土木学会論文集B1(水工学)
Online ISSN : 2185-467X
ISSN-L : 2185-467X
68 巻, 3 号
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和文論文
  • 道広 有理, 佐藤 嘉展, 鈴木 靖
    2012 年 68 巻 3 号 p. 125-135
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/20
    ジャーナル フリー
     29の全球気候モデル(GCM)の実験結果を,地域メッシュ統計による第1次地域区画(約80km四方)単位に整理し,国内の代表的な7つの流域を対象に降水量および気温について解析を行った.現在気候の再現性をアメダス観測値で評価すると,水平解像度の高いMRI-AGCMが優れていた.水平解像度が100km以上であるCMIP3では,個々のGCMの再現性は低いが,マルチモデルアンサンブルにより再現性は向上した.一方,将来気候変化の推定においては,CMIP3とMRI-AGCMの予測結果の間に明瞭な差異が認められず,再現性向上が将来気候予測の不確実性低減に直結しないことを示した.これらを踏まえた上で,流域スケールの水文解析に際し,観測値をベースとしたGCM出力値の実践的な利用方法を検討した.
  • 池内 幸司, 越智 繁雄, 安田 吾郎, 岡村 次郎, 青野 正志
    2012 年 68 巻 3 号 p. 136-147
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/19
    ジャーナル フリー
     荒川が決壊し大規模な水害が発生した場合における地下鉄等の浸水状況を把握するために,氾濫域にある地下鉄等の出入口及びトンネルにおける止水板,防水扉等の止水施設の設置状況や乗換駅における各路線の接続状況等を把握して浸水シミュレーションモデルを構築し,地上部と地下鉄等の浸水状況の把握を行った.その結果,地下鉄等のトンネルや乗換駅等を通じて地下空間が広範囲に浸水すること,東京駅等において地上部よりも早く地下鉄等のトンネルを通じて氾濫水が到達する場合があること,足立区千住地先で決壊した場合,地上の浸水範囲は局所的であるにもかかわらず都心部を含む広い範囲が水没状態になること,出入口等に応急的な止水対策等を行うことで,浸水区間の減少や浸水開始時間の遅延に対して効果を発揮する場合があることなどが分かった.
  • 山上 路生, 岡本 隆明, 禰津 家久, 村田 祐樹
    2012 年 68 巻 3 号 p. 148-158
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
     開水路乱流の自由水面ガス交換に焦点をあてて,滑面と剛体植生粗度の二つの底面境界を用意し,室内実験水路にて乱流計測および溶存酸素の計測を行った.同じ流量および水深の場合,滑面よりも植生流れの方が大規模な混合渦の生成によって界面流速発散強度が増加するためガス輸送が促進され,さらにガス輸送速度と植生密度には重要な関係が存在することが示された.ガス輸送速度は界面流速発散値に大きく依存することが確認できたが,界面流速発散モデル(SDモデル)では水深の影響を考慮できないため開水路流れのガス輸送をモデル化するには不十分である.そこでSDモデルにガス輸送現象の支配因子と考えられる界面乱れエネルギーと水深スケールを組み込み,滑面流れと剛体の水没植生流れの双方にも適用できる一般性の高い修正SDモデルを開発した.
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