土木学会論文集
Online ISSN : 2436-6021
80 巻, 8 号
通常号(8月公開)
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構造工学,地震工学,応用力学
論文
  • 片山 智貴, 村越 潤, 野上 邦栄, 岸 祐介
    2024 年80 巻8 号 論文ID: 23-00126
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/08/20
    ジャーナル フリー

     近年の地震において鋼I桁橋の支点部に座屈・変形等が発生し,地震後の交通供用に支障をきたす事例が報告されている.地震時水平荷重に対する鋼I桁橋の耐荷性能評価に関する研究はこれまでにも行われているが,上部構造の耐荷力について構成部材の損傷過程を踏まえて検討した例は依然として少ない.本研究では,既設鋼I桁橋を対象として,地震水平荷重作用時の上部構造の損傷挙動と限界状態,及び支点部の構造細目の耐荷力への影響を明らかにするため,橋軸・橋軸直角方向に対して上部構造のプッシュオーバー解析を行った.その結果,水平荷重に対する構成部材の損傷過程を示すとともに,橋軸直角方向載荷では耐荷力が相対的に低く,端対傾構構成部材の座屈と主桁ウェブギャップ部の降伏・変形により,上部構造の変位が急増すること等を明らかにした.

  • 楊 沐野, 謝 嘉靖, 貝沼 重信, Cai Lianheng , 唐 堅
    2024 年80 巻8 号 論文ID: 23-00250
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/08/20
    ジャーナル フリー

     鋼部材と炭素繊維シートの接着特性は,素地調整法や養生温度などの施工条件により変化する.しかし,これらの条件が炭素繊維シートの接着特性に及ぼす影響については不明な点が多いため,補修・補強の設計や施工条件を最適化することは困難である.本研究では素地調整法が鋼素地の表面性状と付着特性に及ぼす影響を明らかにした上で,鋼板と炭素繊維シートのせん断強度を検討した.また,養生温度が含浸樹脂の硬化速度,機械的性質,熱特性および繊維への浸透性に及ぼす影響を検討した.さらに,初期等温硬化モデルを構築し,熱履歴に関する樹脂のガラス転移過程を推定することで,後硬化による樹脂の各物性の改善効果を評価した.これらの知見に基づき,CFRP補強部の接着性能を向上させるための施工条件を提案した.

ノート
  • 張 広鋒, 山本 一貴, 石原 陽介, 林 大輔, 原 紘一朗
    2024 年80 巻8 号 論文ID: 23-00251
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/08/20
    ジャーナル フリー

     長期における接着系あと施工アンカーの耐荷性能に関する基礎資料の収集を目的に,首都高速道路の橋梁から撤去された施工後39年経過したポリエステル樹脂を用いたあと施工アンカーの載荷実験および耐荷性能の検討を行った.アンカーボルト単体や群効果の引張実験での破壊形態は樹脂とコンクリートの界面の付着破壊もしくは付着破壊とコンクリートのコーン破壊の複合破壊であり,最大荷重は既設アンカーと同等な新設アンカーの実耐力や付着耐力の計算値(部材係数考慮なし)よりも低いことを確認した.ただし,最大荷重は施工当時の設計に用いた付着耐力の設計値を大きく上回っており,設計上の耐荷性能を確保できていると考えられる.

河川・海岸・海洋工学と水文学
論文
  • 梶原 伸治, 大森 勇輝
    2024 年80 巻8 号 論文ID: 24-00047
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/08/20
    ジャーナル フリー

     これまで起重機船を用いた海上工事における吊荷の動揺に関して,MBD(Multibody Dynamics)の船体と吊荷の連成運動計算が行われているが,線形近似に基づくポテンシャル理論をベースとした非粘性流体力を仮定した流体力を用いている.そのため,外洋に面した離島港湾などの非線形性の卓越した波が生じる場合には適用が困難である.そこで,本研究では,乱流モデルや重合メッシュを使用したCFD(Computational Fluid Dynamics)ソルバーとMBDソルバーを統合した船体と吊荷の連成運動シミュレーションシステムを開発した.開発した解析システムの精度の検証のため,水理実験も実施し,波浪場での船体と吊荷運動の時間発展を解く双方向弱連成解析手法の精度が十分に確保されていることを確認した.

地圏工学
論文
  • 伊藤 真司, 清水 浩之, 大野 進太郎, 高山 裕介
    2024 年80 巻8 号 論文ID: 24-00030
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/08/20
    ジャーナル フリー

     放射性廃棄物の地層処分施設の設計検討では,建設・操業段階から閉鎖後長期にわたって生じ得る現象を考慮した力学挙動評価が求められる.このような背景のもと,長期力学解析コードMACBECEの開発を進めている.本研究では,廃棄体の発熱や地下水による再冠水などの過渡的な現象を考慮できるように,不飽和土の弾塑性構成モデルや,熱伝導/浸透流解析との連携機能を導入することで,過渡期から長期まで一貫して評価できる解析コードを構築した.そして,幌延深地層研究センターにおける原位置試験の再現解析を実施し,計測データとの比較・分析により妥当性を確認した.その結果,二次元解析の制約による乖離が一部みられるものの,機能拡張した解析コードは計測データを良好に再現できることがわかった.

  • 牛田 貴士, 佐藤 武斗, 倉上 由貴, 松丸 貴樹
    2024 年80 巻8 号 論文ID: 24-00067
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/08/20
    ジャーナル フリー

     都市部の掘削工事で用いられる掘削土留め工は,土留め壁の変位や応力に加えて,盤ぶくれ等の掘削底盤の安定も含めて設計される.地盤改良は一般的な盤ぶくれ対策のひとつであるが,部分的に改良した掘削底盤の挙動が不明確であるため全面改良する場合が多い.そこで本研究では,格子状に改良した掘削底盤を対象に,模型実験と二次元土‐水連成FEMを用いたシミュレーション解析により底盤挙動の解明を試みた.それにより,格子状改良の非改良部が同じ掘削幅の底盤と同様に挙動する特徴を明らかにした.また,その知見を踏まえて鉛直方向の荷重釣合いを指標とした簡易な計算手順を整理して,格子状に地盤改良した掘削底盤の盤ぶくれの試算例を示した.

土木計画学
論文
  • 中尾 聡史, 樋野 誠一, 毛利 雄一, 白水 靖郎, 片山 慎太朗, 東 徹, 藤井 聡
    2024 年80 巻8 号 論文ID: 22-00042
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/08/20
    ジャーナル フリー

     近年,自然災害の中でも,特に,南海トラフ巨大地震や首都直下型地震といった巨大地震が,人的・物的にも甚大な被害をもたらす可能性があることが報告されている.しかし,巨大地震がもたらす長期的な国民所得・国民総生産の被害についての予測は十分になされていない.そこで,本研究では,阪神淡路大震災の被災状況を踏まえつつ,南海トラフ巨大地震ならびに首都直下型地震がもたらす長期的な経済被害についての推計を試みた.その結果,南海トラフ巨大地震,首都直下型地震の20年経済被害は,それぞれ1048兆円,678兆円と推計された.

  • 阿部 俊彦, 傍島 靖葉, 菅野 圭祐, 武田 史朗
    2024 年80 巻8 号 論文ID: 23-00167
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/08/20
    ジャーナル フリー

     琵琶湖東岸では,洪水対策のための湖岸堤が建設され,堤防の上の車道が整備され,湖岸には都市公園や自転車道などが整備された.一部の湖岸では,もともとの自然護岸が撤去され,新たに人工的な景観が生まれている.しかし,各市の景観計画には自然景観の保全の重要性について明記されているが,湖岸堤によって新たに形成された人工的な景観の評価については触れられていない.本研究では,自然景観に限らず,湖岸堤によって形成された人工的な景観の実態とその構成要素を把握し,SD法による印象評価実験により,湖岸景観の印象に影響する要因と,その評価の多様性を明らかにすることを目的とする.

  • 中島 聡志, 田中 伸治, 松行 美帆子, 安部 遼祐
    2024 年80 巻8 号 論文ID: 23-00208
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/08/20
    ジャーナル フリー

     バス停の安全性を向上させるためにバス停の移設又は廃止などが行われているが,一般運転者を対象としたバス停での注意喚起策の普及は見られない.また,これまでの研究・調査ではバス停での横断歩道外横断が着目されてきた.本研究では,バスの陰からの横断やバスに乗ろうとした横断に着目してバス乗降客の横断の実態を明らかにし,一般運転者を対象とした注意喚起策を普及させることを目指す.バス車内からの観測調査を実施した結果,駅前バス停ではバス前後10mでの横断率が高いことが示唆された.重回帰分析では,規制速度が30km/hの場合,信号機が遠い場合,道路反対側に無信号交差点等がある場合で,バス前後10mでの横断率が高くなると明らかになった.本分析結果を踏まえ,無信号交差点でのバス対向車に向けた路面表示などを提言した.

  • 峰嵜 悠, 菊池 雅彦, 大沢 昌玄
    2024 年80 巻8 号 論文ID: 23-00257
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/08/20
    ジャーナル フリー

     本研究では,土地活用が課題となる東日本大震災の被災地域における土地区画整理事業実施区域を対象に,実態が明らかになっていない土地区画整理事業完了後の土地情報の提供の取り組みの分析を行った.

     その結果,土地利活用促進策は,復興事業完了後の主要施策となっていること,土地情報を公開するとともに,宅地建物取引業者との連携が進む傾向があること,復興事業における地権者との関係性を活かし,定住促進策として組み合わせて実施することで,より効果的に施策を進められることが明らかになった.

     これらのことから,今後の災害復興においては,発生する空き区画への対応として,復興事業の体制及び情報を活用していくこと,事前復興として,平時より土地利活用促進策に取り組むことなどが参考になる可能性があると示すことができた.

報告
  • 菅原 遼, 杉山 洋太
    2024 年80 巻8 号 論文ID: 23-00290
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/08/20
    ジャーナル フリー

     本研究では,全国の造船所及び造船所跡地の立地分布を把握した上で,立地状況に応じた跡地利用と水域の利用状況を捉えた.造船所及び造船所跡地は西日本を中心に分布しており,立地状況としては,比較的中心市街地から離れた遠隔地に立地し,特に造船所跡地は工業系の土地利用もしくは用途地域が定められていない場所に立地していた.また,造船所の跡地利用の傾向としては,中心市街地及び最寄り駅から近い場所に位置している造船所跡地が転用される傾向が確認できた.造船所跡地の転用事例の一部では,水際の公園施設や船舶の係留施設等の海際立地の特性を活かした空間利用が図られていた.

土木技術とマネジメント
論文
  • 塩見 康博, 出口 智宏
    2024 年80 巻8 号 論文ID: 23-00106
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/08/20
    ジャーナル フリー

     本研究は交差点情報のデジタル化に向け,空中写真に基づくセマンティックセグメンテーションによる車道や歩道,区画線などの交差点構成要素の自動判別を行うとともに,推定精度への影響要因を明らかにしたものである.まず,地上解像度5cmの空中写真に対して複数のモデルによって精度比較を行った結果,畳み込み層を有さないSegFormerを用いることで高精度な推定が可能であることを示した.また,白線がかすれている交差点では精度が低下するほか,4枝以上の交差点,工場地域に位置する交差点では推定精度が向上することがわかった.入力データの頑健性に関し,地上解像度10cmであれば,地上解像度5cmと比べて遜色ない精度での推定が可能である反面,地上解像度が分かっていない場合には,正確に識別できない可能性があることを明らかとした.

  • 松下 文哉, 竹内 茂, 朝田 英之, 松原 昌幹, 宮岡 香苗, 宮崎 文平, 小澤 一雅
    2024 年80 巻8 号 論文ID: 23-00150
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/08/20
    ジャーナル フリー

     建設施工段階の様々なニーズに応える新規サービス創出を促進するためには,アプリケーションとデバイスやアプリケーション同士を繋ぐ基盤システムを構築することが重要である.本研究では,この基盤システムとアプリケーションをAPI連携する基盤の開発に主眼を置く.特にWebアプリケーション等で利用されるRESTful APIに着目し,RESTful APIを公開及び利用可能な環境構築を目指す.本研究では,API連携基盤に求められる要件を定義するとともに利用フローを整理し,これを満足する機能を開発し,実装されたAPI連携基盤に対してシナリオテスト及び負荷テストを行い定義した要件や機能を満足することを確認した.

環境と資源
論文
  • 櫛田 陽明, 古市 昌浩, 中久保 豊彦, 山崎 宏史
    2024 年80 巻8 号 論文ID: 23-00231
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/08/20
    ジャーナル フリー

     浄化槽分野の脱炭素化に向けた温室効果ガス(GHGs)排出量の削減案及び方向性を検討するため,1990年度から2030年度にかけ,日本国内の浄化槽の技術開発と普及状況の変遷を踏まえた浄化槽の設置基数の推計に基づくGHGs排出量のシミュレーション解析を行った.その結果から推測される,BAUシナリオに基づく2030年度における浄化槽分野全体からの温室効果ガス排出量は,2013年度に対して-25%となり,エネルギーシフトによるエネルギー分野のGHGs排出量の46%削減を加味しても43%の削減に留まり,国内目標(2013年度比46%削減)は達成されないと試算された.そのため,浄化槽分野では,さらなるGHGs削減を指向した技術開発と新たな普及施策が必要であると考えられた.

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