土木学会論文集D3(土木計画学)
Online ISSN : 2185-6540
ISSN-L : 2185-6540
70 巻, 5 号
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土木計画学研究・論文集 第31巻(特集)
  • 山村 啓一, 中村 俊之, 宇野 伸宏, 柳原 正実, 河本 一郎, 玉川 大
    2014 年 70 巻 5 号 p. I_1051-I_1058
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/18
    ジャーナル フリー
    都市高速道路での交通事故は車両が錯綜する合流部において発生件数が多い.さらに近年高齢ドライバーの免許保有率の増加とともに高齢者の事故件数も増加傾向にある.そういった中で,ドライバーに接近する車両の存在を知らせる情報提供により,危険回避するような車両挙動を促す施策の実施・展開が期待されている.
    以上の状況を踏まえ,本研究では合流部での円滑かつ安全な走行を目的とする「合流支援装置」を用いた情報提供が,ドライバーの運転行動に与える影響についての分析を行った.具体的には,ドライビングシミュレータ内に都市高速道路合流部を再現し2種類の「合流支援装置」による運転行動への影響分析を行った.その結果,「合流支援装置」の種類により,速度変化に差が生じ,さらに高齢者は反応に違いが生じる傾向の存在が明らかになった.
  • 清田 裕太郎, 岩倉 成志, 野中 康弘
    2014 年 70 巻 5 号 p. I_1059-I_1066
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/18
    ジャーナル フリー
    2011年3月11日に発生した東日本大震災で首都東京の交通網は完全に麻痺した.道路交通網においても例外ではなく,大規模なグリッドロック現象が発生した.今後首都圏付近で発生する地震に備え,震災時におけるグリッドロック現象の時空間拡大プロセスの分析を行い,震災による渋滞現象の実態を明らかにすることを目的とする.本研究では,タクシープローブデータを解析し3月11日の首都東京のグリッドロック拡大を時系列で分析し,上下車線別のグリッドロック発生リンクの特定とボトルネックと推定される地点を抽出した.
  • 藤井 大地, 塩見 康博, 宇野 伸宏, 嶋本 寛, 中村 俊之
    2014 年 70 巻 5 号 p. I_1067-I_1076
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/18
    ジャーナル フリー
    高速道路ネットワークの拡充に伴い,一部の区間では交通渋滞の発生が緩和されつつある現在,交通管制としての交通事故対策の重要性は高い.これまでに,臨界流・渋滞流中で交通事故発生リスクが高いことは示されているものの,分析に用いるデータの時空間的な解像度が高いとは言えず,事故発生時に特有の交通流特性を特定するには至っていない.本研究では,車両感知器から得られる定点観測データと,勾配影響を適切に考慮した交通流モデルで構成されるフィードバック型交通状態推定システムを構築し,平常時,及び交通事故発生前後におけるモデルパラメータの変動傾向を比較した.その結果,平常時との比較で事故発生直前において自由流速度が低下する傾向や,勾配変化に対する速度変動の感度が高くなるケースが存在することを明らかとした.
  • 三村 泰広, 尾林 史章, 小野 剛史, 中谷 周平, 安藤 良輔, 小塚 一宏, 小沢 愼治
    2014 年 70 巻 5 号 p. I_1077-I_1085
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/18
    ジャーナル フリー
    2013年の交通死亡事故死者数は4,373人と13年連続で減少傾向にある一方で,高齢者の占める割合,居住空間に近い狭隘道路である生活道路での占める割合が高まっている.交通事故の被害程度は衝突時の車両の走行速度が大きく関係しており,近年欧州では,特定地域において車両側から適正な速度に制御するISA(Intelligent Speed Adaptation)技術の開発が進展している.ISAはその効果の検証が適切に行われれば,わが国の生活道路における走行速度規制の実効性を担保する革新的対策になるものと考えられる.本研究では最初の段階として,生活道路における強制型・助言型ISAの高齢運転者に対する受容性について把握し,我が国における対策導入・推進にあたっての基礎的知見を得ることを目的とする.
  • 福井 のり子, 森山 昌幸, 三島 慎也, 鈴木 春菜, 藤原 章正
    2014 年 70 巻 5 号 p. I_1087-I_1094
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/18
    ジャーナル フリー
    出雲大社周辺において全国的にも例の少ない観光客を対象としたモビリティ・マネジメント(観光モビリティ・マネジメント)を実施した.具体的には,(1) コミュニケーション・アンケート(CA)による事前の情報提供・動機付け,(2) CAのインセンティブおよびまち歩きの動機付けのための周辺店舗と連携したクーポン活用,(3) 現地での個別アドヴァイスの施策を戦略的に組み合わせ,観光客のまち歩き促進を試みた.この結果,出雲大社から離れた駐車場の選択や滞在時間の増加,周辺のまち歩きスポットへの訪問率の上昇,観光客の満足度向上といった結果が得られた.
  • 鈴木 弘司, 今井 克寿, 藤田 素弘
    2014 年 70 巻 5 号 p. I_1095-I_1106
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/18
    ジャーナル フリー
    本研究では,自転車利用者のストレスに着目した「客観評価」と,アンケート調査を用いた自転車利用者の「主観評価」から,自転車利用者視点による幹線街路評価の検討を行った.まず,ストレスレベルの定義により,定量的な自転車利用者のストレスを表現し,客観評価の影響要因を分析した.一方,単路部及び交差点部でのアンケート調査より,自転車利用者の主観評価値を計量し,共分散構造分析を用いて,主観評価への影響要因を明らかにした.また,評価モデルから,単路部評価得点及び交差点部評価得点を算出する手法を提案し,対象道路区間の現況評価を行い,さらに道路構造変更等による自転車施策の効果を計量した.最後に,客観評価と主観評価及びそれらに影響する要因の関係を考察し,客観評価と主観評価を組み合わせたQOS評価手法の必要性を示した.
  • 松村 みち子, 中村 文彦, 田中 伸治, 王 鋭
    2014 年 70 巻 5 号 p. I_1107-I_1117
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/18
    ジャーナル フリー
    一般道路の路上に高齢者等の運転者が駐車できる「高齢運転者等専用駐車区間制度」が,わが国で2010年4月に導入された.本制度は日常生活に必要な施設の直近に,安全で快適な駐車環境を提供することで高齢運転者等を支援するものである.公共施設等の路外駐車場の移動制約者用駐車スペースとは異なり,対象車両が明確化され罰則もある.本研究では,事例として神奈川県における高齢運転者等専用駐車区間を取り上げ,利用実態,周辺施設の駐車場の整備状況,目的施設への公共交通によるアクセスのしやすさ等を併せて調査し,制度の導入効果を評価する.高齢者のモビリティを確保する上での課題や方策についても整理してみた.
  • 井ノ口 弘昭, 秋山 孝正
    2014 年 70 巻 5 号 p. I_1119-I_1125
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/18
    ジャーナル フリー
    都市高速道路である首都高速道路・阪神高速道路は,平成24年1月に均一料金から対距離料金に移行した.本研究では,ETC利用を前提とした対距離料金制度に基づく料金設定について検討する.都市高速道路の料金水準の変更は,交通需要に影響を与える.このため,検討のために,交通需要推計を内生化した需要変動型の交通量配分モデルを用いる.また,都市高速道路の対距離料金制度導入に伴う特徴的な交通現象である乗り継ぎ交通を考慮する.このとき,経路交通量に関する解の一意性が保証される確率的利用者均衡配分を用いる.本研究では,需要変動および乗り継ぎ交通量を考慮可能な交通量配分モデルを用いて,都市高速道路の対距離料金制の料金設定について検討する.
  • 兵頭 知, 吉井 稔雄, 高山 雄貴
    2014 年 70 巻 5 号 p. I_1127-I_1134
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/18
    ジャーナル フリー
    本研究では,5分間のQ-K関係に基づいた交通流状態として自由流,渋滞流に加え,第3の相“混合流”を考慮し,これらの交通流状態が事故発生リスクに与える影響について比較分析を行う.まず,混合流の出現過程の違いを間接的に考慮するため,片側2車線区間と4車線区間の車線数別の交通流状態別事故発生リスクを比較分析する.続いて,自由流と渋滞流が空間的に混在している“空間混合流”の影響に焦点を当て,車線別の交通流状態と事故発生リスクとの関係を分析する.具体的には,阪神高速道路ネットワークを対象に,2006年1月1日から2008年12月31日の3年間の交通事故データと交通流観測データを用いて分析した.その結果,空間混合流よりも全車線が渋滞流である方が追突事故および車両接触事故の発生リスクは高くなる傾向を示した.
  • 谷本 智, 小嶋 文, 久保田 尚
    2014 年 70 巻 5 号 p. I_1135-I_1146
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/18
    ジャーナル フリー
    生活道路に流入する抜け道交通は交通安全上大きな問題である.既存の取り組みとしてハンプや狭さくなど速度抑制デバイスが用いられてきたが,抜け道交通のみを判別して取り除くことは困難であり根本の解決には至っていない.そこで本研究では欧州で普及しているライジングボラードに着目した.
    ライジングボラードは,抜け道車両の選択的排除が可能なツールであり,公道では未導入である日本における導入の可能性を検討するため埼玉大学構内において運用実験を行い,基礎研究として研究成果の蓄積を行った.被験者を用いた通行実験から,通行抑制効果が明らかになり抜け道対策としての有効性が示された.また車両との接触時の安全性,悪天候などの状況下での正常な作動が確かめられるなど,導入に向けた有益な知見を得ることができた.
  • 牛木 隆匡, 日下部 貴彦, NGUYEN Xuan Long, 朝倉 康夫
    2014 年 70 巻 5 号 p. I_1147-I_1157
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/18
    ジャーナル フリー
    速達性が要求される高速道路では,交通事故などの突発事象による交通障害の影響が極めて大きい.それらの事象を早く,正確に検出するために観測データから自動的に突発事象の有無を判断する手法の構築が必要とされている.これには車両感知器から得られる観測データを用いた手法が一般的であるが,高い精度の検出には高密度に車両感知器を設置する必要があり,地方部の道路や発展途上国などではコスト面で困難な点が多い.そこで,本研究ではプローブカーによる観測データを用いた突発事象検出手法の提案を行った.本手法はプローブカーの旅行時間の変化を確認することに加え,突発的ボトルネックの交通容量低下を考慮する点に特徴があり,プローブカーの交通流率を取り入れることで,一定の検出精度を得られることを示した.
  • 橋本 浩良, 水木 智英, 高宮 進
    2014 年 70 巻 5 号 p. I_1159-I_1166
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/18
    ジャーナル フリー
    渋滞対策を進めていく上では,渋滞の原因箇所(渋滞の起点)がどこなのか,渋滞の影響がどの程度まで及ぶのかを把握することが重要である.渋滞は,複数の渋滞箇所が近接して存在する場合があり,渋滞箇所の移動や渋滞箇所相互の影響が発生する可能性もあるため,渋滞の原因箇所がどこなのか,渋滞の影響がどの程度まで及ぶのかを正確に把握することが困難である.
    本稿では,日々取得されるプローブデータを利用し,渋滞の起点となるボトルネック交差点とその影響範囲の特定方法を提案する.提案方法は,道路区間間の渋滞と非渋滞との関係を利用し,渋滞の起点となる区間か,渋滞の影響を受ける区間かを判別する.実務において実際に選定された主要渋滞箇所を事例に検証した結果,ボトルネック交差点とその影響範囲を簡便に把握できることが分かった.
  • 竹中 祥人, 吉田 長裕
    2014 年 70 巻 5 号 p. I_1167-I_1172
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/18
    ジャーナル フリー
    近年,自転車利用に対する健康や環境面での関心が高まる一方で,事故全体に占める自転車の関わる事故の割合は漸増傾向にある.自転車事故は,信号なし交差点において事故の多いことが報告されている.この要因として,交差点における見通しと運転挙動との関係が示唆されているが,それらの相互関係は明らかになっていない.本研究では,無信号交差点で発生した自転車事故を対象に交差点の見通しと運転挙動との相互関係について,実態調査に基づいて分析および考察を行った.
  • 鎌田 将希, 府中 晋之介, 小嶋 文, 久保田 尚
    2014 年 70 巻 5 号 p. I_1173-I_1182
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/18
    ジャーナル フリー
    ハンプは2001年4月道路構造令の改正によって,交通安全対策としてハンプが導入できる体制が整った.このことから,ハンプの設計や配置等のさまざまな研究がされてきた.本研究では,生活道路において,狭さくを組み合わせたハンプの有効性の検証を行った.加えて,本実験の検証対象である台形ハンプと弓形ハンプの形状の違いにより,効果・受容性を比較・分析することで,ハンプ普及可能性の検証を行った.また,MM手法を用いて,受容性に効果が表れるか検証を行った.その結果,車両速度に関しては,弓形ハンプの方が台形ハンプより速度抑制効果が高いことが分かった.また,振動に関しては,台形ハンプの方がハンプ設置による影響が小さいことが分かった.今後,適した形状のハンプを設置することでハンプ普及可能性向上につながると考えられる.
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