土木学会論文集
Online ISSN : 2436-6021
81 巻, 13 号
特集号(地震工学)
選択された号の論文の73件中1~50を表示しています
特集号(地震工学)論文
  • 小野 祐輔, 佐々木 萌絵
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13470
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     本研究では,斜面の法肩に生じる永久変位に対して,断層付近で観測されるパルス性地震動の特性が与える影響について,二次元弾塑性有限要素解析を用いて検討した.パルス性地震動を特性化したモデル波として,指向性パルスにはRicker wavelet,フリングステップには1サイクルのSine波を用い,斜面に水平方向の加速度として入力した.最大加速度を揃えてRicker waveletと1サイクルのSine波の作用する向きが法肩の永久変位に与える影響を比較すると,低地に向いた慣性力が後半に働くように1サイクルのSine波を入力した場合に最大となった.また,入力の向きを変えることで法肩に生じる永久変位の差は,Ricker waveletではパルス振動数が低いとき,1サイクルのSine波では高いときに大きくなった.

  • 羽場 一基, 澤田 昌孝, 堀 宗朗
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13471
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     本稿では,令和6年能登半島地震で確認された陸域の地表変状に対して,地殻変動に伴う岩盤の応力変化に基づき,浅部岩盤の破壊可能性を評価した.食い違い弾性論を用いて,地殻変動に伴う変位分布を評価し,浅部岩盤の応力分布を算出した.次に,岩盤の特性からせん断強度を推定し,せん断強度とせん断応力の比である局所安全係数を評価した.その結果,珠洲市若山川付近で観測された地表変状の周辺は局所安全係数が1以下となった.これは,浅部岩盤が破壊されたことを意味し,当該地表変状が副断層起因である可能性が示唆された.一方,富来川南岸断層付近は局所安全係数が5以上となった.そのため,浅部岩盤の破壊は考えづらく,当該地点の地表変状は副断層として発生した地表地震断層ではないことが示唆された.

  • 当山 英俊, 井上 和真, 上田 恭平, 佐々木 智大
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13472
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     本研究では,水平2方向地震動を受ける飽和砂地盤を対象とした1G場振動台実験の結果を3次元動的有効応力解析に基づいて再現を試みた.3次元動的有効応力解析では,2方向加速度応答スペクトルが同等で軌跡特性の異なる1種類の水平1方向地震動と2種類の水平2方向地震動を入力とした.過剰間隙水圧の消散を考慮できるモデルを使用した3次元動的有効応力解析では,実験で観察された過剰間隙水圧の上昇および消散過程を再現できた.また,過剰間隙水圧の消散を考慮しないモデルを使用した解析でも過剰間隙水圧の上昇過程を適切に再現できることがわかった.さらに,いずれのモデルでも,実験と同様に水平2方向地震動入力時の方が水平1方向地震動入力時よりも過剰間隙水圧が上昇しやすくなった.このことから2方向入力に対する妥当性を確認した.

  • 小早川 博亮, 石丸 真, 平賀 健史
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13474
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     岩盤斜面のすべり・変状の抑止工に用いるロックアンカーの定着部において,強震時に引張り破壊が生じることがある.この引張り破壊がアンカーの力学特性に及ぼす影響を調べるために,割れ目を含む人工岩盤にアンカーを設置した模型を用いて引抜き試験と遠心力載荷模型実験を実施した.岩盤は人工岩盤のブロックを組み合わせることでモデル化・作製し,境界面を引張りによって生じた破壊面と仮定した.引抜き試験により,拘束圧の効果と割れ目のかみ合わせによりアンカー力の低下は抑止されることが分かった.さらに,遠心力載荷模型実験の結果から,アンカー荷重と変位の関係を整理し,割れ目の有無によるアンカーの動的変形特性を考察した.極限アンカー力を超えない弾性範囲では,割れ目の有無によって動的変形特性に顕著な差は認められなかった.

  • 中野 壮士郎, 松田 泰治, 梶田 幸秀
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13477
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     軟弱地盤上に橋台を建設する際,軟弱地盤対策として橋台背面にEPS盛土を設置する場合がある.本研究では,ラーメン式橋台背面にEPS盛土を適用した実規模橋梁のモデル化を行い,その地震時挙動を解析的に検証した.橋梁は道路橋示方書に基づき,実際の設計と同様の手順でモデル化した.検討の結果,ラーメン式橋台背面にEPS盛土を適用した場合には,既往の逆T式橋台の研究結果と同様に,鉄筋コンクリート製の床版敷設位置において,橋台には通常の裏込め土の土圧よりも卓越した衝突力が作用することが確認できた.さらに,コンクリート床版の一部をEPSブロックに置き換える対策工により,コンクリート床版敷設位置の地震時衝突力を低減できることを確認した.

  • 忍田 祥汰, 岡久 武史, 倉知 禎直, 西岡 英俊, 山栗 祐樹, 吉田 広基, 太田 颯樹
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13478
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     昨今ケーソン基礎は施工技術の向上により小断面で根入れを深くすることが可能となっており,狭隘な箇所等で橋梁基礎としての採用が増加している.本研究では根入れのあるケーソン基礎の地震後の累積的挙動や力学的特性に着目し,ケーソン基礎模型を用いて根入れ比と死荷重安全率(鉛直死荷重に対する極限支持力の比)をパラメータとした水平載荷実験をアルミ棒積層体中で実施した.その結果,根入れのあるケーソン基礎底面の極限支持力は,実験時に計測されたケーソン基礎底面の最大地盤反力度に対して過大に算出されており,残留変位が発生する可能性があることがわかった.本論文では,死荷重安全率と根入れ比を考慮したケーソン基礎底面の極限支持力および有害な残留沈下の発生を回避するための基礎底面反力モーメントの限界値の算定法を提案する.

  • 小松 怜史, 松尾 豊史, 渡部 龍正, 布施 貴朗, 堀見 慎吾
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13479
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     本論文では上層を乾燥状態,下層を飽和状態とした密な砂地盤に埋設された円形立坑模型の遠心載荷実験の挙動解析を行い,数値シミュレーションの適用性を検証した.また,実際の円形立坑の各種条件(立坑の剛性,砂地盤の相対密度,排水条件)を考慮して,砂地盤の奥行幅が円形立坑の地震時応答に及ぼす影響を数値モデルで分析した.結果,砂地盤および円形立坑の物性値などを適切に設定すれば,地盤および円形立坑の応答を概ね評価できることがわかった.また,コンクリートのひび割れ前で円形立坑の剛性が大きい場合,砂地盤奥行幅を円形立坑の直径程度以上確保すれば,円形立坑の応答を適切に評価できることが分かった.一方で,コンクリートのひび割れ後のように円形立坑の剛性が低く,砂地盤奥行幅が狭い場合,立坑の応答を過大に評価した.

  • 七里 蒼, 伊野 将矢, 西岡 英俊, 島田 貴文, 土井 達也, 井澤 淳
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13480
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     開削トンネル等の地中構造物は,その耐震設計において構造物と地盤の相互作用を適切に評価する必要がある.その相互作用は,開削トンネルの躯体(以下,函体)のせん断剛性Gsと地盤のせん断剛性Ggの比率(以下,剛性比Gs/Gg)に大きく依存するため,地盤の非線形性や函体表面の滑動も考慮した条件での基礎的な実験として,アルミ棒積層地盤を用いて静的に地盤にせん断変形を生じさせるせん断土槽中に剛性を任意に設定可能な函体模型を埋設した模型実験を実施した.その結果,滑動を考慮せず地盤を等価線形でモデル化していた既往の知見に比べて,函体に作用する相互作用力や切り欠き力が低下することが確認された.既往の知見にその低下を考慮する補正係数を導入する手法を提案し,ひずみ伝達特性の実験結果が適切に評価できることを確認した.

  • 野本 将太, 池本 宏文, 阿部 慶太
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13481
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     筆者らは,基礎補強による剛性増加と減衰機能の付与を目的として,摩擦力による増し杭の接合方法(以下,摩擦接合杭)を,1G場での1/20模型実験により検討してきた.摩擦接合杭は,フーチングの両側面に摩擦接合面を設け,そこに圧縮力を導入する構造である.本研究では,提案する摩擦接合杭について,実構造物スケールにおいて,部材の非線形性を考慮した挙動を検証するために数値解析を実施した.提案する摩擦接合杭は,実スケールにおいても通常の増し杭工法と比較して,最適導入摩擦力付近で振動卓越周期を維持しつつ,最大応答加速度を抑制した.躯体に損傷が発生するケースにおいても,提案工法は初期剛性の増加による応答値の増加はあるが,摩擦接合バネの摩擦損失エネルギーにより,通常の増し杭補強時に比べ躯体の損傷を抑制した.

  • 柴田 大介, 田端 優憲, 竹信 正寛, 野津 厚, 小濱 英司, 大矢 陽介, 宮田 正史, 志賀 守, 石野 芳夫
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13482
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     令和6年能登半島地震により被害を受けた金沢港の御供田1号岸壁(控え直杭式矢板式)を対象として暫定供用に向けた残存耐力評価を行った.地震後に利用可能な情報として天端残留水平変位を用い,骨組解析およびFLIP解析により残存耐力評価を行った.本事例は,地震による変状を受けた岸壁の暫定供用に向けた残存耐力評価にFLIP解析を適用した初の事例である.FLIP解析による残存耐力の評価には,地盤そのものの残留変位を考慮できるという利点があり,本事例においては特に控え杭の評価においてこの利点が明確に表れた.今後は,物流上重要な矢板式岸壁と桟橋について,地震後の暫定供用可否の判断を迅速に行うための準備として,事前にFLIP等による解析を行い,天端残留水平変位と部材応力との関係を求めておくことが強く推奨される.

  • 山口 和英, 高田 祐希, 永井 秀樹, 堀見 慎吾, 河井 正
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13483
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     液状化地盤の応答に関する数値解析の検証は,一般に遠心載荷実験における加速度や過剰間隙水圧等の限られた計測値による検証であり,液状化現象の支配的なメカニズムに着目したさらなる検証が期待される.そのような検証では,地盤のせん断応力に基づく検証が有用である.地盤のせん断応力を評価する方法としてペアの土圧計による推定方法が提案されているが,構造物が存在する密な地盤等への適用性検討が残されている.本論文では,RC円形立坑や盛土が存在する密な地盤の遠心載荷実験において,ペアの土圧計による地盤のせん断応力推定と二次元有効応力解析との比較を試みた.その結果,ペアの土圧計により構造物等が存在する密な地盤のせん断応力を推定できること,せん断応力に基づいた数値解析の検証が可能となることを確認した.

  • 桐山 貴俊, 福武 毅芳
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13484
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     粒子・要素混合法を用いて,崩壊までを考慮した盛土の地震応答解析を実施し,盛土の補強工配置の変形抑制効果と崩壊形態について解析的に検討した.遠心場模型実験を再現可能な盛土の解析モデルを用いて,新たに補強工をモデル化し,補強工の配置に着目したパラメトリックスタディを実施した.解析結果による盛土天端部の崩壊形態は,補強が十分な場合に沈下,補強が不十分な場合に沈下・傾斜,無対策あるいは補強効果のない場合に沈下・傾斜に加えて段差が生じる結果を示した.また疎な間隔で配置したネイリングに対し法枠工を設置すると変形抑制効果が向上することを解析的に示した.一連の検討結果から補強工のない無対策の状態における盛土の崩壊範囲を事前に推定し,適切な根入れ長,配置密度で補強工を施工する重要性が解析的に示された.

  • 堀見 慎吾, 永井 秀樹, 高田 祐希, 山口 和英
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13485
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     筆者らは密な砂礫地盤中に構築されたRC円形立坑を対象として遠心載荷実験と再現解析を行い耐震性能照査方法の構築に取り組んでいる.遠心載荷実験では連続的に3波加振しているのに対し,既往の再現解析ではそれぞれの単独波加振として解析の適用性を検討している.今回,非線形性を有する地盤および構造物への連続加振による影響を確認するために遠心載荷実験と同様に連続加振した再現解析を行い,連続加振の影響が僅かであり,単独波加振で評価可能であることを確認した.また,飽和地盤のモデル化の違いによる地盤と構造物の応答を検討し,構造物の耐震性能照査では構造物の保守的な評価ができるような適切な地盤モデルを選定する必要があることが分かった.

  • 竹川 遊大, 佐藤 武斗, 松丸 貴樹
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13487
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     近年,降雨災害により鉄道盛土が被災する事例が多く発生しており,迅速な盛土復旧が求められる.応急復旧時に使用された大型土のうを撤去することなく本復旧できれば,工期・工費の短縮につながることから,本研究では,大型土のうを用いた応急復旧構造およびその前面に覆土を構築した本復旧構造の地震時挙動を把握するための模型振動台実験を実施した.応急復旧構造においては,土のうが下面を支点に上部が大きく振動し,土のうにのり面側への残留変位および沈下が生じた.覆土を行った本復旧構造では,覆土の厚みが小さい表層付近での土のうの応答が大きく,覆土部および背面盛土に変状が生じた.本復旧構造は被災前に比して耐震性が低下していることが考えられ,土のうと地盤の一体性を高める対策工を検討する必要があることがわかった.

  • 千葉 明裕, 藤井 武, 八木 一樹, 東宮 真琴, 上原 隆宏, 鈴木 信夫, 宮下 健一朗
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13488
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     能登半島地震により,七尾港の各岸壁は多大な被害を受けた.大田地区の2号岸壁及び同地区の物専岸壁は,概ね同時期に建設され構造が同じ矢板式であるにもかかわらず,地震時の被害に大きな差が生じた.そのため,現地調査により被害状況を検証し,液状化対策の有無や控え構造の違い,土質特性に着目し,地震時挙動と被害の差の要因について検討を行った.次に,再現地震動を使用した2次元地震応答解析を実施し,適切なパラメータを設定することで両岸壁の地震時挙動と変形を再現できることを示した.また,潜水による詳細調査結果から矢板の曲げモーメントの推定方法を示し,この結果から矢板の健全度評価を行った.最後に推定法と再現解析による曲げモーメントの比較を行い,両結果が概ね整合することから健全度評価結果が妥当であることを示した.

  • 栗間 淳, 大澤 捷瑛, 江 孟源, 村田 拓海, 清田 隆
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13490
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     本研究では,近年カーボンストックを実現し,気候変動緩和への効果が期待されている丸太杭圧入工法を小規模な施設や宅地に対して浅層改良工法として適用するため,1G場の振動台実験および針貫入試験を行った.同一の液状化層厚に対して改良深度を変更し,杭長が液状化対策効果におよぼす影響を明らかにすることを目的とした.実験の結果から,杭圧入により鉛直と側方方向に密実化効果があること,構造物沈下は杭長が短いケースでも無改良に比べ抑制されること,また,杭の長さによっては地盤の側方変位が抑制されることでより沈下が抑えられることが示された.

  • 三橋 祐太, 秦 逸平, 永田 聖二, 宮川 義範, 山野井 悠翔, 熊田 広幸
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13492
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     東北地方太平洋沖地震以降の基準地震動の増大に伴って,原子力発電所の耐震安全性に対して従来の保守的な評価を高度化することが必要となっている.破砕帯による局所的な変形の影響を受けるRC構造物の挙動については未解明な部分も多く,評価手法の構築が求められている.我々は岩盤内に位置する破砕帯と交差する仮想的な実規模トンネル構造物を対象とし,一連の実用的な耐震安全性評価を実施した.破砕帯の応答ずれ量算出のための動的地盤応答解析と,限界ずれ量算出のための静的RC非線形解析をそれぞれ実施した.限界ずれ量の算定においては,最大荷重点を限界状態として評価するとともに,圧縮ひずみや内面段差等の損傷指標でも同等の評価が実施できることを確認した.さらに安全係数を考慮して両者を比較することで,耐震性能照査を行った.

  • 中澤 博志, 原 忠, 河又 洋介
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13494
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     2024年元日,能登半島で発生した地震は,建物の倒壊,火災,土砂災害,液状化,津波などによって,様々な被害をもたらした.日本では,地震災害経験から多くを学んできたが,いずれも地域や地震の発生時間や特徴によって,被害の様相も異なっている.特に,沿岸部における液状化と津波災害は重要な問題であるが,それぞれが別個の議論となっており,連続して起きる現象である認識は薄いのが現状である.本論文では,既往の特徴的な被災事例を示すとともに,能登半島地震における液状化被害の調査を行い,噴砂上の避難に関するヒアリング調査を実施し津波避難の際の障害になり得る可能性を示唆した.また,噴砂で覆われた道路の移動実験を行い,避難速度の低下を把握することができた.

  • 田中 仁規, 坂井 公俊
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13495
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     応答変位法を行う際の地盤変位と慣性力の組合せ方法の高度化に向けた検討として,地盤,構造物それぞれの減衰が作用の組合せ係数に与える影響に着目した検討を行った.具体的には,多様な地盤,構造物に対して,いずれか一方の減衰を変化させた条件で動的解析を実施するとともに,作用の組合せ係数の整理,考察を行った.その結果,地盤と構造物の減衰の変化に伴い,作用の組合せ係数が変化することを確認した.さらにこの変化の傾向をもとに,減衰の影響を考慮可能な作用の組合せ係数の簡易算定式を提案した.今回提案した手法を用いることで,地盤,構造物の減衰の影響を簡易に考慮した上で,従来よりも適切な作用の組合せ係数を設定可能となる.

  • 園部 秀明, 村田 裕志, 山野井 悠翔, 渡辺 和明, 熊田 広幸
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13496
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     破砕帯と交差するRCトンネルは,地震時に破砕帯にずれ変位が生じた場合,局所的な変形の影響を受ける.著者らは,これまでに破砕帯と交差するRCトンネルの模型実験を対象として汎用プログラムを用いた再現解析を実施し,耐荷力や変形性能を精度よく再現できることを確認してきた.本検討では,離散鉄筋モデルを用いた非線形解析を実施し,鉄筋径や鉄筋間隔の影響を分析した.トンネル模型実験を対象とした比較解析では,耐荷力や変形挙動に大きな差異が見られなかった.一方で,実規模のトンネルを対象とした場合では,標準的な配筋では依然差異は大きくなかったものの,極端な鉄筋比や鉄筋間隔によっては,最大荷重とそれに対するずれ変位が約6-7割に下がる結果となり,解析上で破壊モードが変わる場合があることが明らかとなった.

  • 杉原 佳苗, 海野 寿康, 松丸 貴樹
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13497
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     外力によって容易に土粒子が破砕する性質を持つ火山灰質粗粒土を対象に,要素せん断試験(単調および繰返しせん断試験)を実施し,各試験の載荷中においてどの段階で粒子破砕が生じるかを観察した.本研究では,粒度を2.00~0.85mmに調整することで,せん断に伴う粒子破砕の判別を容易にしている.単調せん断試験の結果,最大せん断応力到達時には粒子破砕は生じておらず,有効応力経路が破壊線(FL)に接した段階で破砕が発生し始めることが確認された.また,繰返しせん断試験の結果,有効応力が破壊線(FL)に沿って増減を繰り返すサイクリックモビリティ現象の下で,粒子破砕が顕著になることも確認された.これらの結果から,せん断に伴う粒子破砕挙動において,破壊線(FL)の存在が重要な役割を果たしていることが明らかとなった.

  • 栗田 哲史
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13498
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     地震動の周期特性を考慮する方法として,応答スペクトルの活用は工学的に有用である.地震動特性に関する研究の進展に伴い,地震動モデルはより複雑化してきた.一方,機械学習に代表されるノンパラメトリックな地震動モデルが提案されてきている.ノンパラメトリックなモデルの利点は,予め関数型を考える必要が無いことである.そこで,本研究では加速度応答スペクトルを対象として,ノンパラメトリック手法の一種であるガウス過程回帰の適用性について定量的に検討した.ガウス過程回帰においてはデータ量の増加に伴い,計算コストが急増する問題が生じる.そこで,スパース近似を適用することにより,計算コストを低減しつつ良好な結果が得られた.また,最良な地震動モデルを得るために,ガウス過程回帰における各種課題について検討を行った.

  • 坂井 公俊
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13499
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     工学的基盤が地震動の卓越周期に与える影響を把握するための検討を実施した.基礎的な解析を実施した結果,固有値解析による固有周期Tgが同一であっても,工学的基盤との相互作用によって卓越周期や地表面地震動が大きく変化するケースが存在する事を確認した.また,固有値解析による1次モードと2次モードの固有周期が比較的近接している場合,表層地盤のせん断剛性が相対的に大きい場合には,工学的基盤の影響によって卓越周期がTgよりも短くなる可能性が高いことを明らかにした.この傾向を簡易に補正する手法の提案を行うとともに,提案法によってより適切に地盤の卓越周期を推定可能であることを確認した.今回得られた知見を用いることで,地盤の地震時卓越周期の推定精度向上,卓越周期の不確実性を考慮した地盤挙動の評価が可能となる.

  • 杉山 佑樹, 坂井 公俊
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13501
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     本検討では,内陸地殻内の地震を対象に,統計的グリーン関数法を用いて様々な震源特性,伝播経路特性を想定して算定した地震基盤位置での地震動波形をデータベース化(地震基盤波形データベース)し,これに地点ごとの経験的サイト増幅特性を考慮して,地震動を効率的に算定する方法を提案する.この手法により算定した地表面地震動と既往の地震記録を比較した結果,弾性加速度応答スペクトルの観点で,近年の地震動予測式と同等以上の精度で観測記録を再現できることを確認した.また,提案法と地震記録との残差を整理した結果,提案法では地点固有のサイト増幅特性を考慮することが可能であるため,地震動予測式よりも算定結果のばらつきを小さく評価していることを確認した.

  • 石田 航, 鍬田 泰子, 後藤 浩之, 宮澤 理稔
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13503
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     埋設管の耐震計算には地震時の地盤ひずみを用いるが,高密度な地震観測でも地盤ひずみを観測することに限界がある.本研究では,道路沿いに敷設された既設光ファイバを用いて数m間隔でひずみ速度を計測できる分散型音響センシング(DAS)に着目した.京都府内の国道9号沿いの光ファイバケーブルを使用したDAS計測と複数の地震計の同時観測から,DASで計測された地震時のひずみの特性について明らかにした.その結果,マグニチュード3~4の近地地震時には全線で連続的かつ稠密に光ファイバケーブルの振動を確認することができ,P波とS波の伝播も明瞭であった.さらに,シグナルが強いDASの計測チャンネルでは,DASによるひずみの周波数特性は地震計から求められるひずみの周波数特性を良好に再現していることが確認できた.

  • 後藤 浩之, 森 伸一郎
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13504
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     修正メルカリ震度MMIをはじめとする世界的に採用される震度を,気象庁計測震度のように地震記録から迅速に推定することを目指すため,実際の地震被害状況に対応するよう計測震度の算出手順を修正する方法を提案する.地震記録から剛塑性応答を求め,これを既存の計測震度算出手順に入力するというものである.計測震度の算出手順を最大限尊重し,地震動レベルが低い場合には計測震度と厳密に一致することが特徴である.2023年トルコ・カフラマンマラシュ地震の被害状況から求めたMMIと比較したところ,本研究による修正案は良い対応を示し,剛塑性モデルの降伏震度を0.4に設定した場合が最も良い精度となった.実際に日本国内や世界各地で適用するにあたっては,各地の建物性状に応じて適切な降伏震度を選択することが求められる.

  • 福田 優二郎, 中辻 綾香, 稲谷 昌之, 後藤 浩之
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13505
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     地震発生後に被害を迅速に把握し的確な緊急対応を行うことは行政機関において重要である.本研究では,震源近傍の震度過小評価の課題を解決するため,物理法則に基づくニューラルネットワーク(PINNs)を用いて地表地震動の空間補間を行った.二次元SH波動場を対象とし,地震計位置での地震動の予測誤差と二次元波動方程式,地表の応力条件から得られる誤差を用いてモデルを学習させた.解析結果として,震源近傍の予測精度が向上し,地震計で記録された最大値以上の値を予測することができた.また,地震波が地震計に到達する前の伝播や層境界からの反射波の予測においても有効性が確認された.本手法は,地震被害の迅速な把握とその対応に貢献することが期待される.

  • 寺本 拓, 本山 紘希, 園部 秀明, 堀 宗朗
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13508
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     原子力発電所の建屋のような大規模構造物の地震時の浮上りを考慮した地震応答解析について,詳細有限要素モデルを用いた品質向上とモデルの合理性の追求を目的に基礎的な検討を行った.解析モデルは地盤と構造物を一体とした通常の有限要素モデルの他に,地盤と構造物の間で接触条件を考慮することで自由度を低減したモデルを提案した.詳細有限要素モデルを用いて大規模構造物の浮上りを評価することで,基礎の変形や建屋形状の影響も検討できる可能性が示唆される結果が得られた.また,接触条件を考慮して自由度を低減することが解析コストの面では有効であり,今後実施する地震応答解析においては合理的なモデルとして活用できる可能性が示された.

  • 能島 暢呂, 久世 益充
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13509
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     強震動を特徴づける振幅特性・周期特性・継続時間を表現できる指標として,継続時間スペクトルを用いて,2024年能登半島地震の強震動特性を分析した.能登地方における水平2成分の観測波を用いて,速度応答包絡線の閾値超過継続時間スペクトルを比較し,周期依存の継続時間を定量的に示した.特に周期1~3秒の継続時間については,JMA輪島市鳳至などにおいて鷹取波を大きく上回る結果となった.また,速度応答スペクトルに対するエネルギースペクトルの増幅倍率についても,不規則震動論の観点から長継続時間の効果として説明した.またエネルギースペクトルの方向性に関する検討を通じて,エネルギー入力が卓越方向に集中したことを明らかにした.

  • 髙本 昌幸, 上田 恭平, 米山 望
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13510
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     地震と津波の重畳現象を対象とした検討事例は少ない.本研究は,地震と津波の重畳時の解析の準備段階として,流体剛体連成解析手法を用いて,地震のみが作用する時の構造物と流体の挙動を考慮した数値流体シミュレーションを実施した.

     検討の結果,本解析手法で算定された防波堤に作用する力は,構造物が運動すると動水圧合力が小さくなるが,防波堤ケーソンに作用する力は設計値と同程度であり,地震時の構造的安定性の評価が可能である.また,FEM解析(解析コード:FLIP ROSE)による地震応答解析結果と比較すると,パラペット構造の影響により,残留変位の結果に違いがみられるものの,解析手法に依らず,同様の地震応答解析を行えることが確認された.

  • 平井 秀, 宮本 礼那, 小野 泰介, 平野 廣和, 佐藤 尚次
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13511
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     バルジングは地震動により壁面構造体と流体が連成振動を起こす現象であり,貯水槽の損傷要因となる.一般的な貯水タンクは内部が仕切り板で区切られた二槽式構造であり,特にSUSタンクにおいて仕切り板の損傷が多く報告されている.本研究では,仕切り板におけるバルジングのメカニズムと影響を明らかにするため,アクリル製矩形二槽式模型水槽を用いた振動実験と有限要素解析を行った.側壁および仕切り板の固有振動数を実験および解析により推定し,その値を用いて時刻歴応答解析を実施することでバルジング挙動を再現・検証した.さらに,仕切り板と側壁に作用する水圧分布を比較した結果,仕切り板が共振する場合には現行の設計指針が成立しない可能性が示唆された.

  • 長野 健太, 伊津野 和行
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13514
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     橋梁の地震被害は減って来ているが,地震後の津波や地震前後による洪水被害等,マルチハザードに対する対策はまだ十分とは言えない.近年,水害により多くの橋梁が流失や破壊等の被害を受けている.本研究では,維持管理用の検査足場をフェアリングとして利用した場合の流体力軽減効果について,数種類の流れに関する数値解析を実施した.耐震設計基準で規定される流れによっては支承耐力と比較することで,水害時における桁流失を防ぐために必要な条件について考察した.その結果,桁全体を覆うフェアリングでなくても,下半分をフェアリングで覆うことにより流体力軽減効果が見込めることがわかった.

  • 猪股 渉, 丸山 喜久
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13516
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     地震発生時におけるガス導管の被害は,耐震性能の低いねじ継手に集中する.一般に,SI値を用いて被害率を評価する場合,対象とする材料や構造が同一であれば,いずれの地震でも同程度の被害率が得られるはずである.しかし,1995年の阪神・淡路大震災以降の主な地震でねじ継手の被害率とSI値の関係を確認すると,SI値が同程度であっても地震の発生年が新しいほど被害率が低減する傾向がある.そこで本研究では,ポリエチレン管(以下,PE管)の高い変形性能に着目し,PE管が混在するガス導管ネットワークの耐震性能を評価した.具体的には,PE管の埋設比率を説明変数として,ねじ継手の被害率との関係を整理した.その結果,PE管の埋設比率が増加するにつれ,ネットワークの耐震性能が向上し,ねじ継手の被害率が低減することを確認した.

  • 福田 勝仁, 郷右近 英臣
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13519
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     大規模災害発生時,被災自治体(以下,受援自治体)では,通常業務に加え,避難所運営や物資輸送管理などの対応が求められ,職員の負担が大幅に増加する.そのため,他の自治体から応援職員の派遣が行われるが,派遣期間終了後に派遣元に戻るため,現場で得た支援に関するノウハウが十分に蓄積されないことが多い.応援職員が派遣期間時に直面した災害発生直後の課題や解決策を体系化し,他の応援職員がその知識を活用できれば,将来発生しうる災害において,受援自治体の意思決定をより効率的に支援できると考えた.本研究では,地域安全学会が令和6年能登半島地震の後に実施した応援職員聞き取りプロジェクトの聞き取り調査結果に質的データ分析法を適用することで,派遣職員が直面した困難や,それらを乗り越えるためのナレッジの構造化を試みた.

  • 藤田 朋巳, 平井 秀, 小野 泰介, 平野 廣和, 佐藤 尚次
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13520
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     貯水槽の耐震問題に関して,2024年能登半島地震を始めとして震度5強以上の地震において,スロッシングやバルジング等が原因の損傷被害が発生している.特にスロッシングでは,貯水槽の壁面上部や天井部の隅角部付近で損傷被害が多く見られる.そこで加振方向角を考慮したスロッシングの特性を明確にするため,通常使用されることが多い容器内部が中仕切りの板で2つに分けられた二槽式構造のモデルを用いてスロッシングの解析を行う.この結果,加振方向角が45°で水位,動水圧が最大となった.このことから,既往の設計計算法において加振方向角0°で想定されているスロッシングとは異なる特徴を示し,加振方向角45°でスロッシングの検討をする必要があることが分かったので,これを論ずるものである.

  • 山下 かのこ, 鍬田 泰子, 米山 望, 安井 國雄
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13521
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     近年の地震においてステンレスパネル配水池の被害が報告されている.これらの事例を踏まえ,水道施設の耐震設計指針では配水池の耐震性照査にバルジングを検討することが追加された.2024年能登半島地震では,2007年能登半島地震で被害を受けたステンレスパネル配水池が同じ場所で再び被害を受けた.奥能登で観測された強震動の多くで1~2sが卓越するため,短周期応答とともにスロッシング(液面揺動)による長周期応答の影響が考えられる.本研究では,矩形配水池を想定し,模型水槽を用いて振動台加振実験を行い,水流の可視化とともに短周期波,長周期波,観測波による側壁水圧の検討を行った.その結果,観測波加振では側壁水圧にスロッシング振動が寄与していることが明らかになった.

  • 西 愛歩, 庄司 学
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13522
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     本研究では,原子力発電所における敷地内浸水評価用の津波シナリオに想定される不確実性を定量的に評価するための枠組み構築を最終的な目的とする.敷地での応答が内包する不確実性は,波源特性や破壊分布,波源と原子力サイトとの位置関係,地形形状の不確実性など多様であり,これらを分類して定量化することが重要となる.本研究では日本海溝沿いの想定地震に対し,津波解析の不確実性を表す特徴量を算定し,機械学習を用いて,サイト近傍の汀線上での津波高さに及ぼす特徴量の影響度分析を実施した.日本海溝沿いの波源に対しては,波動場の南北方向の広がりおよび初期水位の最大値に関わる特徴量の影響が大きい結果となった.また複数地点を考慮した場合,波源と評価点との位置関係が重要であることが明らかとなり,特徴量の妥当性を示した.

  • 苅米 和樹, 劉 ウェン, 丸山 喜久
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13523
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     本研究では,液状化による地盤沈下量の予測を目的に,実際の地盤沈下量と整合性の高い予測モデルの構築に向けた検討を行った.南海トラフの巨大地震モデル検討会による分析結果に基づき構築した機械学習モデルに,東北地方太平洋沖地震の際の千葉県浦安市のDEM(数値標高モデル)の鉛直差分を液状化による実沈下量として転移学習させた.機械学習のアルゴリズムには,ニューラルネットワーク回帰モデルを用いた.その結果,転移学習を行ったことで,液状化地盤沈下量の予測精度が全体的に向上することを確認できた.このことから,航空レーザ測量に基づく液状化による実地盤沈下量を用いた転移学習を介することで,高精度な予測モデルが構築できることを示した.

  • 保田 真理, 佐藤 睦, 原田 賢治, 邑本 俊亮
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13525
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     クラウド上のスプレッドシートに,災害の時間経過に沿って,自分,家族,近所の人,市職員の行動と役割を考え,入力していく防災学習ツール(D_アワタラ)を開発し,それを導入した防災教育を中学校3校で実施した.その結果,自分と家族の行動は近所の人と市職員の行動よりも多く記入され,実施時に各班のタブレット数が不足していた学校は他校よりも記入量が少なかった.授業前後に実施した質問紙調査からは,生徒の防災意識が全般的に上昇したが,記入量が少なかった学校では「地域社会への効力感」が有意な上昇を示さなかった.これらより,D_アワタラは有効な防災学習ツールであり,地域社会への効力感を向上させ,地域の一員として防災に関わる意識を向上させる可能性が示唆され,実施には十分な学習環境が必須であることも明らかとなった.

  • 原 恭也, 劉 ウェン, 丸山 喜久
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13526
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     我が国では人的被害を伴う土砂災害がしばしば発生している.このような大規模な土砂災害があった地域では,国土地理院等が斜面崩壊・堆積分布図を作成する.しかし本図の作成に当たって,斜面崩壊箇所の判読は専門の作業員が被災地域の衛星画像から目視・手作業で行っているため,人材不足や作業員の負担が大きく,土砂災害範囲の迅速な把握が難しい場合もある.そこで本研究は,土砂崩壊箇所判読の自動化のため,衛星画像を用いて土砂崩壊箇所を自動検出する手法を深層学習により構築することを目的とした.本研究の深層学習では,IoUが0.641と良好な精度で土砂崩壊箇所が検出できるモデルを構築できた.

  • 梶田 幸秀, 黒川 秀哉, 山﨑 智彦
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13527
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     本論文は,レーザー光を照射して反射光の情報をもとに対象物までの距離や対象物の形などを計測するLiDAR(Light Detection And Ranging)を用いて,地震発生に伴って生じる路面段差の段差量を取得する手法を提案したものである.LiDARは反射光を利用しているため段差を上から下に俯瞰する場合には,点群データを取得できない不可視領域が存在する.そこで本研究では,下路面の点群データを3次元空間上の平面の方程式へ近似することで不可視領域部分を補い,平面方程式から得られる座標値から段差量を求める手法を提案し,その精度について検討した.その結果,LiDAR設置真正面の段差については,不可視領域を考慮することで,段差量をより正確に算出できることを確認した.

  • 熊野 颯, 焦 禹禹, 能島 暢呂
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13528
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     気象庁の緊急地震速報について,本研究では主要な6地震を対象として,猶予時間分布を評価し,観測震度に基づく補間推定震度分布および人口分布との重ね合わせによって,高震度曝露人口に対して確保される猶予時間の地震間比較を行った.震度が高いほど猶予時間が短く,内陸地殻内の地震では震源近くの高震度域では警報が間に合わない可能性が高いのに対して,海洋プレートの地震では高震度域でも猶予時間が確保される可能性が高いことを定量的に明らかにした.また,緊急地震速報発表・P波到達・S波到達のタイミングに基づくゾーン分割を行い,各領域における安全確保行動の重要性を喚起した.最後に,将来の地震に対する猶予時間の予測を狙いとして,緊急地震速報発表までの所要時間のモデル化を行った.

  • 岡野 莉子, 庄司 学
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13530
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     本研究では,下水道埋設管路の中の汚水管を対象とする.管路長1,500mm相当の枝線が地表直下に埋設された場合の模型を作成し,振動台加震実験と画像解析を組み合わせ,地震時の地盤変状に伴う地表面―埋設管路変位の空間相関を明らかにした.地表面変状を液状化,地割れ,地盤沈下の3タイプにモデル化し実験を行った結果,地表面変位量,管路変位量ともに液状化,地割れ,地盤沈下の順に大きくなった.液状化の場合には管路全体の浮上に伴う地表面変状を示し,地割れならびに地盤沈下を伴う場合には,管路の浮上部分と沈下部分が混在した結果,その特有の地表面変状を示した.画像解析による地表面変位量の推定は,いずれの地表面変状タイプにおいても良好な精度を与えた.地表面―埋設管路変位の空間相関のモデル化は線形近似が最適であった.

  • 能島 暢呂, 土屋 裕, 加藤 宏紀
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13531
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     平成20年度~令和3年度版の水道統計を用いて,全国水道事業者の配水本支管の管種・継手種別布設延長距離と管径別布設延長距離に基づいて「脆弱性指数」を再評価するとともに,全国的な経年変化を明らかにした.耐震管率および耐震適合率は14年間で2倍程度に向上した一方で,脆弱性指数は0.8倍程度に低減されるに留まっている.脆弱性指数と給水人口一人当たり配水管延長距離の積として「断水解消困難性指数」を新たに定義し,令和3年度版の水道統計に基づいて評価を行った.2024年能登半島地震で被災した能登地方の市町は,脆弱性指数,給水人口一人当たり配水管延長距離ともに全国平均を大きく上回り,断水解消困難性指数は6倍程度となった.これは復旧長期化の一因となった可能性を示唆するものである.

  • 草野 大知, 何 昕昊, 運上 茂樹, 藤倉 修一
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13532
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     近年,既設橋梁の耐震補強において,既設鋼製支承から変形性能に優れた免震支承への更新が進められている.その中で,一般的な積層ゴム系免震支承よりも構造高が低く,設置スペースの制約を受けにくい球面すべり支承が注目されている.球面すべり支承の免震効果の決定要因は長周期化とエネルギー吸収性能であり,これらは球面の形状によって定まる剛性と球面とスライダー間の摩擦係数に依存する.本研究ではデータ同化手法であるアンセンテッドカルマンフィルタを橋梁模型実験で得られた動的データに適用し,球面すべり支承の剛性と摩擦係数を含む橋梁のシステム状態推定を試みた.

  • 山下 大輝, 坂井 公俊
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13533
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     本検討では一本柱およびラーメン構造の地震時回転挙動について基礎的なメカニズムを把握することを目的に,構造物天端位置における回転水平比kθ(回転角θ/水平変位δ)を理論的に導出した.その結果,一本柱では構造高さ,桁と柱の質量比が回転水平比kθに影響することがわかり,ラーメン構造では構造高さ,梁と柱の質量比,梁と柱の剛比,径間長,柱断面形状が回転水平比kθに影響することがわかった.また,一般的な構造物条件を仮定した場合に,ラーメン構造は一本柱と比較して回転水平比kθの値が半分以下となる事を確認した.さらに,周波数依存性についても検討を行った結果,高振動数ほど回転水平比kθが大きくなることがわかった.

  • 寺澤 貴裕, 佐藤 京, 畠山 乃
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13534
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     地震に対するレジリエンス性を有する橋梁構造とするため,耐力階層化橋脚についての検討を実施している.その橋脚には通常設計された柱部主鉄筋の他に,柱の降伏耐力と最大耐力に耐力差を設ける目的で,柱主鉄筋よりもさらに内側に軸方向鉄筋を配置する.これにより,超過作用時にはあらかじめ損傷させることを想定した下沓取付ボルトに損傷を誘導する.耐力階層化鉄筋の径および配置が異なる2体の試験体に対してこれまでに実施してきた正負交番載荷試験結果を基に,本検討では試験体の変形性能を評価し,それに基づいた試験体の損傷シナリオ検証を行った.その結果,2体の試験体は想定した損傷シナリオの通り,橋脚を過度に塑性変形させることなく,下沓取付ボルトに損傷を誘導できることを確認した.

  • 西村 脩平, 田附 伸一, 前川 宏一
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13535
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     兵庫県南部地震以降,鉄道構造物の耐震補強は保有性能が低い構造物から優先順位を付けて進めているが,補強対象の柱部材の数は膨大で,高架下利用がある場合は早期の施工が困難である.本検討では,耐震補強の実効性向上に資することを目的に,中層梁を有する3径間RCラーメン高架橋を対象に,柱部材の保有性能と各柱部材の耐震補強の有無をパラメータとした3次元非線形有限要素解析を実施した.その結果,無補強の場合に主に下層柱が損傷する高架橋では,下層柱のみの補強で十分な耐震性能が確保されること,高架橋下層柱の端部のみ,中間部のみの補強でも耐震性能が大きく向上することが認められた.その一方で,補強前構造物の保有性能が低い場合には,下層柱のみを補強することで上層柱の損傷範囲が拡大する場合があることも確認した.

  • 山口 愛華, 藤倉 修一, 勝目 進之介, 谷本 靖斗, Visal THAY
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13536
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     シングル球面すべり支承は凹型のすべり面を凸型のスライダーが摺動する免震支承である.球面すべり支承を橋梁へ適用するためには,高い耐久性を有するすべり材が必要であり,その摩擦特性は明らかになっていない.そこで,本研究では橋梁用高耐久性すべり材を用いた振動台実験を行い,摩擦係数の速度,面圧,温度依存性が動的挙動に及ぼす影響を検証した.その結果,本すべり材において,速度の増加に伴い摩擦係数が増加することやスティックスリップ現象が確認された.また,低面圧での摩擦係数の増加が見られた.外気温の低下に伴い,低温での摩擦係数が増加する傾向があった.また,これらの依存性を考慮したモデルを用いて振動台実験の再現解析を行うことで,実験結果をよく再現することができた.

  • 津田葉 涼太, 植村 佳大, 三善 佑斗, 高橋 良和
    2025 年81 巻13 号 論文ID: 24-13538
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル フリー

     載荷実験と数値解析を同期させて同時に行う実時間ハイブリッド実験(RTHS)は大型構造物の動的性能評価として有効な手法の一つであると考えられる.しかしRTHSでは,試験機の制御遅延が不可避に生じ,載荷実験による計測荷重と数値解析による応答変位の対応関係が崩れ,試験精度が低下することが知られている.この制御遅延に対する補償法として荷重ベース補償法があるが,既往の荷重補償法(T-Modification)では,計測荷重に混入するノイズにより補償精度が低下することが報告されている.そこで本研究では実験部材の簡易非線形モデルを事前情報とした,計測荷重にロバストな荷重ベース補償法の提案を行った.検証実験の結果,提案手法により計測ノイズが混入した場合においても有効な補償効果が得られることが確認できた.

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