土木学会論文集D2(土木史)
Online ISSN : 2185-6532
67 巻 , 1 号
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和文論文
  • 松木 洋忠, 江崎 哲郎, 三谷 泰浩, 池見 洋明
    2011 年 67 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/19
    ジャーナル フリー
     河川流域の土地利用は過去の人間の働きかけの蓄積である.本論は,遠賀川の河川・流域の特性を理解するため,人為的開発が始まった古代の土地開発の変遷を把握しようとするものである.検討にあたっては,地質と地形による基本的な自然条件を整理した上で,縄文時代,弥生時代,古墳時代の各時代の最先端の土木施工技術を勘案しながら,遺跡等の分布と考古学的な研究成果に解釈を加えている.分析の結果,弥生時代の木製の鍬と鋤,古墳時代の鉄製刃先は,水田稲作の伝来以来,沖積地の開発に寄与したといえる.そして開発の対象地は,古墳時代までの土木施工技術に発達に伴って,干潟周辺の低平地から,上流の盆地や源流域に移っている.このような古代の土地開発の歴史は,今後の河川・流域管理を考える上で考慮するべき情報である.
  • 簗瀬 範彦
    2011 年 67 巻 1 号 p. 9-20
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/20
    ジャーナル フリー
     本研究は19世紀に作成された地籍図の面積誤差の原因を考証したものである.現在の地籍制度は,明治期の税制革改である地租改正時の土地台帳とその付属地図を淵源としている.数%からときには10%以上に及ぶ面積誤差の原因は,当事者である農民の拙劣な測量技術,重税を逃れようとする農民の計測の誤魔化し,官側の検査の杜撰さ等によるものと一般に認識されている.しかし,いわゆる「縄伸び」と呼ばれる登記簿面積と実測面積との差は,概ね官側から提示された許容範囲内にあることを地籍図に関する測量基準の分析から明らかにした.併せて,分筆対象の筆全体を実測なしに分筆する制度が長らく行われたことや農地改革に伴う国有地解放なども地籍図における面積誤差の原因の一部であることを指摘しておきたい.
  • 安井 雅彦
    2011 年 67 巻 1 号 p. 21-37
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/20
    ジャーナル フリー
     内務省が1930年代に着手した河水統制調査を担当した内務技師の水谷鏘は,それ以前に小規模な多目的ダムを建設した実績を持っていた.この研究では,当時の水谷鏘の携わった出来事と彼の考えを,内務省が発行した機関誌『水利と土木』の記述に基づいて解説し,水谷が河水統制事業に関わった主要な人物の一人であったことを明らかにする.
  • 田中 鉄二, 樋口 輝久, 馬場 俊介
    2011 年 67 巻 1 号 p. 38-48
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/20
    ジャーナル フリー
     日々軌道を検査し,線路に発生する様々な異常を整備することが保線作業であり,保線なしで安全で快適な鉄道運転は成り立たない.輸送量の増加,速度の向上,使用機械及び材料の変化,さらには,鉄道事故や戦争の影響によって保線は変化し続けてきた.そこで本論文では,保線を行う際の規範となり,鉄道創業時から制定され続けている“規程”に着目し,鉄道創業時から国鉄の分割民営化後までの鉄道保線の変遷を明らかにしようとする.対象とした組織は,官設鉄道,国有鉄道そしてJRで,民営鉄道は除いている.まず,規程についての概略を述べた上で,保線に影響を与えた重要な出来事について整理し,作業,材料(レール,枕木,道床,分岐器)に区分して,その変遷を明らかにした.
和文報告
  • 阿部 貴弘, 北河 大次郎, 脇坂 隆一
    2011 年 67 巻 1 号 p. 49-63
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/20
    ジャーナル フリー
     地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律の制定・施行をきっかけとして,まちづくりにおける土木遺産の活用に対する要請が急速に高まっている.こうした要請に応えるためには,歴史まちづくりの取組みを進めるうえで土木史研究に期待される役割を明らかにしておくことが重要である.
     本論では,国の認定を受けている歴史的風致維持向上計画の記載内容についてレビューするとともに,各認定都市に対するアンケート調査により,歴史まちづくりの取組みの現状と課題を把握・整理した.さらに,現状と課題を踏まえ,歴史まちづくりの取組みを進めるうえで土木史研究に期待される役割を抽出し,特にインフラ整備の視点からの都市構造の総合的な評価や,実践的・実務的な土木遺産の保全・活用技術の構築等の研究が期待されていることを指摘した.
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