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竹之内 寛至, 佐々 真志, 髙田 美音 マリノ, 舟川 勲, 高田 圭太, 野口 晋平, 金子 誓
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18002
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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本研究は,新たなCPG工法(U/D(アップダウン)施工)の細粒分混じり実地盤における,実機を用いた隆起抑制効果及び液状化対策効果向上(N値上昇),並びにモルタル固結体の出来形を従来のCPG工法(BU(ボトムアップ)施工)と比較検証したものである.
その結果,当該細粒分混じり地盤の12か所の地点隆起量の平均値は,従来のBU施工で7.5mm,U/D施工で2.4mmとなり,U/D施工によって隆起量を68%低減した.液状化対策効果では,当該地盤のGL-4.3mにおける事前・事後のSPTによるN値の増分は,BU施工で1.8,U/D施工で3.4となり,U/D施工はBU施工に対して約1.9倍のN値増分が得られた.又,当該地盤を土留め掘削して露出させた固結体を3Dスキャナで出来形計測した結果,U/D施工は従来のBU施工よりも,平均値で1.23倍,中央値にして1.41倍の換算改良径となり改良体の拡径を実証した.
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田村 眞剛, 宇多 高明, 野志 保仁
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18003
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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東京湾内の盤洲干潟を対象として,空中写真や衛星データをもとに干潟の長期的汀線変化を調べた.また,代表測線において干潟と前浜の縦断測量と底質採取を行い,これらより盤洲干潟の近年の地形変化について調べた.その上で,潮汐運動を一種の波と考え,風波の下で成立する平衡勾配の概念を干潟に適用することにより,干潟の形成モデルを構築した.現地調査と既往文献によれば,干潟面では潮汐による浮遊砂により,一方,前浜では波による漂砂により地形変化が生じている.これら両者を考慮した地形変化モデルを開発した.このモデルでは,干潟面上と前浜での砂のやり取りに伴う地形変化も計算できることが特徴である.
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倉上 桃佳, 宇多 高明, 野志 保仁
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18004
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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沖縄本島の本部半島の先端部に位置する備瀬海岸を対象として,衛星画像と現地実測により,汀線付近に形成されているbeach rockの波の作用による剥離後の移動現象を明らかにした.備瀬海岸ではbeach rockが波の作用で剥離した後,剥離片が岸向きに運ばれつつ,沿岸漂砂によって南向きに運ばれた.その実態をもとに,BGモデル(Bagnold概念に基づく 3次元海浜変形モデル)を用いてbeach rockの剥離・移動を考慮した3次元海浜変形予測モデルを構築した.剥離したbeach rock片は,礫浜と同様に大きな平衡勾配を有すると仮定することにより,波によるbeach rock片の移動予測が可能となった.備瀬海岸を対象とした計算によれば,計算結果と実測結果はよく一致した.
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宇多 高明, 木村 恵一, 清水 考幸, 皆川 裕貴, 水野 静, 繁原 俊弘
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18005
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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酒匂川河口の西側に位置する小田原漁港海岸(御幸の浜)の東部は,酒匂川河口デルタの変動に伴う汀線変化と,酒匂川河口方向へ向かう沿岸漂砂の減少による汀線後退が同時に起きている.この海岸東端部の山王川河口付近では,浜幅が狭い上汀線沖に海底谷が迫り,急深な海底地形となっている.このため2019年10月12日襲来の台風19号時には河口部で著しい越波が起きた.本研究では,酒匂川河口デルタの東部までを含む区域を対象として,空中写真と衛星画像の比較,および代表断面における底質調査により海浜変形について調べた.これを基に粗粒材を用いた養浜による浜幅の回復方法について考察した.
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中田 祐希, 宇多 高明, 野志 保仁
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18007
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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岩瀬らの提案による,等深線変化モデルを応用した河口沖テラスの発達モデルに代わり,BGモデル(Bagnold概念に基づく3次元海浜変形予測モデル)を用いて,波が斜め入射する条件下での,河口沖テラスの地形変化モデルを構築した.その際,茨城県涸沼の親沢鼻砂嘴の北東端部に流入する小河川を対象として河口部地形に関する現地観測を行い,これを検証データとした.その上で,波が斜め入射する条件下での,河口沖テラスの発達機構のシミュレーションを行うとともに,河口導流堤の位置と形状の変化が河口部の地形変化にもたらす影響を明らかにした.
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宇多 高明, 高橋 幸一, 大木 康弘, 横田 拓也, 高橋 紘一朗
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18008
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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湯河原海岸の北東部には,長さ約850mの吉浜地区の砂浜があるが,この砂浜の南西端近傍では波向変動に起因する汀線変動が起きている.また,2019年10月12日襲来の台風19号時には高波浪の作用により急激な沖向き漂砂が発生した.しかしその後の静穏波の作用により海浜の復元が進んだ.本研究では,BGモデルにより波向変動に伴う汀線変化と,台風19号時の侵食機構を解析した.この結果,波向変動や高波浪の襲来により前浜が消失しても,その後の通常波浪の作用により前浜が復元されること,したがって構造物が破壊されて危険な状態になっている場合を除けば,侵食直後の状況より災害復旧の必要性を早急に判断せず,砂浜の回復状況を待って判断することが望ましいことを明らかにした.
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宇多 高明, 柴田 光彦, 大木 康弘, 村田 昌樹
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18012
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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常陸那珂港の東防波堤は,現況と比較して2032年までにほぼ南側に350m延伸され,全長が5,650mから6,000mとされることが港湾計画で決まっている.これに伴い,東防波堤と磯崎漁港の南防波堤の間からの侵入波は,その入射方向が現況と比べ右回りに回転し,現況汀線に立てた法線に対する波向角が増す.この結果北向きの沿岸漂砂が強まるので,阿字ヶ浦海岸の保全上十分な検討が必要となった.そこでこのような状況変化を考慮して,BGモデルを用いた地形変化の再現計算と,対策後の地形変化予測を行った.検討の結果,東防波堤が延伸される条件下でも,既設南離岸堤の南側に不透過離岸堤を新設し,その背後で3万m3の養浜を行えば阿字ヶ浦海岸南部で砂浜を回復可能なことが分かった.一方,海域の閉鎖性を減じるためには北離岸堤の撤去も有効なことが指摘された.
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白 可, 三好 俊康, 吉田 誠, 三浦 成久, 松本 正一郎, 肥後 陽介, 音田 慎一郎, 澤村 康生
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18016
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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著者らは,洋上風車モノパイル式基礎(以下,MP)の周囲にひと回り大きな円筒形の水中制震版(以下,制震版)を一部水中に没水させて設置し,外力を受ける際に制震版がMPとともに水平方向に振動する際の制震版と水の相互作用により,MPの断面力を低減させる構造を提案している.水中振動台を用いた模型振動実験から,MPに作用する断面力が低減することが確認されているが,制震機構の一つと考えられる水による抵抗の定量的な評価方法は課題として残されている.そこで,本研究では水による外力をモリソン式で表現し,運動方程式の減衰項をダンパー要素で簡易的にモデル化し,梁ばねモデルによる模型振動実験結果の再現解析を行った.解析の結果,モリソン式を適用したモデル化方法は概ね実験結果を再現できることを確認した.
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金子 智之, 笠間 清伸, 藤井 照久, 木村 康隆
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18017
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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砂質地盤の液状化対策を目的として締固め工法により改良された地盤は,改良対象地盤の土質の不均質性等の理由により,改良後𝑁値が目標𝑁値に達していないことがあり,空港施設のように改良範囲が大きく,かつ土質が複雑な施工現場では,チェックボーリング毎に𝑁値が異なり,改良ブロック全体としての評価が困難なケースもある.そこで本稿では,部分的に目標𝑁値に達していない締固め改良地盤に対して,液状化抵抗率(以下,𝐹𝐿)の分布をランダム場理論で表現した上で,有限要素法を用いたモンテカルロシミュレーションにより改良後地盤の不均質性を考慮した支持力及び変形解析を行った.その結果に基づき,大規模地震時に空港に求められる性能である航空機荷重に対する地盤の支持力や滑走路表面の変形(勾配)の照査手法を提案した.
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Tracey H. A. Tom , 間瀬 肇, 池本 藍, 武田 将英, 竹内 慶高
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18019
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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本研究は,災害発生時あるいは海上工事施工中の波浪状況をほぼリアルタイム(約1時間以内)で把握できる波浪ハインドキャストシステムを開発するものであり,外部領域の波浪モデルとしてWAVEWATCH III(WW3),日本近海に用いる波浪モデルとしてSimulating WAves Nearshore(SWAN),精度の高い風データとして30分毎に配信される水平解像度2kmの三十分大気解析GPVを使用する.本研究で構築したリアルタイム波浪ハインドキャストシステムによる実際の追算値を数ケ所の波浪観測値と比較して精度検証した結果,精度の良い追算値が得られることがわかった.
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梶川 勇樹, 川谷 萌佳, 黒岩 正光
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18020
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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本研究では,津波の土砂輸送に伴う地形変化が瓦礫の輸送・集積に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし,両者を考慮した数値解析モデルを開発するとともに,津波襲来時における港湾内および遡上域周辺での瓦礫輸送現象を対象に数値解析的検討を行った.港湾内における瓦礫輸送を想定した検討から,瓦礫が接地しない条件の場合,港湾内瓦礫残存率が低くなる可能性を示した.また,一様斜面上における瓦礫輸送を想定した検討から,陸域での瓦礫残存率に対する地形変化の影響は比較的小さいことを示した.ただし,陸域奥部における瓦礫集積に対し,地形変化ありでは更に奥部に瓦礫が集積する可能性を示した.以上の結果から,実現象においても細砂で海底が構成される港湾や沿岸部では,瓦礫の輸送・集積予測に対して地形変化を考慮する必要性を指摘した.
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富安 良一, 規矩 大義, 高木 泰士, 菅野 高弘, 荒木 健人, 松原 恭博, 小宅 知行, 石原 一郎
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18021
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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津波・高潮による浸水から港の施設,背後地を守る方法として,近年,景観を損なわず港口を締切ることができる海底設置型の可動式防潮堤が注目を集めている.筆者らは港口部の海底面以深にニューマチックケーソン式基礎工を設置し,この中に昇降ゲートを格納し,津波時に上昇させる「可動式昇降ゲート」の研究開発を進めている.これらは巨大地震とその後に来襲する津波に対して倒壊せず,港内および背後地を防護することが求められる.本論文では地震動から津波までの一連の荷重を連成解析し,同構造を設置した場合の津波防護効果および安全性を評価する手法を提案した.南海トラフ地震後に津波の来襲が想定されるコンビナート港湾をモデルとして,本手法で構造解析を行った結果,「可動式昇降ゲート」が地震と津波の両外力に対して安全であることがわかった.
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田中 智宏, 池野 勝哉, 奥田 一弘
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18023
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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鋼管矢板基礎の継手管を対象に,せん断ずれに対する抵抗特性に着目した載荷実験を実施した.継手は内面が縞鋼板仕様である鋼管を用いたP-P形である.実験は押抜きせん断方式により2組の継手に鉛直方向のせん断を与えた.継手の嵌合状態を実験パラメータとし,嵌合状態は中立状態である標準嵌合に加え,継手管同士が競り合う2種類の圧縮嵌合,および離れ合う2種類の引張嵌合の計5種類とした.実験の結果,同じP-P形状の継手であってもその嵌合状態によってせん断ずれ特性である剛性およびせん断力は変化した.継手管同士が接線方向にのみ移動する嵌合状態のせん断ずれ特性は標準嵌合と同程度であったが,片方の継手管の回転を伴う嵌合状態はせん断ずれ特性値の向上あるいは低下が確認された.
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高橋 英紀, 土田 雄大, 佐々木 均, 栗原 大
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18024
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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洋上風車の資機材搬出用の港湾では,自航式SEP船が岸壁に停泊しレグ先端のスパッドカンを海底面に着底させるが,その載荷荷重は50~250MNなどと極端に大きなものである.このため,レグ着底後に岸壁に有害な変位が残留する可能性があり,地表面付近の地盤を砕石に置き換えて支持力を増加させる対策が検討されている.しかしながら,砕石置換した地盤は一様ではないためにTerzaghi式に派生する一般的な支持力公式による支持力評価が難しい.本研究では,始めに遠心力場において砕石層を含む地盤に鉛直載荷実験を行い,支持力特性を把握した.次いで,実験で得られた支持力を推定することを目的に,円弧すべり計算法を利用した支持力評価を試みた.その結果,係数を調整した円弧すべり計算を用いることで支持力の推定精度を高められることを示した.
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岩部 然育, 土井口 華絵, 加藤 英紀, 片山 美可, 髙橋 大二朗, 渡辺 謙太, 伴野 雅之, 石野 芳夫
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18025
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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CO2吸収源として注目されている藻場の分布を詳細に把握するために,輪島港においてグリーンレーザ測量である航空レーザ測深(ALB)を用いて計測を行った.CO2吸収量を算出する際には,藻場の面積を用いて算出することが多いが,生物量の指標としての藻場体積をALBによる点群データから算出する方法について検討した.ALB取得データの従来のフィルタリング手法では,水中ノイズと藻場を判別することが困難であったが,ALBで取得した点群データそれぞれが持つ反射強度を用いることで,水中ノイズと藻場を判別できることが示された.反射強度を用いて判別した藻場データと海底地盤データより,計測範囲内での藻場の生育面積,平均藻場高,藻場の体積,藻場の平均被度を算出が可能であり,藻場把握方法としてグリーンレーザ測量の有効性が示された.
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三好 俊康, 清宮 理, 吉田 誠, 松本 正一郎
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18026
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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洋上風力発電設備の着床式基礎に多く用いられているモノパイル式基礎について,昨今では陸上フィールド試験の実施と3次元FEM解析との比較で,梁ばねモデルを拡張した欧州産学官プロジェクト”PISA”により,根入れ長を可能な限り短くする傾向にある.このプロジェクトでは砂地盤と粘土地盤で単調載荷試験が実施され,推奨されるフィールド試験ではモノパイルを模擬した直径1~2m程度の鋼管杭を用いる等,資材や計測項目が大規模なため実施は容易ではない.
そこで模型実験の適用が考えられるが,地盤を含む構造物の動的応答では1G場相似則と遠心場相似則を組み合わせた拡張型相似則の研究例があるものの,静的挙動に拡張相似則を適用した事例はない.そこで,本論文では遠心載荷試験による単調載荷試験を対象とした拡張型相似則の適用に着目して,杭の剛性や根入れ長の違いによる模型実験を実施し,水平地盤ばねを用いた梁ばねモデルを用いた再現解析を実施した.その結果,根入れ長3/βの静的応答は再現されたが,根入れ長1/βと2/βについては,より修正した解析方法を検討する必要があることがわかった.
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山口 和貴, 加古 真一郎, 山城 徹
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18027
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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FVCOMを用いて,DR_EpとMSM予報データから志布志湾の海況を予測する高分解能数値計算モデル(SBモデル)を開発した.SBモデルの出力結果に基づく水温,塩分,流速分布は高い解像度を有し,SBモデルは漁場探索に非常に有効であることを示唆した.さらに,計算結果と観測結果の比較により,湾口部の水温と湾奥部の塩分に関して,SBモデルの再現性が良いことを示した.
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田村 勇一朗, 山﨑 彩花, 田中 裕一
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18030
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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港湾の脱炭素化に向けて建設資材由来のCO2削減が大きな課題であり,低炭素型材料の開発や実用化が求められている.一方で,カルシア人工石は浚渫土や製鋼スラグ等の副産物から製造した代替石材でありCO2排出量はコンクリート等と比べて低い特徴がある.本研究では,このカルシア人工石に炭素素材を添加・固定することでCO2吸収型人工石(炭素固定人工石)の開発を試みた.炭素固定人工石は一定範囲の添加量では軟石や準硬石相当の強度を示し,適度にCO2固定した製鋼スラグで置換すると強度増加が認められた.またワカメを用いた海域生育試験ではコンクリート同等以上の生長が確認され藻礁ブロック等への適用可能性が示唆された.脱炭素の観点では,藻場造成工事に導入することで,施工・共用後の合計排出量は-20t-CO2とカーボンネガティブになる試算結果が得られた.
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中村 倫明, 鷲見 浩一, 小田 晃
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18031
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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本研究では2024年に発生した能登半島地震を発端とした津波来襲による被害実態を明らかにするために,能登半島北西部の沿岸域を調査対象領域として,港湾施設の被災状況や津波来襲に伴う痕跡高,ならびに港内の地盤隆起などの被害についての調査を行った.
その結果,赤崎魚港では,漁港施設建物内壁にある津波痕跡を確認し,浸水深約2.35mから痕跡高が約4.2mと推定した.黒島漁港と輪島港では,海底地盤の隆起を確認した.特に,黒島漁港では,港口における海底地盤が隆起した鉛直方向の距離は約3.7mで,港湾内全てが陸上となっていた.これらの情報と衛星画像及び航空レーザー測量による地理情報を組み合わせると,能登半島西側における地盤の隆起は,津波被害を軽減する要素として働いたことが分かった.一方で,海底地盤の隆起は津波の波速,波高に対し,ほとんど影響を及さなかったと考えられた.
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栗原 明夫, 原 知聡, 倉原 義之介, 武田 将英, 間瀬 肇
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18032
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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着床式洋上風力発電基礎(モノパイル)の洗掘防止工には,石材を用いた工法が多く用いられているが,一括架設による工期短縮を目的として,大型で透水性を有する高強度防砂シートを洗掘防止工(フィルター層)として用いる工法が考えられる.本研究では,海底に敷設したシートを剛体とみなし,CADMAS-SURF/3D V1.5を用いた数値実験を行い,シートに作用する揚圧力について検討した.不透過シートでは,海底面とのわずかな隙間ができると大きな揚圧力が生じる.透過シートでは揚圧力は小さく,さらに隙間を小さくすることで揚圧力の大幅な低減を図ることができる.このためシートの錘には変形に追随性が高いチェーン等が適する.錘の所要質量は,透過シートは不透過シートの約1/20の質量で安定し,透過シートのほうが洗掘防止工として優位性は高い.
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森田 浩史, 高淵 稔貴, 岸本 豪太, 大賀 智史, 竹中 寛, 氏家 誠, 広瀬 壮兵, 村木 義和
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18033
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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近年,生産性向上の観点から,締固めを必要とする高流動コンクリートの土木構造物での利用促進が期待されている.また,脱炭素化に向けた動きが加速する中,締固めを必要とする高流動コンクリートを適用することで,施工時間が短縮されたことから,建設機械の稼働に伴うCO2排出量を削減できる可能性がある.本報は,締固めを必要とする高流動コンクリートが生産性に及ぼす効果と,建設機械のCO2排出量の削減効果について実施工で調査を実施した.その結果,締固めを必要とする高流動コンクリートの適用により施工性が改善され,生産性を向上できることが示唆された.また,施工性の改善による施工時間の短縮が建設機械の稼働時間の減少に繋がるため,建設機械に起因するCO2排出量は削減できることが明らかとなった.
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増田 和輝, 辻本 剛三, 神田 泰成, 金澤 剛
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18034
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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近年,海岸工学や海洋学では機械学習・深層学習といったデータ駆動型アプローチが注目され,計算コストや精度の限界への対応が期待されているが,物理法則に基づいた信頼性の確保は難しい点が指摘されている.これに対し,物理法則を取り入れた機械学習モデルが開発され,本研究ではその一手法である Physics-Informed Neural Networks (PINNs)を用いた波の伝播に関する数値解法の代替モデルの適用性と学習手法を検討した.一様勾配斜面での線形長波理論に基づいたPINNsによる推算と理論値が一致し,推算時間は高速であることが確認された.また,学習時の配置点数(Collocation points)の増加は学習時間が増大するが,推算精度向上に寄与することが確認でき,学習コストとモデル性能を考慮した1波長あたりの適切な配置点数の指標を示した.
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中村 孝幸, 佐伯 信哉, 村上 剛, 郭 德杰
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18035
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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直立堤の堤頭部捨石マウンドには,大別して等深線がほぼ直角に交差して稜線を形成する直交型と等深線が円弧状に滑らかに接続する円弧型の2種類がある.本研究は,これら2種類のマウンド形状による港内波浪の静穏化効果への影響について数値解析的に検討した.この事前検討として,マウンド形状による波高変動への影響を知る目的から,従来において実験的ならびに理論的な結果が知られている球面浅瀬モデルと新規に直交型に類似の正方形浅瀬モデルの両者を対象にして,浅瀬背後の波高増幅特性などについて検討を加えた.その結果,正方形浅瀬は,球面浅瀬に比較して集波効果が顕著であることや,直交型捨石マウンドは円弧型のそれに比較して港奥側に部分的ではあるが高波高領域を形成しやすいことなどを明らかにした.
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山下 真奈, 川端 雄一郎, 中村 菫, 松村 聡, 佐々木 均
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18036
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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港湾工事の脱炭素化に向けては,港湾構造物建設時のCO2排出量算定や傾向分析が行われ,それらの結果を踏まえたCO2排出量削減方策の検討が進められている.一方で,ライフサイクルアセスメントの観点では,構造物のライフサイクル全体で生じるCO2排出量を対象に削減方策の検討を進める必要があり,構造物の供用中や供用後の解体・撤去等によるCO2排出量の把握が不可欠である.
本研究では,港湾構造物のライフサイクルで生じるCO2排出量を把握するため,実在する護岸をケーススタディとして,エンボディドカーボンを試算・評価した.また,護岸を解体・撤去後に同一断面の護岸を新たに建設することを仮定し,1世代目の護岸解体で発生した石材や土砂等を2世代目の護岸の建設材料に再利用することによるCO2排出量の削減効果を試算した.
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粟津 進吾, 土田 孝, 井出 啓昭, 笹倉 博行, 畠 俊郎
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18037
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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自然含水比(液性限界程度)の海成粘土を用いたカルシア改質土の強度を適切に評価するため,ハンドミキサーと強制二軸ミキサーによる室内配合試験を実施したところ,自然含水比の粘土は流動性が低いため,ハンドミキサーでは強度が小さく評価された.そこで,少量の試料で実施できる配合試験方法の提案を目的に,①ホバートミキサーの使用,②粒径10mm以上の改質材の除去,③直径50mmの供試体の使用,の組み合わせを検討した.その結果,攪拌翼を改造したホバートミキサーでは,強制二軸ミキサーと同程度の強度が得られることが分かった.また,粒径10mm以上の改質材は28日強度への影響が小さいこと,直径100mmと50mmの供試体は良好な強度相関があることから,供試体の寸法効果を適切に補正すれば強度評価できることが分かった.
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小嶋 郁也, 木下 裕貴, UMI Sholikah , 日比野 忠史
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18038
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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干潟には,潮汐を起因とした空間的,時間的に異なる特性を持つ海水が侵入する.干潟へ遡上する底層水には多種の懸濁有機物質,溶存有機物質が含まれており,干潟環境への影響が大きいと考えられる.酸化還元電位(ORP)は海水に溶存するイオンや懸濁物質電極との酸化還元反応の電位を示すため,酸化還元物質の干潟環境への影響を見積もる指標になる.一方で,繊細な膜を用いるORPセンサーは生物が生息する現地環境での連続測定には適していない.本論文では,干潟環境への遡上海水の影響を測定するORPセンサーの開発を目的とし,干潟遡上海水に対する干潟環境の変化の測定できる装置の開発を可能にするために電極反応特性を把握した.
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淺井 貴恵, 三枝 弘幸, 早野 公敏
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18039
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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著者らはポリマー凝集剤が及ぼす土粒子間の架橋吸着作用に着目し,天日乾燥や機械脱水などの既往技術に比べて簡易で経済的な浚渫発生土の減容方法を検討している.本研究では,ポリマーを添加混合した浚渫発生土の排水性を明らかにするために種々の室内実験を実施した.その結果,試料やポリマーの違いなどによって混合土の排水性は異なるものの,一定条件のもとでポリマー添加混合により短期の排水を促進できること,浚渫発生土の活性度が添加混合直後のごく初期段階での排水しやすさに影響することを明らかにした.さらには圧密試験を通じて,対象土に比べて混合土の圧密係数及び透水係数が低下することが確認されたが,これはポリマー添加混合後の排水促進傾向とは整合しない結果であった.そのため,初期の顕著な排水は,フロック形成時に取り込まれなかった余剰水が排出されたものと考察された.
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三井 順, 久保田 真一, 田中 真史, 高橋 英紀, 栗原 大
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18041
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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消波ブロックを用いた腹付工のケーソン転倒に対する抵抗力の基本的な特性を明らかにすることを目的として,遠心模型実験を実施した.気中での静的載荷実験により,ケーソン転倒時の腹付工の挙動を確認するとともに,抵抗モーメントの測定を行った.傾斜角の増大に伴い抵抗モーメントは増大する傾向であるが,傾斜角が大きくなると腹付工の変形により繰り返し作用する外力に対する初期の抵抗力が低下することがわかった.しかし,0.5度程度の小さな傾斜角であれば腹付工の変形は小さく,補強効果が保たれることが確認された.抵抗モーメントに及ぼす腹付工形状の影響については,全体のブロック個数が同じであれば腹付工の形状による影響は比較的小さい.ただし,腹付工の高さについては2層厚よりも高くするのが効果的である.
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横田 雅紀, 羽田野 袈裟義
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18042
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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海岸侵食対策として設置されている潜堤の課題である潜堤背後の水位上昇および沖向き流れによる洗堀に対し,潜堤の天端部分のみの構造形式である平板式の潜堤を提案し,水理模型実験および数値実験により,高波減衰効果,構造物背後の水位上昇抑制効果,沖向き流れの抑制効果について検討を行った.その結果,潜堤の天端長と同程度の平板式潜堤は潜堤に近い消波効果が期待できることを確認した.さらに,潜堤の堤体部分に流れに対する透過性を有する開口部を設けることで,水位上昇を抑制できること,沖向きの流速を低下させる効果があることを明らかにした.また,平板式潜堤ほどの大きな開口率ではなく50%以上程度の開口率でも水位上昇については低減が可能であるものの,沖向き流速は透過断面が大きいほど流速を低下するため,洗堀防止の観点からは平板式潜堤が特に効果的であることが確認できた.
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中村 友昭, 趙 容桓, 水谷 法美
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18043
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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黒い津波を模して底質としてカオリンを予め混合した水をゲート急開により開放して段波状の津波を発生させた既往の水理実験を対象として,底質の混合による流体の見かけの密度と粘度の変化を考慮可能な数値計算モデルFS3Mによる再現計算を行った.水理実験結果との比較により,水位,鉛直壁への持続波圧,持続波圧による鉛直壁への波力の観点から同モデルの再現性が確認できたものの,サージフロント波圧の再現性には課題を残す結果となった.また,持続波力により生じる鉛直壁への最大波力は,清水時の最大波力に底質を含んだ水の見かけの比重を掛けた値と比較して,低濃度時は大きくなる場合があり,高濃度時は小さくなることが分かった.したがって,津波時の浮遊砂濃度として 7%を想定するならば,ASCE 7やFEMA P646の基準を支持する結果が得られた.
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中村 友昭, 片岡 壱織, 竹山 俊介, 趙 容桓, 水谷 法美, 倉原 義之介, 武田 将英
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18044
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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マウンドや既設ケーソンが近接している据付時に浮遊状態にある新設ケーソンに規則波と一方向不規則波を作用させる水理実験を実施し,浮遊ケーソンの動揺低減対策としてのFlume式減揺タンクの効果を検討した.規則波実験より,Heaveの無次元全振幅は,同調が生じるHeaveの固有周期近傍の入射波周期において,減揺タンクに搭載する自由水の増加とともに小さくなることが分かった.Pitchの無次元全振幅は,入射波周期によらず,自由水の搭載により小さく抑えられることが判明した.Rollの無次元全振幅は,短周期の条件では自由水の影響は小さく,長周期の条件では入射波周期や自由水の搭載量によって変化が異なることを確認した.同様の傾向は一方向不規則波実験からも確認できた.以上より,本実験で用いた減揺タンクは据付時のPitchに対して減揺効果があることが判明した.
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内間 淑乃, 菊池 菜々子, 増田 涼, 高木 結花, 村上 和仁
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18045
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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東京湾沿岸域を対象としてマイクロプラスチック現存量を調査した結果,計14地点において採取した砂泥サンプルからマイクロプラスチックが検出された.さらに,東京湾最奥部の谷津干潟に生息する二枚貝類のホンビノスガイを対象として消化器系に含まれるマイクロプラスチックとホンビノスガイの個体サイズの関連性,マイクロプラスチックを添加した摂食実験から偽糞の排出量および偽糞中のマイクロプラスチック含有数を計数し,生体機能としての水質浄化能力,および生態系への影響について検討した.排出された偽糞から添加したマイクロプラスチックが検出されたが,ホンビノスガイ体内からは検出されなかった.また,マイクロプラスチック摂食に伴い濾過水量が増大し,生体機能への影響が示唆された.
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高橋 英紀, 後藤 友亮, 國方 康史, 山野 俊介
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18046
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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海岸堤防の形式の1つに重力式があるが,既設の基礎や矢板が埋設されていたりして複雑な構造になることが多い.この場合,津波来襲時の基礎地盤での浸透は複雑であり,不飽和浸透問題になることに加えて,空気が閉じ込められて空圧が発生することも想定され,その挙動の解明は進んでいないのが現状である.本研究では,越流するような大きな津波が来襲した際の堤防を対象に,地盤の浸透にも着目した遠心模型実験を実施した.その結果,堤体下部の砕石層が水に満たされる前であっても,砕石層内部の空圧が高まって揚圧力となり得ることや,砕石層下部の砂地盤から砕石層へのパイピング破壊の発生やその対策について示した.また,越流によって堤体の背後地盤が洗掘され,地盤破壊が生じて堤体が動くことも示した.
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田中 裕一, 田村 勇一朗, 山﨑 彩花
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18047
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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カルシア改質土は,浚渫土と製鋼スラグを混合した材料であり,埋立材,干潟・浅場の造成材,深堀跡の埋戻材等として使用されている.製鋼スラグは鉄鋼製造工程における副産物であるため,カルシア改質土もCO2排出量が少ない材料であるが,さらに脱炭素化を進める方法として,カルシア改質土の製鋼スラグにCO2を固定したり,炭素含有物を混合し炭素を固定する方法が考えられる.
そこで,配合試験を行い,CO2を固定した製鋼スラグを使用したカルシア改質土についてCaCO3含有率6~8%では強度が増加すること,炭酸カルシウムやバイオ炭を混合したカルシア改質土では強度が増加することを確認した.また,材料のCO2排出量の試算を行い,CO2固定スラグを使用したカルシア改質土やバイオ炭を混合したカルシア改質土ではカーボンネガティブとなることを確認した.
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土居田 祐希, 西内 大智, 和田 聡一隆, 日比野 忠史
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18048
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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GCAを用いて造成された干潟(GCA干潟)において,下水系の有機汚泥(下水汚泥)の浄化を実現している.GCA干潟では,下水汚泥の砂径化が有機物の難分解性化を助長して生態活動を促進させている.本研究では下水汚泥が継続的に堆積して,還元的な状態にあるGCA干潟での生態系再生を促進するGCAの効果(難分解性化を伴う砂径化機構)の解明を目的とした.干潟生物調査と堆積泥の有機組成の性状分析を実施し,生物活動と有機物の難分解性化を伴う砂径化機構の関係を見出した.堆積泥の性状分析では,燃焼減量法(IL₃₀₀法)に基づいた堆積泥の燃焼温度帯ごとの有機物量,元素組成,粒度分布の分析,酸分解試験を実施した.
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辻本 剛三, 澁谷 容子
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18050
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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鳥取砂丘海岸では,海岸保全対策として人工リーフの設置や養浜などが施工され,平成29年度に人工リーフの設置が完了した.平成29年以降に新たに実施された深浅測量の結果を追加して解析を行った,汀線の解析には経験的直交関数(EOF),岸沖断面地形にはCSHOREモデルを使用した.人工リーフ設置完了後も汀線はほぼ安定した状態であり,西側の鳥取砂丘側と東側の人工リーフ側ではカスプ等の凹凸地形の波数に相違が見られた.鳥取港で観測される波浪の波高の上位5%の波で算定した底質の移動限界水深が現地に適切に対応していることが明確となった.CSHOREモデルによる検討では妥当な結果が得られなかったため,平面2次元の扱いやパラメータの検証が必要であることが明らかとなった.
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小谷野 陽平, 小林 薫, 神澤 実優, 米山 俊一, 松元 和伸
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18052
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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地盤内への降雨浸透を制御する技術の1つとして,上層に細粒な土,下層に粗粒な土を敷設した層状のキャピラリーバリア(以下,CBと記す)地盤がある.CB地盤を構成する粗粒な土の代替材として,破砕した貝殻が利用できることが報告されている.近年増加する短時間強雨時における堤防を含めた盛土の安定性向上に向けた対策工として注目される貝殻型CBの降雨浸透抑制機能の評価を目的とした.貝殻型CBを構成する破砕貝殻は,扁平な粒子形状で異方透水性や不飽和浸透特性の1つである間隙結合パラメータが明らかにされていない.本研究では,室内土槽実験および飽和-不飽和浸透流解析により,計測結果を再現できる2つのパラメータを数値実験的に同定した後,フィールド実験での破砕貝殻層への散水実験を基に同定した値の検証し,その妥当性を確認した.
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飯干 富広, 吉塚 尚純, 石原 拓也, 平山 隆幸, 河村 裕之, 大熊 康平, 高橋 英紀, 栗原 大
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18054
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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防波堤の転倒に対するカウンターウエイトブロック(以下,CWB)腹付工の補強効果を見込んだ設計を可能とするための基礎的な知見を得ることを目的に,CWB腹付工断面形状や構造等の違いが転倒に対する補強効果に及ぼす影響について遠心模型実験を用いて検討した.その結果,CWB腹付工の断面形状は,階段状断面とすることが望ましいことを示した.ただし,ケーソン壁面とCWB腹付工が密着している場合,1回目の転倒作用後にはケーソンとCWB腹付工に隙間が生じるため,2回目以降の転倒初期には抵抗モーメントがほとんど生じなかった.あらかじめケーソン壁面とCWB腹付工の間に間詰石を設けることで,繰り返し転倒作用に対する補強効果の改善に寄与することを示した.なお,大幅な転倒に対しては,間詰石天端高が徐々に低下し,補強効果も小さくなっていく点は課題である.
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久崎 諒也, 岡田 舜啓, 菊池 喜昭, 石丸 太一, 持田 祐輔, 笠原 宏紹
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18055
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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ジャケットと鋼管矢板で構成される土留め付きジャケット式岸壁において,岸壁の延長方向に直交する方向に鋼管矢板を追加配置して構造系全体の剛性を高めたコ字型の構造が提案されている.本構造のような変断面壁体の水平抵抗メカニズムを明らかにするため,模型水平載荷実験を実施し,高剛性の杭模型の水平抵抗挙動や壁体の一部のみ剛性を高めることによる効果を検討した.その結果,高剛性の杭模型は荷重が増加すると転倒や地盤に対して相対的に抜け上がることが分かった.また,部分的に剛性の高い部分を作ることで全体剛性を高めたコ字型の土留め壁模型は,同一剛性の直線の土留め壁模型より少ない鋼材量で大きな抵抗力を発現した.
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鈴木 樹, 鈴木 高二朗
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18056
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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熱帯及び亜熱帯圏の諸外国では,マングローブ林を防災機能として活用する取り組みが盛んであり,技術支援の観点からもマングローブ林の調査及びその防災効果の検証は重要である.しかし,従来のマングローブ林を対象とした測量はレベル測量が一般的であり,時空間的に広大なスケールを持つマングローブ林及びその周辺地形の変化を追随するのは難しい.本研究では,石垣市名蔵湾に植生するマングローブ林及びその周辺地形を対象として,RTK-UAVを用いた写真測量を実施した.これより,マングローブの樹形諸量(樹高分布,胸高直径,支柱根)が現地計測と良く一致することを確認するとともに,樹高分布の把握ならびに3Dモデルの作成を行った.また,マングローブ林の沖側及び岸側での堆砂傾向について要因の考察を行った.
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中平 達也, 川端 雄一郎, 中村 菫
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18060
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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港湾工事の脱炭素化に向けた取組は「カーボンニュートラルポート(以下,CNP)」形成の中に位置付けられることが望ましいとされている.港湾構造物建設時のCO2排出量の削減を効率的に進めるにあたり,設計段階でCO2排出量を簡易推定できれば,具体的な低炭素化方策やその効果を評価する上で有効である.
本研究では,まず,6つのPC桟橋を対象として建設時のCO2排出量を算定し,傾向分析を行った.また,設計段階で活用することを想定し,PC桟橋上部工のCO2排出量の簡易推定手法の検討を行った.傾向分析の結果,排出量の多くを材料由来が占め,CO2排出量と鋼管杭の総質量に相関関係が見られた.また,提案した簡易推定手法を用いることで,65~87%の精度で上部工建設時のCO2排出量を推定することができた.
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松居 俊典, 山本 貴史, 玉置 哲也, 末永 慶寛
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18061
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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CO2吸収源となる海草藻類は「ブルーカーボン」として地球温暖化の抑制効果が注目されている.しかし,瀬戸内海では長らく様々な要因による藻場の減少によって,生物資源も減少の一途を辿っている.近年は全国各地で藻場造成の技術開発が盛んに実施され,人工的な藻場の創出が望まれている.本研究は,流動制御機能を有した人工魚礁(藻場造成構造物)の水理実験による定量的な評価と沈設後の機能評価によって,既存技術に対する優位性を確認した.そして,人工魚礁による生物蝟集効果と炭素固定量および二酸化炭素削減について検証を行い,新たな藻場造成技術の開発を目的とした.
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三浦 成久, 三好 俊康, 吉田 誠, 水野 辰哉, 田口 裕之, 肥後 陽介, 音田 慎一郎, 澤村 康生
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18063
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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風車の大型化に伴い,洋上風力発電において主要な基礎形式であるモノパイル(以下,MP)は,特に日本では地震荷重の増加により大型化する傾向にあり,SEP船での施工などが課題となっている.MP基礎の地震時断面力を低減させる構造の一案として,MPの周囲を覆う円筒形の水中制震版(以下,制震版)を一部没水させて設置する構造が提案されている.しかし,制震版設置箇所は既存のMPに比べ,外径増大による波浪作用増大が懸念され,波浪の影響検討が課題である.本研究では,制震版を有するMP基礎の耐波浪性能について,水理模型実験と動的解析に基づくMP基礎基部の曲げひずみの比較により考察した.その結果,制震版を有するMPには,基礎設計上で通常想定する外径増大等による影響以外には耐波浪性能に悪影響がないことが確認された.
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菅原 法城, 竹信 正寛, 野津 厚, 山田 雅行, 長坂 陽介
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18065
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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港湾で用いられている地震観測に依らないサイト増幅特性[SAF]の評価法としては,常時微動観測に基づき対象施設設置地点のピーク周波数を考慮できる評価法[手法1],手法1に加えて冪関数でピーク高さも補正する評価法[手法1’],港湾と周辺の強震観測点のSAFの経験的関係を利用する評価法[手法2]がある.本研究では,全国27地点を対象に,それらの評価法で評価されたSAFと,対象地点と周辺の強震観測点での同一地震の観測に基づく評価法[手法0]で評価されたSAFの乖離を,港湾構造物への影響の大きい0.2~2.0Hzを対象に,SAFの差の二乗の和[SSE]等の指標で評価した.SSEでの評価の結果,手法1が最も手法0に近い結果を与えることを示した.一方,手法1,1’では,手法0で評価されたSAFを良く再現できない場合があることが分かり,その要因と実務設計での留意点を示した.
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吉田 誠, 白 可, 三好 俊康, 三浦 成久, 松本 正一郎, 肥後 陽介, 音田 慎一郎, 澤村 康生
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18066
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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著者らは,洋上風車モノパイル式基礎の周囲にひと回り大きな円筒形の水中制震版を一部没水させて設置する制震構造を提案している.本構造は,振動時の水との相互作用によりモノパイルに生じる地震時断面力の低減を期待するものであり,水中振動台実験によりその効果が確認されている.しかし,その制震メカニズムは十分には明らかにされていない.そこで本研究では,制震機構の一つとして水中制震版-モノパイル間の水の液面動揺に着目し,制震版の周辺を抽出した模型振動実験を実施して液面動揺による振動特性について検討した.検討結果より,液面動揺による流体力が地震時抵抗力として寄与すること,数値解析において液面揺動による流体力を質点,ばねおよびダンパーでモデル化できる可能性があることを明らかにした.
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髙橋 佑弥, 竹中 寛, 高淵 稔貴, 水谷 征治, 合田 和哉, 白庄司 健之, 常盤 敏
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18067
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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昨今,建設現場における生産性を向上させるため,桟橋などの港湾構造物に対してもプレキャスト化の期待が高まっている.著者らは,杭式桟橋の上部コンクリートにプレキャスト工法を活用した場合の,ループ継手を応用した新規な杭頭接合工法を提案している.本研究では,現場打ちコンクリートの施工範囲を縮小して海上作業を削減するため,ループ半径を鉄筋の最小曲げ半径とし,直線重ね継手部を設けないループ継手について,その実用性を検討するための実験的検討を行った.小型の試験体を用いた要素実験と杭頭接合部を模擬した逆T型試験体を用いた交番載荷実験の結果から,当該工法を適用したプレキャスト接合部は,ループ継手内部の横方向鉄筋を多く配置すること,ループ鉄筋量を増量することで想定荷重に対して十分な耐力および変形性能を確保できることを確認した.
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佐藤 樹, 高橋 英紀, 栗原 大
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18068
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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近年,洋上風力発電設備の積み出しのための基地港湾の岸壁構造として,深層混合処理工法によってブロック状あるいは格子状の壁体を構築する岸壁構造が多く採用されている.大型の洋上風車の資機材を搬入する岸壁では大きな荷重の作用が想定されるため,どの程度の荷重までであれば搬入可能かを決定しうる統一的な地耐力評価法が必要とされているが,固化処理土の地盤(改良体)については,地耐力の評価法はおろか,その破壊モードについても十分な整理がなされていない.本研究では,半無限状態の改良体を想定した場合の地耐力評価法を構築することを目標として,遠心力場で鉛直載荷実験を行い,改良体の母材の圧縮性に基づく破壊モードの違いを明らかにし,改良体の一軸圧縮強さから地耐力を評価する手法を提案した.
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中村 友昭, 内藤 龍之介, 趙 容桓, 水谷 法美, 山野 貴司
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18069
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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着床式洋上風力発電基礎周辺の洗掘の評価における数値解析の活用に向けた取り組みとして,モノパイルとサクションバケットの周辺に生じる洗掘の検討を行った山野・古畑(2022)の水理実験を対象に,波と地形変化の相互作用を解析できる数値計算モデルFS3Mによる再現計算を行った.その結果,モノパイルや開口部のない斜材付きのサクションバケットの場合には,波作用後の無次元最大洗掘深,最大洗掘深の発生位置,堆積の発生位置については再現性を確認でき,斜材のないサクションバケットや開口部のある斜材付きのサクションバケットの場合には,最大洗掘深の発生位置と堆積の発生位置については再現性を確認できた.ただし,それ以外の点では再現性に課題を残す結果となり,移動床のパラメータのキャリブレーションによる再現性向上の必要性が示された.
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上田 剛士, 犬塚 秀世, 市村 欣也, 杉村 佳寿, 吉江 宗生, 安部 智久
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18070
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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近年,コンテナターミナル(CT)は,貨物輸送量の増加や労働力不足に対処するための生産性向上と,カーボンニュートラル社会実現のための脱炭素化が求められている.「コンテナ立体格納庫」を用いたCTは,コンテナ蔵置段数の増加,荷繰り不要化,分散蔵置による荷役作業の平準化等の利点を持つが,その荷役効率を詳細に分析した研究は少ない.本研究では,供用中の立体格納庫式CTの類型化及び特性分析を行った上で,数値シミュレーションにより蔵置容量・荷役速度・CO2排出量を定量評価した.その結果から,ある条件下において高い蔵置容量及び本船荷役速度を実現する段数や,荷役機械及び動作別のCO2排出量を明らかにした.また,それらを踏まえ,立体格納庫式CTの更なる蔵置容量増加やCO2排出量削減等の荷役高度化の方向性を提案した.
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本多 顕治郎, 宮﨑 航, 小林 薫
2024 年80 巻18 号 論文ID: 24-18071
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/31
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近年,循環型社会への転換が求められ,廃資源の循環的利用の促進は急務である.廃資源の一つに水産系副産物であるホタテ貝殻があるが,産業廃棄物に分類され,処理費用の面で活用は進んでいない.この点で,建設資材としての利活用が期待されるが,軽量なホタテ貝殻(破砕貝殻)は,砂の代替材としての活用も限定的で,十分な活用とは言い難い.一方,破砕貝殻は,粒径等の調整で高透水性を確保できることから,地震時の間隙水圧消散工法への適用が期待できる.
本研究では,室内振動台実験により,破砕貝殻を用いる間隙水圧消散工法の柱状ドレーン内の地震時の過剰間隙水圧に対する粒子浮上について検討した.その結果,破砕貝殻の柱状ドレーンは間隙水圧の消散に有効であり,加振時にも粒子浮上せず,ドレーンの機能を維持することを明らかにした.
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