土木学会論文集D3(土木計画学)
Online ISSN : 2185-6540
ISSN-L : 2185-6540
72 巻, 5 号
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土木計画学研究・論文集 第33巻(特集)
  • 西元 崇, 松本 修一, 葛西 誠, 長澤 俊範, 岩瀬 幸一
    2016 年 72 巻 5 号 p. I_1115-I_11122
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/23
    ジャーナル フリー
    従来の「走る,曲がる,止まる」に加えて,自動車の新たな機能の一つとして「繋がる」に注目が集まっている.本研究では,この「繋がる」に着目し,先行車両と先々行車両の加減速情報をドライバに提示した際の追従挙動に与える影響についてドライビングシミュレータを用いてデータを収集し,解析した.その結果,先々行車両情報の方が1) アクセル踏み込み量が11.1%,発進遅れが8%減少する,2) 燃料消費率が改善される傾向にある,3) IDMのパラメータの比較により加減速がしやすい走行になる,という知見が得られた.この結果は,既存の研究での先々行車両単独での実験結果を踏まえ,情報無しの走行,先行車両情報との比較もでき,改めて先々行車両情報の方が有用であることを確認することが出来た.
  • 川崎 洋輔, 原 祐輔, 桑原 雅夫
    2016 年 72 巻 5 号 p. I_1123-I_1132
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/23
    ジャーナル フリー
    本研究では,状態空間モデルとプローブ軌跡データを用いて区間途中の流出入台数を推定する手法を提案する.一般道は交差点(流出入箇所)の間隔が短いため,流出入交通が交通に与える影響が大きい.一般道において,リアルタイムに渋滞状況を把握するためには,こうした区間途中の流出入の影響を考慮した交通モニタリング手法の開発が必要である.そこで,本研究では,Variational Theory (VT)とプローブ軌跡データを用いた状態空間モデルを構築した.本モデルでは,区間途中の流出入台数が観測できない条件下においても,流出入台数を推定可能である.ベンチマークデータによって状態空間モデルの性能を検証した結果,良好な精度で流入台数を推定できたことを確認した.
  • 鈴木 弘司, 安田 宗一郎, 森本 清誠
    2016 年 72 巻 5 号 p. I_1133-I_1143
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/23
    ジャーナル フリー
    本研究は,交差点構造の異なる複数のラウンドアバウトにおいて,走行調査により,ドライバーの交差点進入,退出時の安全確認タイミングを取得し,そのときの走行挙動と交差点構造や周囲の交通状況との関係を分析した.その結果,安全確認時速度と安全確認距離との相関が高く,流出入別に異なる構造要因が影響することがわかった.また安全停止に必要な減速度を算出することで各交差点での潜在的危険性について考察した.さらに,取得した安全確認タイミングをもとに,外部観測データから流出時の必要減速度を類似幾何構造別に算出し,流出時の必要減速度に影響する構造的要因について考察した.その結果,横断歩道や分離島がある場合,必要減速度が小さくなる傾向にあること,またエプロン幅が狭い交差点では必要減速度がやや高くなることがわかった.
  • 森 英高, 西村 洋紀, 谷口 守
    2016 年 72 巻 5 号 p. I_1145-I_1154
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/23
    ジャーナル フリー
    高齢化とともに自動車を運転できなくなる者の増加が懸念されており,自動車以外の移動手段を確保する必要性が指摘されている.一方でモータリゼーションの発達は人々の生活を豊かにしてきたと同時に,元々地域に根付いていた公共交通の利用を減少させ,公共交通衰退へ追い込んでいる.そこで現在一部地域で導入が見られるモビリティサービスに着目し,利用意向とその要因について相対的・定量的に分析した.その結果,1) 地域属性よりも個人属性の方が利用意向の要因として大きく寄与する傾向にあること,2) 利用促進に向けてどのような対策を行った場合でも,モビリティサービスを利用しないと回答した者が一定数存在し,今後のモビリティサービス利用において利用する者・利用しない者の二極化が発生する可能性があること,などが明らかとなった.
  • 石塚 裕子, 高橋 富美, 新田 保次, 三星 昭宏
    2016 年 72 巻 5 号 p. I_1155-I_1166
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/23
    ジャーナル フリー
    ユニバーサルデザインのまちづくりは,計画,実行,検証,改善とスパイラルアップする継続的な市民参加が課題となっている.本研究は,継続的な市民参加が行われている事例を対象に,1) 経過分析,2) 担当行政職員,参加市民のインタビュー調査を行い,継続的な市民参加の効果と実現するための条件を明らかにすることを目的とした.継続的な市民参加は,参加機会の確保,整備の質的向上,他テーマへの展開といった効果が確認された.また,多様な主体間の信頼関係を醸成し,公的空間整備に対する社会的選択の視点を養う,まちづくり人材の育成の機会となっていた.条件としては,活動の定型化期に,市民,担当部署の参加のしくみが確立されていること,活動の展開期,見直し期を察知する市民の存在や改善に取り組む人材が必要であることがわかった.
  • 浜岡 秀勝, 林 勇朔, 戸来 貴大
    2016 年 72 巻 5 号 p. I_1167-I_1175
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/23
    ジャーナル フリー
    現在,無信号横断歩道の横断後半にて人対車両の事故が多発している.本研究ではこの問題の対策として,二段階横断が有効と考えている.そこで本研究は,無信号単路部二段階横断に着目し,その安全性を評価することにした.往復二車線道路の単路部を対象に,被験者による横断判断に関する実験を行った.その際,操作変数として接近する車両の速度と車両の横断歩道到着タイミングを用いている.この実験を無信号横断歩道と二段階横断歩道にて行い,双方における歩行者の横断のタイミングを把握し,歩行者の横断判断を評価した.その結果,二段階横断において,横断後半部での横断判断に余裕がみられることが明らかとなった.これは,二段階横断における安全性を示すものと考えられる.
  • 西内 裕晶, 川崎 智也, 轟 朝幸, 牧野 悠輔
    2016 年 72 巻 5 号 p. I_1177-I_1185
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/23
    ジャーナル フリー
    本研究は,近年,その実施が増えている中学生を対象としたスケアード・ストレイト的自転車交通安全教室に着目し,講話や自転車乗車講習のような従来の自転車交通安全教室と比べて,教室実施前と実施後で受講者の安全意識の変化を分析した.具体的には,2種類の自転車交通安全教室を別々の中学校にて実施し,安全教室の実施前,実施直後,実施1ヶ月後において,法令理解,危険認知(危険察知,回避行動,実践意志,危険回避)についてアンケート調査を実施し,調査結果を安全教室の種類の違いにより比較するものである.その結果,スケアード・ストレイトの有無により安全意識に顕著な違いや変化は見られないものの,危険認知度については実施しない場合よりも経時変化が少ないことが分かった.
  • 森井 健介, 宇野 伸宏, 中村 俊之, 織田 利彦, 倉内 文孝, 清水 明彦
    2016 年 72 巻 5 号 p. I_1187-I_1197
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/23
    ジャーナル フリー
    本研究では車載型ナビゲーションにおける豪雨発生に関する情報提供を想定し,ドライバーの経路選択にいかなる影響を及ぼすかについて検証するため,経路選択SP調査を組み込んだWebアンケートを実施した.従来型の経路誘導,被験者の経路に関する先験情報とともに,都市型豪雨発生に関する情報,冠水可能性情報による影響を,多項ロジット型の経路選択モデルのパラメータ推定を通じて統計的に検証を行った.分析の結果,豪雨が発生している範囲を明示した豪雨範囲情報を提供することで,ドライバーに危険箇所を回避するような経路選択を促す影響を与えること,豪雨範囲情報に加えて,冠水注意情報や安全に資する経路誘導を表示することで,さらにその影響が強くなることが示唆された.
  • 飯塚 大介, 中村 文彦, 田中 伸治, 三浦 詩乃, 有吉 亮
    2016 年 72 巻 5 号 p. I_1199-I_1206
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/23
    ジャーナル フリー
    都市高速道路には,多くの織り込み区間が存在する.この区間では,局所的に集中する車両錯綜によって交通容量が低下し,ボトルネックとなっている.現状の解決策として,拡幅による車線増などのハード面での改修が実施されているが,巨額の工事費など多くの問題がある.本研究では,近年のITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)技術の発展に着目した.そして,走行車両の自動運転を仮定して,車両錯綜を回避するアルゴリズムを開発し,シミュレーション評価を行った.その結果,既存のドライバー走行を前提としたアルゴリズムに比べ,相対的指標に基づくアルゴリズムが,織り込み位置を分散し,交通容量を向上させることを明らかにした.
  • 松尾 幸二郎, 杉原 暢, 山崎 基浩, 三村 泰広, 菅野 甲明, 廣畠 康裕, 安藤 良輔, 向井 希宏
    2016 年 72 巻 5 号 p. I_1207-I_1215
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/23
    ジャーナル フリー
    我が国において,強制型ISAや自発型ISAが普及すれば,生活道路における交通静穏化など,都市の速度マネジメントの新たなパラダイムになることが期待される.本研究では,助言型ISAフィールド実験に参加した被験者を対象としたSP質問調査により,金銭的インセンティブ施策(ISA搭載に対して金銭的なメリットを与える施策),ISA対象道路種別の違い,個人属性が,ドライバーのISA搭載受容性に与える影響について分析・考察を行った.結果として,助言型,自発型,強制型の順にISA搭載受容性が減少すること,生活道路のみを対象としたISAの搭載受容性が高いこと,年齢が高い程ISA搭載受容性が高いこと,金銭的インセンティブが大きくなればISA搭載受容率は増加するが,その傾きは逓減することなどが示された.
  • 矢野 伸裕, 横関 俊也, 萩田 賢司, 森 健二
    2016 年 72 巻 5 号 p. I_1217-I_1227
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/23
    ジャーナル フリー
    本研究では,自転車利用者に対し,これまで自転車歩道通行可規制によって歩道を通行していた道路において,同規制の撤廃により歩道通行が禁止され車道を通行するように交通ルールが変更になった場合を想定した聞き取り調査を行い,ルール変更後に道路のどの位置を通行するつもりであるか,またその理由についての回答を得た.その結果,ルール変更後も歩道を通行すると回答した者が多数を占め,その理由として車道通行に対する危険感が指摘された.その危険感をもたらす原因として,交通環境,道路環境,個人特性の各側面が見出された.その他の歩道通行理由として,経路の問題(遠回りの回避)や柵のため車道から移動できないことなどが指摘された.自転車利用者の諸特性の多様性の観点から受容度の高い自転車通行空間整備の対策について論じた.
  • 吉野 大介, 羽藤 英二
    2016 年 72 巻 5 号 p. I_1229-I_1239
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/23
    ジャーナル フリー
    デマンド交通の運行計画の検討にあたり,運行経路の解のバリエーションが得られることはサービス運営者にとって有効な情報となり得る.しかし,既往の列挙アルゴリズムでは経路列挙のような膨大な組み合わせが存在する際に現実的な計算時間での列挙が困難であった.
    本研究は,デマンド交通の運行経路をグラフ構造により表現し,与えられたグラフ構造の中からある制約条件を満たすような部分グラフ構造を全て列挙して,それらをZDD(ゼロサプレス型二分決定グラフ)により圧縮表現して索引化する技法について提案した.また,ZDDによって得られた列挙解を用いたネットワーク上での影響分析への適用可能性についても併せて検討を行った.
  • 谷口 綾子, 田辺 太一, 井料 美帆, 宮川 愛由, 小嶋 文
    2016 年 72 巻 5 号 p. I_1241-I_1247
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/23
    ジャーナル フリー
    本研究では,無信号交差点における歩行者と自動車の関係性について,歩行者側の積極的なコミュニケーションが,ドライバーが歩行者に道を譲る行動(協調行動)にどのような影響を与えるかに着目した仮説を措定し,実証実験で検証した.実験結果より,歩行者からの自動車への積極的なコミュニケーションは協調行動促進に有効であること,「挙手」はアイコンタクトや会釈に比べ,ドライバーが歩行者に道を譲る協調行動を誘発することが示された.また,コミュニケーション効果が期待できる自動車速度には上限があること,ドライバーが歩行者によるコミュニケーションを見て迂回する行動が観測されたが,迂回幅は30cm強であったことが示された.これらの結果は,歩行者からの積極的なコミュニケーションが,ドライバーの協調行動を誘発し交通事故低減につながる可能性を示唆していると考えられる.
  • Nguyen DUC-NGHIEM, Nguyen HOANG-TUNG, Aya KOJIMA, Hisashi KUBOTA
    2016 年 72 巻 5 号 p. I_1249-I_1264
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/23
    ジャーナル フリー
    Along with population aging phenomenon, the problems of traffic safety of elderly people is increasingly worsening. Unsurprisingly, numerous studies on this issue have been carried out. However, a meta-review to find out global trends of this has not been observed. The goal of this study is to depict an overall picture of the literature based on a meta revision of well over one hundred related studies, in which the most common findings as well as shortcoming issues are identified. A further effort is made to validate those findings in the case of Japan. The results show that aged people are at a remarkably high risk of traffic accidents largely due to their higher frequency of failures, especially among non-automobile travelers. Their failures could be often resulted from the neurological and physical impairments because of the aging effects. Analyses made on statistical data of Japan showed that Japanese older drivers were not in the same situation as their counterparts in other nations, that is they did not have a higher frequency of failures compared to their young counterparts. Interestingly, improper steering and/or braking was the most common cause of failures which result in traffic accident among the elderly, compared to careless driving of all other age groups. From these findings, suggestions for future research to improve traffic safety situation of the elderly in general, and in particular Japanese context are proposed.
  • 大塚 康司, 外井 哲志, 内倉 謙汰
    2016 年 72 巻 5 号 p. I_1265-I_1273
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/23
    ジャーナル フリー
    道路案内標識(以下,案内標識とする)は,カーナビゲーションシステムなどを含めた案内誘導システムのうち,最も基本的かつ普遍的な道路案内手段である.これまでに標識の視認性やデザインに関する研究は数多くあるが,案内誘導の効果を算定した研究は少ない.本研究では,ドライバーが出発前に予定した経路を案内標識を頼りに走行した場合に,迷うことなく目的地まで走行できる割合(以下,到達率とする)を算出するモデルを作成した.さらに仮想の道路網を作成し,上記モデルを使用して案内標識による案内誘導効果を算定するとともに,案内標識を追加して設置した場合の効果を算出した.
    本研究により,経路上で到達率が低下している箇所を特定でき,案内が不足している箇所に案内標識を設置した場合の改善効果も定量的に把握することができた.
  • 村上 友基, 井料 隆雅, 中田 諒, 萩原 武司
    2016 年 72 巻 5 号 p. I_1275-I_1281
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/23
    ジャーナル フリー
    車両検知器により得た長期の交通量データを用い,都市高速道路の交通容量の長期にわたる経年変化を評価する.交通容量は道路管理において最も重要な指標の一つであり,道路の幾何構造のような長期的に一定な要因のほかに,車両やドライバーの特性のような経年変化しうる要因にも依存して決定する.これは交通容量そのものも経年変化する可能性があることを示唆する.2003年3月から2014年6月までに阪神高速道路の車両検知器により観測された交通量と速度のデータを用い,各地点での交通容量の経年変化を推定した.容量はDrakeらの式にあてはめることにより推定したほか,1時間あたりの実績最大交通量の各暦年での99パーセンタイル値もあわせて確認した.複数の地点で経年変化を推定した結果,多くの地点で交通容量が減少していることを示す結果を得た.
  • 兵頭 知, 吉井 稔雄
    2016 年 72 巻 5 号 p. I_1283-I_1291
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/23
    ジャーナル フリー
    本稿では,時間帯の交通量の差異に着目し,道路交通センサスの時間交通量に基づいて時間帯別の交通事故リスクを算定し,同事故リスク値を用いて事故発生要因の分析を行う.具体的には,愛媛県の直轄国道のデータを対象とし,時間交通量,沿道状況と道路構造が交通事故リスクに与える影響について,各事故類型別にポアソン回帰モデルを用いて分析した.その結果,時間交通量が事故リスクに与える影響を把握するとともに,事故発生要因が事故類型によって異なるとの知見を得た.具体的には,右左折事故と出会い頭事故では,特定の交通量レベルで事故リスクが高くなること,追突事故では,時間交通量が増大するに従って事故リスクも増大すること,逆に車両単独事故では,時間交通量の増大に伴って事故リスクが減少すること,などの結果が得られた.
  • 兵頭 知, 吉井 稔雄, 倉内 慎也
    2016 年 72 巻 5 号 p. I_1293-I_1299
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/23
    ジャーナル フリー
    現在,交通事故リスクとして交通事故件数を走行台キロで除することにより基準化した「事故率」が一般的に用いられている.同指標は,高速道路などアクセスコントロールされた道路では適切な指標であると考えられるが,一般道路すなわち交差点によるアクセスが可能な道路では,交差点通過に起因する事故が多数発生していることから,事故率よりも交差点通過回数を用いて基準化した指標の方がより適切であると考えられる.そこで,より適切に一般道路での事故の起こりやすさを示す指標を考案することを目的に,走行台キロならびに交差点通過回数が交通事故発生件数に与える影響の度合いを比較分析する.分析の結果,車両相互事故・人対車両の事故では,交差点通過回数の影響が強く,一方の車両単独事故では走行台キロによる影響が強いとの結果が得られた.
  • 三村 泰広, 山崎 基浩, 安藤 良輔, 野田 宏治, 竹内 聖人, 池田 典弘, 荻野 弘
    2016 年 72 巻 5 号 p. I_1301-I_1310
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/23
    ジャーナル フリー
    道路の速度抑制策について海外に目を向けると,物理的デバイス整備が困難な地域において車両の速度超過と連動する電光掲示板(Dynamic Speed Display Sign,以下DSDS)等による方策が積極的に実施されている.効果が確認される事例もあり,わが国での適用に向けた議論は重要である.本研究は,愛知県刈谷市,豊田市のゾーン30で実施した社会実験を通じてDSDSが交通量や走行速度などに与える影響を分析することで,わが国におけるDSDSの導入推進に向けた基礎的知見を得ることを目的とする.結果としてDSDS設置による交通量変化は見られないが,設置場所前後の広範囲で有意に速度が抑制されること,表示内容により速度抑制効果は有意に変化すること,DSDS設置場所の沿道条件が効果に影響を与える可能性があることなどが明らかとなった.
  • 鈴木 康平, 佐々木 邦明
    2016 年 72 巻 5 号 p. I_1311-I_1319
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/23
    ジャーナル フリー
    道路交通に関して様々な自動観測のデータが得られるようになり,様々な状況の長期的な変動を連続して観測することができるようになった.本研究では混雑が定常的に発生する高速道路の区間所要時間に着目し,平均区間所要時間の周期的な変動は定常的なものとして扱い,それで説明ができない道路の所要時間の変動特性を分析する.区間所要時間の時系列的変動をARMAモデルで表現し,その残差の変動にGARCHモデルを当てはめ,そこから得られるボラティリティを推計した.その結果,ボラティリティの時系列的な変化をグラフィカルに示し,高速道路の非周期的な変動特性を明らかにした.
  • 藤本 宣, 谷口 綾子, 谷口 守, 藤井 聡
    2016 年 72 巻 5 号 p. I_1321-I_1330
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/23
    ジャーナル フリー
    本研究では,モビリティ・マネジメント施策において「どのような人にどのような動機付けが効いたのか」ということを明らかにすることを目的とし,心が動いたか否かを計測する「心の変化尺度」を検討した上で,首都圏在住の週三日以上クルマを使う成人520名を対象としたWEBアンケート調査を行った.
    その結果,義務的・用務的にクルマを使っている人は心が動きやすいこと,さらに,心が動きやすい人ほど環境意識・ソーシャルキャピタル・主観的幸福感が高く,BMIが低いということが統計的に示された.
    また,小さな子供がいる人には「子供の成長」,中高年には「健康」に関するもの等,個人に合った動機付け情報を提供することで,より効果的・効率的なMM施策実施の可能性が示唆された.
  • Ananya ROY, Ryosuke KOBAYASHI, Moinul HOSSAIN, Yasunori MUROMACHI
    2016 年 72 巻 5 号 p. I_1331-I_1338
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/23
    ジャーナル フリー
    Several Real-Time Crash Prediction models have been built as a tool to augment road safety since road traffic crashes are one of the world's largest public health and injury prevention problems. Crashes occurring on freeways/expressways are considered to relate closely to previous traffic conditions occurred before the crash, which are time-varying. Static Bayesian Network (SBN) model has been used in studies previously and Dynamic Bayesian Network (DBN) is a long-established extension to BNs which allow the explicit modeling of changes over time. The assumption behind the model is an event can cause another event in future but not vice-versa. Traffic is a dynamic process and time series traffic data consisting of several time intervals should be used to illustrate this dynamic process of traffic flow before crash occurrence. In this research both SBN and DBN models were built for route 4 Shinjuku Line of Tokyo Metropolitan Expressway. Twenty four DBN and 72 SBN models were built. From the six months data, 71crash and corresponding normal data were used to build the model and randomly chosen 30 crash and corresponding normal data were used for model validation process. After model building and validation, the performances of models build with BN and DBN were compared. The result shows that model built with DBN is able to predict 8.7% more crash conditions than SBN.
  • 宗広 一徳, 高田 哲哉, 石田 樹, 松田 武
    2016 年 72 巻 5 号 p. I_1339-I_1347
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/23
    ジャーナル フリー
    本研究は,「2+1車線」型道路の性能評価の実施に際し,サービスの質を表す指標として,平均旅行速度,追従車率及び追従車密度を取り上げ,付加車線の配置と得られるサービスに関する交通流ミクロシミュレーション及び実道での実測結果を報告する.路面状態は,乾燥路面と圧雪路面の2条件とした.評価指標として追従車密度を基に,積雪寒冷地2車線道路のサービス水準の構築を試行した.一定間隔で付加車線を設置することにより,乾燥路面時と圧雪路面時の両方で,2車線道路のサービスのレベルが改善することが示された.「2+1車線」型の整備が行われた国道40号更喜苫内道路(稚内市~豊富町)を事例研究とし,追従車密度を実測したところ,冬期の圧雪路面時においてもサービス水準Aが確保されていることが示された.
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