土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造)
Online ISSN : 2185-6567
ISSN-L : 2185-6567
71 巻, 4 号
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和文論文
  • 武田 健太, 田中 泰司, 下村 匠, 山口 貴幸, 陸 賢, 井林 康, 村上 祐貴
    2015 年 71 巻 4 号 p. 303-322
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    ジャーナル フリー
     日本海沿岸部で約35年間塩害環境下に曝され,鋼材腐食が生じたプレテンション桁を対象として載荷試験を行ったところ,橋桁によってPC鋼材の腐食状況が異なっていたために,破壊形式や耐荷性能も異なる結果となった.次に,有限要素解析により,載荷実験の再現解析を行った.その結果,PC鋼材の腐食状況を解析上で精緻に表現し,適切な材料モデルを適用することで,有限要素解析により耐荷性能を比較的精度良く推定可能であることが示された.一方,外観のひび割れ状況からPC鋼材の腐食状況を間接的に推定した場合には,評価の精度が落ちることが示された.
  • 門 万寿男, 前島 拓, 子田 康弘, 中野 聡, 藤山 知加子, 岩城 一郎
    2015 年 71 巻 4 号 p. 323-337
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,道路橋上を走行する交通荷重により発生するRC床版下面のひずみ挙動を,長尺光学ストランドセンサを用いて計測し,その平均ひずみ波形からRC床版の疲労損傷度を評価する手法を示した.実験では,条件の異なる3種類のRC床版供試体を対象とした輪荷重走行試験を行った.その結果,(1)センサにより得られる橋軸直交方向の平均ひずみ振幅,(2)橋軸方向の平均ひずみ振幅を橋軸直交方向の平均ひずみ振幅で除した平均ひずみ振幅比,(3)時間軸上における平均ひずみ振幅比の変化点がRC床版の疲労損傷度評価指標と成り得ることを見出した.さらに,疲労損傷が詳細に調査されている実橋のRC床版にセンサを設置し,本手法の妥当性・適用性を検証したところ,現場での疲労損傷と整合する結果を得た.
  • 寺澤 正人, 槙島 修, 川里 麻莉子, 鈴木 基行
    2015 年 71 巻 4 号 p. 338-347
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    ジャーナル フリー
     コンクリート構造物の耐久性に影響を及ぼす一因として,乾燥収縮ひび割れがある.R. Torrentが考案したダブルチャンバー法による透気試験結果には,乾燥収縮と関係性が深いコンクリート表層の水分量が影響するとされる.本研究では供試体を種々の実験環境下におき,コンクリート表層の相対湿度測定,透気試験および蛍光エポキシ含浸によるひび割れ発生程度の観察などからなる実験と乾燥収縮解析を実施した.その結果,透気係数にはコンクリート表層の水分量が主に影響すること,表層ひび割れの挙動が水分量の挙動に依るため,透気係数と表層の微細ひび割れの発生程度には関係性が見られること, ひび割れ密度が一定値以上となると,透気係数と微細ひび割れの発生程度の関係性に変化が生じることが明らかになった.
  • 上原 伸郎, 幸左 賢二, 大代 武志
    2015 年 71 巻 4 号 p. 348-364
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    ジャーナル フリー
     40%以上の鉄筋が損傷したASR構造物を対象として,打替え時の調査結果を基に鉄筋損傷のメカニズムについて検討した.損傷鉄筋の配列と44本の鉄筋亀裂の計測から,部材形状や部位といった位置関係よりも鉄筋自体の性状が損傷の有無に影響を及ぼしたと推察された.また,損傷程度の差は,曲げ加工に伴う節形状の変化とこの時発生する初期亀裂の差により異なる可能性が示唆された.鉄筋に及ぼす作用として,梁軸直交方向の切断面における内部ひび割れ分布と方向性から梁部材断面内における変形を推定した結果,主にスターラップ以深における膨張変形が推定された.以上から,鉄筋曲げ加工部はASRの膨張作用によって押し拡げられるような変形を伴い,初期の損傷や欠陥を有する鉄筋が選択的に損傷したと考えられた.
  • 佐々木 尚美, 小林 薫, 半井 健一郎
    2015 年 71 巻 4 号 p. 365-384
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/20
    ジャーナル フリー
     豆板を取り除いて断面修復する従来の補修工法では,連続的な補修境界面(界面)ができ,補修部が剥離・剥落する可能性がある.本研究では,豆板を取り除かずにエポキシ樹脂を注入して補修する工法を提案し,その提案工法で補修したRCはりと従来工法で補修したRCはり試験体を用いて,補修部の挙動に着目した正負繰返し曲げ載荷試験を行った.豆板のない健全な試験体と比べ,提案工法で補修した試験体の補修部の曲げひび割れ発生荷重は増大し,ひび割れ幅は減少した.また,界面位置での剥離は生じなかった.一方,従来工法で補修した試験体の界面剥離は載荷当初より発生し,補修部のひび割れ幅・剥離幅は載荷とともに増大した.従来工法で補修した試験体の界面剥離挙動について分析し,正負繰返し載荷は界面剥離を進展させる要因となることを確認した.
  • 三田 勝也, 加藤 佳孝
    2015 年 71 巻 4 号 p. 385-397
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/20
    ジャーナル フリー
     コンクリート表層部の品質低下は,型枠界面のブリーディング水が原因となる可能性があるが,その発生機構は十分な検討がなされていない.本研究はブリーディング水の発生機構の理解を目的とし,影響要因として,粉体種類,粉体濃度,打込み高さおよび配合を変化させて実験的に検討した.その結果,ブリーディング水の発生量の異なる領域が最低限3つ存在し,型枠面から0.5cm幅の領域でブリーディング水が最少で,そこから概ね3.0~4.0cm幅の領域で最も多かった.また,水和反応による熱対流や粉体濃度の変化による水の体積割合の変化が,各領域のブリーディング量を変化させる可能性があること,打込み高さの増加に伴い各領域のブリーディング量の増加割合は異なること,および骨材の存在によって領域間のブリーディング水の差が減少することが分かった.
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