土木学会論文集E1(舗装工学)
Online ISSN : 2185-6559
ISSN-L : 2185-6559
69 巻, 3 号
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舗装工学論文集第18巻
  • 八木 浩一
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_1-I_7
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/06
    ジャーナル フリー
     自動車の車内ダッシュボード面などばね上にスマートフォンを設置し,内蔵の加速度センサとGPSの情報だけを使い,ばね下の上下変位量すなわち路面縦断プロファイルを推定する手法とその精度について報告する.本技術はばね上設置であるため実施が容易であり,路面プロファイルそのものを推定しているため平たん性やIRIなど各種指標の算出も可能である.はじめに計測原理を述べ,次にこれを実装したスマートフォンアプリケーションにより計測した値と,路面プロファイラにより計測した値の比較結果を述べる.今回行った280[m]区間での走行実験では,走行速度20~60[km/h]の速度域において,20m区間の平たん性の比較で寄与率R2=0.63~0.78,15m区間の平均面に対する凹凸量の地点ごとの比較で寄与率R2=0.63~0.80の高い相関が確認できた.
  • 森石 一志, 中村 博康, 渡邉 一弘
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_9-I_16
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/06
    ジャーナル フリー
     効率的な舗装管理に向け,幹線道路を中心として従前より路面性状測定車を用いた路面性状調査が行われている.しかし,調査費用・解析時間等といった課題も存在する.一方,MMS(Mobile Mapping System)を用いた効率的な地図・台帳の整備等が近年進められている.そこで著者らは,高密度レーザスキャナを搭載した改良型のMMSを作製し,路面性状調査の効率化に向け,この改良型のMMSにより取得できる三次元点群データの集合体による路面の把握手法についての検討を行い,三次元点群データを基に作成したコンター図により路面凹凸の度合いが確認可能であること等を明らかにした.さらに,FWDによるたわみ量と著者らが検討している路面の凹凸体積との関係による舗装の構造評価の可能性についても試みた.
  • 富山 和也, 川村 彰, 大廣 智則
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_17-I_24
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/06
    ジャーナル フリー
     道路ストックの老朽化が進む昨今,日常的な点検に基づく路面損傷箇所の特定は極めて重要である.本研究では,加速度計を用いた簡易平坦性測定装置により,高速道路に生じた,凍上を原因とする損傷箇所の特定方法について検討した.その結果,簡易平坦性測定装置によるラフネスプロファイルの測定結果に対し,リフティングスキームによる損傷形状の学習結果を基に設計したウェーブレットフィルタを適用することで,凍上により生じた損傷箇所が特定できるこを確認した.特に,学習した損傷に類似した,重点的にモニタリングが必要となる損傷については,良好な特定結果が得られた.本成果を用いることで,簡易平坦性測定装置による損傷箇所の特定が可能となり,道路パトロール車を用いた日常的な路面点検の効率化に貢献するものと期待できる.
  • 寺田 剛, 鈴木 徹, 青木 政樹, 佐々木 昌平, 坂本 寿信
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_25-I_31
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/06
    ジャーナル フリー
     冬期路面対策の一手法として,多種多様な凍結抑制舗装が開発されているが,路面凍結抑制や除雪圧雪補助または路面に付着した圧雪を剥がす効果等は限られた場所や条件でしか発揮されないこともあり,効果の持続性や耐久性にも課題がある.そこで,冬期路面対策や凍結抑制機能を効率的で効果的に発揮できる凍結抑制舗装の改良や新しい技術の開発及び効果を適切に評価できる試験法を提案する目的で「凍結抑制舗装技術の開発に関する共同研究」を実施している.共同研究の一環として,凍結抑制効果を適切に評価できる試験法の検討を行った結果,氷着引張試験,氷板WT試験及び回転ラベリング試験が有効であることが分かった.本論文はその結果を報告する.
  • 加納 陽輔, 秋葉 正一, 鎌田 孝行, 菅野 伸一, 佐藤 克己
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_33-I_40
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/06
    ジャーナル フリー
     近年,排水性舗装は,安全性や快適性を付与する高機能舗装として,高速道路から一般道路まで広く普及している.しかしながら,排水性舗装は,雨水を舗装体内で排水する特徴的な構造から,わだち掘れ等の破損が短期間で生じる事例が報告されており,アスファルト混合物の剥離抵抗性は,排水性舗装の維持管理において,重要な指標と言える.現在,アスファルト混合物の剥離抵抗性は,加圧透水式剥離促進試験や修正ロットマン試験によって評価されているが,これらの試験には,長時間を要する,または手順が複雑といった問題がある.著者らは,加圧熱水のアスファルト剥離効果に着目し,加圧熱水式剥離促進試験の開発を試みた.この結果,熱水式試験によって,簡便かつ効率的にアスファルト混合物の剥離抵抗性を評価できることを確認した.
  • 河村 直哉, 森川 嘉之, 水谷 崇亮, 平井 壮
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_41-I_48
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/06
    ジャーナル フリー
     航空機接地圧下におけるアスファルト混合物の塑性変形特性について,走行荷重に対するアスファルト混合物の塑性変形抵抗性および深さ方向の空隙分布の変化に基づき調査した.まず,WT試験機により航空機接地圧下でのアスファルト混合物の塑性変形抵抗性を評価した.次に,X線CTスキャナによるアスファルト混合物の深さ方向の空隙分布評価方法を検討し,これによりWT試験前後の車輪走行部の深さ方向の空隙分布の評価を試みた.その結果,航空機接地圧下では自動車接地圧と比較し圧密変形量が大きくなることやWT試験後の供試体上部の空隙率が接地圧の大小に関わらず試験前と比較し顕著に小さくなることなどを示した.
  • 谷口 聡, 大谷 順, 佐藤 宇紘, 熊谷 政行, 姫野 賢治
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_49-I_57
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/06
    ジャーナル フリー
     本研究は,輪荷重直下のアスファルト混合物の変位特性及びひずみ特性を解明することを目的に,ホイールトラッキング試験前後におけるアスファルト混合物供試体のX線CT撮影及びデジタル画像相関法による画像解析を実施した結果を報告するものである.CT画像及びデジタル画像相関法により得られた二次元ベクトル図及びひずみ分布図から密粒度アスファルト混合物,ポーラスアスファルト混合物の変位及びひずみ特性を分析した.その結果,輪荷重によって混合物中の骨材,アスファルト及び空隙が輪荷重直下から放射状に移動した,供試体上層部に大きなひずみが発生した等の現象を確認することができた.
  • 田中 俊輔, 高橋 尚人, 田湯 文将, 武市 靖, 安倍 隆二
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_59-I_66
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/06
    ジャーナル フリー
     冬期路面管理は,昨今の厳しい財政事情の中,より一層の効率化が必要とされている.本研究は,室内凍結路面走行試験装置を用いて,まず凍結路面対策としての粗面系舗装の性能評価を目的とした散水凍結試験を行った.続いて凍結防止剤と粗面系舗装の複合的効果の評価を目的とした凍結防止剤散布試験,路面テクスチャに着目した室内試験を行い,すべり摩擦係数,路面露出率,路面テクスチャ解析などによる評価を行った.その結果,粗面系舗装や凍結防止剤による,凍結路面のすべり抵抗改善効果を定量的に評価することができ,温度や散水量による効果の期待できる条件も明らかにすることができた.さらに,重回帰分析による検討を加え,すべり摩擦係数や路面露出率の向上に影響を与える因子および環境条件の違いによる影響度合いの変化を明らかにした.
  • 田湯 文将, 武市 靖, 高橋 尚人, 田中 俊輔, 藤本 明宏
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_67-I_74
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/06
    ジャーナル フリー
     凍結防止剤散布による冬期路面管理は,費用対効果や塩害抑制の点から合理的な散布方法が求められている.凍結路面の補助的対策工として排水性舗装や機能性SMAなどの粗面系舗装が施工されているが,粗面系舗装は粗な路面テクスチャや排水機能を有するため,凍結防止剤散布後の路面状態の変化は密粒度舗装と異なると予想されるが,定量的な検証が不十分である.本研究では,粗面系舗装と密粒度舗装上に散水して凍結路面を作製し,凍結防止剤散布後に一定数の車輪走行があった場合の,凍結防止剤および融解水の貯留と流出などの移動現象を,室内実験を行って定量的に示した.さらに,重回帰分析を行い,路面状態の変化に寄与する要因の分析を行った.
  • 紺野 路登, 小栗 直幸, 丸山 記美雄, 安倍 隆二
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_75-I_80
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/06
    ジャーナル フリー
     アスファルト舗装に発生したクラックの補修としては,シール材注入工法が適用されている.クラックシール材にはブローンアスファルトやコンクリート版の目地に用いる加熱型注入材が用いられるが,寒冷地域では冬期にクラックシール材に亀裂や剥がれ等で補修の効果が早期に喪失するケースが散見される.
     筆者らは,寒冷地域で適用する場合,クラックシール材の低温時における変形性や応力緩和性を評価しておくことが重要と考え,新たな評価試験方法を開発した.また,低温性状に優れる寒冷地用クラックシール材を開発し,室内試験および試験施工で適用性を評価した.本稿では新たに開発した評価試験方法の妥当性と開発した寒冷地用クラックシール材の性能を報告するものである.
  • 森濱 和正, 小梁川 雅, 島崎 泰, 石田 征男, 瀧波 勇人
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_81-I_86
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/06
    ジャーナル フリー
     コンクリート舗装は,耐久性が高くライフサイクルコストが低減できるため,普及が期待されている.コンクリートの主要材料である粗骨材は,天然砂利が減少し,砕石や石灰石骨材が増えている.また,産業廃棄物削減を目的に各種スラグ骨材の有効利用が求められるなど,骨材資源が多様化している.そこで,各種粗骨材の舗装コンクリートへの適用性を明らかにすることを目的に研究を行なっている.本報告では,各種粗骨材の物性試験と,それらの粗骨材を用いてコンクリートの配合試験および強度試験を行なった結果について取りまとめた.使用した粗骨材のすりへり減量は,13~33%の範囲であった.配合試験の結果,砂利,砕石,石灰石骨材の単位水量,単位粗骨材かさ容積はほぼ通常どおりであったが,スラグ骨材は単位水量がやや増加した.
  • 加藤 亮, 佐藤 正和, 神谷 恵三
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_87-I_94
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/06
    ジャーナル フリー
     昨今,高速道路橋で顕在化している高性能床版防水工上の舗装早期損傷について,模擬橋面舗装供試体を用いた室内試験を実施し,その損傷メカニズムの解明を試みた.その結果,低温舗設基面と低温SMAの組合せによって,防水工とSMAの接着不良が発生することが判明した.接着不良は,低温条件によって防水工との間に小さな間隙群が形成されることにより発生する.この”Cavity”と命名した間隙が水の滞留空間となり,SMAの砂利化に至るということが判明した.また,アスファルト混合物によるCavity形成抑制対策を試みた結果,連続粒度を有する密粒度系の混合物がCavity形成の抑制に効果的であることが判明した.
  • 古賀 千佳嗣, 佐藤 研一, 藤川 拓朗, 吉中 保, 大城 謙次
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_95-I_100
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/06
    ジャーナル フリー
     本研究では,廃石膏ボードを紙片類と破砕分離した再生二水石膏と,さらに再生二水石膏を焼成処理することによって得られる再生半水石膏に着目し,これらの再生石膏をアスファルト混合物フィラー材に代替するリサイクル方法の検討を行った.その結果,再生石膏をアスファルト混合物に混合すると,空隙率の増加,耐水性の低下がみられる一方,残留安定度の増加がみられた.フィラー材に対しての代替率は,密粒度アスファルト混合物では再生二水石膏で40%程度,再生半水石膏75%程度,ポーラスアスファルト混合物においては100%代替が可能であることが明らかとなった.また,周辺環境へ及ぼす影響について,タンクリーチング試験から検討した結果,今回のアスファルト混合物からの重金属等の溶出はみられないことが示された.
  • 松本 大二郎, 中村 和博, 佐藤 正和, 神谷 恵三
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_101-I_108
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/06
    ジャーナル フリー
     本研究は,現場で得られるFWDたわみ量に基づく構造評価をした後の補修設計へのアプローチとして,補修時に使用する新規アスファルト混合物による構造回復への効果について検討した.本検討では,室内作製した新規混合物ならびに供用履歴の異なる高速道路本線から採取した現場試料についてレジリエントモデュラス試験等を実施し,各種アスファルト混合物の弾性係数の特性を分析した.その結果,舗装構造が健全な状態におけるFWD測定条件の載荷時間と温度に対応した各アスファルト混合物の代表的な弾性係数を見出した.また,レジリエントモデュラス試験による弾性係数から算出したアスファルト層の構造強度とFWD測定結果に基づく構造指標の間に相関を確認した.
  • 渡邉 一弘, 堀内 智司, 久保 和幸
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_109-I_116
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/06
    ジャーナル フリー
     舗装の効率的な管理に向け,適切な時期に適切な内容の補修を実施していくことが求められる.そのためには,構造的健全度が供用に伴いどのように低下していくかを把握することが重要である.そこで,本研究では,舗装の各層に土圧計等の計測機器を埋設した実大舗装供試体を作製し,その供試体の2工区に対して載荷条件を変えて繰返し載荷試験を行い,構造的健全度がどのように低下していくかについて検討した.その結果,繰返し載荷に伴い舗装に疲労が蓄積するがその傾向は路面への雨水の浸入の有無に大きく左右されること,舗装の疲労はアスコン層にまず蓄積しその後路盤層以下に蓄積する傾向があること,疲労蓄積傾向の把握はFWDたわみ量調査が有効であるが路面の沈下量に着目することも有効となる可能性があること等を明らかにした.
  • 川名 太, 久保 和幸, 松井 邦人
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_117-I_124
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/06
    ジャーナル フリー
     FWD試験は,舗装表面に衝撃的な荷重を載荷したときのたわみを計測する試験である.その逆解析では,たわみと荷重の最大値を用いて,舗装各層の弾性係数を推定することが一般的である.荷重の載荷時間が十分に長い場合には,慣性力や減衰による影響を無視できるが,FWD試験における載荷条件に対しての検討は,まだ十分に行われていない.このような検討を行うためには,より信頼性の高い動的解析プログラムの開発が望まれる.よって,本研究では,軸対称多層構造において,動的な鉛直荷重が作用する場合の動的応答の理論解を物理的な意味の明確な体積ひずみを用いて誘導した.また,その理論解に基づく動的解析プログラムを用いて,いくつかの例題を解き,その適用性を検証した.
  • 久利 良夫, 鎌田 修, 横田 慎也, 狩野 正人, 飛ケ谷 明人
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_125-I_132
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/06
    ジャーナル フリー
     橋梁上のアスファルト舗装では様々な損傷が発生しており,特に鋼床版舗装での損傷が多い.しかし,交通荷重載荷時の橋梁上のアスファルト舗装の挙動は十分に把握されているとはいえない.筆者らはこれまで,鋼床版舗装を模擬したアスファルト混合物と鋼板との複合供試体での載荷試験の結果を,線形粘弾性解析を用いて再現した.そして線形弾性解析では表現できない鋼床版舗装特有の挙動を再現することができた.本研究では,実路(実橋)モデルの線形粘弾性解析を実施し,床版構造などアスファルト舗装下面の構造の違いによる舗装体の挙動を検討した.その結果,コンクリート床版,鋼床版,土工部では交通荷重載荷時の舗装体の挙動がそれぞれ大きく異なっており,橋梁上のアスファルト舗装は土工部とは異なる損傷発生原因を有していることが示唆された.
  • 竹津 ひとみ, 風戸 崇之, 本松 資朗, 西澤 辰男, 麓 隆行
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_133-I_140
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/06
    ジャーナル フリー
     筆者らは,連続鉄筋コンクリート版の下にあるセメント安定処理路盤20cmのうち上部4cmをアスファルト中間層に置き換えた場合の力学的な影響について研究を行った.本報文は,コンポジット舗装の連続鉄筋コンクリート版下のサブベースをセメント安定処理路盤としたケースと,セメント安定処理路盤の上部4cmをアスファルト中間層に置き換えたケースの2種類の実物大試験施工を実施し,その挙動を表現できるFEM解析モデルを構築して,アスファルト中間層の弾性係数を検討した.その結果,走行方向の拘束ひずみはアスファルト中間層の弾性係数の影響を受けないこと,横断方向の拘束ひずみはアスファルト中間層の弾性係数の影響を受け,その値は昼夜および季節において異なることを明らかにした.
  • 伊藤 友一, 藤森 真矢, 土方 遍, 神谷 誠
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_141-I_147
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/06
    ジャーナル フリー
     打設後年数が経過した空港コンクリート舗装の性状を把握する目的で切出し供試体曲げ強度試験を行った.切出し供試体曲げ強度試験に用いる供試体は,東京国際空港国際線地区において施工されたエプロン舗装より採取した.試験結果として供試体の採取位置,採取方法,曲げ強度試験結果を示した.さらに曲げ強度の比較結果として,供試体採取方法の違いによる比較結果,施工時強度と切出し供試体曲げ強度の比較結果を示した.また,既往の設計法と強度増加を考慮したコンクリート強度を用いた疲労設計法による累積疲労度の比較を行った.コンクリートの強度増加は,今回の切出し供試体曲げ強度試験結果および過去の報告から設定した.累積疲労度は,強度増加を考慮したコンクリート強度を用いて疲労設計を行うことで低減される結果となった.
  • 遠藤 大樹, 竹津 ひとみ, 久利 良夫, 鎌田 修, 横田 慎也
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_149-I_157
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/06
    ジャーナル フリー
     近年,鋼床版に発生する疲労ひび割れ低減に寄与させるため,アスファルト舗装の替わりに鋼繊維補強コンクリート(SFRC)が適用される事例がある.しかし,SFRC上の表層としてアスファルト混合物を舗設した場合,SFRC層が薄くなると同時に,防水処理工,アスファルト混合物舗設工等の2つの工程が必要となる.そこで,コンクリート中のモルタルにチクソトロピー性を付与し,1層施工で表面はアスファルト舗装と同等な騒音低減性と路面排水機能を有し,かつ底面は密実な状態でコンクリート版全体では遮水機能を併せ持つ,新しいコンクリート舗装技術の開発について検討した.その結果,良好なフレッシュ性状,硬化性状を得ることができ,実機により通常のポーラスコンクリートと同様な敷均しが可能であることを確認することができた.
  • Heng Salpisoth, 大島 義信, 河野 広隆
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_159-I_166
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/06
    ジャーナル フリー
     本研究では,途上国などで利用される比較的薄い層を有するアスファルト舗装を対象として,インパクトハンマを用いた簡易的な構造評価に関する基礎的な検討を行った.ここでは,まず実際の舗装を模擬したモデル舗装に対して打撃試験を行い,ハンマによる打撃音および打撃力の特性と舗装の剛性との関係について明らかにした.その結果,打撃音の卓越周波数は路床剛性の影響を強く受けること,また打撃力の機械インピーダンス比がある深さまでの平均的な舗装剛性と線形的な関係にあることが明らかとなった.次に,有限要素法を用いたパラメトリック解析を行った結果,打撃音の卓越周波数が路床の弾性係数の平方根と線形的な関係があることが明らかとなった.以上より,打撃力および打撃音の評価を合わせることで,舗装剛性の簡易的な評価が可能であることが示せた.
  • 城本 政一, 青木 政樹, 竹内 康
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_167-I_173
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/06
    ジャーナル フリー
     地震動の作用や経年劣化によって上下水道管の継ぎ手部分が損傷して埋め戻し砂が管内へ流入し,路盤以下に空洞が生じることがある.このような箇所では路面に陥没等の異常が現れない場合があり,重大事故回避の観点から早期の発見が望まれている.本研究では,福島県南相馬市の軽交通道路および路面下空洞を再現した試験舗装区において電磁波レーダ(GPR)と小型FWDを併用した路面下空洞調査を実施し,その有効性について検討した.その結果,当該調査法を用いてことで,GPR調査のみでは見落とすような路面下空洞を効率良く検知できることがわかった.
  • 宮﨑 文平, 風戸 崇之, 濵梶 方希, 小濱 健吾, 貝戸 清之
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_175-I_183
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/06
    ジャーナル フリー
     近年,高速道路では標準的な舗装路面として高機能舗装が採用されている.これに伴い,密粒舗装が主流であった時期に策定された従来の路面管理基準では,舗装路面の状態を十分に評価することが困難となってきている.本研究では,評価長と評価指標という観点から現在の路面管理基準の妥当性と,最適な路面管理基準について検討する.具体的には,現在の我が国の道路舗装の維持管理における,路面性状調査の結果による健全度評価と現場の補修要否判断の乖離の問題を説明する.その際,密粒舗装と高機能舗装それぞれの劣化過程の相違に触れ,評価長と評価指標という観点から現在の路面管理基準の問題点を指摘する.その上で,供用中の高速道路で獲得された路面性状データを用いた実証分析を実施し,最適な路面管理基準について検証する.
  • 黒岩 拓馬, 川上 篤史, 峰岸 順一, 増山 幸衛, 前川 亮太
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_185-I_190
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/06
    ジャーナル フリー
     近年,ジョギングがブームであり,各地の市民マラソンが活況を呈していると同時に,駅伝やマラソンに注目が集まっている.これらの中長距離走は一般に車道の舗装上で実施されるが,車道の舗装に関する既往の研究は専ら車両走行時を対象としており,ランナーの安全やタイム向上と舗装を関連付けた研究は進んでいない.
     筆者らは,ランナーの足に発生する衝撃と舗装の関係に着目し,中長距離走に適した舗装の評価方法についての検討を進めてきた.ここでは足に発生する加速度(鉛直・水平の2方向)および足裏に発生する圧力に着目した試験と,FWD等の既往の評価方法とを比較し既往の評価方法では測定し得ない,舗装種類の違いによるランナーの足への影響を検証する試みについて報告する.
  • 川端 伸一郎, 石川 達也, 豊田 邦男, 山内 智, 亀山 修一
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_191-I_198
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/06
    ジャーナル フリー
     NEXCO基準の凍上試験(NEXCO法)に対して,結果のばらつきを抑制するために凍結方法の改良を行った.また,JGS基準の凍上試験(JGS法)を路床土や路盤材にも適応できるようにφ150mmまで大口径化した試験装置を作製し,試験方法や供試体寸法の違いが凍上試験結果に及ぼす影響を調べた.NEXCO法は,凍結方法を空冷式から冷媒循環式に変更したことで安定した結果を得ることが可能となった.φ150mmのJGS法と一般に普及しているφ100mmのJGS法の結果に違いはみられず,大口径化した影響は少ないことが示された.NEXCO法とJGS法が非凍上性と判定する値は,ほぼ一致することが明らかとなった.しかし,両法が一致した結果を得られる範囲は,JGS法の凍上速度が0.2mm/h程度までであった.
  • 関根 悦夫, 須長 誠, 村本 勝己
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_199-I_205
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/06
    ジャーナル フリー
     列車走行時の路盤の変位は鉄道軌道を支持する路床・路盤の剛性に依存し,列車走行時の路盤の変位が大きくなると軌道の保守量が増加する.そこで,本研究では,剛性の低い盛土区間を対象として,列車走行時における路盤の変位低減対策として行う深層攪拌混合工法の効果の予測と確認を行った.その結果,2次元FEM解析であっても,物性値や載荷荷重,攪拌混合杭と地盤との複合地盤を適切にモデル化することにより,実測値をシミュレートでき,改良効果をある程度予測できることがわかった.
  • 石川 達也, 張 媛, 川端 伸一郎, 亀山 修一, 所 哲也
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_207-I_214
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/06
    ジャーナル フリー
     本研究は,積雪寒冷地の道路舗装における粒状路盤の力学的応答の長期性能評価手法を構築するため,中型不飽和三軸試験機を用いた不飽和粒状路盤材のレジリエントモデュラス試験方法を提案するとともに,凍結融解CBR試験や試験舗装におけるFWD試験とレジリエントモデュラス試験との試験結果の関連性について議論した.その結果,本研究で開発した試験機および提案する試験方法が,不飽和粒状路盤材のレジリエントモデュラス試験として有用であることを示すとともに,凍結融解作用とそれに伴う含水状態の季節変動が,粒状路盤材の復元変形特性を低下させ,舗装構造の疲労寿命に強い影響を及ぼすことを明らかにした.
  • 原田 正之, 吉中 保
    2013 年 69 巻 3 号 p. I_215-I_219
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/06
    ジャーナル フリー
     九州地方には活発な火山活動の歴史があり,地形や地質が複雑で,黒ぼくや赤ぼくなど多量の有機物を含む火山灰由来の土壌が広く分布している.また,河川流域には多くの沖積平野が存在し,有明粘土などの厚い軟弱地盤が形成されるなど,九州各地にはさまざまな軟弱土が存在する.そのため,現場で路床や基礎地盤を構築する際には,土質の良否の判断や,適切な安定処理方法の設定が重要となる.本報告では,当試験所に長年蓄積されてきた九州各地からの依頼試験に基づくデータを整理して,さまざまな土質に適した安定処理材の選定の考え方や,所要量の目安について明らかにするとともに,セメント系安定材を用いる場合に必要となる六価クロム溶出規制対応等から,望ましいと考える安定処理について述べたものである.
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