土木学会論文集C(地圏工学)
Online ISSN : 2185-6516
ISSN-L : 2185-6516
78 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
和文論文
  • 檀上 徹, 酒匂 一成, 石澤 友浩, 藤本 将光, 伊藤 真一, 深川 良一
    2022 年 78 巻 3 号 p. 165-179
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/20
    ジャーナル フリー

     筆者らは,斜面崩壊の危険度予測精度の向上を目的として,降雨継続時間と平均降雨強度の指標(I-D法)にテンシオメータによる現地計測結果を加味した修正I-D法を提案してきた.本手法において,計測点で最初に0.0cmH2O以上の水理水頭が計測された時点(𝑡sat)を把握することは重要であり,そのためにはより適切かつ実用的な𝑡satの閾値の推定指標の検証が必要である.本論文では,𝑡sat推定指標を新たに提案し,それを修正I-D法に反映させた場合の斜面崩壊の危険度予測精度を検証した.その結果,降雨開始からの時間と平均降雨強度の指標が,𝑡satを推定する上でより適切であることを確認した.さらに,提案指標を用いて𝑡satを求め,修正I-D法による斜面崩壊の危険度予測を行うことで,高い的中数で斜面崩壊発生の有無を判断できることを示した.

  • 佐藤 武斗, 松丸 貴樹
    2022 年 78 巻 3 号 p. 180-196
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/20
    ジャーナル フリー

     キャピラリーバリアは産業廃棄物処分場の覆土等に実績のある遮水・排水技術である.キャピラリーバリアの構成材料は,その粒度特性に基づき経験的に選定されおり,浸透特性は十分に考慮されていない.キャピラリーバリアの性能はその構成材料である細粒な土の特性が支配的であることが知られており,その特性に着目した研究が行われてきた.

     本研究では,キャピラリーバリアを構成する地盤材料の浸透特性に着目し,地盤材料の組合せを変えた散水実験により,その遮水性能および浸透量の抑制効果を評価した.実験結果より,既往の研究により知られているキャピラリーバリアの破過メカニズムを実験的に検証した.また,構成材料の浸透特性を考慮した指標により遮水性能を評価し,その指標が小さい程,遮水性能が大きくなることを示した.

  • 冨田 佑一, 古関 潤一, 龍岡 文夫
    2022 年 78 巻 3 号 p. 197-209
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/20
    ジャーナル フリー

     盛土の設計に三軸圧縮試験を活用する場合,供試体は室内で側方を拘束したモールド内で一様に突き固めて作製される.一方,現場締固め土は剛な振動ローラーを地盤上で走行させるため,各締固め層内で乾燥密度ρdは深さ方向に減少し,また表層が局所的に乱され,非一様である.本研究では大型鋼製土槽内で小型締固め機械を用いて締め固めた砂質土の試験盛土から乱れの少ない供試体を採取し,不飽和状態,湿潤・飽和状態で排水三軸圧縮試験を行い,同一試料を締め固めた室内作製供試体等と比較した.その結果,強度・剛性を,締固めの方法とエネルギーに関わらずρdの増加関数と飽和度Srの減少関数の積を基本に,現場盛土表層のせん断破壊の影響と湿潤化・飽和化による影響を加えた経験式で表現し,最適飽和度状態が適切な現場締固め目標となることを示した.

  • 吉田 大活, 渡邊 大規, 菅野 蓮華, 森口 周二, 寺田 賢二郎
    2022 年 78 巻 3 号 p. 210-224
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/20
    ジャーナル フリー

     本研究では岩塊の形状特性が落石の到達分布特性に及ぼす影響を定量的に評価する.この目的のために,物体の形状を直接的にモデル化することが可能である非質点系解析手法の一種である個別要素法を用いて落石シミュレーションのパラメータスタディを実施した.形状表現パラメータ(アスペクト比,扁平率,カット比)を変化させて36種類の岩塊モデルを作成し,各岩塊モデルに対して200回の試行回数のもとで到達分布を得た.さらに,形状の特性を球形度で表現し,球形度と到達分布特性の関係を分析した.その結果,岩塊形状が落石の到達分布特性に与える影響について,2種類の球形度を用いて統一的に表現可能であることを明らかにした.

  • 川端 伸一郎, 松田 圭大, 三浦 亨, 畑山 良二, 山中 光一, 関根 悦夫
    2022 年 78 巻 3 号 p. 225-234
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/20
    ジャーナル フリー

     JIS規格の締固め試験は,人力式のランマーを用いることを原則としている.ただし,同様の動作を再現すれば自動化した機械式ランマーの使用も認めており,ランマーの引上げや回転移動を様々な機構で再現した機種が存在する.機械式ランマーは広く普及しているが,人力式との同等性を評価する方法がなく,各機種の性能は不明であった.そこで本論文は,11機関が所有する機械式ランマーの性能評価を行い,締固めによる乾燥密度とCBRに与える影響を考察したものである.人力式ランマーは均一で理想的な締固めであったが,機械式ランマーは機種による打撃斑が多く,乾燥密度とCBRに大きく影響を与えていた.その影響は打撃面積によって整理することが可能であり,打撃面積の簡易な測定法についても提案した.

  • 笠間 清伸, 長山 達哉, 濱口 信彦, 杉村 佳寿, 藤井 照久, 金子 智之, 善 功企
    2022 年 78 巻 3 号 p. 235-250
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/20
    ジャーナル フリー

     砂質地盤の液状化対策等を目的として浸透固化処理工法により改良された地盤(以下,「浸透固化処理地盤」と称す)は,薬液の浸透の不均一性や対象地盤の土質の不均質性等の理由により,自然堆積地盤に比べてせん断強度等に空間的な不均質性を有する.本稿では,浸透固化処理工法による液状化対策された空港の滑走路を対象に,このせん断強度の不均質性をランダム場理論で表現し,かつ地震時における地盤の液状化の有無を簡易にモデル化することで,液状化後の過剰間隙水圧の消散に伴う滑走路の変形挙動を確率・統計的に検討した.その結果を用いて,地震後に要求される滑走路の性能指標値である支持力と平坦性に関して新たな性能評価手法を提案した.

  • 窪田 友也, 山田 正太郎, 京谷 孝史
    2022 年 78 巻 3 号 p. 251-260
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/20
    ジャーナル フリー

     本論文では,混合体理論に基づく水〜土連成有限要素解析手法を提案する.土骨格の変位と間隙水圧を未知数とする𝒖-𝑝 formulationを採用し,変位と水圧に有限要素離散化を適用した.また,土骨格の構成モデルに対し,変形勾配の乗算分解理論に基づくCam-clay modelを適用した.部分排水条件で三軸圧縮試験の解析を行い,水〜土連成効果が発揮される様子を例示するとともに,使用する要素の組合せが数値解に及ぼす影響について検証する.

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