土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造)
Online ISSN : 2185-6567
ISSN-L : 2185-6567
69 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
和文論文
  • 岩野 聡史, 森濱 和正, 渡部 正
    2013 年 69 巻 2 号 p. 138-153
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/19
    ジャーナル フリー
     衝撃弾性波法によるコンクリートの圧縮強度の推定方法に,弾性波速度と圧縮強度の相関関係を用いる方法がある.今回の実験では,この衝撃弾性波法による推定方法と微破壊試験である小径コア法を併用する圧縮強度の推定方法を,以下のとおり考案し,その精度を検証した.先ず,新設構造物の建設時に作製した66種類の配合の円柱供試体で弾性波速度と圧縮強度を測定し,両者の関係の特徴を明らかにした.次に,この特徴を利用し,既設構造物の1箇所で弾性波速度と小径コア強度を測定し,その関係より,構造物の任意の位置で弾性波速度を測定して圧縮強度を推定する方法を考案した.既設構造物において,考案した方法の精度の検証を行なった結果,±15%程度の誤差で圧縮強度を推定できることを確認した.
  • 高谷 哲, 中村 士郎, 山本 貴士, 宮川 豊章
    2013 年 69 巻 2 号 p. 154-165
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/19
    ジャーナル フリー
     構造物を維持管理する上で,劣化度を評価することは非常に重要であり,コンクリート構造物の場合には,ひび割れが劣化度の指標として用いられることも多い.そのため,コンクリート中の鉄筋が腐食した場合についても,ひび割れ発生腐食量やひび割れ幅と腐食量の関係についてこれまで数多くの研究が行われてきた.しかし,様々な結果が報告されており,かぶりや鉄筋径などの影響について体系的に整理されていないのが現状である.この原因の一つとして,生じる腐食生成物の種類が環境によって異なることが考えられるが,これまで腐食生成物の違いはあまり考慮されていなかった.
     そこで本研究では,種々の環境が腐食生成物に与える影響を検討するとともに,腐食生成物の違いがひび割れ発生腐食量に与える影響について検討を行った.
  • 幸左 賢二, 草野 昌夫, 合田 寛基, 柴田 綾野
    2013 年 69 巻 2 号 p. 166-181
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/19
    ジャーナル フリー
     ASRによる膨張を模擬し鉄筋破断が生じた供試体実験から,内部からの膨張を受けた供試体の経時的な外観劣化性状や,鉄筋破断がひび割れ,変形などの外観劣化に与える影響について検討した.供試体は実構造物を模擬した1/4スケールとし,中空部に膨張モルタルを用いることでASR膨張を模擬した.また,実験パラメータは,鉄筋種別,帯鉄筋比,膨張量および曲げ加工半径とした.その結果,今回の実験では,帯鉄筋1本程度の破断で破断箇所近傍の変形やひび割れ性状に差異は確認されなかった.一方,鉄筋の銘柄により初期損傷が異なり,初期損傷が大きいほど鉄筋曲げ加工部での損傷進展は顕著となることが判明した.さらに,鉄筋の化学成分やシャルピー衝撃試験などから,初期損傷と損傷進展の傾向について検討を加えたが明確な関連性は確認されなかった.
  • 麓 隆行
    2013 年 69 巻 2 号 p. 182-191
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/19
    ジャーナル フリー
     X線CTを使用すれば,非接触で3次元的に材料内部の構造を観察できる.さらに荷重を加えた状態を再現できれば,建設材料の破壊挙動を調べることができる.コンクリートの破壊挙動には大きな荷重が必要となるが,従来の産業用装置では機構上,それを再現することは困難である.そこで,新しい機構のX線CTを開発した.アムスラー型試験機で圧縮された試験体の周囲を,X線管とフラットパネルセンサが回転する方式である.本論文では,開発したX線CTの概要を述べる.次に,粒子画像解析ソフトおよびPIVにより,X線CT画像を解析し,圧縮試験時のポリマーコンクリートの内部変形を調べた.その結果,ポリマーの局所的な圧縮変形による骨材のひび割れが観察された.
  • 石関 嘉一, 加藤 佳孝, 西村 次男, 魚本 健人
    2013 年 69 巻 2 号 p. 227-240
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/20
    ジャーナル フリー
     吹付けコンクリートは通常の打設コンクリートと異なりリバウンドが発生する.これは,コンクリートの配合条件や施工条件が原因とされている.施工条件のうち配管内の空気流量と吹付け距離を一定として配合条件を変化させた実験を行った結果,2つの施工条件はリバウンドの発生原因の1つであることが確認された.そこで,配管内の空気流量と吹付け距離を変化させた結果,リバウンド発生形態が異なることが確認でき,リバウンド発生原因はコンクリートの吹付け速度と拡散面積が原因であることが明らかとなった.これらの影響を定量的に把握するために吹き付けられるコクリートの速度を計測し,ノズルから噴流するコンクリートのエネルギーを算出した.この結果から,空気流量と吹付け距離を制御することで,リバウンドを抑制できることが明らかとなった.
  • 林 大輔, 長井 宏平
    2013 年 69 巻 2 号 p. 241-257
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/20
    ジャーナル フリー
     本研究では複雑な三次元配筋下における鉄筋の抜出し挙動及びひび割れ進展の再現と定着性能の評価を行うことを目的に,鉄筋端部形状,横方向筋量,鉄筋間のあきを変化させた場合の定着挙動を三次元離散解析手法を用いて解析し,実験との比較により検証した.結果,解析により得られたひび割れ性状が実験のものと一致し,定着方法や配筋により異なる複雑な三次元的なひび割れ進展を再現可能であることを示した.また荷重‐抜出し関係より,横方向筋による拘束効果が適切に考慮されていることを確認し,更に鉄筋間隔が非常に狭い過密配筋状態では,鉄筋間のコンクリートの材料特性を考慮し脆弱領域を導入することで適切にその定着性能を評価可能であることを示した.
和文報告
  • 坂口 淳一, 土屋 智史, 渡邊 忠朋, 斉藤 成彦, 牧 剛史
    2013 年 69 巻 2 号 p. 192-206
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/19
    ジャーナル フリー
     単純支持されるせん断スパン比が1.5~3.0の鉄筋コンクリート梁を主対象に,せん断補強鉄筋量がせん断耐力に及ぼす影響を数値解析的に検討し,既往のせん断耐力算定式との比較を行った.梁の形状・寸法やせん断補強鉄筋比および降伏強度等をパラメータとした2次元の非線形FEM解析から,せん断補強鉄筋が多量に配筋されたせん断スパン比が大きい棒部材では,降伏強度に相当する引張力をせん断補強鉄筋が負担する前に,載荷版近傍の圧縮域のコンクリートの損傷が進展し,部材の最大耐力がせん断耐力の算定値を下回ることが示唆された.解析から得られた最大耐力,すなわちせん断破壊耐力と,修正トラス理論に基づくせん断耐力算定値との比較から,既往のせん断耐力算定式に対する,せん断補強鉄筋が受け持つせん断耐力に関する上限を提案した.
  • 渡邊 忠朋, 土屋 智史, 坂口 淳一, 笠井 尚樹
    2013 年 69 巻 2 号 p. 207-226
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/19
    ジャーナル フリー
     近年,PC長大橋の供用開始以降のたわみが,設計時の予測値を大きく超えて増大し続ける事例が報告されている.本稿では,比較的簡便にPC長大橋のたわみの進展を精度良く予測すること目的として,長期におよぶコンクリートの収縮ひずみの予測式を提示し,それを活用して,橋梁設計で広く用いられている手法を拡張した線材モデルによる構造解析手法を提案した.収縮ひずみの予測式は,様々な寸法のコンクリートを対象とする系統的な数値解析とデータ処理により定式化した.線材モデルによる構造解析では,同一断面内におけるコンクリートの収縮量の差と,それによって生じる変形を考慮可能なモデル化を行った.本手法を用いて,実在PC長大橋のたわみの経時変化を試算し,実測値との比較を行った結果,長期たわみを概ね精度よく推定することができた.
feedback
Top