土木学会論文集D3(土木計画学)
Online ISSN : 2185-6540
ISSN-L : 2185-6540
77 巻, 2 号
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特集(COVID-19と土木計画学)
特集(COVID-19と土木計画学)和文論文
  • 相馬 佑成, 小松崎 諒子, 安藤 慎悟, 谷口 守
    2021 年 77 巻 2 号 p. 113-122
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー

     近年我が国では医療需要が増加しており,患者の利便性や医療従事者の負担軽減を目的にICTやMaaSの考えを取り入れたコネクティッド・メディスンの導入が進められている.また,COVID-19流行下では感染リスク軽減の効果から積極的な活用が期待される.そこで本研究では,独自のアンケート調査から得たCOVID-19流行前後でのコネクティッド・メディスンの利用意向の変化及びその要因を分析した.その結果,1) コネクティッド・メディスンの利点として通院や待ち時間が不要になること,欠点として診断の正確性が挙げられること,2) COVID-19流行によりコネクティッド・メディスンに対する利用意向が変化し,特にオンライン診療の利用意向で高い傾向を示すこと,3) 個人属性や通院行動,診療形態等によって利用意向に差異が生じることが明らかになった.

  • 田中 皓介, 稲垣 具志, 岩田 圭佑, 大西 正光, 神田 佑亮, 紀伊 雅敦, 栗原 剛, 小池 淳司, 佐々木 邦明, 佐々木 葉, ...
    2021 年 77 巻 2 号 p. 129-140
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー

     本稿ではCOVID-19の蔓延および政府からの社会経済活動自粛要請に伴う,人々の意識行動への影響を把握することを目的にWebアンケート調査を行った.その結果,感染・死亡リスクを,現実の数倍~数千倍過大に評価している様子が明らかとなった.また,接触感染対策として効果的な「目鼻口を触らない」の徹底度合いが他の対策に比べて低く,周知活動の問題点を指摘した.さらに,緊急事態宣言に対する65%以上の支持率や,「家にいる」ことについて,「ストレス」を感じる以上に「楽しい」と感じる人が多いこと,行動決定のために参考にするのはキャスターや評論家や政治家よりも「専門家の意見」の影響が大きいことなどが明らかとなった.

  • 古屋 秀樹
    2021 年 77 巻 2 号 p. 141-150
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/20
    ジャーナル 認証あり

     本研究は,COVID-19流行下における国内旅行実施や目的地選択において重要視する要因を首都圏,近畿圏,東北地方でのWebアンケート調査データにより明らかにした.COVID-19の罹患を危惧するサンプルが74%を占め,今後1年以内の国内観光旅行実施意向を有するのは36%にとどまった.さらに,目的地選択理由の回答組み合わせパターンを抽出できる潜在クラス分析を適用した結果,9クラスに分類できること,感染症対策に関連する全要因を考慮するクラスが最も構成比率が高く(35%),2番目としていずれも考慮しないクラス(22%)が認められることがわかった.さらに,上位2位のクラスと性別,年齢階層,感染症に対する意識,同居子供の有無との関連を考察することができた.

  • 秦 康範, 佐々木 邦明, 斧田 佳純, 浅野 礼子, 鈴木 俊博
    2021 年 77 巻 2 号 p. 151-159
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/20
    ジャーナル 認証あり

     本論文は,COVID-19の感染拡大に起因する,北海道独自の緊急事態宣言,政府による一都6府県,全47都道府県を対象として発した緊急事態宣言によって,都道府県間流動がどのように変動したのかを明らかにすることを目的とする.用いたデータは,モバイル空間統計®の500mメッシュ人口の2020年1月~6月までのデータである.北海道の緊急事態宣言では,北海道の流入・流出を対象に,政府による緊急事態宣言では主に東京都を対象にその流動状況を確認した.その結果,緊急事態宣言は流動の減少に有意に関係していることを明らかにし,緊急事態宣言が解除された直後には,流動は有意に増加するが,緊急事態宣言以前と比較すると,有意に減少したままであることを示した.このように人の流動の構造の変化や,心理的な影響による制約などが結果から示された.

  • 原田 魁成, 山口 裕通, 寒河江 雅彦
    2021 年 77 巻 2 号 p. 160-173
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/20
    ジャーナル 認証あり

     COVID-19下で,人々の都道府県間旅行はどのように変化したのだろうか?この疑問に答えるには,人口分布の推定精度が高く,かつ広範囲・長期の日変動が入手できる携帯電話位置情報データが有効である.本稿では,モバイル空間統計による都道府県単位の居住地−旅行先表を用いて上述の疑問に答えていく.このとき,膨大な次元のデータに対して,スパース非負値行列因子分解を適用することで,時間変化の特徴を簡潔に分解・記述するアプローチをとっている.その結果,首都圏での通勤の抑制効果,週末の外出控え,長期休暇時の帰省の抑制および,居住地の都道府県内滞在の時系列変化を定量的に明らかにすることに成功した.さらに,残差情報から,通常時の日変動から説明できない,COVID-19による行動変容の空間的な偏在を明らかにした.

特集(COVID-19と土木計画学)和文ノート
  • 谷口 守, 岡野 圭吾
    2021 年 77 巻 2 号 p. 123-128
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー

     COVID-19の感染拡大に伴い,2020年6月に政府は「分散型国土」の推進を掲げるに至った.しかし,従来のように専門家の審議を経て閣議決定された国土計画・都市計画に比較し,その中身があいまいとなっている.概念として異なる現行のコンパクトシティ政策との距離感も不明である.本ノートでは都市機能の分散先として想定される1)地方,2)郊外,3)オンラインをそれぞれ取り上げ,それぞれの空間において分散化に対応してどのような現状と課題があるかを客観的に整理した.検討の結果,1)地方への分散方策の中身を明確化すること,2)都市圏においてコンパクト化政策に逆行するのを避けること,3)スリーマグネットの考え方を参考に,空間利用におけるオンライン化の最適点を見出すことの重要性を試論として指摘した.

和文論文
  • 織田澤 利守, 諸橋 克彦, 横山 将大
    2021 年 77 巻 2 号 p. 52-61
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル フリー

     本研究では,我が国におけるインフラ・ストック効果計測の一事例として,高速道路整備による雇用創出効果および立地促進効果の推定を行う.具体的には,1996年から2014年の間に供用開始された高速道路インターチェンジが周辺地域の雇用や事業所の立地に及ぼす因果効果を差分の差分法を用いて推定する.その際,日本全国からランダムに抽出した地点の周辺地域を候補とし,傾向スコアマッチングを用いて対照群を選定する手法を提案する.実証分析を通じて,高速道路ストック効果の空間的波及構造を明らかにするとともに,代替的な従来手法との比較を通じて提案手法の有効性を示す.

  • 馬場 弘樹, 秋山 祐樹, 谷内田 修
    2021 年 77 巻 2 号 p. 62-71
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/20
    ジャーナル フリー

     近年,自治体において空き家の空間分布の推定や,その将来予測への需要が高まりつつある.本研究では,自治体が保有するデータから将来の空き家分布を予測するための手法構築を目的とし,機械学習的アルゴリズムに基づく推定を行った.結果,以下の知見を得た.第一に,提案モデルは決定木ベースのモデルであり,欠損値のあるデータや複数の種類の自治体保有データを柔軟に扱うことが可能となった.第二に,モデルの重要な特徴量として建築年,建築面積,住宅種別などが挙げられたが,これらは既往研究での結果を支持するとともに,本手法で適切な特徴量が用いられているとわかった.第三に,本モデルにおいてメッシュ単位での空き家・居住地の的中率は約84.3%かつ全メッシュの59.4%が誤差1件以内であり,自治体内部で検討する際に十分な精度を得た.

  • 苗 璐, 野田 幸太, 高山 雄貴
    2021 年 77 巻 2 号 p. 72-82
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/20
    ジャーナル フリー

     本研究では,公共交通における規模の経済を考慮した出発時刻・交通手段選択モデルを構築する.そのために,標準的な出発時刻選択モデル1)に Tabuchi2), de Palma et al.3)を組み合わせることで,通勤者の出発時刻・交通手段選択行動,公共交通事業者の運賃選択行動をモデル化する.そして,公共交通事業者が独占的な行動をするケース,運賃が限界費用/平均費用の水準に規制されるケースの各々について,均衡状態の性質を調べる.その結果から,公共交通運賃の設定に関する規制の有無・種類が,均衡状態における公共交通の利用者数,通勤費用に与える影響を明らかにする.

  • 渡邊 大樹, 赤松 隆
    2021 年 77 巻 2 号 p. 83-96
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/20
    ジャーナル フリー

     クラウドソーシング・デリバリー(CSD)とは,個人ドライバーが予定していたトリップと同時に配送を行う配送システムである.CSDは,ラストワンマイルの配送を現在のシステムより効率化できる一方,多数のドライバーと配送業務のマッチングに膨大な計算を要するという課題がある.この課題を解決すべく,本研究ではCSDにおけるマッチング問題に対する効率的アルゴリズムを提案する.具体的にはまず,マッチング問題を階層的問題に分解する.次に,大規模となるマスター問題を仮想ネットワーク上の交通量配分問題に変形し,リンク変数のみを用いて再定式化することで,求解を大幅に効率化する.数値実験により,提案アルゴリズムは計算を劇的に(1/(ノード数)のオーダーで)効率化し,大規模なマッチングを可能にすることを示した.

  • 永迫 杏菜, 渡邉 萌, 佐藤 嘉洋, 円山 琢也
    2021 年 77 巻 2 号 p. 97-109
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/20
    ジャーナル フリー

     大規模災害の被災世帯向けの仮設住宅の立地が,その世帯の将来の居住地意向に与える影響は,十分には明らかになっていない.本研究は,2016年熊本地震における益城町を対象に,仮設住宅の居住地区と災害公営住宅希望地の関係性を明らかにする.郵送調査の分析から,震災前に集落部に居住し,市街地部や大規模な仮設団地に居住する世帯は,仮設住宅の立地場所が災害公営住宅の希望地に影響を及ぼしやすい傾向が示された.さらに益城町役場職員等へのフォーカス・グループ・インタビューにより,震災前と異なる地区を希望する要因は交通の利便性,家族関係,震災を機にできたつながり,仮設暮らし,集合住宅のイメージ,元の地域とのつながり,勤務地の7つに整理できることを示した.

和文報告
  • 片山 茜, 菊池 雅彦, 清水 宏樹, 谷口 守
    2021 年 77 巻 2 号 p. 42-51
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/20
    ジャーナル フリー

     人口減少に伴う財政的な制約等を背景として,行政の計画分野では様々な評価の取り組みが進んでいるが,その実態は十分に把握できていない状況にある.本調査報告では,都市計画行政を対象として,計画分野で行われてきた評価について,その変遷及び評価内容を整理して特徴を明らかにし,今後の評価検討の基礎的な情報を提示することを目的とする.都市計画行政に関する法律,計画,運用指針等を対象に分析した結果,評価の取り組みはa) 部分的な施設や機能の評価,b) 事業地区における計画の評価,c) 総合的な計画の評価の3つに分類され,このa), b), c)の順に評価内容の総合化,対象区域の拡大,評価期間の長期化が図られていることが示唆された.

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