土木学会論文集C(地圏工学)
Online ISSN : 2185-6516
ISSN-L : 2185-6516
77 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
和文論文
  • 白河部 匠, 王 海龍, 後藤 茂, 山本 修一, 小峯 秀雄
    2021 年 77 巻 2 号 p. 103-117
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル フリー

     放射性廃棄物の地層処分におけるベントナイト系緩衝材の機能低下に,高レベル放射性廃棄物からの崩壊熱による熱の履歴の影響が懸念されている.そこで,本研究では緩衝材の技術要件であるベントナイト系緩衝材による自己シール性および地下水の低透水性に及ぼす温度履歴の影響を評価する.本論では,不飽和ベントナイト中の水分移動特性の評価方法を確立した上で,温度履歴を付与したベントナイトの膨潤圧および水分拡散係数を測定した.その結果,膨潤圧は温度履歴の影響が小さいことが分かった.水分移動特性は,低乾燥密度のときに160℃以上の温度履歴を付与することで,水分拡散係数が高く,吸水速度が速くなるが,温度に応じた乾燥密度を設計することで影響を抑制することが確認された.

  • 宮本 慎太郎, 宮田 喜壽
    2021 年 77 巻 2 号 p. 118-128
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル フリー

     被災後の緊急輸送を迅速に行うためには,道路啓開のための地盤補強技術が有益と考えらえる.本研究では,宇宙・機械工学分野における自己展開構造をヒントに,既存のセル補強材の展開機能を高めた展開式セル補強材を構想した.シートの立体展開条件とセル補強材の三次元形状の関係を解析し,土-セル補強土系の相互作用を一面せん断試験で調べた.セル補強材の一般的な立体展開条件に対し,土-セル補強土系は土-土系よりも高いせん断抵抗特性を有することを明らかにする.Taylor-Bishopのエネルギー補正式をベースに,土-セル補強土系のせん断強度の評価式を提示する.

  • 小泉 圭吾, 小松 満, 小田 和広, 伊藤 真一, 堤 浩志
    2021 年 77 巻 2 号 p. 129-139
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/20
    ジャーナル フリー

     筆者らは既往の研究より,降雨による表層崩壊に対し,初期擬似飽和体積含水率(IQS)に到達した後に変形が発生するという知見を得た.一方,変形と深度方向の体積含水率の関係性の把握や,実斜面での検証が課題とされていた.本論文では,この課題を解決するための模型実験と現場計測による結果を取り纏めた.深度方向の体積含水率の変化を捉えることで,変位発生までにIQSから浅層における飽和帯の形成,地下水位上昇までの過程を把握できる可能性が示された.実斜面での計測結果を,模型実験結果を基に考察したところ,両者に整合性があることが確認された.また,降雨時の斜面がIQSに達したかどうかを判断する指標としてIQS指数を提案し,実測データに適用したところ,体積含水率がIQSに到達した時点をリアルタイムに検知できる可能性が示された.

  • 平岡 伸隆, 吉川 直孝, 伊藤 和也
    2021 年 77 巻 2 号 p. 140-158
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/20
    ジャーナル フリー

     土砂崩壊による労働災害を防ぐためには,掘削形状のみならず地下水・湧水を始めとした水の影響を考慮する必要があることが指摘されており,これらを踏まえた設計断面の決定および対策が必要である.本研究では,道路土工 切土工・斜面安定工指針および労働安全衛生規則第356条に規定される斜面形状を再現し,掘削勾配に応じた法先地点の地下水位と斜面安定性の関係を遠心模型実験によって検証した.その結果,規定内の掘削勾配において斜面が安定するが,地下水が上昇すると崩壊することが確認された.また,これに対する対策工として排水パイプによる地下水の排水対策の検討を行った.その結果,本実験条件下では斜面下段のみに設置された排水パイプにおいても斜面安定性が向上することが確認された.

  • 森河 由紀弘, 吉田 亮, 吉澤 千秋, 前田 健一, 須藤 達也, 佐藤 智範
    2021 年 77 巻 2 号 p. 159-171
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/20
    ジャーナル フリー

     本研究では事前処理方法や膨張性などに課題がある転炉スラグを対象として,転炉スラグのかみ合わせや粗面の摩擦性や粒度特性,水硬性に着目した地盤改良材としての検討を行った.本検討によって軟弱な細粒土に礫分や砂分を多く含む転炉スラグを混合することで,混合土の粒度分布や締固め特性が改善され,セメント改良土等に比べ,締固め方法によらず転圧不足が生じにくくなることが分かった.また,混合土の強度は転炉スラグの混合率に応じて増加し,細粒土がクッションとなることで転炉スラグの短所である膨張性を抑制できることが分かった.さらに,水素イオン濃度が低くセメントが効きにくい対象土でも,転炉スラグを混合することで粒度の改善効果,アルカリ化,単位水量の減少効果などにより,セメントの改良効果が向上することが分かった.

  • 日比 義彦
    2021 年 77 巻 2 号 p. 185-194
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル 認証あり

     地下水の浸透流解析と多相流解析では,Richardsの支配方程式から求められた圧力表示の圧力型支配方程式と水圧と飽和度表示の混合型支配方程式が実務または研究で頻繁に用いられている.一方,飽和度のみの表示の飽和度型支配方程式は実務または研究事例も相対的に少ない.しかし,地下水の多くの書籍などでは,KluteとPeacemanにより求められた飽和度型支配方程式が紹介されている.本論文では,KluteとPeacemanの飽和度型支配方程式の誘導過程を整理して両者の関係を求めた.さらに,一次元の静水圧状態の水の飽和度の分布の再現を確認する簡単な解析を行い,両式の解析結果を比較した.その結果,両者の解析結果には差異が生じ,Peacemanの飽和度型支配方程式の方がKluteより精度がよいことが分かった.

和文報告
  • 佐野 博昭, 森岡 秀一, 川満 洋, 山田 幹雄, 小竹 望, 前 稔文, 尾形 公一郎, 川原 秀夫
    2021 年 77 巻 2 号 p. 172-184
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/20
    ジャーナル フリー

     本研究では,非加熱方式による石膏の新たな含水比測定法の適用性を調べるために,「グリセロール法」を用いた含水比測定に関する基礎的な試験を行った.得られた結果より,グリセロールのプリズム面へ滴下後の経過時間によって屈折率は異なり,攪拌時間が大きく影響すること,水の攪拌時間による屈折率への影響は認められないことなどが明らかとなった.また,試薬二水石膏に対してシリンジを使用して試料液をプリズム面に直接滴下した場合,グリセロール法により求めた含水比は,真の含水比とほぼ一致しており,非常に相関性の高い直線関係が認められ,非加熱方式であるグリセロール法を用いた石膏の含水比試験法の有効性が確認された.

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