土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造)
Online ISSN : 2185-6567
ISSN-L : 2185-6567
75 巻, 4 号
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和文論文
  • 轟 俊太朗, 石田 哲也, 田所 敏弥, 上田 洋
    2019 年 75 巻 4 号 p. 226-238
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    ジャーナル フリー

     かぶり30mm以下,中性化残り10mm以下ではく離はく落が発生した供用中の鉄道高架橋を対象として,水掛かりの異なる部位毎に,水とコンクリートの中性化がかぶりコンクリートのはく離はく落の発生や鉄筋腐食速度に与える影響を検討した.その結果,水掛かりが有る場合には,中性化残り10mm以下ではく離はく落が発生する可能性が高まるのに対して,水掛かりが無ければ,中性化残りが10mm以下であってもはく離はく落が発生する可能性が比較的低いことを明らかとした.また,水掛かりが有る場合の鉄筋腐食速度は0.2~9.3×10-3mm/年であった一方で,中性化残りが10mm以下であっても水掛かりが無ければ腐食は進行しにくく,水掛かりが無い場合の鉄筋腐食速度はそれよりも遅く0.2~2.7×10-3mm/年であった.

  • 橋本 永手, 加藤 佳孝
    2019 年 75 巻 4 号 p. 239-250
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    ジャーナル フリー

     コンクリート細孔溶液は高pHであることからコンクリート構造物中の鉄筋は不動態状態を維持している.しかし,海水等の塩化物イオンによりコンクリート中の鉄筋の不動態皮膜は破壊されることが知られている.既往の研究で,不動態皮膜破壊時の塩化物イオン濃度と水酸化物イオン濃度の比によって不動態皮膜破壊の条件は整理されているが,この値は各研究者によって幅を有する.本論文で欠陥格子の動力学に基づいて不動態皮膜破壊の理論的モデルを構築した結果,不動態皮膜の破壊条件は腐食前の鉄筋電位に影響されることが示唆された.また,実験結果から,不動態皮膜が破壊する際の塩化物イオン濃度と水酸化物イオン濃度の比と腐食前の鉄筋電位は指数関数関係にあることが判明した.

  • 藤本 謙太郎, 小澤 満津雄, 井筒 浩二, 谷辺 徹, 内田 裕市
    2019 年 75 巻 4 号 p. 251-264
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    ジャーナル フリー

     本研究ではプレストレストコンクリート梁(PC梁)の爆裂挙動を把握することを目的に,加熱条件をパラメータとしたPC梁の一面加熱による加熱試験を実施した.また,加熱試験終了後に常温での静的曲げ載荷試験を実施して,その耐荷特性について実験的に検討を行った.さらに,高温環境下におけるコンクリートの爆裂評価手法を用いた爆裂深さに関する検討,加熱試験後のPC梁の耐力の推定を行った.

     その結果,PC梁についてもプレストレスによる初期圧縮ひずみの影響を考慮することにより,爆裂初期の挙動が評価できる可能性を示した.また,爆裂や加熱の影響に伴う導入プレストレスの減少を考慮することにより火害後のPC梁の耐力を評価可能であることを示した.

  • 山田 雄太
    2019 年 75 巻 4 号 p. 265-278
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    ジャーナル フリー

     複数の穿孔を有するせん断補強筋の無い鉄筋コンクリートはりのせん断耐荷機構を解明することを目的として,静的載荷実験および有限要素解析を行った.実験の結果,穿孔をスプライン曲線上に配置したはりでは,無穿孔試験体と比較して,耐力が190%以上に増加することを確認した.鉄筋のひずみ分布からビーム機構およびアーチ機構の荷重寄与分を算出した結果,穿孔を曲線上に配置したはりでは,ビーム機構寄与分の最大値が増加するとともに,アーチ機構の卓越により終局耐力が増加することを確認した.有限要素解析により,穿孔を曲線上に配置したはりでは,鉛直応力卓越領域および鉛直応力非卓越領域の境界部に存在する単一の穿孔がひび割れ経路の変化に寄与することで最小主応力が広範囲に分布した結果,アーチ機構が卓越することを明らかにした.

  • 中村 拓郎, 中村 麻美, Devin GUNAWAN , 小林 研太, 二羽 淳一郎
    2019 年 75 巻 4 号 p. 279-292
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    ジャーナル フリー

     圧縮フランジの張出し部を考慮したT形RCはりのせん断耐力の評価方法を確立することを目的に,圧縮フランジ幅や厚さ,せん断スパン比,せん断補強鉄筋比がT形RCはりのせん断破壊挙動に及ぼす影響について実験および解析的検討を行った.その結果,圧縮フランジ幅や厚さが大きいほどせん断耐力が大きくなること,せん断補強鉄筋を有するT形RCはりでは,圧縮フランジによって斜めひび割れの進展が抑制され,圧縮フランジが分担するせん断耐力を期待できることを示した.また,せん断補強鉄筋が分担するせん断耐力には圧縮フランジの影響が少ないことを明らかにした.さらに,圧縮フランジの張出し部のコンクリート分担分を考慮したT形RCはりのせん断耐力の推定式を提案した.

  • 金澤 健, 佐藤 靖彦, 高橋 良輔
    2019 年 75 巻 4 号 p. 293-307
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/20
    ジャーナル フリー

     RC要素の凍結融解試験から,コンクリートに蓄積する膨張ひずみの大きさが鉄筋に対する方向に大きく依存し,その結果,RC要素に力学的異方性が生じることを明らかにした.本研究では,この力学的異方性を膨張ひずみにより考慮した材料構成則を構築し,3次元非線形有限要素解析(非線形FEM)に用いることで,凍結融解作用を受けたRCはりの静的破壊挙動の再現を試みた.非線形FEMでは,RCはりの膨張の異方性を,熱水分移動方程式を解くことで評価した.さらに,この膨張ひずみを初期ひずみとして考慮し,構築した材料構成則に組み入れ,力学的異方性を表現可能な解析手法を構築した.最終的に,本解析手法が,損傷域にばらつきを有するRCはりの荷重-変位関係のみならず,非損傷RCはりとは異なる破壊形式をも再現可能であることを確認した.

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