土木学会論文集D3(土木計画学)
Online ISSN : 2185-6540
ISSN-L : 2185-6540
75 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
和文論文
  • 松下 哲明
    2019 年 75 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/20
    ジャーナル フリー
     熊本地震では風評被害の低減に向け,観光客に対する助成制度(ふっこう割)が実施された.多くの観光客が利用したことが報じられているものの,施策の効果は定量的に評価されていない.そこで本研究は九州各県の宿泊観光統計を用い,ふっこう割が観光客の回復過程に及ぼした影響を分析した.
     その結果,熊本県と大分県は同じ割引率であったものの,熊本県は大分県よりも観光客の増加が少なかったことを示した.観光資源,宿泊施設,道路網など被害の有無が影響を及ぼした要因として考えられる.また,熊本県,大分県以外の地区は,復旧トレンドを大きく変化させるほどの影響は認められなかった.このような分析結果は予算規模,対象地区,割引率,割引期間など制度設計の改善に向けた基礎資料として有用と考える.
  • 三和 雅史, 大山 達雄
    2019 年 75 巻 1 号 p. 11-28
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/20
    ジャーナル フリー
     鉄道事業者では,列車の走行安全性及び乗り心地の確保のために,軌道狂い(軌道変位)を定期的に測定して管理値と照合し,必要に応じて保守するという管理を行っている.一方,脱線事故の際には,事故後の車両の挙動次第では,車両の構造物への衝突や転落等が生じると,被害規模が拡大する.よって,そうしたリスクが高い箇所を把握した上で,高リスク箇所には軌道狂いの監視や保守の優先度を上げる等の対応を行うことで,線区の安全性や信頼性を向上できると考えられる.そこで,本論文では,脱線事故の発生確率と事故時の被害リスクの推計法を提案し,これを考慮した軌道狂いの管理値や検査周期の設定法,軌道狂い保守箇所を選定するための検査・保守計画モデルを構築した.そして,実証分析により,本モデルの妥当性,適用可能性を検証した.
和文報告
  • 藤井 達哉, 岡野 圭吾, 谷口 守
    2019 年 75 巻 1 号 p. 29-37
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/20
    ジャーナル フリー
     我が国では,地方部から東京都への人口一極集中が続いており,地方部の衰退や我が国の人口減少を加速させる要因の1つであると指摘されている.この人口一極集中は,主に大学への進学と就職時に発生しており,その両方に関わる大学の存在は人口移動の施策で重要視されてきた.本調査報告では,大学への進学時と大学生の就職時の地元定着の現状を個々の大学に着目して分析している.分析の結果,1) 大学への進学から就職の間における人口流出入は,その閉鎖性や規模感も含めて地方毎に違いがあることが明らかとなった.2) また,東京都に立地する大学は多くの大学が人口流入に寄与しており,現在行われている施策のみでは,東京都への人口一極集中を抑制することが困難である可能性が示された.
  • 片山 茜, 川崎 薫, 谷口 守
    2019 年 75 巻 1 号 p. 38-46
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/20
    ジャーナル フリー
     郊外化や大型資本店の台頭,オンラインショッピングの活発化等により,地域に根付いた商業地の衰退が全国各地で発生している.一方で,秋葉原のように特化した商品の扱いによって広域的集客力を有する専門店街も存在している.本報告ではこのような専門店街の分布を全国的に明らかにすることを通じ,その販売額の実態を明らかにすることで今後の商業地の整備方針を考える際の参考情報を得ることを目的とする.成果として,商業統計と電話帳データを用いることで統一的な基準による専門店街の抽出方法を提案した.また,分析の結果,商業集積地全体と比較して,専門店街における年間商品販売額の減少率が大きいことが明らかとなった.さらに,集積の割合が高い専門店街において年間商品販売額の減少率が比較的高い傾向にあることが示唆された.
feedback
Top