土木学会論文集
Online ISSN : 2436-6021
82 巻, 5 号
通常号(5月公開)
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構造工学,地震工学,応用力学
論文
  • 中島 和俊, 今井 篤実, 安波 博道, 加納 勇, 高木 優任, 森田 千尋, 岩崎 英治
    2026 年82 巻5 号 論文ID: 25-00120
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/05/20
    ジャーナル 認証あり

     ワッペン式暴露試験は,小型かつ軽量の鋼材片を用いた暴露試験法であり,これまで主に耐候性鋼橋梁の健全性評価などに用いられてきた試験法である.本研究は,著者らが全国51橋で実施した従来の評価手法に基づくワッペン式暴露試験の結果を総括し,ワッペン式暴露試験がもつ誤差などの特性や,暴露地点の環境と腐食量の相関,長期腐食予測の精度などの考察を行った.また,ワッペン式暴露試験の特性を考慮したうえで,5年間の暴露期間を標準として従来よりも簡便かつ高精度な評価を行う方法や,標準的な試験方法などを提案した.

  • 紺野 克昭, 林 健太郎, 山口 祥真, 河村 春彦
    2026 年82 巻5 号 論文ID: 25-00155
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/05/20
    ジャーナル 認証あり

     SUSパネルタンクのバルジング固有振動数の推定を目的に,タンク壁面に4~6個の速度センサーを直線状に配置した微動計測を行った.微動のスペクトルには1次から高次モードまでのバルジングに対応すると考えられるピークが現れた.これらのピーク振動数とピーク値の空間分布は,固有値解析による固有振動数と振動モード形状に概ね一致した.微動から推定された固有振動数はタンク内水位と負の相関関係を示し,固有振動数を目的変数,水位を説明変数とする回帰式の決定係数は0.9以上と高いことを示した.以上の結果より,微動計測から得られる固有振動数の推定結果の妥当性を示した.最後に,水平方向の振動モード形状はサイン関数で近似できることを用いて,振動モード形状や固有振動数の推定に適した微動計測時のセンサー配置を提案した.

  • 加藤 健太郎, 石井 博典, 宮下 剛, 岩崎 英治
    2026 年82 巻5 号 論文ID: 25-00157
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/05/20
    ジャーナル 認証あり

     ステンレス鋼は構造用炭素鋼に比べて優れた耐食性を示す材料であるため,著しい腐食が生じやすい桁端部などに部分的に適用することで鋼橋の長期耐久性が期待できる.本研究ではステンレス鋼を鋼I桁橋の桁端部に溶接接合することを想定し,SUS821L1とSM490Yを異材溶接した鋼I形断面桁のせん断耐荷力特性を実験および数値解析により把握し,耐荷力評価を行った.まず,異材溶接およびその板を溶接組立することで生じる残留応力を計測し,その分布と大きさを把握した.次に,異材溶接した鋼I形断面桁のせん断載荷実験および実験結果に基づいて妥当性を確認した解析モデルを用いた有限要素解析を行い,せん断耐荷力特性を明らかにした.最後にそれらの結果に基づいて,せん断力を受ける異材溶接I桁の腹板パネルの耐荷力評価を行った.

  • 宮原 邑太, 堀口 俊行
    2026 年82 巻5 号 論文ID: 25-00225
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/05/20
    ジャーナル 認証あり

     近年,無流水渓流の対策工として,ネットやワイヤで構成される杭基礎構造物(以下,柔構造)の導入が進められている.しかし,現行の設計法は,無流水渓流に特徴的な急峻な地形条件や,土石流の動的衝突挙動,さらには柔構造特有の変形特性を十分に反映していない.その結果,設計荷重が過大に評価され,構造性能の適切な評価が困難となっている.そこで本研究では,柔構造と剛構造の荷重伝達機構の差異を実験的に検証し,設計荷重評価の合理化に向けた新たなモデルを提案した.実験の結果,ネットの変形による緩衝効果,荷重の時間的変化および従来設計法に内在する過大評価要因を明らかにした.提案モデルは,現行設計で考慮されていない構造特性を反映し,急峻地形における土石流対策工の設計指針の改善に資することが期待される.

  • 下里 哲弘, 淵脇 秀晃, Yasin MUMTAZ , 玉城 喜章, 山下 修平
    2026 年82 巻5 号 論文ID: 25-00284
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/05/20
    ジャーナル 認証あり

     本研究では,実橋で発生する高力ボルトの腐食減肉形状に対する残存軸力評価法の構築を目的として,電気化学的反応を用いた高力ボルトのナットおよびボルト頭の減肉実験を実施した.実験の結果,ボルト軸力低下に支配的な影響を与えるナットおよびボルト頭部の減肉範囲として座金から高さ4mmまでの腐食減肉量を示して,その範囲での平均減肉量を用いた残存軸力評価法を提案した.

河川・海岸・海洋工学と水文学
ノート
土木計画学
論文
  • 星野 明日美, 谷口 綾子, 河合 英直
    2026 年82 巻5 号 論文ID: 25-00020
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/05/20
    ジャーナル 認証あり

     自動運転バスの導入に際し,自動運転バスの色や形などの車両エクステリアをどのように評価し選択すべきかについては知見が不足している.本研究では6種類の自動運転バスのイメージ画像【ニュートラル】【かわいい】【弱い】【速い】【近未来】【強い】車両を作成し,1500人を対象に自動運転バスのエクステリアが社会的受容に与える影響を測るためのアンケート調査を行った.その結果,態度「AVsが好き」,AVs乗車意図「AVsに乗りたい」については,【速い】【弱い】車両の評価が高いことが示された.AVs態度「うれしい」,配慮行動意図「見守ろう」については【かわいい】車両が高く評価された.また渋滞など自動運転バスが交通流を乱す具体的な場面を想起させた場合には【弱い】車両の「イラっと度」が低いことが示された.

  • 樋崎 恵一, 谷口 綾子, 後藤 りえ
    2026 年82 巻5 号 論文ID: 25-00040
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/05/20
    ジャーナル 認証あり

     本研究では,都心部でのElectric-scooter(以下,ES)シェアリング普及に関する政策決定の一助とするため,東京都区部(渋谷区,港区,目黒区)の住民と来訪者1249名を対象に,2024年1月にWEBアンケート調査を行った.その結果,ESシェア利用経験者は未経験者と比べて自転車でも危険行動を行うこと.利用経験者の中でも運転免許非保有者が危険行動を行うことが明らかになった.また,ESの代替交通手段は主に徒歩や自動車,公共交通であることが明らかになった.さらに,歩行者・自転車・ドライバーの視点でのES評価を分析した結果,特に自転車の運転が得意でない自動車ドライバーがESに対してネガティブであること,ESと相対的に類似していると考えられる自転車が得意な人はポジティブであることを示した.

  • 瀬木 俊輔, 東坂 将真
    2026 年82 巻5 号 論文ID: 25-00077
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/05/20
    ジャーナル 認証あり

     本研究は,交通インフラ整備の間接的な波及便益である Wider Economic Impacts (WEIs)に着目し,集積の外部経済,交通混雑の外部不経済,および交通インフラ供給における土地投入を考慮した都市経済モデルを用いて,都市規模とWEIsの最適な評価方法の関係を理論的に分析した.分析の結果,地価の高い大都市ほど交通インフラの用地取得費が増大し,供給費用が上昇するため,結果として交通混雑が激しくなるという性質を導出した.このメカニズムを考慮し,交通料金が全国一律の水準に制約されたSecond Bestの環境を分析した結果,大都市ほど居住の限界外部費用が大きくなるため,時間短縮便益に対するWEIsの評価比率は,規模の小さい都市ほど高くなることが明らかになった.

  • 前川 凜, 谷口 綾子, 淺見 知秀, 倉谷 昌臣, 大井 元揮, 金 貞姫
    2026 年82 巻5 号 論文ID: 25-00100
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/05/20
    ジャーナル 認証あり

     自動運転車(AVs)の社会実装に向けて実施されている社会的受容の調査は,現状調査毎に指標が異なるため,結果比較や課題抽出が難しく,実施策への活用に限界がある.また,指標を細分化しすぎると回答者負担が高まり,継続的な調査が困難となる.本研究では,AVsバスの社会的受容の標準指標を提案,AVsバスの実証運行を実施している国内3市町の住民や利用者らを対象としたアンケート調査・地域間及び運行前後の比較分析を実施した.行動変容プロセスモデルに基づく重回帰分析の結果,決定係数は0.5前後となり,提案した「簡潔さと具体性のバランスが取れた標準指標」の妥当性が示された.また,調査のターゲット設定や運用方法,分析手法について,具体的な運用例を交えながら提示,実務にて即座に活用可能な方法論を提供している.

  • 阿部 貴弘, 山崎 詩歩, 柳沼 雄波, 會田 龍一郎, 鈴木 杏子
    2026 年82 巻5 号 論文ID: 25-00229
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/05/20
    ジャーナル 認証あり

     神奈川県横浜市中区山手地区には,外国人居留地であった明治期より,宅地基盤や道路擁壁として地区の生活を支え続けてきた“ブラフ積擁壁”と呼ばれる石積擁壁が広く分布している.ブラフ積擁壁は,近年は地区の歴史・文化資源として保全利活用の機運が徐々に高まりつつあるが,その価値が十分に評価されることのないまま,開発に伴い改変や撤去される現状にある.そこで本研究は,文献調査に基づきブラフ積擁壁の概要及び系譜を整理するとともに,悉皆調査に基づきその実態を把握・整理した.また,それらの調査結果を踏まえ,ブラフ積擁壁の歴史・文化的価値を評価する際の評価の観点及び評価軸等を導出した.こうした研究成果は,今後のブラフ積擁壁の保全利活用に資する成果であると考える.

建設材料と構造
論文
  • 櫨原 弘貴, 橋本 涼太, 牛田 潤, 阿部 稜, 湯地 輝
    2026 年82 巻5 号 論文ID: 25-00145
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/05/20
    ジャーナル 認証あり

     本研究は,高炉スラグ微粉末を高置換したコンクリートの品質向上策として,亜硝酸リチウムの添加を提案し,その効果を明らかにするために,初めにペーストおよびモルタル試験体を用いて化学分析,圧縮強度試験,乾燥収縮試験,中性化促進試験,鋼材腐食試験を実施した.亜硝酸リチウムの添加量に伴いエトリンガイト量の増加や亜硝酸型ハイドロカルマイトが生成されており,この水和物の生成の違いが圧縮強度の向上や乾燥収縮を抑制したものと考えられた.その他にも中性化の抑制ならびに耐腐食性の向上を確認した.次に,コンクリートとしての実用性を検討した結果,亜硝酸リチウムを添加しても所定のスランプと空気量を問題なく確保でき,モルタル試験体と同様に圧縮強度の向上と収縮抑制効果を確認した.

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