土木学会論文集
Online ISSN : 2436-6021
81 巻, 23 号
特集号(建設マネジメント)
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特集号(建設マネジメント)論文
  • 織田澤 利守, 山田 真之介, 澤田 遼, 松島 格也
    2025 年81 巻23 号 論文ID: 25-23131
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/21
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     下水道管路には,クラック・変形,侵食,目地不良など原因や機構の異なる複数の不具合種別が存在し,道路陥没に至る過程には未だ不明な点が多い.本研究では不具合種別の違いに着目し,下水道管路に起因する道路陥没の発生要因を明らかにする.大阪市内の下水道管路を対象として,まず,説明可能なAI(Explainable AI;XAI)を用い,不具合種別毎にその要因の分析を行う.その上で,下水道管路の不具合に起因して発生した道路陥没のデータを用いて生存時間モデルを推定し,道路陥没の発生要因を特定する.分析の結果,(1) 下水道管路は不具合種別毎にその要因が異なること,(2) 不具合種別のうち,侵食と目地不良が道路陥没の発生を促すことが明らかとなった.以上より,下水道管路の維持管理において,不具合種別を考慮することの重要性が示された.

  • 伊東 佑香, 山口 恭平, 渡邊 祥庸, 井上 和真, 加藤 隆, 陽田 修
    2025 年81 巻23 号 論文ID: 25-23132
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/21
    ジャーナル 認証あり

     土木技術者のステイタスアップを目的として,社会に向けた発信が行われている.一方,価値観の多様化が進み,技術者毎にステイタスの重要性が異なる現在,土木技術者のステイタスに対する認識を確認する必要がある.筆者らは,有志で土木技術者の満足度調査を実施し,仕事の満足度,満足度要因について分析を行い,複数の満足度要因のうちステイタスの重要度を検証した.土木技術者の仕事に対する満足度が他業種と比較して低くないことを確認した.満足度要因のうち内発的要因である仕事の面白さとやりがいは回答者の属性によらず選択率が高く,外発的要因は回答者の属性により選択率が異なることを確認した.ステイタスを意味する社会的地位の選択率は他の満足度要因と比較して低く,社会に対して自らの仕事を位置付けることの困難さが示された.

  • 早川 潤, 松橋 雅彦, 堀田 昌英
    2025 年81 巻23 号 論文ID: 25-23134
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/21
    ジャーナル 認証あり

     社会基盤システムが社会経済情勢の変化に対応していくためには,脱炭素等のサステイナビリティ性能を組み込んでいく必要がある.また,現在の社会基盤システムはハードとソフトが相互に影響する複雑なシステムとなっており,全体最適化が不可欠である.さらに,参照文書が増大する中,建設生産の現場で人協調型ロボティクスや生成AI等を導入するためには,建設生産プロセスを文書ベースから機械判読可能なモデルベースへの転換も求められる.そこで本研究では,他産業で導入が進むシステムズエンジニアリングの概要を紹介するとともに,建設分野での既往研究を整理する.その上で,我が国の社会基盤システムが直面する建設マネジメントの課題解決に向けた,システムズエンジニアリング適用のケーススタディを行い,その有用性について考察する.

  • 岡本 哲典, 西山 哲, 木本 和志
    2025 年81 巻23 号 論文ID: 25-23135
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/21
    ジャーナル 認証あり

     本研究は,未だ進展していない維持管理工程での3次元データの利活用を考えるための基礎的な研究をまとめたものである.具体的には,汎用化されている数値地図作成用の地図情報レベル500仕様の車載写真レーザ測量(MMS)およびSLAM技術による自己測位によって徒歩にてレーザ測量を実施するLidarSLAMによる3次元データの活用法の考察をまとめたものである.両手法では高精度測量が可能ながらも点群密度が大きく相違することを明らかにし,データベース化が考えられているMMSのデータを,高密度点群が取得できるLidarSLAMと重ね合わせることでインフラの変状を検知し定量化できる可能性を示すことができた.本論文では,このデータ処理を可能にするアルゴリズムを記述し,さらに検知し定量化できる変状の大きさを検討した実験結果について論じる.

  • 山口 悟司, 市村 靖光, 堤 達也
    2025 年81 巻23 号 論文ID: 25-23136
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/21
    ジャーナル 認証あり

     社会資本の整備・更新・復旧・強化を担う建設技能者は,少子高齢化の影響もあり減少傾向であり,建設現場における生産性向上は喫緊の課題である.2024年4月に国土交通省より公表されたi-Constrction2.0において建設現場における生産性向上目標が掲げられ,これまでICT土工等の個別工種における時間短縮効果は評価される中,各種作業が工程全体に及ぼす工程短縮効果の評価手法は十分検討されていない.

     本稿は,技術導入における工程短縮効果を評価する観点の提案に向け,鉄筋,型枠,足場,支保,コンクリート打設の複数工種で施工する現場打ちコンクリート工事を対象に,現場に常設し専用のオペレーターを不要とする定置式水平ジブクレーンでの施工工事の工程及び作業内容をデジタルデータで分析し,工程短縮効果を評価した.

  • 渡邊 輝康, 野口 利雄, 仲野谷 渉, 三谷 和裕, 槇 駿介, 松井 繁之, 園田 佳巨
    2025 年81 巻23 号 論文ID: 25-23137
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/21
    ジャーナル 認証あり

     疲労等で損傷した道路橋RC床版を,プレキャストPC床版(PCaPC版)に取替える工事が進められている.しかし,床版取替工事は通行規制を伴うことから社会活動,経済活動に及ぼす影響が大きい.このため,社会的要請として工程短縮が可能な工法が望まれる.また,労働者不足,熟練者不足への対応の他,維持管理し易いインフラ構造が求められている.これらの課題の解決策として,著者らは「道路橋用コッター床版工法」を開発した.また,床版取替工事の工程を短縮した効果を適切に評価するため,費用便益分析を用いて社会的便益の定量化を試みた.

  • 和田 好世, 大西 正光
    2025 年81 巻23 号 論文ID: 25-23138
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/21
    ジャーナル 認証あり

     災害応急対応において,行政機関は建設業者との迅速な連携体制を構築しているが,一方で業者側に過度な負担があることが課題となっている.本研究では,官民関係の構造に着目して,現状の体制を分析した.まず,災害時の官民関係は,平時の市場的ガバナンスから組織的ガバナンスへと移行することで,特に時間的な取引費用を節約していることを確認した.この費用削減は制度上は必ずしも担保されていないが,建設業者を協力へと駆り立てる暗黙の選択圧力がそれを補完していると判断した.そして,その選択圧力を権力理論から5つに類型化した上で,その多くが持続可能性を課題に抱えることを指摘した.

  • 辰巳 大介, 里村 大樹
    2025 年81 巻23 号 論文ID: 25-23140
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/21
    ジャーナル 認証あり

     BIM/CIMは,劣化度の視覚的把握や点検診断結果の検索性の向上など,維持管理においても有用なツールと考えられるが,既設港湾構造物の3次元モデルを作成することは,未だほとんど行われていない.本研究は,新たな計測作業や専門技術者によるモデル作成作業を可能な限り省略し,経済的かつ簡易に3次元モデルを作成することを目標として,パラメトリックモデリングによる既設港湾構造物の3次元モデル作成手法を開発した.開発した手法は,直杭式横桟橋を対象として,維持管理計画書や一般定期点検診断結果などの既存資料から,特別なソフトウェアを用いずに3次元形状データを作成し,3次元モデルに属性情報を付与するものである.

  • 原田 紹臣, 越 健太郎, 貝戸 清之
    2025 年81 巻23 号 論文ID: 25-23144
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/21
    ジャーナル 認証あり

     近年,各地域の将来像に基づき,複数・広域・多分野のインフラを「群」として捉え,総合的かつ多角的な視点から戦略的に地域のインフラをマネジメントする「地域インフラ群再生戦略マネジメント」の推進が示された.本研究では,本地域インフラ群再生戦略マネジメントにおける今後の包括的民間委託に向けて,建設事業で取り扱うデジタルデータの有効活用(DX)において必要と考えられる定量的な健全性診断手法や予防保全に向けて,実務においても簡易的に運用可能な劣化予測手法等を提案した.先ず,複数・多分野のインフラ群を対象とした点検時における客観性や再現性の高いと考えられる定量的な健全性の診断手法を提案するとともに,予防保全に向けた変状の進行性(劣化速度)等を考慮したLCC削減の判断基準等に関する検討手法を示した.さらに,LCC削減において,これまで定性的に実施されてきた維持工事や性能向上の改築等による延命化(長寿命化)対策の有効性に対する定量的な評価手法を示した.

  • 和田 祐二, 永江 浩一郎, 五艘 隆志, 木下 誠也
    2025 年81 巻23 号 論文ID: 25-23145
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/21
    ジャーナル 認証あり

     我が国の社会資本整備は,発注者が直営で行ってきた設計・施工に関する技術の民間への移転が図られ1960年代以降,直営設計は徐々に民間の手に委ねられた.特に1990年代以降,発注者の役割は“受注者と一緒にモノをつくる時代”から“モノを買う時代”へと変化した.公共工事の品質を確保するためには,発注にかかる性能・仕様規定の策定,それを担う受注者の選定,工事着手後に生じる設計と現場条件の不整合への対応,周辺環境を踏まえた様々な調整,プロジェクトの目標宣言の遵守等々発注者の責任範囲は多岐にわたっている.プロジェクトの円滑な推進を図るためには,受発注者の協働が不可欠であり,発注者は受注者の技術を適正に評価し,新技術の開発や現場への実装を促すためのマネジメント力を含む技術力が重要となる.

  • 澁谷 久志, 谷本 圭志
    2025 年81 巻23 号 論文ID: 25-23147
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/21
    ジャーナル 認証あり

     地方自治体が公共事業をはじめとする様々な政策やプロジェクトを実施する際,財政・物理的な制約のため,候補となる事業の優先順位を決定する必要がある.このため,評価基準を設定し,各事業をスコアリングしてランキングする手法が広く用いられている.特に,線形加法モデルは実務で多用されているが,この手法には本質的な課題が指摘されている.これらの課題を回避する手法として非補償型アプローチの手法が注目されており,理論的な研究が蓄積されているものの,そのランキングの特性に関する検討は十分ではない.そこで本研究では,線形加法モデルの課題を整理した上で,実務的に活用可能な非補償型アプローチの手法に焦点を当て,そのランキングの特性を線形加法モデルとの比較を通じて明らかにする.また,その結果を踏まえて,この手法の適用が有効となる場面について考察する.

  • 梶浦 久尚, 大西 正光, 越智 祥太
    2025 年81 巻23 号 論文ID: 25-23149
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/21
    ジャーナル 認証あり

     建設プロジェクトにおける再交渉の不可避性によるプロジェクト効率性低下という課題において本研究は,関係的ガバナンスと契約的ガバナンスに基づき,Dispute Board(DB)の役割と経済的効率性への貢献可能性を論じる.両アプローチはそれぞれに状況依存的な補完的優位性を持つものの,当事者の戦略的相互作用に起因する非効率な契約的ガバナンス選択のジレンマが生じうる.DBは,紛争の効率的解決・予防,収益貢献,関係者説明支援といった独自の価値を,手続の柔軟さ,早期性,継続性,協力的態度の構築といった要因に支えられて有する.DBはこれらの機能を通じ,ガバナンス選択のジレンマを緩和し両ガバナンスの適切な選択を促進することで,取引費用削減および経済的パフォーマンス向上を通じたプロジェクト効率性向上に貢献しうる事を示す.

  • スタピット シレー, 小澤 一雅, 井上 聰史
    2025 年81 巻23 号 論文ID: 25-23150
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/21
    ジャーナル 認証あり

     海外の建設コンサルタントの多くはM&Aを含む海外展開戦略で通して国際展開している.本研究は,本邦建設コンサルタントの国際展開戦略を考えるため,海外建設コンサルタントの年次報告書などの公開情報や企業へのインタビュー調査を通して,海外建設コンサルタントのM&Aや直接投資による海外展開戦略を分析した.分析の結果,M&A戦略を採用する企業を海外売上と多角化の視点で3つのグループに分類することができた.またM&A対象企業の本拠地は,M&Aする企業と同言語圏又は距離が近い国で多く実施されることが確認できた.直接投資による海外展開においては海外企業と本邦企業の主な違いを抽出できた.これらの結果から,本邦企業が採用可能な海外展開戦略を示唆することができた.

  • 福田 勝仁, 福田 健, 北村 玲子, 郷右近 英臣, 大西 正光
    2025 年81 巻23 号 論文ID: 25-23151
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/21
    ジャーナル 認証あり

     震災発生直後からのインフラ早期復旧において不可欠な役割を担う地域の建設関連企業は,その活動を通じて被災影響の最小化に貢献している.本稿は,地域の建設関連企業が事業を継続していくための環境整備に着目し,効果的な災害応急対応に不可欠な連携強化のあり方を考察する.現状,災害応急対応における人的・物的資源の適切な配分には,建設関連企業間の連携とルールが重要となるが,建設関連企業へのヒアリング調査から,情報共有の不足や連携体制の脆弱性といった課題が明らかになった.そこで本稿では,建設業の役割を踏まえ,建設関連企業が置かれた社会システム環境を分析した上で,災害応急対応における情報共有の促進,平時からの顔の見える関係構築,役割分担の明確化といった連携強化に向けた具体的な方策を提案する.

特集号(建設マネジメント)報告
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