認証あり
     グラウンドアンカー(以下,アンカー)は,昭和63年の旧土質工学会(現在の地盤工学会)の基準改訂により防食機能が強化されている.基準改訂前に施工された「旧タイプアンカー」は,鋼材の腐食により所定の機能を維持できていないものがあり,NEXCO 3会社が管理する高速道路では,平成27年に事業認可された特定更新等事業において「新タイプアンカー」等の施工による対策を行う方針が示されている.既設アンカーの老朽化対策を目的とした追加アンカーの実施においては,既設アンカーの緊張力を除荷する場合の緊張力管理手法が具体化されていないなどの課題がある.本論は,アンカーの特定更新等事業の現場で既設アンカーの取り扱いについて検討を行い,この結果を踏まえて老朽化対策のための追加アンカーの施工における緊張力管理手法を提案した.
  • 緒方 奨, 安原 英明, 岸田 潔
    2019 年 75 巻 1 号 p. 131-145
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/20
    ジャーナル 認証あり
     高レベル放射性廃棄物地層処分システムの安全性を担保する上で,熱・水・応力・化学連成作用による廃棄体周辺岩盤の水理学特性変化の把握は必須である.特に,廃棄体処分坑道掘削時に形成されるき裂で生じる地化学反応は岩盤の長期透水性変化を予測する上で考慮すべき事象である.そこで,本研究では損傷理論を用いたき裂発生・進展と,き裂領域内での鉱物溶解・沈殿プロセスを導入した熱・水・応力・化学連成解析モデルを構築し,放射性廃棄物地層処分施設近傍の岩盤の透水性変化の長期予測解析を実施した.その結果,坑道掘削に伴うき裂発生・進展により増加した坑道周辺の透水性が,き裂内部で生じる地化学現象(圧力溶解)により時間の経過とともに低下する傾向が得られた.
和文報告
  • 村上 豊和, 下野 宗彦, 柳迫 新吾, 中田 幸男
    2019 年 75 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/20
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     近年では,局所的集中豪雨が増加傾向にある中,社会的にインパクトのある土石流災害が発生している.土石流の発見が予見される危険渓流は膨大にあるため,効率的かつ効果的な対策を行うためには,危険度評価を実施する意義が高い.この評価において,基本的な事項である計画流出土砂量および移動可能土砂量の算出は非常に重要であり,特に実用的な侵食深と侵食幅の想定が必要になる.そこで本研究では,中国地方の高速道路沿線にある1,106渓流に対して現地調査を実施した.現地調査で得られた移動可能土砂量および侵食深や侵食幅について統計分析の結果から分布特性の評価を行い,危険渓流調査における移動可能土砂量を算出するための侵食深と侵食幅の想定基準値の提案を行ったものである.
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