土木学会論文集
Online ISSN : 2436-6021
特集号: 土木学会論文集
82 巻, 16 号
特集号(水工学)
選択された号の論文の187件中1~50を表示しています
特集号(水工学)
  • 宮澤 健人, 黒澤 賢太, 白石 健太, 岡﨑 淳史, 小槻 峻司
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16001
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     降水量の高精度予測は水害被害の軽減に不可欠な技術である.現代の気象予測では物理法則に基づく数値予報手法が用いられているが,降水量予測の精度向上には計算資源の制約などの限界がある.本研究では深層学習手法を用いることで従来の数値予報手法よりも高精度な降水量予測を行うための技術開発を目的とする.具体的には,深層学習モデルであるSwin-Unetに気象庁のメソスケール数値予報モデル(MSM)の解析値を入力として,MSMの降水予報値,解析雨量を推論させる二つの実験を行った.その結果,MSMの降水予報値については降雨域を高精度に推論可能であることが示された.また解析雨量に対する推論においても,RMSEや閾値10mm/3hでの捕捉率・空振り率・スレットスコアにおいてMSMを上回る予測精度を示した.

  • 弘中 勇駿, 朝位 孝二, 西山 浩司, 森 健太
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16002
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     本研究では,自己組織化マップと解析雨量データを用いて九州地方で発生する線状降水帯の気象場との関係性や特性についての分析を行った.その結果,九州地方では東シナ海からの湿潤な空気が流入するような気象場のグループにおいて線状降水帯発生数が多いことが分かった.また,線状降水帯発生数上位 3グループはそれぞれに特徴的な気象パターンを持ち,それぞれ九州南部,九州西側全域,九州北部に線状降水帯が発生しやすい気象場である.2024年6月21日に鹿児島県で線状降水帯が発生した日時を対象に,GSMとMSMから得られる予測気象場をSOMで診断した結果,ともに九州南部で線状降水帯が発生するグループであることが診断された.

  • 吹田 一馬, キム スンミン , 立川 康人
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16003
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     本研究では流域単位における時空間降水パターンが将来的にどのように変化するかを機械学習手法の一つであるクラスタリング手法を用いて統計的に分析した.全国5kmメッシュアンサンブル気候予測データ(d4PDF5km)の現在気候実験・将来気候実験(各720年分)を用いて,淀川流域の24時間降雨量が大きい順に毎年10個のイベントを抽出した.各イベントは時空間情報を含んでいるため時間平均・空間平均を取ることで空間降水量・時間降水量いずれかの情報のみを持つイベントを作成した.これらを正規化し,k-means, SOM, Autoencoder の3種類のクラスタリングによりグループ化した後,2種類の統計的検証(𝜒2検定と比率の検定)を適用した.その結果,空間的には流域北部・東部での集中降雨が増加し,時間的にはより短時間での集中降雨が増加することが確認できた.

  • 宮本 真希, 山田 朋人
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16004
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     本研究は,前線による降雨の地域的特性を明らかにするため,流域と前線の位置関係に着目し,流域平均日降雨量との関係を定量的に分析した.日本全国の複数の流域を対象に,38年間の事例を用いて解析を行った結果,前線が流域に近いほど降雨量が多くなる傾向が確認された.特に,前線の走向が東西方向に近い場合に大雨が発生しやすく,一部の流域では流域の長軸方向と前線の走向が一致する際に極端な降雨が生じやすい傾向も見られた.これらの知見は,総観場に基づく地域特性を踏まえた大雨発生要因の理解に貢献するものである.

  • 内藤 孝和, 石井 秀憲, 飯塚 聡, 平野 洪賓, 寺田 三紗, 山田 利紀
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16005
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     鉄道の駅及び周辺において,大雨により水が溢れる内水氾濫が発生している.内水氾濫には,下水道の雨水排水能力を上回っての浸水や,河川水位上昇によって下水道から河川へ放流できずに浸水するなどの複数要因が関係しており,発生を検知することは困難である.そのため,本分析では過去の浸水事例の降雨状況を調査し,危険度を評価するための最適な雨量指標を浸水シナリオ別に分析した.その結果,下水道の排水能力を上回る浸水シナリオと関連性が高い雨量指標は30分・1時間雨量であり,河川水位が高く雨水を河川へ放流できない浸水シナリオと関連性が高い雨量指標は12時間・24時間・48時間・72時間雨量であった.また既往成果を活用し,最大10分雨量の降水強度70mm/hを閾値とすることで多くの浸水事例を捕捉できることを確認した.

  • 大西 瑞紀, 内藤 孝和, 菅野 彰太, 遠藤 理, 廣瀬 大河, 金原 知穂
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16006
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     本研究では,台風等の接近・上陸時に実施する鉄道の計画運休の判断を支援するために,欧州中期予報センターや気象庁が配信するアンサンブル降雨予測を活用して,予測信頼度を把握できる手法を開発した.本研究では,線路沿線の雨量計ごとに設定された運転中止値を超過する確率をアンサンブル降雨予測から求め,過去の大雨事例での予測適中率をもとに,運転中止となる確率を予測信頼度ランクとして作成した.この予測信頼度ランクによる手法を過去の大雨事例でシミュレーションした結果,直前まで進路予測が困難であった台風事例でも,運休開始2日前の時点で運転中止となる線区を予測できる可能性があることが示された.

  • 児島 健介, 豊田 将也, 加藤 茂
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16007
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     本研究ではd4PDFの5kmダウンスケーリング実験結果を用いて,愛知県東部の5つの駅における大雨による鉄道運休可能性の将来変化の評価を行った.全ての駅において,時雨量および連続雨量ともに気温上昇に伴って事例数が多くなる傾向を示し,極端な降雨の発生頻度の増加が示唆された.また豊橋駅を基準として同時運休可能性を確認したところ,同一平野上に位置する三河田原駅および国府駅において高い相関を示した.また豊橋駅における連続雨量最大事例を解析したところ,ピーク時雨量は約100%の増加を示した.さらにこれらの最大事例は現在気候,将来気候ともに前線性の降雨であると推測され,2023年6月に発生した既往最大事例と類似していることが明らかとなった.

  • 仲田 茜, 松平 璃子, 岡田 将治
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16008
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     本研究では,アユの生息場評価手法として,田代らが開発した生息適性指標を物部川の現況河道に適用し,計画断面河道における洪水後のアユの生息環境を評価した.また,現況河道での解析結果はモニタリング調査と一致し,評価手法の妥当性が確認された.洪水後の計画河道ではCSI値0.7以上の面積が増加し,生息場の質的改善が示された.さらに,置石工の導入により流速の多様性が生まれ,アユの休息環境の創出にも有効であることが確認された.これらの結果から,船底形断面河道は維持管理面で優れるだけでなく,治水および環境保全の両面においても有効な改修手法であることが示された.

  • 横山 勝英, 西野 廉, Azhikodan Gubash , 水村 早希, 望岡 典隆
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16009
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     ニホンウナギを増やすにはシラスウナギの海から川への遡上を可能にする必要がある.柳川掘割は,フラップゲートにより塩水遡上を防いで農業用水を供給している一方,かつて生息していたニホンウナギが見られなくなった.本研究は,ゲート周辺で塩分動態調査と生物遡上のモニタリングを行い,また三次元流体シミュレーションによって塩水遡上を可視化した.そして,農業用水への塩分の混入を防ぎつつ,シラスウナギが遡上できるゲート運用を提案し,各種材料に基づいて合意形成を試みた.結果,ゲート管理者から試験運用の許可が得られ,シラスウナギの遡上が確認された.柳川市民が取り組みだしてから15年が経って解決策が見いだされ,断片的な状況証拠を含めて様々な材料を組み合わせて分かりやすく説明することで,合意を形成できることが示された.

  • 鬼束 幸樹, 渡邊 杏咲, 河本 真太
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16010
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     ニホンウナギが河川を遡上する際,ダムや堰に併設された魚道入口に到達する必要がある.また,降下時は取水口を回避する必要がある.音や光等を用いてニホンウナギの忌避誘発を試みた研究はあるものの,選好感覚を用いた集魚研究はほぼ存在しない.本研究では,無散水状態および散水速度を0.077~0.19m/sに変化させると共に,全長約200mmのニホンウナギに対する全長倍流速を1.0~3.0 1/sに変化させ,ニホンウナギの挙動に及ぼす影響を調査した.その結果,静水中に比べて流水中での散水による集魚効果がより高まること,少なくとも全長倍流速が3.0 1/s以下の場合,ニホンウナギが流水中において流れに逆らってでも散水領域に集魚すること,その効果が散水速度0~0.19m/sの範囲で増加することを解明した.

  • 木村 文宣, 本間 隆満, 古里 栄一, 梅田 信
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16011
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     近年,新たなアオコ対策として注目されるプロペラ式湖水浄化装置による対策効果発現メカニズムの解明及び将来的な本装置の設計論の確立を視野に,本装置による深層へのアオコ移送に伴い生じる水圧によるガス胞損傷及び沈降促進について,現地実験を実施した.三春ダム沿岸に集積したアオコを試料として,投下深度や深部滞在時間を複数設定したアオコ投下実験を行い,ガス胞損傷率や沈降率に与える影響を評価した.その結果,アオコのガス胞損傷率は約35%と完全に消失しないものの,沈降率は約95%と高い効果が得られること,この効果を得るためにはアオコを概ね深度25m以深となる水層に投下し且つ当該深度に20秒程度滞在させる必要があると見積もられた.これらの知見は,本装置が効果を発現する上での設計条件として適用できる可能性がある.

  • PENG YUENING , 中山 恵介, 米田 響, 前田 浩之, 渡部 哲史, 木村 匡臣, 駒井 克昭
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16012
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     これまでの研究で,“Freshwater Carbon”が大気中の二酸化炭素を吸収することが示されているが,その吸収量の決定要因は不明である.pHと溶存酸素(DO),そして光合成活性が二酸化炭素の吸収量に影響することが示されているものの,まだ十分に研究されていない.本研究では,愛媛県西条市にある山ノ神池と塩出池を対象に,数ヶ月間の観測結果から,水中のpH,DO,水域内の代謝,二酸化炭素分圧の関係を分析した.また,3日間にわたる神池の短期観測データを用いて,DOとpHの関係をより詳細に分析した.その結果,pHの増加に伴ってDOが増加するpH<7.5とpH>9.0の領域,およびDOがほぼ横ばいに推移する7.5<pH<9.0の3つの領域に分類できることがわかった.また,DOを用いて水域生態系の代謝を推定した結果,pHは生態系代謝に強い関係があり,主に生態系光合成に影響を与えることが明らかになった.

  • 東 博紀, 梅原 亮, 濱脇 亮次, 越川 海, 西嶋 渉
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16013
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     沿岸域の生物多様性・生産性を高める目的で実施されている下水処理場の季節別運転の効果とその季節性を明らかにするため,広島県呉市の広湾の事例を対象として数値実験を行った.季節別運転による水質の変化は,運転実施期間中の10~3月に限られ,栄養塩濃度は1割程度上昇すると評価された.一方,植物プランクトン濃度への効果は栄養塩よりも限定されるものとなった.原因は広湾の海水交換が速いためであり,季節別運転で増加した栄養塩が植物プランクトンの一次生産で消費される前に拡散してしまうと考えられた.2~3月に見られる植物プランクトンへの効果の低下も海水交換の季節性が原因であることが分かった.広湾の季節別運転が比較的効果的である時期は10~1月であることが示唆された.

  • 久保 奎太, 井下 雄揮, 風間 聡, 平賀 優介
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16014
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     本研究は,3つの中小河川流域を対象として,流域の無人化に伴う流域変化(粗放化)による生物多様性への影響について評価した.HSIモデルと分布型水文モデルを使用して河川底生動物の多様性の定量化を実施した.粗放化を想定した流域変化として,河道変化のシナリオを複数想定し現況と比較した.その結果,ピーク流量軽減率は-7.3%から23.3%,生物多様度は-12.9%から23.7%の範囲において変化した.治水と生物多様性の観点から,マルアダプテーションである粗放化シナリオは全対象流域に存在した(須川:9例,大谷川:13例,塙子沢:4例).各流域の流域変化に対する生物多様性変化の傾向が異なるため,流域の土地特性や気象特性を考慮し,最適な粗放化をすることが望まれる.

  • 一言 正之, 箱石 健太, 佐藤 公洋, 渡邊 晋也, 高橋 定雄
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16015
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     洪水時のダム操作にAIを活用する研究が行われているが,ダム操作運用の実態やAIの利用場面を踏まえた検討は不十分であり,現実のダム操作にAIを導入していくためには課題が多い.本研究では,特別防災操作や本則操作の運用状況・操作実施のタイミングに合わせたダム操作AIモデルを構築した.モデルはダム諸量の実績・予測や下流河川の水位に基づき,ゲートからのダム放流量を決定する.またダム放流による下流河川水位への影響を考慮するため,放流量や残流域雨量から下流河川水位を予測する回帰式をダム操作AIモデルに組み込んだ.構築したモデルを江の川水系の土師ダム・阿賀野川水系の大川ダムに適用し,ダム操作の実績や操作規則などとの比較・検証を行った.

  • 日里 蒼太, 平川 隆一
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16016
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     近年増加している大雨への対策として,ダム機能の最大限の活用が求められている.しかし,洪水対応は職員に多大な負担があるため,AIを活用したダム操作支援が期待されている.そこで,本研究では既存研究で考案されたモデル設計を参考に,流入量予測モデル,放流操作モデルを構築し,対象ダムでの適用を検証した.TensorFlowを用いて各モデルを構築し,それぞれの各種パラメータを探索することで,各モデルによる洪水調節に対する有効性を検証した.2019年の10月豪雨のデータで検証したところ,流入量予測モデルでは実測と比較して十分な精度が得られた.一方で,放流操作モデルでは常に一定の放流を行うものとなった.

  • 渡邉 英佑, 伊藤 毅彦, 山田 朋人
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16017
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     事前放流に伴う放流量は洪水調節後に利水容量が回復するよう決定される必要がある.本研究では,モデル予測制御理論に基づく各時刻のダム放流量決定手法を提案した.モデル予測制御はある有限時間の評価区間における制御対象システムの挙動を予測し,定められた目的に対する最適な制御入力を求める手法である.仮想の流域を対象とするダムの洪水調節シミュレーションを行い,ダム放流操作に対するモデル予測制御の応用可能性を検証した.その結果,まず貯水位のみを指標とする評価関数を用いた放流操作の場合,利水容量の回復を前提とした利水容量内のみにおける洪水調節となった.次に放流量の大きさを指標として評価関数に追加した場合,最終的に利水容量を回復させ,かつ治水容量の活用によりピーク放流量を低減する放流操作となった.

  • 西 琴江, 小林 草平, 角 哲也
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16018
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     気候変動対策として治水の強化,カーボンニュートラルに貢献する既存ダム運用高度化の必要性が高まっている.また,長時間気象予測の不確実性を軽減する予測手法として,アンサンブル予測の活用に期待があるが,事前放流,洪水調節,高水位運用などの異なる操作タームを統合化した縦列ダム群での検討が不足している.本論文では,水力発電を有する縦列多目的ダム群において,それぞれ新たに目標限度貯水量,活用貯水量,上限貯水量を基準貯水量として設定し,操作タームごとにアンサンブル予測メンバーの特定の順位帯を用いた,下流ダムと連動した操作の決定方法を提案した.結果,治水,利水リスクを大幅に脅かすことなく,発電量増加,無効放流量削減,洪水時最大放流量削減などの効果を確認した.

  • 藤澤 圭祐, 内海 信幸
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16021
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     降水ウィップラッシュは極端な多雨(少雨)から少雨(多雨)への急な遷移を指す.本研究では6ヶ月スケールの降水ウィップラッシュの頻度の長期変化を全球的に解析した.解析には大規模アンサンブル気候シミュレーション実験CESM2-LENSの降水データを用いた.現在から21世紀後半にかけての降水ウィップラッシュは,海域と低~中緯度の陸域で増加傾向に,高緯度で減少傾向にあった.また,同現象の変化が単に少雨・多雨の独立的な変化によるものか,あるいは両者が連続して発生するメカニズムの変化によるものかを調査した.その結果,陸域では少雨と多雨の個々の変化で降水ウィップラッシュの変化を説明できることが分かった.

  • 中村 理絵, 塩尻 大也, 小槻 峻司
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16022
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     豪雨による水災害が頻発・激甚化する昨今,水災害リスクの算定には過去災害の理解が重要である.そのために利用可能な手段として,過去の気象を再現する再解析プロダクトや災害記録が挙げられる.本研究では,徳島県付近に着目し,再解析プロダクトの一つである20世紀再解析の日本における過去災害の理解への利用可能性を検討した.まず20世紀再解析の降水量の年代別のヒストグラム・災害発生事例の降水分布を確認し,1900年・1946年前後で降水強度の性質が変化するものの,高い空間再現性を持つことを示した.さらに1900年~1945年における災害記録との照合では,20世紀再解析で大きな降水が記録されている場合,その多くで対応する災害記録も存在することを確認し,水災害推定への活用可能性を示した.

  • 相京 雄大, 浅野 直輝, 齋藤 葉奈, 平林 由希子
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16023
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     気候変動に伴う短時間豪雨の増加により,内水氾濫のリスク増加が懸念されている.本研究は日本における内水氾濫発生時の時間降水量を分析し,現在の状況を明らかにするとともに,将来の内水氾濫リスクの展望を示すことを目的とした.内水氾濫発生時の降水量は多くの地域で増加傾向にある一方で,発生件数は減少しており,雨水排除の対策が進んでいることが判明した.また,内水氾濫時の降水量は地域の降水特性を反映していること,どの地域でも5年確率降水量に満たない降雨で発生した事例が確認された.近年の大雨の増加により,分析した主要都市の半数以上において,雨水排水の現行基準を既に満たしていないことが明らかになった.さらに,2℃上昇では7割以上,4℃上昇では福岡を除く全ての都市で,現行基準では想定される降水量の増加に対応できないことから,適切な適応策が必要であることが判明した.

  • 平野 洪賓, P. C. Shakti , 飯塚 聡
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16024
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     水害発生時の迅速な状況把握は即時性が求められる.本研究では,SNSに投稿された画像・動画を活用して浸水状況を即時に推定する手法を構築し,Webブラウザ上で操作可能な即時浸水推定ツールとしてプロトタイプ実装した.令和5年の秋田市および令和6年の輪島市の実水害に適用した結果,災害当日にSNS画像を用いた即時推定を行い,推定結果を防災科学技術研究所のWebページを通じて公開した.さらに,輪島市においては現地調査と比較することで,結果の妥当性が確認された.本ツールは,災害初動における状況把握の迅速化,将来的な実運用に向けた展開の可能性を示している.

  • 佐藤 柳言, 佐久間 光希, 高橋 正行
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16027
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     スルースゲート直下の跳水を対象に,跳水始端断面のフルード数F1,レイノルズ数R,アスペクト比を系統的に変化させた実験によって,跳水の流況が分類され,各流況の形成条件が明確にされた.跳水中への空気混入状況の観察と空気混入率の測定によって,ゲート直下の跳水の空気混入特性が広範囲なF1とRのもとで示された.跳水の水表面でのbreakingによって跳水中に取り込まれる空気量が多くなると,跳水中で空気泡が移流・拡散する領域での空気量は多くなることが見出された.

  • 井上 隆, George CONSTANTINESCU , 内田 龍彦, 二瓶 泰雄
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16028
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     近年,頻発化する豪雨災害に伴い河川橋梁が被災している.その主要因となる橋脚局所洗掘は流動(渦)構造-河床形状-流砂の三要素が互いに影響を及ぼし合う上に,洪水時ではフルード数が高くなり自由水面が橋脚周辺の流動構造に大きな影響を与えるものと示唆される.本研究では,自由水面が橋脚洗掘孔内の三次元渦構造に及ぼす影響を検討するために,著者らが開発する固液混相乱流モデルに水表面追跡モデルを組み込み,固定床解析を自由水面有・無の2ケース実施し,比較した.その結果,自由水面有無の影響は橋脚前面の下降流や矩形橋脚エッジ付近の剥離流とその位置に顕著に現れた.自由水面下で加速された下降流や剥離流によって馬蹄形渦の発生位置が低下し,局所洗掘をより促進させる効果となり得ることが示唆された.

  • 大本 照憲, 宇根 拓孝
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16029
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     河川横断構造物である固定堰は,治水および環境面で課題を有することから漸次,全面可動堰に改築されて来た.平成28年熊本地震では山腹崩壊・河岸浸食に伴い約100万m3の土砂が白川に流入した結果,堰上流では顕著な河床上昇を引き起こし,流下能力を低下させた.本研究が対象とする馬場楠堰は,1608年頃に白川中流域に取水用の湾曲部斜め堰として築造され,昭和28年の災害復旧で直角固定堰に改築され現在に至っているが,治水上の弱点となっている.このため模型実験を通して河道湾曲部の特性に着目した部分可動堰および水制工が堰近傍の水位および流況に与える影響について検討した.実験結果から川幅100mに対して外岸側開口幅30mで十分に水位を低下させ,越流型水制群によって外岸近傍の高速流を抑制させることを明らかにした.

  • 浪平 篤, 森 充広
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16030
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     傾斜面を流下する高速流のエネルギーを減勢する方法の一つである階段状水路が洪水吐シュートに適用されたときの副ダム型減勢工の小規模化についてMPS法を用いて検討した.その結果,水叩き長については,階段状水路の空気混入流の計算から得られる水叩き始点における水深に基づいて設定できる可能性が確認された.さらに,下流端で擬似等流が形成されるほどシュートが長い場合は,同一勾配で同一落差の通常の傾斜水路のシュートに対する減勢工で必要な長さの2/3程度に縮小できる可能性が確認された.

  • 田邊 真生, 新谷 哲也
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16031
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     本研究では,OpenFOAMの拡張ツールである弾性解析が可能なsolids4Foamを用いて,橋梁全体を対象として,津波が作用した際の流体構造連成解析シミュレーションを実施した.上部工としては,箱桁,T桁,I桁の3形式を考慮し,橋梁の各部材の材料特性を考慮した解析を行った.さらにフェアリングを導入した解析では,フェアリングが上部構造だけでなく,下部構造を含めた橋梁全体の津波波力,およびモーメントの低減に寄与することが分かった.solids4Foamが橋梁を含めた土木分野の解析に用いられた例は非常に少ないが,比較的低い計算コストで実現象の流体構造連成解析が可能であるため,今後の津波防災やその他の土木分野への適用が期待される.

  • 忰熊 公子, 牛島 省, 吉田 圭介, 水川 達哉
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16032
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
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     越水に対して粘り強い河川堤防を実現するため,コンクリートブロックによる河川法面の保護工が堤防強化のひとつの工法として提案されているが,そのブロックの安定性は,水深が浅く,水面の影響を受けやすい射流場となり,既存の河川護岸ブロックの安定性評価とは異なる流れ場のため,評価が難しい.本研究では,射流場における数値計算の有効性と精度を検証することを目的とし,単体ブロックに対して常流および射流場での流体力を水理模型実験と数値計算で比較した.その結果,自由水面を設定した計算値については,水理模型実験の結果とよく一致し,単体ブロックの水理特性値を求める場合,固気液多相場解法(MICS)の原理に基づく,3次元並列計算手法の有効性が確認された.

  • 竹村 吉晴, 福岡 捷二
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16033
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
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     本論文では,著者らの開発した洪水流と波浪の一体解析法(Q3D-FEBS-FWI)により,洪水流・波浪・潮位変動の共存する河口部(河口周辺の河道及び沿岸域)の流れを解析するためのQ3D-FEBS-FWIの境界条件について検討した.海岸分野で開発された造波ソースとエネルギー減衰帯を用いた造波手法をQ3D-FEBS-FWIに導入するとともに,エネルギー減衰帯においては,波浪の周期に対して洪水流と潮位の時間変動スケールが十分大きい点に着目し,流速の波動成分のみを減衰させる手法を考案した.そして,波流れ共存場の既往実験の再現計算および数値的検討を実施し,本手法により,洪水流・波浪・潮位変動が相互に影響を及ぼし合う河口部の流れを解析できる可能性を示した.

  • 田﨑 拓海, 原田 英治, 後藤 仁志
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16034
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
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     底質輸送過程の予測や理解のために,個別要素法と流体計算手法の連成解析が行われる.大規模な現象への適用では計算負荷低減のため土砂−流体間の相互作用力を流体力モデルにより計算する.均質な多孔質体の圧力損失公式から求められる流体抗力モデルの使用が多いが,流速や間隙率が急変する移動床表層での適用性は明らかにされていない.

     本研究では,埋め込み境界法を用いたlarge eddy simulationによって粒子で構成される固定床表層における流体抗力特性を検討する.粒子径の2倍のスケールの局所平均操作を行い,固定床内部の時間平均的な抗力係数が既往の抗力モデルとよく整合し,平均流速の定義点を修正することで抗力モデルは固定床表層にも適用し得る一方で,流体抗力の時間的な分散を捉えられないことを示す.

  • 溝口 敦子, 泉 典洋
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16035
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
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     本研究では,固定床上を流下する流砂に対する粗度抵抗の評価方法の提案に向け,粒径の異なる固定床に対し3号および6号珪砂を供給し,PIV・PTVを用いて流速・粒子速度・分布範囲など多角的な計測を実施した.これにより,粗度粒径と供給粒径の関係による等価砂粗度の変化や,被覆率的な構造の定量化が可能となった.特に,上昇・下降粒子の速度差や運動量損失を評価することで,動摩擦係数などの新たな力学的指標の推定にも展開できる可能性を示した.これにより,従来困難であった固定床条件下における粗度の評価について新たな知見が得られた.

  • 関根 正人, 西岡 佳太, 奥村 響祐, 森 彩葉
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16036
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
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     本研究が目指す最終的なゴールは,Bed material loadを掃流砂と浮遊砂に区別することなく,一つの運動として一括して取り扱えるようにすることである.本研究では,個々の粒子の運動を解析するためにPIVの手法を用いた実験を行った,その結果からBed material loadとして粒子の移動速度ならびに体積濃度の水深方向分布について考察を行った.また,粒子の移動速度の生起確率密度分布がガンマ分布に従うこと,ならびにその係数が河床面からの高さ毎に異なることなどを明らかにした.さらに,Bed material loadとして粒子を運ぶことに伴い,水流の抵抗は増加し,時間平均流速ならびに乱れ強度・レイノルズ応力がいずれも低減させられることを確認した.

  • 山口 栄治, 福田 朝生
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16037
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
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     本研究では,固体群と流体の三次元連成数値解析法により,勾配の異なる3ケースの等流の土砂流を解析し,解析結果が平衡土砂濃度式から得られる土砂濃度をよく説明できることを確認した.さらに,水のみの解析も行い,水のみの流れと土砂流の乱れ構造を分析した.高さ毎の各方向の乱れ強度の相対比の分析では,勾配の急な高濃度土砂流は,低濃度の流れと比較して,流動層の表層で流下方向の乱れが卓越して乱れが非等方的に,底部で乱れが等方的に近くなる傾向を示した.高さ毎の乱れエネルギーのスペクトルの分析より,粒子濃度の高い,流動層底部ほど高波数側でのエネルギースペクトルの落ち込みが弱くなる傾向があることを示した.

  • 太田 一行, 小林 大祐
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16038
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
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     翼形状を持つ翼型ベーンの土砂分派制御について,移動床実験と3次元河床変動解析を通じてそのメカニズムを明らかにした.解析では計算効率に配慮し,掃流砂の運動方程式と連続式をEuler的に解く過程を取り入れた解析ソルバを構築し,実験の再現計算を行った.解析と実験の分派制御効果は良好に整合した.解析結果を分析すると,翼型ベーン周辺の剥離流の抑制によって翼型形状に沿う河床付近流れおよび旋回流が生じ,掃流砂および浮遊砂をベーン下流に導流し,取水口前面での河床低下を促すことが示された.この機構によって,翼型ベーンは高い分派制御効果を持つ.本研究の成果は翼型ベーンの土砂分派機能について科学的根拠を与え,現場実装に資する数値解析モデルを提示するものである.

  • 大野 剛, 佐山 敬洋, 織田 幸伸
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16039
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
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     豪雨による出水が懸念される工事では,24時間程度先までの水位や流量を予測することが安全管理上重要となる.著者らはニューラルネットワークにより24時間先の水位や流量を予測する手法を検討している.課題として,観測値が少ない場合に学習データ不足が発生し,予測が困難となる点がある.本研究では,ニューラルネットワークによるダムへの流入量予測について,集水域や流入の特性が対象のダムと類似するダムを選定して,学習データに用いる方法を考案し,有効性を検証した.その結果,予測値は実測値と同様の変動を示し,流入イベント時のNash-Sutcliffe係数が0.7以上となった.また予測精度に影響する要因として,予測ダムの流入特性と異なるダムデータが学習データに含まれることが示唆された.

  • 加藤 奈々, Falk BLOBEL , 山﨑 健一
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16042
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
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     近年,機械学習の河川水位予測への応用が進展している.予測モデルの性能がデータ品質に大きく左右される機械学習モデルにおいて,欠測値は予測精度を低下させる主要因であり,その補完モデルを構築することは重要な課題である.本研究では,臨床時系列データの分野で提案された,コンテキストアウェア(文脈認識)アプローチに基づく深層学習モデルを応用し,同一流域内の水位・降雨量時系列の相互関係を効果的に学習することで,河川水位時系列データの欠測値補完を行うモデルを提案する.

  • 山口 輝樹, キム・スンミン , 立川 康人
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16043
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     本研究では,任意の差し替え可能な回帰モデルを用いて欠損値を補完するMissForest(MF)アルゴリズムを用いて,淀川水系12観測所の10年分の河川流量データの欠損値を一括で自動補完するフレームワークを構築した.観測値の10%を人為的に取り除いたデータを作成し,その欠測に対するMFの補完精度を決定係数𝑅2で評価した.MF内部で用いる回帰モデルとして複数の機械学習モデルを比較した結果,最も単純な線形回帰においても平均𝑅2=0.8の実用上十分な精度を示した.また,MFの補完に用いるデータを選別した場合としなかった場合を比較すると,後者のほうが全体的に高い補完精度を示した.これらの結果から,MFは複雑な調整を要さずに,大規模な流量データの欠損値を自動補完する実用的な手法となり得る.

  • 岩崎 理樹, 大屋 壱世, 三山 和輝
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16044
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     本研究は,札幌市を貫流する急流都市河川である豊平川の砂州上に堆積するマクロプラスチックごみを2年にわたり継続調査した結果を報告するものである.豊平川低水路に形成される砂州において,2週間~1か月間隔で継続的にマクロプラスチックごみを採取し,採取されたサンプルの堆積形態,総量,サイズ,質量,種類,劣化度について分析した.その結果,夏季・融雪出水時には植生等に捕捉されるなどして顕著にマクロプラスチック堆積量が増加するものの,他河川と比較してその量は少ないことが示唆された.また,堆積しているマクロプラスチックは,材質としてはポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP),種類としてはビニール袋や食品関連包装など袋関連が多いことが明らかとなった.また,堆積マクロプラスチックの劣化度についても既往研究と合わせて考察した.

  • 小林 隼, 米田 有佑, 石塚 正秀
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16045
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     高松市街地を流れる御坊川(流域面積:26.3km2)を対象として、2024年5~11月に河川を流れる浮遊物を直接採取し,種類別の個数と質量を計測した.その結果,御坊川における浮遊ごみの個数割合では,55%がプラスチックであることがわかり,質量割合では,64%がプラスチックであった.プラスチック内訳では,プラスチックボトルの個数割合は53%,質量割合は60%であることがわかり,その中でもペットボトルの影響が大きいことが確認された.また,新しいごみ(ペットボトル)が多いことが分かった.負荷量の推定では,1日あたり平均で2.9kgのごみが流れており,1年間では,プラスチックごみは675.3kg/yr,すべてのごみは1055.2kg/yrが御坊川から瀬戸内海に流入していることが分かった.

  • 真嵜 寛太, 石塚 正秀, 西岡 彩美, 上村 忍
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16046
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     高松市東部の2ヶ所の海岸において,マイクロプラスチックとマクロごみを同一海岸で直接採取して,それらの特徴および関係性を調べた.その結果,マイクロプラスチックでは,新川河口海岸ではポリエチレンが,屋島東部海岸ではポリスチレンが最も多い結果が得られた.また,市街地が近く,規模の大きい河川の河口に近い新川河口海岸の方がマイクロプラスチックとマクロごみの個数が共に多い結果となった.マクロごみでは,個数・質量は共に,両海岸で大分類のうちプラスチックが最も多く,個数の内訳では,硬質破片が多い結果となった.マイクロプラスチックとマクロごみの関係では,屋島東部海岸では,ポリスチレンと発泡スチロールの共通性がみられた.賞味期限に関しては,両海岸ともに調査日から前後半年以内の新しいごみが多いことが分かった.

  • 小林 優五, 田中 衛, 二瓶 泰雄
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16047
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     河川中におけるマイクロプラスチック(1µm-5mm)とメソプラスチック(5-25mm)の濃度(両者を合わせたものをMMPと称す)は,時間的・空間的な変動が大きく,未解明な点が多い.著者らは,多摩川と鶴見川にて2021年から毎月平常時のMMP濃度調査を行い,各々40,39回分のデータを蓄積した.このデータを用いて,本研究では,多摩川と鶴見川におけるMMP濃度の季節変動特性を明らかにすることを目的とする.その結果,MMP濃度は,鶴見川では夏にピークが見られる一方,多摩川では,春と夏にピークが現れることが確認された.また,出水期と非出水期のMMP濃度に関しては,統計的な有意差は確認されなかった.さらに,MMP濃度と先行降雨指標の相関性を確認した所,多摩川のみ有意な正の相関が見られ,降雨影響の大きさが河川毎に異なることが明らかとなった.

  • 中谷 祐介, 安達 智哉, 鹿島 千尋
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16048
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     感潮河川における浮遊ごみの複雑な移動特性および集積メカニズムを明らかにするために,大阪府平野川を対象として,GNSS発信機を用いた現地観測および数値流動モデルによる粒子追跡計算を実施した.観測の結果,浮遊ごみは潮汐および風の影響を受けて流下・遡上を繰り返し,特に上げ潮時や背水の影響を受ける区間で集積する傾向が確認された.粒子追跡計算では,風抗力係数0.010および水平拡散係数1.0×104cm2/sを設定することにより,観測された特定の浮遊ごみの挙動を良好に再現することが可能であった.また,浮遊ごみは河道屈曲部,河床勾配の急変部,背水区間において滞留・集積する傾向を示し,局所的な河道地形や水理条件が集積メカニズムを決定していることが確認された.

  • 鈴木 拓真, 中津川 誠, 小林 洋介
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16049
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     本研究の目的は,様々な流域特性をもつ全国のダムに対して汎用的に適用可能な流入量予測手法を提案することである.気候変動による洪水リスク増大に伴い,流域治水を推進するうえで,あらゆるダムに適用可能な流入量予測技術の確立が求められる.本研究では,スパースモデリング手法の一つであるElastic Netを用いて,全国のダムを対象に流入量予測モデルを構築した.さらに,地形・地質特性に基づくクラスタリングを行い,クラスターを代表するモデル(一般化モデル)を選定した.さらに,交差適用の結果と適用範囲の分析により,決定木ルールに基づくモデル選択基準を策定し,全ダムへのモデルの割当方法を提案した.その結果,汎用性と精度を両立した流入量予測手法の一般化が可能であることを示した.

  • 井上 喜貴, 中津川 誠, 小林 洋介
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16050
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     本研究の目的は,アンサンブル予測雨量によって,降雨の空間的な不確実性を考慮することで,線状降水帯のような予測が難しい降雨事象にも対応可能な,ダム流入量予測を提案することである.近年,気候変動の影響により,線状降水帯を要因とする洪水の頻発化および激甚化が懸念されている.このような状況を踏まえ,効果的なダム操作に活かされる流入量予測の高度化が求められている.本研究では,全国のダムを対象に,スパースモデリング手法の一つであるElastic Netを用いて流入量予測を行った.この際,モデルの説明変数としてアンサンブル予測雨量を導入した.また,予測雨量の空間不確実性を考慮し,降雨情報を取得する領域を拡張することで,安全側の評価ができるような改善を行った.

  • 押川 英夫, 松岡 佳宏, 田中 蒼生, 正垣 智亮, 関 愛佳, 高井 佑豪
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16051
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     本研究では,北山ダムと嘉瀬川ダムの2基のダムが直列配置されている嘉瀬川上流域において,計画降雨をベースとした数値シミュレーションにより,流域治水を考慮して既存の利水ダムの北山ダムを治水利用する場合に設定すべき治水容量について検討した.具体的には,直列配置されたダム群において上流側のダムで非常用洪水吐きからの越流を許容するカスケード方式を考慮して,上流側の北山ダムの計画最大放流量(ゲートの操作規則に相当)を任意に設定することによる治水効果について,ダム間への流入量を踏まえた系統的な数値実験により検討した.その結果,上流側のダムへの流入量とダム間への流入量の比に応じて2基のダムの最適な治水容量比が求められることが分かった.また,河川計画に応じて支川流入量比と各ダムの計画最大放流量が決まれば,簡便な推定式により適切な治水容量比が求められることとなった.

  • 森本 晃樹, 恩田 千早, 角 哲也
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16052
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     持続可能な水力発電を実現するためには,貯水池土砂管理が重要な課題となっている.そのため,通砂運用の導入が一部の発電用ダムで進められている.通砂効果と発電への影響を考慮して通砂運用を最適化することは,「ダム再生」と「流砂環境再生」の観点で,非常に重要な課題である.本論文では,発電用ダムの通砂運用高度化を目的として,瀬戸石ダムを対象に分析し,一般的な指針を得るために検討した.具体的には,河床変動数値解析および降雨予測に基づく検証結果や経済性を考慮し,最適な運用開始基準流量を評価した.その結果,通砂特性に着目して発電用ダムの通砂運用を最適化できる可能性を見出した.また,ダム地点における時間的な水・土砂収支を把握し,調整池に流入する水量を通砂運用により効果的に活用できることを確認した.

  • 廣田 康起, 荒木 壯則, 仲 浩明, 中島 洋, 有光 剛, 角 哲也
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16053
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     近年,長時間アンサンブル降雨予測を利水ダム運用に活用し,大規模出水を早期に把握し発電放流により事前に水位低下させることで「洪水貯留機能の拡大」と「発電電力量の増大」の両立が期待されている.しかし,ダム運用と発電運用の実務的な制約条件までを考慮した活用方法の検討や水系全体の増減電の影響を評価した事例は少ない.本研究では,仲らの先行研究を発展させて黒部ダムを対象に2024年6, 7月に試行運用を行った.また,その結果を踏まえたアンサンブル予測のメンバ構成の再選定において,水系全体の増減電影響をより定量的に評価可能な増電効果の期待値の導入を提案した.

  • 山田 朋人, 清水 啓太
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16054
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     適応策に資する風水害リスク情報の創出には,低頻度極端現象の強度と発生頻度を推定可能なアンサンブル気候データが不可欠である.過去から将来にわたる時間軸において,多数アンサンブルかつ高解像度で連続的に気候の再現・予測を実施することは,現行の計算科学においても依然として困難である.本研究では,観測や時間連続実験による時系列の確率分布特性を記述する平均情報量及び極端現象の物理的発生頻度の保存を非定常確率過程に仮定することで,極値水文時系列の構成手法を構築した.当該手法を実流域に適用し,年最大雨量時系列を構成することで,計画確率規模雨量の時間連続的な将来変化を定量化した.さらに,本手法によりアンサンブル気候データから構成した極値水文時系列は,時間連続実験に基づく非定常確率過程に適合することを示した.

  • 北野 利一
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16055
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     水文統計におけるプロクルステスの寝台問題が知られる.漸近理論から導かれた極値分布の適用にあたり,足切りを行って,データを確率分布に合わせようという考え方がある一方で,治水計画で行われる現行法は,用意した幾つかの候補分布からデータに適したものを1つ選択できるような方策となっている.サンプルサイズの限られた観測データであっても,ある手順で1つに絞り込むことが可能であるのは,そのことそのものが杓子定規になるからだという批判もあるだろう.複数の分布関数で試行錯誤を行うことは工学的判断として不可欠である.本研究は,そのために必要となる候補分布の裾特性について,極値理論の視点から把握し,分布関数の試行錯誤に必要な知見を与えるものである.

  • 内村 在誠, 田中 智大, 北野 利一, 立川 康人
    2026 年82 巻16 号 論文ID: 25-16056
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル 認証あり

     本研究では,d4PDFに基づく年最大時間流量データに2変量極値分布を適用して推定される2水系の河川流量の裾従属性の特性を,d4PDFデータにおける同時洪水の発生時期と気象要因分析を通して分析した.その結果,裾従属性が強い水系の組では同じ年に洪水が起きた場合,それらはほとんど1週間以内に生じており,年最大値データから推定した裾従属性の強さが同一時期での洪水を表すことがわかった.また,九州地方を例に同時洪水の気象要因を調べたところ,北西地域では停滞前線が83%,南東地域では台風が70%と,特定の気象擾乱が共通の要因となって同時洪水を引き起こしていることがわかった.これらの気象要因は既往の災害実績の傾向とも整合しており,河川流量の裾従属性が強い水系では同一時期かつ同一の気象擾乱で同時洪水が発生することが確かめられた.

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