土木学会論文集B3(海洋開発)
Online ISSN : 2185-4688
ISSN-L : 2185-4688
68 巻 , 2 号
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海洋開発論文集 Vol.28(特集)
  • 根木 貴史
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_1-I_6
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     平成23年3月11日に発生した東日本大震災により,港湾でも甚大な被害を受けた.その後種々の審議会や委員会等で重ねられてきた議論を経て,最大クラスの津波と発生頻度の高い津波の二つのレベルの津波を想定することと「減災」が提案され,「粘り強さ」や「粘り強い構造」のコンセプトが示された.
     本稿では、その後の検討で得られた被災メカニズムに関する情報も紹介しつつ,「減災」や「粘り強い構造」に対応する設計の考え方等について,沿岸域構造物のうち防波堤や防潮堤を中心に,現在の検討状況や議論等について報告する.
  • 丸山 草平, 松本 朗, 半沢 稔
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_7-I_12
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     津波が越流することで防波堤の港内側マウンドが洗掘される結果起こるケーソンの滑動・転倒に対して,防波堤港内側のマウンド嵩上げを想定し,嵩上げマウンドの被覆材の安定性に関する基礎的知見を得ることを目的として水理模型実験を行ない,以下の結果を得た.
     被覆材の被災は越流した水塊の打ち込む位置の影響が大きい.被覆石では安定性を維持することは難しい.被覆ブロックにおいては揚圧力を軽減できる孔を有する形状が高い安定性を持つ.また消波ブロックについては,法先の列を固定することで安定化する.
  • 有光 剛, 大江 一也, 川崎 浩司
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_13-I_18
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     水理模型実験により,陸上構造物に作用する津波波圧と構造物前面の浸水深および水平方向流速の関係を詳細に分析した.津波先端部は水平方向流速が大きいものの浸水深が小さいため,直立壁到達時の波圧ピークは地表面付近でのみ出現することを確認した.その後,直立壁への衝突に伴い水塊が跳ね上がるために浸水深のピークが発生するが,その際の波圧は津波本体部が作用する状態における静水圧分布と比べると小さいことがわかった.実験結果に基づき,直立壁前面の最大浸水深に基づく静水圧と,津波先端作用時の流速ピーク時の運動量保存則に基づく圧力を組み合わせることにより,陸上構造物前面の浸水深および流速を用いた津波波圧算定式を提案した.既往の波力算定方法および水理模型実験との比較より,本研究で提案した津波波圧算定式の妥当性を検証した.
海洋開発論文集 Vol.28
  • 犬飼 直之, 細山田 得三, 陸 旻皎, 熊倉 俊郎, 南 將人, 入江 博樹
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_19-I_24
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震で発生した津波災害で,著者らは岩手県北部海岸域を中心に調査を実施した.調査では,水面から建物壁に残る泥水の最上部や山斜面の遡上部の最上部までの痕跡高を把握し,その後潮位推算モデルを利用して被災時の津波高を把握した.その結果,構造物が無い前面が開けた浜崖を遡上した津波遡上高は三陸北部で17m程度であり中部では20m程度であった.また,久慈や野田のように南部からの進行波と北部の岬の反射波が干渉して波高が増大した海域があり,特に野田村では局所的に30m以上の遡上痕があった.宮古湾のように,多くの湾では湾奥で遡上高が減衰していたが,広田湾では逆に湾奥で増大していた.木造家屋の被災状況は,1.5m程度の浸水深で半壊,2m程度以上の浸水深で全壊であった.
  • 鈴木 崇之, 佐々木 淳, 田島 芳満, 早野 公敏
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_25-I_30
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     2011年3月11日,東北地方東方沖を震源としてM9.0の大地震に伴い大津波が東北地方を中心に襲った.震災直後,複数の関連学会で構成された,東北地方太平洋沖地震津波合同調査グループが立ちあげられ,東北地方には3月27日より第1期調査隊として6チームが現地に入った.本論文では,この第1期調査で横浜国立大学・東京大学合同チームにより行われた岩手県南部の釜石湾,両石湾,大槌湾,綾里湾,大船渡湾の調査結果を示す.津波痕跡高は,7.7mから30.1mまで記録された.釜石湾と両石湾では湾口防波堤の有無により浸水高に大きな違い見られた.また,大船渡では背後域の低平地の広がりの有無により被災状況が大きく異なることが分かった.さらに,湾口防波堤のある大船渡や釜石では湾内の流速が比較的小さく,水位上昇の速度も低減されていたことが目撃証言などから推察された.
  • 酒井 和也, 宇多 高明, 清水 達也, 熊田 貴之, 本橋 修二, 渡邉 徹
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_31-I_36
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     2011年3月11日,大地震と大津波が茨城県の大洗港の南側の海岸を襲った.このとき防波堤の延伸に伴って形成された波の遮蔽域へと海浜砂が運び去られて侵食が進んでいた海岸に,強大なエネルギーを持った津波が作用したが,その際,護岸の著しい破壊が生じた.本研究では,侵食海岸では地震・津波により海岸施設が破壊されやすく,その機能を果たすことができない恐れが高いことを茨城県大洗港の南側に位置する成田・上釜海岸の例を基に考察した.
  • 宇多 高明, 五十嵐 竜行, 中橋 正, 保田 英明, 熊田 貴之, 酒井 和也, 清水 達也
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_37-I_42
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     東北地方太平洋沖地震時,九十九里浜では小河川からの津波侵入と,内陸から海岸へと直線状に延びていた海岸へのアクセス路からの津波侵入が顕著であった.本研究では,それらの典型的現象が観察された地域として,飯岡海岸に流入する矢指川河口,および海浜へのアクセス路については蓮沼海浜公園と一宮海岸を対象として,衛星画像による津波後の変化を調べるとともに現地調査に基づき津波越流の起きたアクセス路の形状特性を明らかにした.
  • 宇多 高明, 三波 俊郎, 星上 幸良, 酒井 和也
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_43-I_48
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     2011年3月11日マグニチュード9.0の大地震(東北地方太平洋沖地震)が発生した.この地震に伴い,三陸や仙台湾沿岸に大規模な津波が襲来したのみならず,津波は福島・茨城県沿岸をも襲い多大な被害をもたらした.津波の高さは地域により大きく異なるが,いずれの地域でも海岸線近傍に祭られた神社はわずかな例外を除いて津波災害を免れ,これらの多くは津波の避難場所として役立った.本研究では,岩手県・宮城県・福島県から各2神社を選んで津波高と神社の地盤高の関係からこの理由について考察した.
  • 久木田 駿一, 柴山 知也
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_49-I_54
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震津波の映像の解析を行った. この津波の伝播及び氾濫について気仙沼を対象とした数値計算を行い, 映像から求めた結果と数値計算による結果と比較し, 数値計算の結果の妥当性の検討を行った. 映像の解析結果と数値計算による結果との比較により, 陸上に氾濫した津波の計測結果と数値計算結果がほぼ一致するということ, 氾濫シミュレーションにおいて津波の水位変化が再現できているということがわかった, また津波の陸上部における水位変化の挙動について津波防潮堤の存在が水位の立ち上がりを遅くしていたことも判明した.
  • 大平 幸一郎, 柴山 知也
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_55-I_59
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     本研究では,地震発生の際に長周期地震動により発生する遠隔地での高波に注目し,その発生メカニズムを検討する.2011年3月11日に東北地方太平洋沖でモーメントマグニチュードMw9.0の地震が発生した際,震源より約470km離れた西湖(最大水深73.2m,面積2.12km2)において,波高約1mの波が観測された.本研究では西湖で発生した波浪現象を,現地調査と数値計算を用いて再現した.さらに今後30年以内に70%の確率で発生すると予測されている東南海地震と東海地震の想定に同じ計算モデルを適用し,震源より離れた東京湾での長周期地震動により発生する波の予測を行った.その結果,波が不規則に発生することが分かった.地震が発生した際に,津波とともに注意すべき現象の一つとして,長周期地震動により発生する波を指摘した.
  • 中村 友昭, 水谷 法美, 芦澤 哲, 平川 信也
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_60-I_65
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     岸壁の近くに立地する堅固な建築物を対象に実スケールの3次元数値解析を行い,建築物の配置が津波による浸水量の低減に与える効果を評価した.その結果,建築物による浸水量の低減率は,建築物による遮蔽率の増加とともに大きくなる一方で,津波高や建築物の岸壁からの距離の増加とともに若干低下することを明らかにした.また,浸水量の低減率に与える影響が認められなかった津波の継続時間,岸壁の高さ,潮位,建築物の岸沖長さ,建築物間の隙間の数の大小に関わらず,建築物による遮蔽率が与えられれば浸水量の低減率を簡易的に推定できる近似式を提案した.そして,建築物が津波による浸水量を減少させる効果を有することを定量的に示すとともに,海岸保全施設だけではなく建築物を含めて津波対策を総合的に検討,評価できる可能性を示した.
  • Usman FADLY, Keisuke MURAKAMI
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_66-I_71
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     Local wisdoms such as a tradition, land-use system and etc. had sometimes mitigated tsunami damages in Indonesia. The effective use of those local wisdoms is strongly desired especially in developing countries, because it is quite difficult for those countries to allocate enough budgets for constructing hard type countermeasures against tsunami. Among local wisdoms against tsunami hazard, this study evaluates the efficiency of a hollow topography which can be seen on the beach along Lampon village in Indonesia Artificial hollows are arrayed on the beach as one of the local wisdoms in Lampon village to reduce the intensity of inundated tsunami flow. The numerical simulation of tsunami inundation is conducted to evaluate the efficiency of this hollow topography. Furthermore, this study evaluates the efficiency of some contrivances, such a combination of vegetation area and a multiple-use of hollow and embankment topography, in order to enhance the performance of countermeasure based on the local wisdom.
  • Min ROH, Mohammad Bagus ADITYAWAN, Hitoshi TANAKA
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_72-I_77
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     The flow velocity of tsunami wave was estimated by using Particle Image Velocimetry(PIV) and Particle Tracking Velocimetry(PTV). These methods have many advantages that can be used to measure velocity under limited data such as the 2011 off the Pacific Coast of Tohoku Tsunami. The results of video image analysis are evaluated by comparing with theoritical approach. The collected video image is stabilized and rectified in the pre-processing to enhance the accuracy of PIV method, whereas the proposed theoretical method is based on conservation equation. It is found that the estimated flow velocity range is consistent regardless of the method. The method is expected to perform well for analyzing videos and providing information in tsunami cases where there is no adequate measurement data.
  • 傳 亮司, 小竹 康夫, 荒木 進歩
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_78-I_83
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     東北地方太平洋沖地震津波では,胸壁等の陸上部に設置された防潮施設も大きく被災した.従来の津波に対する海岸保全施設の要求性能は,供用年数に応じた確率年による津波波高を設定し,越流がないように天端高さを確保することである.今般の震災を受け,中央防災会議では比較的頻度が高い津波と最大クラスの津波の二つのレベルに分けて防災減災対策を講じる必要性が議論されている.
     一方,越流による被害を考慮しコスト面で合理的な天端高を決定する方法も有効であると考えられる.本検討では初期建設費および被災整備費を考慮した年平均費用に着目し,天端高を決定する手法について検討した.その結果,越流率から推定される被災の程度を用い,現地条件に合わせて設定された適切な被災整備費算定式を導入することで,本算定手法の適用可能性を示した.
  • 竹鼻 直人, 荻野 啓, 片岡 保人, 松岡 寛和
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_84-I_89
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     著者らはフレア護岸に関する研究開発を進め,低天端でありながら越波流量を大幅に低減することができる本護岸の水理特性を明らかにしてきた.2004年度には高潮対策事業として初めて現地施工が実施され,これまで10件近く採用されてきた.しかしながら,昨年発生した東北地方太平洋沖地震津波によって多くの護岸が被災したことを受け,フレア護岸の津波に対する水理特性を評価することが必要となった.そこで,数値解析を用いて直立護岸,傾斜護岸,フレア護岸の津波に対する水理特性を比較検証した.その結果,フレア護岸は,津波の条件によっては,護岸背後の構造物に与える衝撃力を大きく低減できる可能性のあること等を明らかにすることができた.
  • 安野 浩一朗, 岩塚 雄大, 西畑 剛, 古牧 大樹, 森屋 陽一, 伊野 同
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_90-I_95
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     2011年3月11日に発生した東日本大震災は,今まで築き上げてきた構造物の設計における考え方や手法などの妥当性を根底から改める必要性を投げかけられるものであった.これまでは,一定の想定設計値に対する安全性を確保することのみを対象に構造物を設計してきたが,外力が想定を越えた場合の構造物の変形に関する知見は殆ど蓄積されておらず,それらに関する知見の構築は今後の重要な課題と考えられる.本研究では,外洋護岸に設置された消波ブロック群に着目した水理模型実験を行い,設計津波を越えた津波外力場におけるブロック群の大規模被災の形態,そのメカニズムや想定される周辺への影響などについて基礎的な知見を得ることを目的とした.
  • 大井 邦昭, 林 建二郎, 河野 茂樹
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_96-I_101
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     平成23年東北地方太平洋沖地震では,計画外力を超過する津波によって海岸構造物が壊滅的な被害を受けた.今後,海岸構造物を“ねばり強い”構造とするためには,構造物の陸側をコンクリートブロックで被覆することが有効である.そこで,海岸堤防と防波堤を対象として,その陸側を被覆するブロックの津波越流時の挙動を水理模型実験によって検討した.海岸堤防においては,法尻部分の強固さによってブロックの安定度や被災形態が異なった.また,ブロックの種類や配列方法でも安定性に差異が見られた.防波堤の実験においては,ブロックの被災限界は静水面上の防波堤高さとマウンド天端水深によって変化した.また,越流水深によって越流水塊の落水位置が異なるため,被覆ブロックの被災が始まる場所も変化した.
  • 齊藤 直, 宮國 幸介, 樋野 和俊, 平岡 順次, 日比野 忠史
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_102-I_107
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     東日本大震災の被災地に膨大に堆積する津波堆積ヘドロの処理が緊急の課題となっている.一方で,津波堤防等の新設する土構造物に必要な良質の土材料も膨大に必要となっている.この津波堆積ヘドロが良質な土材料として活用することができれば,震災復興の大きな貢献を果たすことができる.
     本稿では,室内試験および現地実証試験によって,石炭灰造粒物の持つ物理特性(吸水効果と砂質土への物性改善効果)と化学特性(悪臭物質の抑制効果等)を活用して,津波堆積ヘドロを長期間仮置した後でも利用可能な第2種改良土相当の強度を持つ土材料に改質し,改良土の悪臭を抑制できる可能性を示した.また,広く農地にある津波堆積ヘドロに散布することで,細菌繁殖抑制の効果があることを示した.
  • 鈴木 武, 林 友弥, 菅野 甚活
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_108-I_113
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     2011東北地方太平洋沖地震津波によって発生した災害ガレキと東京電力福島第一原子力発電所の事故によって拡散した放射性物質を含む廃棄物を処分するため,木質ガレキは破砕して港湾等のセメント工場で燃料に使用することを想定し,放射性廃棄物は港湾の海面処分場に処分することを想定し,その費用とCO2排出量を推計した.その結果,木質ガレキの処分ではセメント工場で燃料として使用することが,焼却処分するよりも費用もCO2排出量も少なかった.放射性廃棄物の処分は海面処分場が陸上処分場よりも費用もCO2排出量も少なかった.
  • 林 建二郎, 浅野 敏之, 多田 毅, 寺本 行芳
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_114-I_119
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     高潮や津波および河川の洪水流に対する防御策として海岸林や樹林帯の利用が検討されている.波がこれら透過性物体を通過するときに失われる波エネルギ-量を評価すると、海岸林が有する波の透過率と反射率は評価可能である.本研究は、小型実松に作用する流体力特性と射流中における樹幹をモデル化した直円柱に作用する流体力特性を室内実験で調べ、海岸林が有する波の透過率と反射率特性を評価したものである.葉がある樹木には大きな流体力が作用する結果,海岸林からの波の反射率が顕著となることが分かった.射流中に置かれた直円柱の抗力係数が,Fr数の増加に伴い減少する流れの機構も明らかにした.
  • 稲垣 賢人, 仲座 栄三, 入部 綱清, 渡邉 康志
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_120-I_125
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震津波によって,沿岸に広く分布していた防潮林のほとんどは根こそぎ流された.特に,宮城県仙台市内沿岸では幅500mにも亘って植林された松の木のほとんどが流され,内陸方向5kmにも亘って散乱した.本研究では,津波直後に撮影された航空写真等を手掛かりに,陸上に散乱した松の木をGIS解析により読み取り,防潮林の流失特性,植生のシェルター効果,そして津波の遡上との関係について明らかにしている.総数21,054本に達する流木のほとんどは,海岸線から1km~3kmに分布している.松の木のシェルター効果によって,その背後の家屋が倒壊を逃れていると判断されるようなケースがいくつか見出されている.
  • 浅野 敏之, 松元 千加子, 國生 大樹, 坂井 良輔
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_126-I_131
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     近年, 海岸林の津波防潮施設としての活用が, 環境と防災を両立させる対策として注目を集めている.海岸林に津波が来襲すると,津波の流体力によって樹木の倒伏・折損が起こり,津波減災能力が低減する恐れがある.そのために樹木の幹・枝などの各器官に津波流体力がどのように作用するかを明らかにしておく必要がある.本研究は,樹木の幹・枝構造を樹木形態学の知見を踏まえてモデル化し,これを多質点系構造物に置き換え,非線形浅水方程式で計算される津波を擬した波が作用するときの各要素の水平変位や最大曲げ応力の分布について数値解析を行ったものである.
  • 杉本 晃洋, 石垣 泰輔, 武藤 裕則, 馬場 康之, 島田 広昭
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_132-I_137
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     津波被害が危惧される沿岸域には多数の海水浴場が点在している.しかし,既存の津波対策は,海水浴場周辺の地域住民を対象としており,観光客などの来訪者には対策が行き届いていない.防災対策の効果を最大限発揮させるためには,海水浴場利用者の属性や海水浴場利用者が抱いている防災意識などを正確に把握した上で対策を立案することが不可欠である.
     そこで本研究では,津波防災意識に関するアンケート調査の結果より,共分散構造分析を用いて海水浴場利用者の避難意思決定に至る要因を明らかにしようとした.結果,避難意思の決定には防災知識を向上させるよりも,津波に対する不安を向上させることが有用であることがわかった.また,潜在変数間の因果係数を比較することで東日本大震災が避難意思決定に与えた影響を明らかにすることができた.
  • 神谷 大介, 當間 優樹, 赤松 良久, 富山 潤
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_138-I_143
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     津波災害における人的被害の軽減のためには迅速な避難が必要であることは言うまでもない.本研究では2010年2月に発表された沖縄本島近海およびチリ中部沿岸地震に伴う2つの津波警報に対して,沿岸域の住民の避難行動に関する調査を行った.津波警報の認知が避難のためには必要な条件であり,その上で,海から離れるに従って避難をしなくなること,事前の防災対策が多い人の方が避難率が高いこと,遠地津波においては,行政からの連絡だけではなく,友人・知人から声を掛けられる事によって避難率が高まることを示した.さらに,居所の町丁目が海に面しているかいないかによって避難有無に影響を及ぼしていることも明らかにした.
  • 川崎 浩司, 鈴木 一輝
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_144-I_149
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     東北地方太平洋沖地震以降,東海・東南海・南海三連動型地震がM9クラスで発生する可能性が指摘されている.そこで,本研究では,M9.0の地震規模を仮定した東海・東南海・南海三連動型巨大地震を対象に津波伝播予測を実施した.従来の想定であるM8.7の三連動型地震津波との比較から,地震規模の違いによる津波高および津波到達時間への影響を検討するとともに,太平洋沿岸および内湾における三連動型巨大地震津波の津波伝播特性について考究した.その結果,M9.0の場合,太平洋沿岸では,その津波高がM8.7と比べ約2倍となること,波源域から離れた沿岸では,津波到達時間が早まることが明らかとなった.さらに,内湾では,津波の高さが太平洋沿岸部に比べ小さいものの,湾口部が狭く外洋に津波が出にくいために,水位の高い状態が長時間続くことが判明した.
  • 川崎 浩司, 鈴木 一輝, 高須 吉敬
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_150-I_155
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     本研究では,東海・東南海・南海三連動型巨大地震としてM9.0の地震規模を仮定し,太平洋沿岸と日本三大湾を対象に津波浸水予測を実施した.陸上地形による津波浸水特性に加え,地震規模の違いが及ぼす浸水特性について考究した.その結果,太平洋沿岸の一部の地域では,地震規模の増大に伴い,浸水深が増えるものの,浸水範囲はあまり変化しないことが判明した.また,日本三大湾では,構造物が全壊した場合,沿岸部に広がる海抜ゼロメートル地帯を中心に浸水が拡大することを明示した.一方,構造物が完全に機能した場合では,浸水範囲がわずかであることから,同地域では,ハード対策が重要であることを示した.さらに,歴史津波の浸水被害と浸水予測の比較から,M9クラスの三連動型地震津波を対象に議論することの重要性を示した.
  • 安田 誠宏, 溝端 祐哉, 奥村 与志弘, 間瀬 肇, 森 信人, 島田 広昭
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_156-I_161
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     地震調査研究推進本部によると,東海・東南海・南海地震が同時発生した場合には,マグニチュードMwは8.7になると推定されている.本研究では,中央防災会議(2003)の想定津波波源域を用い,三連動地震の影響地域のうち,和歌山県を対象地域として,すべり量を変化させて想定を超えた場合に浸水深や浸水範囲がどのように変化するかを,数値シミュレーションによって調べた.その結果,最大浸水面積の変化は場所に大きく依存し,県中部と南部では,Mwの変化にほぼ比例して増大するが,北部の和歌山市周辺では,標高の低い場所が多いために,Mwが大きくなると浸水範囲が急拡することがわかった.Mw9.0の場合の和歌山市周辺を除いて,浸水深と標高にはおおよそ反比例の関係がみられた.
  • 岩前 伸幸, 福山 貴子, 秋山 義信, 池谷 毅, 福本 幸成
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_162-I_167
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震はMw9.0の海溝型巨大地震であり,それにともなう津波により東日本の沿岸域を中心に甚大な被害を持たらした.本稿では,千葉県銚子市沖約3kmにおいて観測された同津波の特徴的な波形について,非線形長波モデルによる数値的再現性を確認した結果を示す.
     数値解析の結果,観測された水位・流速の変動パターンはよく再現されていたが,その一方で,変動の大きさについては過小評価となっていた.過小評価の原因としては,初期水位の計算において震源断層の破壊伝播速度が無限大であると仮定したことが挙げられる.また,数値解析の結果に基づき銚子沖における津波の伝播特性を調べた結果,犬吠埼における回り込みや屏風ヶ浦における反射などが重なり合った複雑な様相が見られた.
  • 稲垣 聡, 池谷 毅, 武村 雅之
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_168-I_173
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     東北地方太平洋沖地震・津波の発生を受けて,連動型の地震による津波の予測評価と,そのための津波波源の設定が課題となっている.連動型地震の津波解析における津波波源の設定のうち,断層のすべり量分布と断層間におけるすべり発生時間差の設定が対象地点の津波高に与える影響について,南海トラフ地震による東京湾内の津波高を例に検討した.すべりの時間差に関して,各断層のすべりが同時の場合と,各断層成分の津波最大値が重なる時間差ですべる場合では,後者の最大津波高が前者の2倍以上となり,時間差考慮の影響が大きいことがわかった.また,東京湾内の津波高が最大となるように求めたすべり量分布は,地震学の知見で求まる分布と大きく異なることがわかり,地震学を踏まえた適切な設定が重要となることがわかった.
  • 加藤 史訓, 野口 賢二, 諏訪 義雄, 坂上 敏彦, 佐藤 祥昭
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_174-I_179
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     岩手県の高田海岸,越喜来海岸,両石漁港海岸,金浜海岸,大槌川河口を対象に,2011年5月に航空レーザ測量,深浅測量,ボーリング,スウェーデン式サウンディングを実施し,東北地方太平洋沖地震の津波による地形変化を明らかにした.高田海岸では大規模な地形変化が生じ,約186万m3の土砂が海岸部から失われたことが判明した.また,津波が越流した堤防の陸側での洗掘は,測量時の地盤高より深くまで生じていたことが判明し,再堆積がある程度の厚さで生じていた.また,破堤箇所の最大洗掘深は,その周辺より大きかった.
  • 秋元 和實, 滝川 清, 矢北 孝一, 外村 隆臣, 滝野 義幸
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_180-I_185
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     津波のリスクが高い沿岸域における防災減災対策の強化に向けた基礎資料として,津波による海底地形および底質の変化の情報は有用である.気仙沼湾も,2011年3月11日に襲来した津波によって,海底が削剥され,多くの瓦礫が流入した.津波襲来後の地形変化と底質分布特性を明らかにするために,音響解析装置を用いて,水深と反射強度の情報を取得した.反射強度と採集した底質試料の物性の関係を基に,底質分布を把握した.震災前後の地形を比較した結果,急激に湾の幅が狭くなる奥部(狭窄部および気仙沼漁港)で海底が削剥されていた.サイドスキャンイメージによると,狭窄部と湾南東部には瓦礫が密集してデューンが形成されていることが判明した.このことは,津波による海底の削剥が局所的であり,陸域から流入した瓦礫が偏在することを示唆している.
  • 日高 正康, 涌井 邦浩, 神山 享一, 鷹崎 和義, 西 隆一郎, 山下 善, 林 健太郎
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_186-I_191
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     仙台湾の南端部に位置する福島県相馬市にある松川浦は,南北に細長い海跡湖で太平洋と松川浦の水域を分けるように細長い砂州が延びている.この松川浦では,2011年3月11日の東日本大震災時に,砂州上で生じた津波の砕波および越流により,大規模な地形変化および海岸保全施設の被害が生じた.加えて,海中生態系の生息条件として重要な底質環境も松川浦全域で変化した可能性があった.さらに,松川浦の大規模な水深(海底地形)変化は,将来的に浦内の流況を変化させ,結果として津波前と異なる水質環境や生物生産環境を引き起こす可能性もあるので,松川浦で底質と水域地形の現地調査を行い,津波前の状況と比較することにした.
  • 宇多 高明, 星上 幸良, 野志 保仁, 酒井 和也
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_192-I_197
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     2011年3月11日午後2時46分,牡鹿半島の東南東130km沖を震源地とするマグニチュード9.0の大地震(東北地方太平洋沖地震)が発生した.この地震に伴い,三陸沿岸をはじめとする太平洋沿岸に大津波が襲来した.本研究では,福島県南部の岩間佐糠海岸を対象として,津波前の2010年5月29日と,津波後の2011年5月30日に実施した現地踏査時の現地写真より,まず津波による砂州の変化を明らかにし,その上で海岸護岸の破壊状況と津波浸水深の調査結果について述べた.さらに砂州の変化状況については2011年12月27日にも追加調査を行い,その後の砂州の変形状況を調べた.
  • 西 隆一郎, Julianti MANU, Tommy Jansen, 林 健太郎
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_198-I_203
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     2011年3月11日に発生した東日本沿岸域での津波により,砂浜や砂丘の消失,砂丘背後での溝状洗堀地形の形成,あるいは,海岸保全構造物背後での溝状浸食地形の形成が生じた.このような砂丘および海岸保全構造物背後の浸食形態に関する知見は少ない.また,巨大津波による砂丘侵食の数値モデルや解析モデル作成のためには,実際の浸食機構を観察する必要がある.さらに,第I砂丘は後背地保護の最終防御ラインとなることも多いので,どのように補強すべきか検討するための基礎データを収集する必要がある.そこで,第I砂丘および海岸保全構造物背後周辺の砂面がどのような形態,かつ,どのような規模で浸食したのか明らかにするために,本研究では,洗堀地形(溝状地形)に着目して調査を行う.
  • 小林 昭男, 宇多 高明, 黒澤 祐司, 遠藤 将利, 遠藤 威
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_204-I_209
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震では,各地で海食崖の崩壊が起きた.本研究では,平潟漁港の南側の九ノ崎の海食崖,高戸鼻の北約1.5kmに位置する赤浜海岸での旧海食崖の滑り崩壊,さらには千葉県房総半島の浦賀水道に面した大佐和海岸での海食崖の大規模な崩壊の事例を基に海食崖の崩壊実態を明らかにし,さらに大佐和海岸では崩壊後の波による地形変化を継続観測により追跡した.GPSによる崖線と汀線の測定によれば崩壊した崖の滑り量が時間とともに増大したことが分かった.
  • 澁谷 陽, 相原 昭洋, 新井 信一, 高橋 敏彦
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_210-I_215
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     海岸付近の避難塔などでは漂流物が柱に衝突するときの力が重要となる. 平野部に遡上した津波により小型船舶程度の漂流物が柱に衝突したときの時の衝突力を,運動量変化すなわち力積に着目して調べ,孤立波の結果と比較しつつその特性を明らかにしようとした.
     その結果,砕波して遡上してくる津波は前面の流勢が強く,乱れており,孤立波による場合と比べて衝突の力積は大きくなるが,付加質量は小さくなり,衝突する姿勢がばらつくため結果もばらつきが大きくなることがわかった.また,衝突加速度で整理すると,それが正の場合が負の場合よりも明らかに力積も付加質量係数も大きく,衝突加速度は重要なパラメタ―であることがわかった.
  • 中村 友昭, 青山 功治, 水谷 法美
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_216-I_221
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     遡上津波と胸壁からの反射波によるコンテナの流出現象を対象に数値解析を行い,海上へのコンテナの流出機構を考究するとともに海上への流出を防止する流出対策工の有効性を検討した.その結果,岸壁前面の水位,エプロン上の浸水深,コンテナの漂流挙動に関する水理実験結果との比較により解析結果の妥当性を確認した.また,コンテナの岸方向への漂流が止まったときに,コンテナが没水状態にあることで上昇速度が増加し,コンテナ周辺の水面が沖に向かって下がっていることでコンテナの上面が沖に向くように回転し始めることにより海上への流出が生じる可能性を示した.さらに,胸壁の近傍に設置した流出対策工には,コンテナが胸壁の近傍に達してからの沖方向への漂流を遅らせる効果があることから,コンテナの沖への流出が抑えられる可能性を示した.
  • 馬越 一也, 葛 漢彬, 野中 哲也, 原田 隆典, 村上 啓介
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_222-I_227
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     東北地方太平洋沖地震において,津波襲来時にコンテナや船舶が漂流して,構造物が被災した二次被害は甚大なものであった.漂流物には大型船舶も含まれていたことから,大型タンカー等が多く入港する日本の主要港湾において,地震津波の漂流物による被害の拡大化が懸念される.そこで本研究では,津波によって漂流した大型船舶が,湾岸線の長大橋へ衝突したことを想定して,衝突時の挙動および構造物への被害を明らかにするために,津波伝播解析と,精緻な橋梁全体系解析モデルによる衝突時の動的弾塑性有限変位解析を用いた数値シミュレーションを実施した.衝突力の算定においては近似的な解析手法の提案をし,対象橋梁の衝突部材が耐えうる最大の漂流物が衝突した場合の挙動について結果を示している.
  • 中村 友昭, Xingyue REN, 森本 陽介, 水谷 法美
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_228-I_233
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     津波を模擬した砕波段波による桁の移動現象を対象に数値解析を行い,桁に作用する水平方向の津波力と鉛直方向の津波力の両者の観点から桁の移動機構を考究した.その結果,桁に作用する段波の状況が桁下高により変化するために水平力と鉛直力の発生傾向が異なることを確認した.また,段波の条件が等しく津波力の発生傾向が等しい場合でも,桁の重量により桁の移動形態が異なることが判明した.桁に鉛直上向きの大きな力が作用することで水中重量を下回り,さらにそれに伴って静止摩擦力が低下することで桁が移動し始める現象を確認し,桁の移動限界を評価する際の鉛直力の重要性を明らかにした.桁の側面に段波が作用し,その作用とともに桁が移動し始める場合には,桁の側面の位置での水平流速により桁に作用する水平力を概ね評価できることを示した.
  • 李 光浩, 青木 悟, 水谷 法美, 芦澤 哲, 平川 信也
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_234-I_239
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     本研究は,構造物に空間形状を持たせることによる津波力への影響を解明するため,5種類の空間性を考慮した構造物模型に遡上津波を作用させる水理模型実験を行い,その影響を検討した.その結果から,構造物の下部に津波が通過できる空間を持つピロティ形式にすることで,津波力の大幅な低減効果が期待できることを明らかにした.また,ピロティ形式の1階部分に漂流物が停滞した場合には,津波力の低減効果が弱まることを確認し,漂流物対策の重要性を示した.さらに,構造物前面に作用する衝撃波圧分布は,構造物の前面形状のみに依存し,前面より背後の形状には依存しないことを解明した.そして,構造物前面の開口率に対して作用波力は非線形的に減少することから,作用波力は開口部の大きさだけでなく位置にも依存することを明らかにした.
  • 木村 雄一郎, 近本 武, 吉田 宏志, 下迫 健一郎, 清宮 理
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_240-I_245
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     フラップゲート式可動防波堤は,通常時は海底に倒伏し,浮力を利用して水面まで浮上して連続した壁面を形成する沿岸施設である.従来の水理模型実験や設計検討により,津波・高潮防波堤あるいは波除堤としての,本施設の有用性が確認されている.本研究では,実海域試験を通して,双方の施設への適用を想定したフラップゲート式可動防波堤の基本動作特性,波浪応答特性ならびに維持管理性について検証を行った.研究の結果,双方の試験装置とも,それぞれの試験装置に採用された運用方法,荷重の支持方法ならびに保守管理手法が,各施設に求められる基本性能を適切に満たすものであることが実証された.
  • 木村 雄一郎, 山川 善人, 川端 樹生, 水谷 法美, 平石 哲也, 間瀬 肇
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_246-I_251
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     津波や高潮などによる浸水時の水圧を利用して駆動する,陸上に設置することを想定したフラップゲート形式の防水扉の開発を進めている.本施設は動力および人為操作を必要としないため,災害時においても確実な動作が期待できる.他方,東北地方太平洋沖地震津波では,堅固な防水対策がなされた施設であっても,建屋外壁面の開口部からの浸水により被災した事例が報告されている.本研究では,フラップゲート防水扉の適用範囲を拡張した,建屋外壁面の開口部を閉鎖する防水扉の防災性能ならびに水理特性を,2次元水理模型実験を通して検証した.その結果,段波津波作用時における波圧特性を評価できる有用なデータを収集することができ,また,本フラップゲートは,急激な水位上昇にも追従して,速やかに壁面開口部を閉鎖できることが確認された.
  • 佐藤 正勝, 米山 治男, 長谷川 巌, 稲垣 茂樹
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_252-I_257
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     東北地方太平洋沖地震津波によって多くの防波堤が被災した.そこで,防波堤の津波に対する安定性を高めることを目的に,越流洗掘型の被災形態を対象として,一般防波堤の津波越流による港内側マウンドの洗掘対策について,水理模型実験で検討した.また,津波越流が港内側水面へ突入する位置と角度を算定する方法を検討した.さらに,数値波動水路(CS2D)により津波越流の再現計算を試みた.
     一定の堤体幅を有する断面で上部工を上部パラペット構造とすることが,津波越流からマウンドを守る有効な対策法である.港内側マウンドの被覆ブロックを大きくすると越流による流れの速い範囲にマウンド被覆材が近づくため,被覆ブロックの安定性が厳しくなる.数値波動水路(CADMAS-SURF)による津波越流の計算は,港内側の水面波形や流速が水理模型実験とあまり一致しない.
  • 中村 孝幸, 山先 達也, ニエン・セン・ラット
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_258-I_263
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     東北地方太平洋沖地震による大津波は,多数の死者・行方不明者や家屋の倒壊など未曾有の災害を引き起こした.この直接的な原因の一つとして,リアス式湾における津波の増幅現象があげられる.従来,湾内へ侵入する津波高さを軽減するため,突堤形式の津波防波堤が湾口部などに建設されてきたが,今回の津波によって破壊されるなど,機能的な側面を含めて,その有効性が疑問視されようになっている.既に著者らは,港内係留船の長周期船体動揺の低減を目的として,港内へ浸入する超長周期波を制御するための港口部大型共振装置を提案し,その効果などについて明らかにしてきた.ここでは,より長波長の波を制御対象にできるように改良された,新形式の共振装置の有効性について検討すると共にそれから派生したより簡単な構造の装置の効果を大船渡湾を対象にして検討する.
  • 小竹 康夫, 荒木 進歩, 松村 章子
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_264-I_269
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     東北地方太平洋沖地震津波では,砕石マウンド上に重力式ケーソンを設置した混成堤式防波堤が数多く倒壊した.原因の一つとして,設計時には考慮していなかった天端を越流する津波がケーソンに作用したことが考えられる.そこで津波を模擬した長周期の規則波を用いた水理模型実験により,混成堤式防波堤のケーソン模型に作用する波圧分布を測定した.その結果,混成堤式防波堤を越流した水塊が背面に突入した際,ケーソン背面に作用する静水面付近の波圧が急減し,滑動合成波力および回転モーメントが急増して,倒壊にいたる危険性があるという結果を得た.
  • 内田 吉文, 小椋 進, 鬼頭 孝明, 西尾 賢二, 森川 高徳, 近藤 泰徳
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_270-I_275
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     本研究は,「消波ブロック被覆上部斜面堤」を対象に,滑動安全率を各種変化させた場合の,ケーソンの滑動への影響を水理模型実験により検討したものである.その結果は次のとおりである.(1)不規則波1波毎の変位量は,同じ安全率でも大きく異なる.その要因は主に2つある.一つは,変位が生じる毎にケーソン後端のマウンド変形が進展し徐々に動きにくくなること,二つは1波毎に周期が異なることである.(2)実験結果を基に,累計変位量の推定図及び維持管理に活用できる消波工沈下率や滑動合成波力増大率の推定図を作成した.
  • 辻尾 大樹, 間瀬 肇, 森 信人, 安田 誠宏
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_276-I_281
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     本研究は,地球温暖化に伴って変化すると予測される,設計供用期間内の外力変化を考慮した防波堤の滑動量解析を行い,沿岸外力特性の変化が消波ブロック被覆堤の滑動安定性に及ぼす影響を検討したものである.地球温暖化に伴う海面上昇や高潮偏差の増大,来襲波浪の増大を考慮した消波ブロック被覆堤の滑動量解析を実施した結果,本研究で想定した将来条件では,地球温暖化を考慮すると期待滑動量が100~350%増加した.また,地球温暖化による期待滑動量と必要堤体幅への影響は,想定される波高変化だけでなく,水深波高比に大きく依存することがわかった.特に大水深域に防波堤を設置する場合,設計供用期間中の沿岸外力変化の影響が大きく表れることがわかった.
  • 古牧 大樹, 西畑 剛, 森屋 陽一
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_282-I_287
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     粒子法で消波ブロックの効果を再現するためには,空間解像度を上げて消波ブロック形状を3次元で正確に再現する方法や,擬似的な力を与える方法等が研究されているが,実務上は空間解像度をあまり必要とせず,複雑な仮定を必要としないより簡易的な手法が望ましい.本研究は2次元SPH法を使用して,簡易なモデルで消波ブロックを再現し,透過率や波力を既往の研究と比較してその適用性を確認することを目的とした.
     全体として透過性を持つように小さな構造物を空間的に複数個配置することで,簡易的に消波ブロックモデルを構築した.非越波条件における消波ブロック堤の透過率や,消波ブロック被覆堤における構造物への波力は既往の研究と良く一致しており,本簡易モデルの実務への適用の可能性が確認された.
  • 橋本 淳, 長尾 毅
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_288-I_293
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     ケーソン式混成堤の性能設計において変形量の評価は重要であるが,滑動以外の変形モードについては変形量の算定手法が確立されていないのが現状である.
     本研究は,波力によるケーソン式混成堤の変形量実験値を簡易に推定する手法を提案するものである.既往の水理模型実験結果をもとに回帰分析を行い,諸条件から貫入角・見かけの摩擦係数・ケーソン回転角に対する簡易推定式を作成した.これらの推定式を用いケーソンの変位を計算すると,実験を概ね再現することができ推定手法の有効性を確認できた.
  • 長尾 毅, 辻尾 大樹, 熊谷 健蔵, 石河 雅典
    2012 年 68 巻 2 号 p. I_294-I_299
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/18
    ジャーナル フリー
     防波堤に関するライフサイクルコスト(LCC)最小化手法の検討が進められているが,既往事例は,限られた検討条件によるものであり,LCC最小となる耐力作用比(目標耐力作用比)を一般化するまでの情報は得られていない.そこで,本研究は,ケーソン式混成堤を対象として,目標耐力作用比を簡易推定するための基礎的検討として,様々な波浪条件,被害額条件を設定し,それらの条件が目標耐力作用比に与える影響を検討した.その結果,本検討条件では,目標耐力作用比はF港で0.7~0.8,S港で1.0~1.2であり,検討条件によって大きな違いがあることがわかった.また,裾長度パラメータγ50の増加や間接被害額比の減少に伴い目標耐力作用比は減少する傾向にあるが,その影響は比較的小さく,本研究の範囲では砕波の条件が目標耐力作用比に最も強く影響することがわかった.
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