土木学会論文集
Online ISSN : 2436-6021
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河川・海岸・海洋工学と水文学
論文
  • 小石 一宇, 山田 正, 山田 朋人
    2026 年82 巻1 号 論文ID: 25-00097
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/20
    ジャーナル 認証あり

     本研究は精緻性と効率性を兼ね備えた新しい洪水氾濫解析手法の提案を目的とする.物理過程を踏まえた既往の洪水氾濫流の近似モデルは演算効率が高い反面,慣性力項を省略しているためモデルの適用範囲に限界があった.この課題に対して本研究では慣性力を考慮した新しい流量流積関係式を提案し,その物理的意味を考察した.さらに,数値解析上の実用性を考慮した浅水方程式の新たな代数式表現(陽的代数表現:EAR)を導出し,この一連の提案手法を平面2次元直交座標系へ拡張した.洪水氾濫解析の例題を用いた比較では,EARは浅水方程式や既往の近似モデルに対し浸水深分布や流速ベクトル場を高い精度で再現した.また,慣性力の有無に着目した比較分析の結果,慣性力は特に流速ベクトル場の時空間的なパターンの再現性に寄与することを明らかにした.

  • 望月 優生, 江戸 孝昭
    2026 年82 巻1 号 論文ID: 25-00138
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/20
    ジャーナル 認証あり

     近年,気候変動に伴う局地的降雨の増加により,リアルタイムかつ高精度な流量観測技術の重要性が増している.本研究では,非接触型の流速計測手法であるSTIVにおいて,時空間画像に基づく斜線勾配推定を回帰問題として定式化し,回帰型深層学習モデルを適用した.構造の異なる3種類のモデルを構築し,模擬および実河川の時空間画像を用いて,予測精度と処理性能の比較を通じて,その有効性を検証した.その結果,中規模モデルでは±3度の閾値内予測率が90%以上となり,精度および処理速度のバランスが取れた性能を示した.従来,分類型手法によるアプローチが主流であったものに対し,回帰型手法のような簡素な構成のモデルでも処理速度に優れ,高速処理を要する応用への有効性が示唆された.

  • 伊藤 輝, 大谷 英之, 竹山 智英
    2026 年82 巻1 号 論文ID: 25-00173
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/20
    ジャーナル 認証あり

     近年,記述形式の異なる様々なデータを自動で変換・統合する技術(DPP)を用いて,構造物図面の情報を読み取り,適切な出力を行う研究が進められている.また,港湾領域では,災害時の利用可否を事前シミュレーションする需要が高まっており,効率的に図面情報等を活用する技術が求められている.本研究では,防波堤と岸壁の標準断面図を対象として3次元モデルを自動で作成するための要素技術の開発を行った.具体的には,図面中の線と文字列の位置関係から防波堤法線,地表面記号を認識し,ケーソンや裏込め部分,基礎マウンド部分を識別したうえで,ポリゴンデータを抽出した.さらに,得られた情報から木構造のナレッジグラフを構築し,用途に応じた3次元モデルを自動生成する機能を実装した.

  • 田中 規夫, 五十嵐 善哉, 原田 滉平, 八木 裕人
    2026 年82 巻1 号 論文ID: 25-00201
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/20
    ジャーナル 認証あり

     荒川流域の水害常襲地帯に発達した水塚には,構え堀が周りに設置されている場合があった.現存数が少なくその実態が不明であったが,近代改修に向けて作図された平面図に河川沿いの分布状況が記録されていた.本研究は構え堀の向きと形状特性を古地図から分析するとともに,同地域の荒川西遷から明治以前の河川・堤防・地盤高さを再現したモデルを用いた氾濫解析を行い,構え堀の特性との関連を調べた.荒川が南流すること,季節風も北風が多いことから北側に構築された構え堀が多かったものの,河川合流点や大囲堤に守られた地域においては,背水影響を受けた氾濫流の向きや自然堤防などの微地形に関連した複雑な流れの向きに対応した構え堀が設置され,構造も前面型ではなくL型,馬蹄型,複数配置などの対応関係があることが明らかとなった.

  • 﨑山 賢人, 田中 智大, 市川 温
    2026 年82 巻1 号 論文ID: 25-00208
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/20
    ジャーナル 認証あり

     氾濫原を含めた洪水リスク管理手法の一つとして逆線引きの導入が議論されているが,その効果と課題に関して定量的な検証が十分に行われていない.本研究は,京都盆地を対象とする既存のエージェント型の立地選択モデルに都市計画上の区域区分の影響を組み込み,実績値との比較でモデルの再現性を確認した上で,区域区分のシナリオ分析を行った.その結果,市街化調整区域における住宅価格の下落により,低所得者層の移動が制約され,洪水リスクの高い地域への人口の偏在が生じることで,リスクの空間的固定化や社会的な不公平性が助長される可能性が示された.逆線引きの導入にあたっては,こうした構造的課題を意識し,地域の人口動態や住宅市場の特性に即した制度設計と,その副次的影響を慎重に見極めた上で政策判断が求められる.

地圏工学
論文
  • 平田 昌史, 石黒 健, 古川 無何有, 武田 智治, 中島 秀樹, 奥泉 楓
    2026 年82 巻1 号 論文ID: 25-00067
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/20
    ジャーナル 認証あり

     ロックフィルダム基礎岩盤の水理地質構造や透水係数等の物性値は,湛水時の堤体の水理的安定性やカーテングラウチングの遮水性の評価精度に直結する重要な情報である.本論文では,これら物性値の同定方法とFEM解析への適用事例を報告する.基礎岩盤中に間隙水圧計を設置し,人為的な岩盤内水位変動,ルジオン試験の地中加圧,上流側の部分湛水を行った際の岩盤内の間隙水圧応答とその再現解析結果を用い,上記物性値を同定した.ダム堤体と基礎岩盤で構成される解析モデルに,同定した物性値を反映させた築堤・湛水時解析を実施し,築堤時の実測挙動との整合性を確認した.また,湛水時の解析結果を用いてコアゾーンの水理的安定性の確認,漏水量予測,間隙水圧計データに基づく試験湛水時の堤体・基礎岩盤の安定管理図作成等,実務応用例を示した.

  • 新名 大輔, 渡部 要一
    2026 年82 巻1 号 論文ID: 25-00196
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/20
    ジャーナル 認証あり

     プレロード改良による地盤改良工法は,軟弱粘土地盤の残留沈下抑制に広く用いられている工法であり,改良後の長期沈下評価が課題とされる.本研究では,載荷過程に基づいて構築したアイソタックモデルを軸対称型の圧密方程式と組み合わせることで,プレロード工法を適用した軟弱地盤を対象に,載荷・除荷・再載荷の荷重履歴を考慮し,バーチカルドレーン改良を含む粘土地盤の二次圧密を合理的に評価する方法を提案した.遠心模型実験の再現解析から提案法の妥当性を定性的に示し,モデル地盤の解析から,プレロード載荷直後からの粘性沈下を連続的に捉えられることを示した.本研究を通して,プレロード改良地盤の長期沈下評価への有効性を示した.一方,大除荷域における膨張の定量化と現地データを用いた提案法の検証は今後の課題である.

報告
  • 滝沢 聡, 野澤 伸一郎, 芳山 慧子, 古関 潤一
    2026 年82 巻1 号 論文ID: 25-00169
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/20
    ジャーナル 認証あり

     高輪築堤は,日本で最初の鉄道が1872年に開業した時に建設された.2019年まで147年以上にわたって山手線や京浜東北線等の重要路線の列車運行を支えてきた.発掘にあわせて地盤調査等を実施し,人力施工と思われること,材料は現在の鉄道盛土と比べて細粒で湿潤側であることが分かった.また,締固め度はばらつきがあること,表層の締固め度が比較的高いことを把握できた.このような性状の築堤に対して,のり勾配が緩やかなこと,海側は石積みが施されていること,および開業の約30年後までに付近の埋め立てが完了していることなど,安定に有利な条件も加わって鉄道の盛土としての機能を果たしてきたものと考察した.

土木計画学
論文
  • 松浦 海斗, 室岡 太一, 宗 健, 谷口 守
    2026 年82 巻1 号 論文ID: 24-00151
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/20
    ジャーナル 認証あり

     誰もが徒歩中心で日常生活を送ることができるx-minute city理念がアフターコロナの生活圏政策として注目を集めている.居住地から施設へのアクセスの格差是正が目指される本理念だが,従来歩いて行こうと思える距離が個人によって異なることは考慮されてこなかった.そこで本研究では全国の居住者を対象に,自宅から歩いて行けると認識している範囲内に施設が立地しているかどうかを明らかにした.その結果,1) 地方都市の居住者ほど施設への徒歩アクセスが限定されている傾向にあること,2) 一方で大都市の中心部でも同様の制約が一定数の居住者に存在すること,3) 都市の規模によらず低所得世帯や若年層ほど施設にアクセスできない傾向にあり,特に医療機能では顕著な格差がみられることが明らかになった.

  • 茂木 渉
    2026 年82 巻1 号 論文ID: 24-00280
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/20
    ジャーナル 認証あり

     我が国の都市内交通の需要予測モデルにおいては,古くから四段階推計法が実務において用いられており,その中で分布交通量(OD交通量)の推計手法としては,現在パターン法がしばしば使用される.これは,地域間の結びつきが現在から将来にわたり大きく変化しないと仮定されるときに有効なOD推計手法であり,OD表の周辺分布である発生量・集中量の将来値が既知であるとき,現在のOD表の分布パターンを維持しながら,周辺分布に一致させるものである.

     本稿では,現在パターン法の各手法について,数理最適化理論からの考察をレビューした内容をまとめ,理論基盤を整理する.また,実務適用をする上で入力データの不整合による計算結果の問題点,特にゼロトリップに起因する影響や各アルゴリズムの収束性の特徴に関する数値実験と考察を行う.

  • 中里 悠人, 水谷 大二郎, 長江 剛志
    2026 年82 巻1 号 論文ID: 25-00054
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/20
    ジャーナル 認証あり

     道路ネットワークの舗装マネジメントシステムには,長期補修施策による計画策定プロセスと,補修・規制費用の規模の経済性や規制による利用者費用を考慮した年間の短期補修スケジューリングプロセスが存在する.従来,前者の最適化プロセスで規模の経済性や利用者費用を実規模ネットワークで考慮することは組合せ爆発により困難であり,プロセス間の整合性に課題があった.本研究では,短期最適補修スケジュールの年間舗装マネジメント費用が,巨視的には補修区間数に対して凹関数の形状(巨視的凹性)を持つことを確認する.次に,巨視的凹性を前提として,短期計画と整合的な長期補修施策を効率的に最適化する手法を提案する.最後に,数値計算事例において,提案手法が長期最適補修施策を適切に導出できることを確認する.

  • 溝上 章志, 森 俊勝
    2026 年82 巻1 号 論文ID: 25-00109
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/20
    ジャーナル 認証あり

     熊本市東区健軍地区には熊本市電の終点電停があり,地域/交通拠点となっている.しかし,市電や幹線バス路線と端末サービスとの連携が良くないため,これらの機能を十分には果たしていない.そこで,区域運行型リアルタイムオンデマンド乗合グタクシー(以後,AIデマンドタクシー)による乗換利便性の向上と商店街での買い物によってAIデマンドタクシーの半額クーポンの付与といった商店街活性化の両方を目指す「商店街と連携したAIデマンドタクシーによるMaaS実証実験」を2021年10月から1ヶ月間,実施した.本研究では,実証実験の概要,MaaSアプリの開発プロセス,商店街との連携方法,実証実験の結果と評価,シミュレーションによる需要予測と適正サービス設計などから得られた広義MaaS実装への知見を報告する.

  • 柴田 久, 池田 隆太郎, 渡辺 孝司
    2026 年82 巻1 号 論文ID: 25-00114
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/20
    ジャーナル 認証あり

     本研究では介護職員等へのヒアリング及び認知機能低下高齢者に対する観察調査から,同高齢者の散歩行動を促すまちの空間的条件と今後の整備課題について明らかにした.その結果1) 季節を感じられる花木や人,特に子どもの動きが眺められる場の存在が上記条件として把握され,散歩行動に不可欠な休憩場所は最大間隔200mが一つの目安となること,2) 急勾配の上り坂を安易に除外せず,手摺りのある階段や上記空間的条件を持つ休憩場所の確保,起伏等による変化に富む道と交差点の安全性を考慮したバリアフリー整備推進が重要であること,3) 道路付属物等の設えを工夫する整備が散歩行動における安全性と休憩場所の確保に役立つこと,4) 見守りや声掛けが行われる包摂的な地域コミュニティの形成が重要課題であること等が明らかとなった.

  • 齊藤 拓哉, 田中 皓介, 川端 祐一郎, 藤井 聡
    2026 年82 巻1 号 論文ID: 25-00177
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/20
    ジャーナル 認証あり

     我が国の土木・運送業界における人材不足問題は日々その深刻さを増しており,合理的な人材確保戦略が喫緊の課題であると言える.一方,近年,社会の人々の「男らしさ」や男らしいものを求める価値観の衰退を示唆する現象が見られ,このことが,男性的な職業分野ともいえる土木・運送業界の人員不足を加速させている可能性がある.本研究は,日本の男性を対象としたアンケート調査を通じて人々の男らしさ価値観が失われつつあるのか否かを検証した上で,土木,運送業の不人気と男らしさ価値観との関係を分析するものである.分析の結果,男性の男らしさ価値観が減衰しており,土木,運送業が他の職業に比べ男らしいと認識されており,人気は低いが,男らしさの強い人ほどこれらの職業に良い印象や興味を抱いている傾向があるということが示された.

報告
  • 藤井 祐, 南 正昭
    2026 年82 巻1 号 論文ID: 24-00193
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/20
    ジャーナル 認証あり

     公共団体施行による土地区画整理事業は,これまで地域の都市政策に応じて活用され,引き続き今後の都市に関する諸問題への対応策のひとつとして活用が期待される手法であるが,公共団体施行における事業費と人材の確保を始めとする運営が課題となっている.本研究では,土地区画整理事業(公共団体施行)にPFI手法を導入した3地区の事例を対象とした文献調査による比較検討を行い,PFI手法による1)土地区画整理事業(公共団体施行)の業務範囲,2)事業の構成,について整理した結果,権利調整や合意形成によるリスクへの対応と複数の事業を包括した事業構成による実施の実態が明らかとなった.また,矢巾町における筆者の実践経験に基づく事例調査から,PFI手法による主体の構築方法に関する知見を示した.

建設材料と構造
論文
  • 進藤 良則, 本山 雄基, 三倉 寛明, 阿部 淳一, 中田 裕喜
    2026 年82 巻1 号 論文ID: 23-00236
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/20
    ジャーナル 認証あり

     門型ラーメンをプレキャストで構築する場合,梁端部に接合部を設けることがある.梁が接合部近傍で大きな鉛直力を受けると接合部のせん断力が卓越する.さらに地震時に接合部は引張鉄筋が塑性化した状態でせん断伝達力の維持が必要である.そこで接合部の位置および鉛直力の作用位置に着目した3次元FEMを行い,接合部のせん断伝達能力を検討したところ,部材端部に接合面を設けると,引張鉄筋の塑性化と抜け出しによって接合面の開口幅が拡大し,接合部材と接合部目地との接触領域が喪失し,せん断伝達力が急速に低下した.本研究の妥当性を確認するため,既往の実験結果を本解析手法で再現し,研究成果として交番作用を受ける接合部の耐荷力の検討には,接合部の応力状態を適切に考慮したせん断伝達モデルによるFEMが有効であることを示した.

  • 山田 雄太
    2026 年82 巻1 号 論文ID: 25-00029
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/20
    ジャーナル 認証あり

     劣化したRC板状部材におけるせん断抵抗機構の定量的な解明を目的として,3次元的なせん断抵抗機構の新たな概念である「ドーム機構」と「プレート機構」を定義した.面内方向の主鉄筋に沿う既存のひび割れを有する部材を対象とした有限要素解析により得られた応力分布からドーム機構の荷重寄与分(Vd)およびプレート機構の荷重寄与分(Vp)を算定した.その結果,健全な部材ではVpが卓越することや,ひび割れを有する部材ではVdが顕在化することを示した.2辺支持された部材や4辺支持された部材では,ひび割れの有無に依らず各抵抗機構の支持辺直交方向成分および短辺方向成分がそれぞれ顕在化するのに対し,4点単純支持された部材では,ひび割れの存在によりVdの長辺方向成分とVpの短辺方向成分が顕在化することなどを明らかにした.

土木技術とマネジメント
論文
  • 高橋 浩司, 白川 龍生, 坂下 ひなの, 保木 和弘
    2026 年82 巻1 号 論文ID: 24-00102
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/20
    ジャーナル 認証あり

     積雪寒冷地の道路管理では,防雪設備周囲の積雪深を迅速かつ正確に把握し評価することが重要である.積雪深計測にUAV-SfM測量を活用した事例があるが,積雪環境特有の条件により点群精度の低下や部分的な点群の未生成が生じることや,堆雪量算出の際にSfM解析で時間を要することなどの課題があった.本研究では,近年土木工事の出来形管理等において普及が進むモバイルスキャンの防雪設備周囲の雪面形状計測への適用性を検証した.結果,雪面においても欠損のない点群生成が可能であり,適切なモバイルスキャン機器の取り扱いにより,ばらつきが少なく実測値に対して5%以内の誤差で積雪深を計測できることが判明した.これらの結果から,モバイルスキャン計測による雪面形状測定が道路管理に活用可能な精度を有することを明らかにした.

  • 加藤 智大, 富永 伊織, 高井 敦史, 勝見 武
    2026 年82 巻1 号 論文ID: 25-00147
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/20
    ジャーナル 認証あり

     建設副産物のリサイクルに伴う,二酸化炭素(CO2)の排出削減効果を推定した事例は限られている.本研究では,建設工事で発生する土の有効利用や処分に関わるCO2排出量を推定するモデルを提案した上で,2018年度の建設副産物実態調査の結果を用いて排出量を推定したところ,2018年度のCO2排出量は432万t程度となった.ここで,2018年度に発生した全ての土を残土受入地で処分し,工事で使用する土の全てを新たに採取すると仮定し計算を行うとCO2排出量は788万tと推定された.一方,建設工事で発生した土の有効利用率を限りなく100%に近づけたシナリオを設定して仮想計算をしたところ排出量は336万tと推定されたため,建設発生土のリサイクルを推進することでCO2の排出を削減しうることが示唆された.

環境と資源
論文
  • 田中 恒夫, 島田 孔明, 小森 正人
    2026 年82 巻1 号 論文ID: 25-00156
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/20
    ジャーナル 認証あり

     本研究は,酸性河川水の中和処理を目的とした電気化学セルの設計・操作因子について検討した.円筒形活性炭素繊維を用いてセルを構築し,電流や陽極充填率などを変化させて実験を行った.通電実験より,活性炭素繊維を陽極として用いることにより酸性河川水はアルカリ性に変化すること,陽極充填率は最も重要な設計因子であること,流出pHは電流とHRTにより大きく変化すること,および通電によりセルにおけるアニオン濃度は短時間で減少することなどがわかった.これらの結果より,流出pHの上昇は,セルにおけるアニオン濃度の低下に起因すると考えられた.また,ファラディー則に基づく理論量に近い水素がセルにおいて発生することがわかった.中和処理の際に発生する水素は,通電エネルギーとして利用できると考えられた.

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