土木学会論文集B1(水工学)
Online ISSN : 2185-467X
ISSN-L : 2185-467X
68 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
和文論文
  • 長田 健吾, 福岡 捷二
    2012 年 68 巻 1 号 p. 1-20
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
     広い粒径集団で構成される石礫河川では,大きな粒径集団が,流れ場の抵抗や小さな粒径集団の土砂移動に大きく影響し,結果として河床変動を規定している.本研究では最初に,常願寺川現地実験により石礫河川の河床変動の機構を明らかにする.次に,砂河川・砂礫河川で検討された既往の河床変動解析法では,石礫河川における河床変動量・河床表層粒度分布の説明を十分に出来ないことを示す.そして,石礫河川の河床変動機構,特に大きな粒径集団が河床安定に果たす役割と河床表層の凹凸分布性状に果たす役割に着目し,石礫河川の二次元河床変動解析法を構築する.現地実験結果に本モデルを適用した結果,石礫河川における水面形,流量ハイドログラフ,河床変動量,河床表層粒度分布と各粒径の高さ分布等を説明できるモデルであることを明らかにした.
  • 吉川 泰弘, 渡邊 康玄, 早川 博, 平井 康幸
    2012 年 68 巻 1 号 p. 21-34
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
     結氷河川の解氷現象は,水位の急激な上昇を引き起こすアイスジャムの発生の可能性がある.河川結氷時の河道内工事や流量観測を実施する際には,作業計画および安全面から,解氷現象に関する知見および河道内の氷板厚を計算する技術が求められている.結氷河川における解氷現象を解明するために,氷板厚を連続的に測定し,熱フラックスを用いた氷板厚計算モデルを用いて,放射・対流,積雪,流水の3因子が氷板厚の変動に与える影響を評価した.本計算モデルを基にして,積雪と晶氷の影響を係数α,河氷の融解の影響を係数βに織り込み,気温,水温,有効水深から氷板厚を計算する実用的な計算式を開発した.さらに,気温から水温を計算し,有効水深を一定値とすることで,気温データのみから氷板厚を計算可能であることを示した.
  • 竹村 吉晴, 福岡 捷二
    2012 年 68 巻 1 号 p. 35-54
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
     本文では,最初に,洪水流の非定常一次元基礎式に基づき,水位・流量の伝播の物理的解釈について論じ,流量ハイドログラフの変形・伝播には,流量が断面平均流速で移動するとともに低減する時間帯の洪水貯留量で定義される洪水遊水量が重要な役割を果たすことを示している.次に,北上川と江の川山間狭隘河道における洪水流の非定常平面二次元解析から,水位は流量に比べ河道構造の影響を受けやすく,水位ハイドログラフの伝播は全体的に流量ハイドログラフに遅れること,洪水貯留量に占める洪水遊水量の割合が大きい程流量ハイドログラフと河道内の水塊の移動速度の比が小さくなり,河道区間によっては流量ハイドログラフの伝播が河道内の水塊の移動速度に遅れることを示した.最後に,本研究結果の河道計画・河川管理への適用について述べている.
  • 原田 大輔, 知花 武佳, 山下 貴美子
    2012 年 68 巻 1 号 p. 55-66
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/04/20
    ジャーナル フリー
     過去の砂利採取や横断構造物の設置が河川構造に影響し,複断面化や樹林化を招いた機構の解明を目的とした.一般に勾配は洪水規模と礫径に対応するが,砂利採取で大礫が減少した多摩川では以前の河床である高水敷と低水路の安定勾配が異なり,下流端の堰から上流に向かい低水路幅が狭まると共に高水敷との比高差が大きくなる形状で複断面化していた.同様の形状は他河川でも見られ,堰高や区間長に環境が規定されていた.さらに,以前と現在の安定勾配の差が大きい多摩川の扇頂部付近では,堰直下から下流に向かい土丹層を削り込む低水路が形成され,一つ下流の堰直上からは上流に向かい礫の河道を形成する.この境界部では大礫が露出し,川幅や勾配の不連続点が存在した.以上の河道形成過程と現在の植生,特にハリエンジュの生育状況の関連性を示した.
  • 王 張嶠, 石川 忠晴, 吉田 圭介
    2012 年 68 巻 1 号 p. 67-76
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/04/20
    ジャーナル フリー
     揚子江下流河道には洪水期に大量の土砂が供給され堆積が進行している.また河口潮位変動が大きく,洪水時においても流れが脈動するため,河床変動の機構は非常に複雑である.本研究では河道幅が拡大する江陰から下流の145kmの区間について洪水流の数値計算を行い,潮汐によって生じる非定常流況とそれが流砂特性にもたらす効果を考察した.その結果,潮汐の影響により澪では概ね澪軸に沿った脈動流が生じるが,砂州上では河道横断方向にも大きな偏差が生じ,このことが砂州地形と澪の蛇行を増幅するものと考えられた.揚子江下流河道の澪にはほぼ一定間隔(約22km)で深い区間が存在するが,これは干潮での順流ピーク時から満潮での澱み発生時までの浮遊砂移動距離に関連すると考えられた.
  • 加藤 靖之, 二瓶 泰雄
    2012 年 68 巻 1 号 p. 77-89
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/04/20
    ジャーナル フリー
     一次元計算と同程度の計算負荷で,平面二次元計算と同レベルの計算精度を有することが可能な一次元・平面二次元ハイブリッド型河川流モデルを新たに開発した.本モデルでは,一次元計算と平面二次元計算を併用し,毎ステップでは一次元計算のみを行い,数から数十ステップに一回の割合で平面二次元計算を行うことにより,計算負荷低減と高精度計算を可能とした.本モデルの基本性能を検証するために,本モデルを江戸川の洪水流計算に適用した結果,CPU時間が大幅に削減されると共に,一次元計算と平面二次元計算の計算時間間隔比を100と大きくしても良好な計算精度を維持することが示された.また計算効率性と計算精度の両面から,計算時間間隔比を50程度に設定することが適切であることが示唆された.
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