土木学会論文集C(地圏工学)
Online ISSN : 2185-6516
ISSN-L : 2185-6516
78 巻, 1 号
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和文論文
  • 前田 剛志, 猿谷 賢三, 小池 健司, 平野 光孝, 矢島 寿一, 峯岸 邦夫
    2022 年 78 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/20
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     既設石積み壁が空積み構造の場合は,積み石と栗石層が一体化されておらず,対策工として石積み壁前面へのコンクリート増設等を実施するが,鉄道沿線の石積み壁前面にある移設不可な線路設備等により施工困難となる.本論文では,それらに代わる工法として,積み石背面への注入工法を提案し,室内模型注入試験や現場注入試験により,注入材としての可塑性グラウトは,流動性が低く積み石目地からの漏出量が少ないことから高い充填性能を示すことを確認し,その注入方法を提示した.提案工法の補強効果を検証するため,模型による振動台試験を実施し,背面注入により積み石と栗石層が一体の挙動を示すことを確認し,棒状補強材との併用により壁体の残留変位が抑制され,より大きな加振加速度においても一体的な転倒モードになることが明らかとなった.

  • 友岡 亮太朗, 伊藤 和也, 田中 剛, 末政 直晃, 野中 隆博, 田中 卓也, 笹原 克夫
    2022 年 78 巻 1 号 p. 14-31
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/20
    ジャーナル フリー

     降雨時の斜面崩壊は,土壌水分量の増加により,自重増加によるせん断応力の増加とサクション消失によるせん断強度の減少により起こるとされている.しかし,実際の現地斜面は複雑であり,これらの現象メカニズムを詳細に把握して,予測・対策に繋げることは長年の課題である.本研究では,遠心場にて均等な降雨分布となる遠心場降雨発生システムを開発し,それを用いて盛土地盤内への雨水の浸透挙動や崩壊時の変形挙動を把握し,計測機器による斜面崩壊の発生予測の可能性と対策工の効果の推定を行うために遠心模型実験を行った.その結果,雨水が浸透することにより地下水位が発生し,斜面崩壊が発生することが確認された.また排水パイプを設置することにより排水効果による地下水位の上昇の抑制が確認された.

  • 田上 聖人, 中田 幸男, 梶山 慎太郎
    2022 年 78 巻 1 号 p. 32-44
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/20
    ジャーナル フリー

     粗粒土の二種混合体試料の性質は,大粒子含有率に対応する骨格構造に支配される.ここでは,小粒子骨格構造の限界大粒子含有率を評価することを目的とし,微視的モデルの改良,安息角・間隙比実験の実施,微視的モデルによる骨格構造の評価を行った.その結果,微視的モデルに,大粒子の形状や配置の異方性を考慮するパラメーターを導入し,より現実に即した改良を行うことができた.安息角・間隙比実験からは,大粒子試料が大きく,いびつであるほど,また小粒子試料の間隙比が大きいほど,小粒子骨格構造の限界大粒子含有率が低くなること.微視的モデルによる骨格構造の評価からは,大粒子の粒度試験と小粒子の最小密度試験の結果から,推定式をもとに,小粒子骨格構造の限界大粒子含有率を推定できる可能性があることを明らかにした.

  • 笠間 清伸, 長山 達哉, 濱口 信彦, 杉村 佳寿, 藤井 照久, 金子 智之, 善 功企
    2022 年 78 巻 1 号 p. 45-59
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/20
    ジャーナル フリー

     砂質地盤の液状化対策等を目的として浸透固化処理工法により改良された地盤(以下,「浸透固化処理地盤」と称す)は,薬液の浸透の不均一性や対象地盤の土質の不均質性等の理由により,自然堆積地盤に比べてせん断強度等に空間的な不均質性を有する.この浸透固化処理地盤の不均質性は,設計時の支持力の決定に影響することが予想され,性能規定に基づく支持力評価法が求められている.本稿では,空港の液状化対策を目的に浸透固化処理された地盤を対象に,せん断強度をランダム場理論で表現し,有限要素法とせん断強度低減法を使ったモンテカルロシミュレーションにより強度の不均質性を考慮した支持力解析を行った.その結果より,浸透固化処理地盤の不均質性が支持力に与える影響を確率・統計的に考察し,性能規定に基づく支持力評価法を提案した.

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