土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造)
Online ISSN : 2185-6567
ISSN-L : 2185-6567
68 巻, 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
委員会報告
和文論文
  • 山本 悟, 上野 萌, 石井 浩司, 関 博
    2012 年 68 巻 1 号 p. 9-25
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     コンクリート中の鋼材は塩害によって不均一な腐食を生じることが多く,また複数の鉄筋が配置された条件での腐食や電気防食効果に関して未解明な課題も多い.本研究では鉄筋の腐食形態を,同一鉄筋内で形成する「鉄筋内マクロセル」,および離れた鉄筋間で形成する「鉄筋間マクロセル」の2種類に大別し,両マクロセルに関して(1)腐食メカニズムの究明,(2)電気防食効果の検証,(3)電気防食基準の検討,などを目的として行った.その結果,1)乾燥環境下の鉄筋はカソードに,湿潤環境下の鉄筋はアノードになったこと,2)鉄筋間のマクロセル電流は,アノード部の腐食電流に占める割合は低いがアノード部の腐食を助長したこと,3)両マクロセルの防食基準として「復極量100mV」が適用できた,ことなどを明らかにした.
  • 福留 和人, 古川 幸則, 庄野 昭
    2012 年 68 巻 1 号 p. 26-37
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
     給水養生の適用効果の評価手法を確立することを目的に,湿潤養生条件が普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートの圧縮強度発現に及ぼす影響評価手法を提案した.本手法は,コンクリートの保水状態がセメント鉱物の水和反応速度に及ぼす影響を考慮して算定した水和生成物容積により圧縮強度発現特性を評価するものである.
     本研究では,本手法の各種ポルトランドセメントへの適用拡大を試みた.検討の結果,セメントの種類による水和速度の相違および保水状態の影響の差異を考慮した補正を行うことで,種々のポルトランドセメントへ適用可能な統一的な評価手法を提案した.
  • 浦野 真次, 根本 浩史, 崎原 康平
    2012 年 68 巻 1 号 p. 38-48
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/19
    ジャーナル フリー
     本研究は,流動解析手法による実際の構造物を対象とした施工性の評価方法の確立を目的として,粒子法の1つであるMPS法を適用し,高流動コンクリートの流動解析手法としてのMPS法の有効性と課題について検討を行った.その結果,高流動コンクリートの構成則をbi-viscosityモデルとしたMPS法による流動解析結果は,高流動コンクリートのスランプフロー,Lフロー試験,CFTの充てん状況の流動挙動をよく表現でき,充てん性評価方法として有効であることを示した.実際の構造物を対象とした施工性の評価では,閉塞などの現象を評価するため,ビンガム流体の「分離限界点」を指標として,CFTの圧入時のダイヤフラム部付近における材料分離や閉塞の不具合の危険性について評価できる可能性があることを示した.
  • 山田 宏, 片平 博, 渡辺 博志
    2012 年 68 巻 1 号 p. 63-71
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/19
    ジャーナル フリー
     ひずみゲージを用いて粗骨材自体の乾燥収縮率を測定することで,種々の粗骨材の乾燥収縮特性の実態を把握するとともに,その測定手法が測定結果に与える影響について検討した.粗骨材粒子の乾燥収縮率の測定結果の有用性を確認するため,各粗骨材粒子を複数個測定した乾燥収縮率の平均値とコンクリートの乾燥収縮率との相関性も検討した.
     その結果,粗骨材粒子の乾燥収縮率は,ひずみの方向依存性や体積表面積比の影響よりも,粒子間でのばらつきの程度の方が大きいことを明らかにした.また,粗骨材粒子の乾燥収縮率の平均値とコンクリートの乾燥収縮率の間には,高い相関性が認められた.このことから,ひずみゲージを用いて測定した粗骨材の乾燥収縮率の平均値は,コンクリートの乾燥収縮率を推定するひとつの指標になり得ると考えられる.
  • 渡邉 賢三, 横関 康祐, 坂田 昇, 坂井 悦郎
    2012 年 68 巻 1 号 p. 83-92
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/19
    ジャーナル フリー
     コンクリートの耐久性向上を目標として低熱ポルトランドセメントにγ-2CaO.SiO2と各種ポゾランを混入して炭酸化養生することによって空隙を小さくする手法を検討した.実験的手法によって空隙率の経時変化と化学分析に基づく組成評価を行った結果,ポゾラン物質を含有することにより,前養生終了時の空隙が増大しCO2の移動量が大きくなること,およびγ-2CaO.SiO2と炭酸の反応性が促進されることの相乗効果によって空隙が著しく減少していることを明らかにした.
  • 大庭 光商, 佐藤 亜希子, 石橋 忠良
    2012 年 68 巻 1 号 p. 93-105
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/19
    ジャーナル フリー
     狭隘な作業環境下で柱径に制約を受ける場合は,極厚鋼管のCFT柱が用いられてきた.著者らはこれに代わる構造として,軸方向鉄筋14.8%~24.7%を高密度に配置し,これをスパイラル鉄筋で補強した“高密度配筋RC柱”を考案した.高密度配筋RC柱の地震時における損傷形態および変形挙動を確認する目的で,軸方向鉄筋比,せん断スパン比,曲げせん断耐力比を実験変数とした模型試験体による静的正負交番載荷実験を行った.実験の結果,高密度配筋RC柱は,軸方向鉄筋比,せん断スパン比,曲げせん断耐力比により損傷形態が異なるが,いずれの試験体も急激に耐力が低下することはなく,柱の回転角1/10以上の大きな変形性能が確保できることがわかった.また,曲げ終局耐力は,最大荷重時の損傷状況を考慮することで評価が可能であることを示した.
和文報告
  • 田中 希枝, 島 弘
    2012 年 68 巻 1 号 p. 72-82
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/19
    ジャーナル フリー
     現状のコンクリートの乾燥収縮量予測式では骨材特性が考慮されていない.コンクリートの収縮量はセメントペーストの収縮と骨材による拘束によって決まり,拘束度は骨材自身の乾燥収縮量およびヤング係数によると考えられ,コンクリートの乾燥収縮量予測に骨材特性を考慮する方法として,セメントペーストおよび骨材それぞれの収縮量とヤング係数を用いる複合モデルがある.本研究では,細骨材と粗骨材の特性を別々に考慮できる三相複合モデルを検証するために,異なった特性の粗骨材を用いて,原石の乾燥収縮試験およびヤング係数試験,コンクリートの乾燥収縮試験等を行った.その結果から,複合モデルよって骨材のヤング係数および乾燥収縮ひずみを共に考慮すると,コンクリートの乾燥収縮ひずみが精度よく予測することができることを確認した.
英文論文
  • Muhammad SALEEM, Tatsuya TSUBAKI
    2012 年 68 巻 1 号 p. 49-62
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/19
    ジャーナル フリー
     A new two-layer anchor-infill assembly structure for the post-installed anchor is introduced with the analytical model to simulate its pull-out deformational response. The post-installed anchor is such that used in strengthening techniques for reinforced concrete structures. The properties of the infill material used for post-installed anchor are characterized by nonlinear interfaces. Because of the mechanical properties of the infill layer the existing pull-out model of deformed bars is not applicable in this case. Interfacial de-bonding is examined using energy criterion and strength criterion. The effect of the interface properties such as stiffness and strength on the pull-out behavior of a post-installed anchor is investigated. Using sensitivity analysis, the effect of these parameters on load-displacement curve, shear stress distribution, de-bonded length and damage to the surrounding concrete is clarified. Then, the optimum combination of these parameters is presented. It is confirmed that the elastic modulus of infill should be large to reduce the pull-out displacement and the increase of the shear strength of infill makes the pull-out load larger.
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