本研究では,硫酸および硫酸塩が混在する環境を想定し,コンクリートの硫酸劣化および硫酸塩劣化の侵食現象を包括的に検討し,整理した.pH(硫酸酸性度)およびSO
42-濃度を調整した溶液に供試体を浸漬させ,化学的および物理的変化を分析した結果,作用する溶液のpHおよびSO
42-濃度を指標として,侵食形態を3種に区分して整理することができた.SO
42-濃度が低いと,pH2~3の硫酸でも侵食は相対的に穏やかであった.高SO
42-濃度の条件では,エトリンガイトの生成によりひび割れが発生した.pH2~3以下,高SO
42-濃度の条件では二水セッコウの脆弱層が生成して表層の断面欠損が生じた.各条件の侵食速度を数値化して比較すると,酸とSO
42-の同時作用により侵食は相乗的に大きくなることが明確となった.
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