土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造)
Online ISSN : 2185-6567
ISSN-L : 2185-6567
72 巻, 2 号
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和文論文
  • 宮村 正樹, 内藤 英樹, 中野 聡, 門 万寿男, 岩城 一郎, 鈴木 基行
    2016 年 72 巻 2 号 p. 41-55
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
     本研究は厳しい塩害環境において架替え後15年が経過したPC箱桁道路橋の構造性能を評価したものである.供用中の橋梁の構造性能を評価するためには非破壊試験が前提となるため,本研究ではその剛性に着目し,車両による静的および動的載荷試験,重錘による衝撃振動試験,さらには加振器による強制加振試験を組み合わせ,その全体剛性,部材剛性,局所剛性を総合評価し得る枠組みを提案した.また,試験結果を考慮したFEM解析を実施し,検査範囲の異なる種々の振動試験の整合性や試験方法の妥当性を検証した.その結果,本橋の全体剛性は設計値とほぼ同等であったが,部材の一部には剛性低下が見られ,さらに局所的には剛性が大きく低下している箇所があることを明らかにした.
  • 安保 知紀, 石橋 忠良, 松岡 茂, 長尾 達児, 栗栖 基彰
    2016 年 72 巻 2 号 p. 56-67
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
     ずれ止めを設けず部材軸直角方向にせん断補強鋼板を配置した鋼コンクリートサンドイッチ部材の地震時変形性能に関する研究は非常に少なく,噛み合わせ継手で鋼製エレメントを接合した部材の軸力作用下における曲げ変形性能を定量的に評価した研究が無い.そこで,まず実物大の交番載荷試験からコンクリートには局所的なひび割れが発生することを確認し,非線形有限要素解析を用いてこの局所的なひび割れが開口していくことにより曲げ変形が進むというメカニズムを明らかにした.さらに,せん断補強鋼板に挟まれたブロックの回転変形を累積することで,曲げ変形量を簡便かつ定量的に評価できるモデルを提案し,載荷試験や有限要素解析によってその適用性を検証した.
  • 米津 薫, 藤山 知加子, 門 万寿男, 前島 拓, 子田 康弘
    2016 年 72 巻 2 号 p. 68-82
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
     本論文は,風車RC基礎接合部において,実測及び数値解析に基づく応答分析により疲労評価手法を示したものである.はじめに,実風車の長期振動計測により作用-応答関係を検証し,風向によらずタワーは楕円軌道を描くことから,曲げモーメントは多方向に生じることを示した.次に,非線形有限要素解析により終局に至る過程のシミュレーションを行い,基礎接合部コンクリート限界状態を設定した.さらに,振幅と入力方向をパラメータとして繰返し荷重を入力し,限界状態の判定に各種評価指標を適用することで,対象風車基礎部の疲労損傷評価手法を示した.その結果,多方向入力による基礎部の損傷は,一方向荷重下に比べ,限界状態に達するまでの繰返し回数が大幅に減少すること,過大荷重による損傷履歴がその後の疲労損傷に影響を及ぼすことを示した.
  • 酒井 雄也, 岸 利治
    2016 年 72 巻 2 号 p. 83-96
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
     本論文はコンクリート中の液状水移動を定量評価する方法を検討したものである.パーコレーション理論に基づき,空隙率と臨界浸透確率の積が一定(16%)と仮定して閾細孔径を求めた結果,過去に提案した手法により得られた閾細孔径と対応した.得られた閾細孔径を用いて,コンクリートを液状水が貫通するまでの時間の実測値と理論値を比較した結果,屈曲度は6となった.また空隙率と臨界浸透確率の積が一定であれば,閾細孔径以上の空隙の体積率は自動的に一定となると考え,透水試験における透水量を,有効断面積を16%,屈曲度を6として計算した結果,計算値は実験値と対応した.一方,吸水試験の結果は有効断面積16%では過大評価する結果となった.原因として,液状水の浸潤中に気泡が巻き込まれた可能性を指摘した.
  • 佐藤 英明, 宮澤 伸吾
    2016 年 72 巻 2 号 p. 97-108
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
     コンクリートダムにおける温度ひび割れの制御,すなわち設計・施工段階における温度規制において,ダムコンクリートの自己収縮ひずみの影響については,貧配合コンクリートであることなどから無視できる程度とされていた.しかし,ダムコンクリートの自己収縮に及ぼすセメントの種類や配合の影響については殆ど明らかとなっていない.本研究では,フルサイズ骨材を用いたダムコンクリートの自己収縮ひずみの試験方法について検討を行うとともに,幾つかのダム用セメントを用いたダムコンクリートについて自己収縮特性を明らかにした.また,施工段階での温度ひび割れの検討で用いる自己収縮ひずみの設計値についても提案した.
  • 野嶋 潤一郎, 内田 真未, 新井 淳一, 溝渕 利明
    2016 年 72 巻 2 号 p. 109-125
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/20
    ジャーナル フリー
     本稿は,電磁波を用いたコンクリート中の塩化物イオン量推定技術の精度向上ならびに実用化を目的として,検討を行ったものである.最初に,コンクリート中の塩化物イオンの存在による電磁波減衰現象について,理論式による整理を行った.次に,主たる電磁波減衰要因となる「塩化物イオン量」,「電磁波伝搬距離」,「含水率」,「温度」を変化させたコンクリート供試体による実験を行い,電磁波減衰理論の適用性を確認した.さらに,実験より得られた数値データを用いて汎用電磁波レーダを用いたコンクリート中の電磁波減衰シミュレーションを構築した.その結果,各種条件下におけるコンクリート供試体中の電磁波減衰量を推定することが可能となり,電磁波によるコンクリート中の塩化物イオン量推定技術の精度向上に資する現象をとらえることができた.
  • 前島 拓, 子田 康弘, 岩城 一郎, 内藤 英樹, 岸良 竜, 鈴木 康範, 大田 孝二, 鈴木 基行
    2016 年 72 巻 2 号 p. 126-145
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,アルカリシリカ反応(ASR)が道路橋RC床版の耐疲労性に及ぼす影響について実験的に検討したものである.実物大に近いRC床版を作製し,環境条件の異なるASR促進試験を行った後,水の作用の有無に着目した輪荷重走行試験を行い,各種要因がRC床版の耐疲労性に及ぼす影響を検討した.その際,所定の輪走行回数におけるRC床版のたわみやひび割れの発生状況を調査すると共に,小型加振器を用いた強制振動試験を行い,ASRおよび疲労による床版の剛性低下を評価した.その結果,ASRを生じたRC床版の耐疲労性はASRによる損傷状況に依存することを明らかにし,ASRによるケミカルプレストレスの導入およびひび割れの進展と水の作用が相互に影響することを示した.さらに,これらの影響を評価する上で振動試験が有効であることを明らかにした.
  • 岸 徳光, 三上 浩, 栗橋 祐介
    2016 年 72 巻 2 号 p. 165-180
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,AFRPシート緊張接着工法によるRC梁の合理的な曲げ補強設計手法の確立を目的として,断面寸法,主鉄筋比,せん断スパン比,シートの体積補強割合および導入緊張率を変化させた全35体のAFRPシート緊張接着曲げ補強RC梁の静載荷実験結果をとりまとめ,本工法で補強した各RC梁の曲げ耐荷性状およびシートの剥離性状に関する検討を行った.検討の結果,1) AFRPシート緊張接着補強を施すことにより,RC梁の曲げ耐荷性能が向上し,かつピーリング作用に伴うシートの部分剥離が抑制されること,2) 無緊張AFRPシート接着の場合と同様に主鉄筋降伏領域が大きいほどシート剥離が発生する傾向にあること,などが明らかになった.また,これらの検討結果に基づき,緊張接着曲げ補強RC梁の破壊形式予測式の再評価を試みた.
  • Amornthep SOMRAJ, 藤掛 一典, Bing LI
    2016 年 72 巻 2 号 p. 181-195
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/20
    ジャーナル フリー
     衝撃荷重を受けるRC梁のせん断破壊に対する安全性を合理的に検討するためには,RC梁のせん断耐力に載荷速度が及ぼす影響を明らかにするとともに,その解析モデルを開発することが不可欠である.そこで本研究では,まず,せん断補強筋比ならびに載荷速度をパラメーターとするRC梁の急速載荷試験を行い,RC梁の破壊モードや終局耐力に各試験パラメーターが及ぼす影響を調べた.その結果,せん断補強筋を配置していない試験体ではすべての載荷速度で斜め引張せん断破壊したものの,せん断補強筋比を増加することによって延性的な曲げ破壊に移行できることがわかった.次に,RC梁の動的せん断耐力を解析的に評価するために静的載荷で提案された修正圧縮場理論を動的載荷に拡張することを試み,実験結果との比較からその妥当性を確認した.
和文報告
  • 市野 宏嘉, 永田 真, 別府 万寿博, 大野 友則
    2016 年 72 巻 2 号 p. 146-164
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,火薬庫や重要構造物などのコンクリート構造物に対する耐爆設計法の確立に資するため,各種材料で裏面を補強したコンクリート板の接触・近接爆発に対する耐爆性能について実験的に検討したものである.補強材料としては,1)ヤング係数および引張強度が大きいシート状材料,2)ヤング係数が小さく破断伸びが大きい高分子系材料,を用いている.実験結果から,コンクリート板に対する裏面補強が接触・近接爆発によって生じる局部破壊の低減に有効であることを確認した.また,補強材料の引張剛性が補強コンクリート板の耐爆性能の向上に影響していることが認められ,補強材料の引張剛性を指標として裏面補強の効果を評価した.
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