土木学会論文集E1(舗装工学)
Online ISSN : 2185-6559
ISSN-L : 2185-6559
73 巻, 3 号
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舗装工学論文集第22巻
  • 河村 直哉, 坪川 将丈
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_1-I_8
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー
     FWD(Falling Weight Deflectometer)を用いたアスファルト舗装下の空洞検出方法を提案することを目的として,空洞を有する試験舗装を製作し,空洞の存在および空洞の位置に対する載荷板の設置位置がFWDのたわみに及ぼす影響を調査した.得られた主な知見は以下2点である.1)路床に空洞があり,空洞上に載荷板が設置される場合,最大たわみおよび正規化たわみは大きく,たわみ時間差は小さくなる.特に載荷板中心から1500mmの点の最大たわみとたわみ時間差の関係に基づくと,空洞の有無や幅の違いが表れる.2)載荷板中心から1500mmの点の最大たわみについては,載荷板の設置位置が空洞周辺の場合でも大きくなる.
  • 戸田 圭彦, 小坂 崇, 一宮 利通, 鎌田 修
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_9-I_17
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー
     超高強度繊維補強コンクリート(UFC)道路橋床版は,軽量かつ高耐久な道路橋床版として開発されたものであり,一般的なPC床版と比べて床版厚を薄くすることができ,鋼床版と同程度の軽量な構造とすることができる.UFC床版の構造的特性は従来型のRC床版および鋼床版とは異なるため,橋面舗装部にアスファルト系材料を用いた際,舗装部がどのような変形特性を有するかは十分に明らかになっていない.そこで本研究では,UFC床版と代表的な床版形式(RC床版,鋼床版)の線形粘弾性解析モデルを構築し,輪荷重走行解析を行った.各構造形式のアスファルト舗装部のひずみ応答を比較することにより,UFC床版上のアスファルト舗装部は鋼床版,RC床版のいずれとも異なるひずみ応答性状を示すことを明らかにした.
  • 川名 太, 渡邉 真一, 竹内 康, 松井 邦人
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_19-I_26
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー
     FWD 試験データを逆解析して舗装の構造評価を行う場合,現象を適切に再現しうると考えられる動的逆解析を用いることが望ましい.しかしながら,過去に実施されたFWD試験では,載荷荷重とたわみの最大値のみが記録として残されていることが多い.そのため,本研究では,順解析に動的解析を組み込み,それによって算定されたたわみの時系列データより最大値を抽出し,FWD試験で得られたたわみと一致するような舗装構造を推定する逆解析手法の舗装構造評価への適用性を検討した.その結果,本逆解析手法で得られる弾性係数の推定値は,解析に用いる載荷波形に大きく依存すること,また,解析条件が適切に設定できれば,従来の動的逆解析と同程度の精度で構造評価が可能であることが確認された.
  • 西澤 辰男, 古川 真弘, 永田 浩二, 兵頭 彦次, 上田 宣人
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_27-I_34
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー
     インターロッキングコンクリートブロック舗装(ICBP)を重交通道路に適用するためには,重荷重の繰返しに対する耐久性を合理的に評価できる構造設計法が必要である.本研究では,3次元有限要素法(3DFEM)による構造モデルに基づいて,重交通構造設計法に必要な構造解析モデルを開発する.このモデルで重要な点は,コンクリートブロック層のモデル化であり,本研究ではブロックと目地および敷砂層をソリッド要素および境界面要素でモデル化した.境界面要素のばね係数の値は,FWDによるたわみ計測結果より決定した.それらの値を使用した構造モデルを使って,荷重の繰返しによる路面の永久変形を予測する方法を提案している.この方法で予測されたわだち掘れ量は,試験舗装で観測されたわだち掘れ量に近い値となった.
  • 風戸 崇之, 田中 敏弘, 米来 哲之, 高橋 茂樹
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_35-I_43
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー
     NEXCOが管理する高速道路のうち,約4割は供用年数30年を超過している.これに伴い近年は下層路盤を含む舗装の構造的な損傷事例が顕在化している.構造的な損傷の増大が想定される中で,効果的かつ効率的な舗装補修を実施するためには,供用路線が求める現実的な補修要件に適合した新たな設計手法の構築が求められる.本研究では,まず補修時の設計に必要な要素を設計手法のフレームワークとして提案し,次に問題箇所で実施したFWD測定と開削調査の結果から,既設舗装の構造的な健全度が低下した箇所を検出する指標を設定した.更に健全状態を推定したレジリエントモデュラス試験と損傷状態を推定したFWD測定値の逆解析結果により材料定数を設定し,提案する補修時の舗装構成に応じた補修効果を確認した.
  • 青木 政樹, 竹内 康, 城本 政一, 川名 太
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_45-I_51
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー
     筆者らは,利用者の快適性や安全性を考慮した歩行者系舗装の構造設計法に関するこれまでの研究において,舗装路面の硬さ試験で求まる衝撃加速度と小型FWDにより求まる路面弾性係数には関係性があり,表層材および表層より下の層の弾性係数から,Burmisterの2層系弾性地盤モデルを用いて,衝撃吸収性を考慮した表層の厚さを理論的に設計できることを示してきた.本研究では,HIC試験により求まる安全な落下高さを歩行者系舗装の構造設計法の枠組みに取り入れることを目的に,路面弾性係数と安全な落下高さの相関性を求め,遊具からの落下に対する安全性を考慮した舗装の表層厚さの設計法について検討した.また,舗装路面の硬さ試験および簡易支持力試験とHIC試験との相関性を示し,HIC試験により管理する安全な落下高さを代替えできる可能性について確認した.
  • 田中 雅人, 齊田 光, 寺崎 寛章, 藤本 明宏, 福原 輝幸
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_53-I_61
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー
     本研究では交通量が路面温度Tp,積雪深および路面の滑り摩擦係数μに与える影響を数値実験により考察した.本研究に使用した広域路面滑り-雪氷状態予測モデルは,交通量に応じて車両熱と車両による雪氷の飛散を考慮し,μおよびTpの路線に沿った時空間変化を予測する.数値実験の結果,シャーベット路面においては交通量の増加に伴いμは上昇し,μの回復に要する時間は短くなる傾向にあることが明らかとなった.さらに,Tp=0℃であってもμは0.4~0.7程度の変化があり,Tpの路線分布(サーマルマップ)による路線危険度評価とμの路線分布(μマップ)によるそれは必ずしも一致せず,交通量の影響を受けることが明らかになった.
  • 井上 浩一, 鈴木 達朗, 阿部 亮吾, 藤木 三智成, 西山 哲
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_63-I_70
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー
     維持管理を行う財源および点検・補修に係わる人手不足が深刻な問題となっている.その解決策の一つとしてICRT技術の積極的な導入が期待されている.近年,MMS(Mobile Mapping System)が様々なシーンで活用されており,計測データを利活用できる状態にある.道路管理の総合的な視点からデータ取得されるMMSデータは,台帳作成等に利用されているが,これらのデータを多面的に利活用することが重要である.これまでに多く蓄積されている標準的なMMSで取得したデータから路面縦断プロファイルの作成およびIRI算定を行い,精度を確認することでデータ利活用の有効性を検証した.その結果,舗装点検要領に基づくIRIの算定に必要な路面縦断プロファイルを標準的なMMSのレーザデータ,POS/LVデータで作成できることを実証した.
  • 江口 利幸, 川村 彰, 富山 和也, 高橋 茂樹, 遠藤 慶三
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_71-I_78
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー
     舗装の維持管理を適正に実施するためには, 定期的な路面性状測定が重要である.現在,路面性状測定として, わだち掘れ,ひび割れ.平坦性の測定を実施しているが,これらの指標ではポーラスアスファルトに発生する局部な変状形態を捉えることができない. そのため,新たな評価手法として,わだち掘れ測定時に取得する横断プロファイルに対し回帰式を用いて縦横断勾配の影響を除去することにより,仮想の3次元点群データを作成するともに,標準偏差を用いて3次元点群データ上に発生する局部的な変状を検出する方法を提案した.また,ポンピング発生区間の検証では,約90%の検知が可能であり,ポンピング発生前の段階でも変状を検出できることが明確になった.
  • 河井 大地, 丸山 喜久, 永田 茂
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_79-I_87
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー
     本研究では,スマートフォンで計測した自動車の上下加速度を用いて路面凹凸を評価する数理モデルを構築した.ロジスティック回帰分析とサポートベクトルマシンの2種類の機械学習手法に基づき,国際ラフネス指数(IRI)が12 mm/m以上の区間を抽出する数理モデルを構築することを目的とした.数理モデルの構築に使用していないデータを用いて,2種類の手法による数理モデルの判定精度を評価したところ,ロジスティック回帰分析の方が良好な結果を示した.さらに,路面不良区間が誤判定される原因として,スマートフォンで加速度を取得するときの車速が影響していることが分かった.
  • 富山 和也, 川村 彰, Riccardo ROSSI, Massimiliano GASTALDI, Claudio MULATTI
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_89-I_96
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー
     本研究は,車両乗員の安全性および快適性の観点から,路面のラフネスとヒトの精神的ストレスおよび認知に関わる生理心理応答との関係について,ドライビングシミュレータを用いた走行試験を実施し検討したものである.結果として,国際ラフネス指数(IRI)の増加に伴い,心理応答である反応時間が有意に増加する場合,生理的な心拍変動指標により定量化された短期および長期的な精神的ストレスが共に増加することがわかった.この結果より,ラフネスの増加は,快適性の低下のみならず,疲労の増加に伴う反応時間の増加により,安全性の低下につながることを明らかにした.また,ヒトの生理心理反応に基づき,幹線道路におけるIRIの許容限界について検討したところ,5.4 mm/mとなり,既存の研究成果を裏付ける結果が得られた.
  • 全邦釘 , 井後 敦史, 南免羅 裕治, 黒木 航汰, 大窪 和明
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_97-I_105
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー
     アスファルト舗装の健全度を定量的に評価する指標の1つにひび割れ率がある.しかし舗装の点検は労力面,コスト面の負担が大きく,そういった負担を軽減するための新技術が求められている状況にある.そういった新技術の一環として,画像解析によりひび割れの自動検出を目指した研究は国内外に多くある.しかしマンホールや白線などが撮影画像に写っていると誤認識の要因となってしまうなど,精度面に課題を抱えていた.そこで本研究ではディープラーニングの一種であるCNNを用いて,白線やマンホールを区別した上で舗装の撮影画像からひび割れを自動的に検出,評価し,GIS上で可視化するシステムを構築した.そして実際に車両から撮影した画像に本手法を適用した実験により,高いひび割れ評価性能を確認した.
  • 岡部 俊幸, 大嶋 智彦, 川村 彰, 富山 和也
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_107-I_114
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー
     筆者らはタイヤ/路面騒音の周波数特性により,路面損傷の状態が把握できうる可能性がわかったが,路面損傷である,ひび割れや段差等の局所的損傷との関連性は明確にできていない.そこで,タイヤ/路面騒音に及ぼす外気温および走行速度の影響要因を取り除くため,舗装路面騒音研究施設の基準路面を使用し,タイヤ/路面騒音の周波数特性の補正方法を確立した.次に,局在する路面損傷の判定を可能にするため,代表的な横ジョイント部でタイヤ/路面騒音の解析方法を検討し検出可能な処理方法を定めた.これらの方法に基づき,構内道路にてタイヤ/路面騒音および路面性状を計測し,タイヤ/路面騒音と局在損傷である凹凸等,ひび割れ形態との関連性を検討したところ,局在損傷を定量的に推定できうる可能性を明らかにした.
  • 光谷 修平, 小嶋 匠, 堀 繁
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_115-I_122
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー
     ポーラスアスファルト舗装を研磨することで路面にその粗骨材の断面を露出させた舗装の特性を研究した.その結果,研磨の程度で路面のテクスチャが変化して見え方に差が生じること.特に肌理細かく研磨した路面は光沢を帯びること.これらの識別感度は,見る位置と光源の方向により異なること.研磨によってすべり特性が変化するが歩行には問題がなく,車両も低速走行であれば可となる可能性があること.雨水を路面下に浸透する性状への影響は小さいこと.等が明らかとなった.なお,この方法は特別な材料や設計方法を要さないので採用に際しての制約条件は少ない.
  • 久利 良夫, 篠田 隆作, 江﨑 耕太
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_123-I_130
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー
     舗装材料の耐久性は大幅に向上され,今後,舗装の寿命は従来とは比較にならないほど長くなると予想される.このため,これまでとは異なった形態の損傷が生じることが予想される.その一つとしては,粗骨材がタイヤにより長期間すり磨きかれ,すべり抵抗が低下するポリッシングが考えられる.多くの粗骨材で構成されているポーラス系の舗装では,このポリッシングが顕著に表れると考えられる.
     このことから,長期間,安定した路面抵抗を確保するため,ポーラスアスファルト混合物(13)に7号砕石を混入させ路面テクスチャを改善することを試みた.新たに考案したすり磨き試験の結果,検討した混合物は,従来のポーラスアスファルト混合物より,長期間にわたる路面抵抗の確保が期待できることがわかった.
  • 今井 宏樹, 中西 弘光
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_131-I_138
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー
     ポリマー改質アスファルトの粘弾性状から,動的安定度などのアスファルト混合物性状を解明することを目的として種々の検討が実施されている.その評価方法についても簡易的な手法が考案されている.本研究は,汎用性が高く一般に広く普及している試験機を用いて改質アスファルトの粘弾性状を数値化し,アスファルト混合物性状との関係を明確にすることを目的に実施した.実験に用いた試験機は二重円筒回転粘度計である.そしてこの回転粘度計から,せん断速度とせん断応力の関係を測定し,時間・温度換算則を適用して各種改質アスファルトのマスターカーブを導き,このマスターカーブが示す特性値とアスファルト混合物性状との関係を実験的に検証し,両者の間には明確な相関性があることを明らかにした.
  • 丸山 記美雄, 木村 孝司
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_139-I_145
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー
     本研究は,アスファルト混合物最下層に広く使用されているアスファルト混合物の動的粘弾性状と疲労破壊特性が,温度,載荷時間,ひずみレベルに応じてどのように変化するか,定量的に把握することを目的としている.温度とひずみレベルを変えて試験供試体に対して4点曲げ疲労試験を実施した結果,疲労破壊回数と動的粘弾性状は温度によって変化し,疲労破壊回数と散逸エネルギの間および疲労破壊回数と損失弾性率の間に相関があり,その関係性を把握することができた.これらの関係性と時間-温度換算則を活用すれば,任意の温度とひずみレベルと載荷速度における疲労破壊特性の把握が可能になると考えられ,疲労破壊寿命の予測精度向上に寄与するものと考えられる.
  • 越 健太郎, 今井 龍一
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_147-I_154
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー
     わが国の道路舗装は着々と整備され,現在では約100万kmにもおよぶ膨大な舗装ストックとなっている.一方,社会資本整備費は減少しており,この傾向は今後も続くものと予想される.したがって,今後は舗装ストックの効率的な維持管理と将来にわたり持続安定的なアスファルト混合物の供給が望まれる.
     また,近年のアスファルト舗装はリサイクルが進み,再生アスファルト混合物の使用割合が増加するとともに,再生率も高くなっている.こうした中,このようなリサイクルを品質低下させることなく,持続的に繰り返していく必要がある.
     本研究では高再生率に対応した微細発泡技術および再生用添加剤の発泡技術により,上記の課題の品質確保および可使時間延長による供給エリアの拡大を図り,今後の方向性の一案を提言した.
  • 川上 篤史, 川島 陽子, 新田 弘之, 寺田 剛, 藪 雅行
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_155-I_161
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー
     日本のアスファルト混合物の再生利用は40年以上の歴史があり,近年は再生骨材配合率が年々上昇してきていることから,今後は繰り返し再生された骨材を含むアスファルト混合物が増えるものと考えられる.しかし,アスファルト混合物を繰り返し利用した際の材料性状や混合物性状の変化は,検討が始まってきているもののまだ知見は少なく,明確になっていないのが現状である.本研究は,繰り返し劣化・再生したアスファルトおよびアスファルト混合物の性状の変化を把握するため,試験室内においてアスファルトを劣化させた後,再生用添加剤によりアスファルトの針入度を回復させ,それを複数回繰り返し,再生アスファルトおよび再生アスファルト混合物の材料性状・混合物性状の把握を行った.その結果,有用なデータが得られたので報告する.
  • 川島 陽子, 新田 弘之, 佐々木 厳, 西崎 到
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_163-I_167
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー
     建設リサイクルの推進により舗装分野において,再生骨材の利用が拡大し,再生アスファルト混合物の出荷割合が増加している.しかし,再生アスファルト混合物の経年劣化については未だ検証が続いており,特に化学性状に関する知見は十分ではない.本研究では,再生方法の異なる再生アスファルト混合物を敷設した現道からコアを取り出し,深さ方向での劣化進行度合いを化学性状の観点から検証した.また,既往研究にて検証した長期供用のアスファルト混合物の深さ方向での劣化進行と比較し,今後の劣化進行について考察した.
  • 早野 公敏, 市川 拓真, 中村 貴久, 桃谷 尚嗣
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_169-I_177
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー
     バラスト軌道における座屈発生リスクを抑えるための道床横抵抗力向上の方策として,まくらぎに座屈防止板を取り付ける対策工が知られている.本研究では,種々の大きさや形状の座屈防止板を模型まくらぎに取り付けて道床横抵抗力の模型試験を実施し,これらの要因が道床横抵抗力に及ぼす影響を検討した.その結果,座屈防止板の面積が増加しても,必ずしも最終道床横抵抗力は増加せず,座屈防止板の形状により最終道床横抵抗力が異なった.座屈防止板の幅よりも根入れ深さが最終道床横抵抗力の増加に貢献したが,この傾向は軌きょう引き試験に比べて1本引き試験において著しかった.1本引き試験において防止板幅の効果があまり見られずに,軌きょう引き試験において防止板幅の効果が見られるのは,側面抵抗の発揮の仕方が変化するためと考えられる.
  • 渕上 翔太, 中村 貴久, 高橋 貴蔵, 桃谷 尚嗣
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_179-I_187
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー
     グラウト材を用いてバラスト層を強化する「てん充道床軌道」は,通常のバラスト軌道と比較して軌道の沈下抑制効果が高く,保守頻度も低くなる.このため,既存のバラスト軌道をてん充道床軌道に改良する事例が多くみられるが,経年したバラストは細粒分を多く含んでいることから,それらを事前に新しいバラストに交換する工法が一般的である.そこで本研究では,細粒分を含んだ既存のバラストを活用することにより,従来よりも簡易にてん充道床軌道を構築する手法について検討した.各種グラウト材を用いた注入試験および圧縮強度試験により,超微粒子セメントミルクを適用したてん充道床軌道を提案するとともに,実物大軌道模型供試体の繰返し載荷試験により,軌道沈下抑制効果を確認した.
  • 岸川 鉄啓, 川口 貴之, 中村 大, Dagvadorj Otgonjargal , 川尻 峻三
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_189-I_196
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー
     積雪寒冷地にある舗装路に関して,水道管やガス管などが埋設されている深度での地盤内鉛直応力は,周辺地盤の凍結融解に伴って大きく変化することが報告されている.また,路面からの車両輪荷重による地盤内の増加応力についても,凍結融解に伴って変化することが明らかになってきており,これらについて詳細に検討することは寒冷地における埋設管の設計や既存埋設管の損傷リスクを考える上で重要だと考えられる.
     そこで本研究では,重量が大きく異なる2種類の車両を用いて,周辺地盤の凍結融解が輪荷重の大きさと地盤内増加応力の関係に与える影響について検討した.また,舗装路を模擬した屋外土槽を用いて,凍結融解が地盤内での荷重分散(応力分布)に与える影響についても検討した.
  • 上野 千草, 丸山 記美雄, 木村 孝司
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_197-I_204
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー
     積雪寒冷地の路盤や路床は,冬期間の凍結や,融解期の含水比上昇,凍結融解作用による支持力低下などの影響を受ける過酷な条件下にある.このため,凍結深さや含水比の変化,凍結融解の頻度を把握することは積雪寒冷地において舗装を構築する上で重要である.そこで,路盤や路床などの舗装体内部の土系材料の凍結融解状況を電気抵抗の変化により評価する方法について基礎的な検証を行った.本研究では,多数の電極を等間隔で配置したセンサを試作し,室内において,路盤材料と路床材料の内部に設置し,凍結および融解時の電気抵抗測定を行った.その結果,凍結および融解状態を把握することが可能であることが確認された.また,試作したセンサを屋外の土中に埋設し,交流での計測が可能な自記記録装置を用いて凍結融解状況の把握を試みた結果,深度方向の連続した計測が可能であり,凍結深さなどの計測に有効であることを確認した.
  • 渡邉 一弘, 塚本 真也, 宮前 雅明, 坂本 康文
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_205-I_212
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー
     舗装の構造評価手法の一つにコア抜き調査があり,アスファルト混合物層の内部損傷の把握を目的に現場で適宜実施されている.平成28年10月に策定された「舗装点検要領」においても,必要に応じたコア抜き等の詳細調査が位置づけられるなど,構造評価手法自体に関心が高まっている.しかし,これら構造評価に基づく修繕工法の選定が,舗装の構造的健全度の回復度に定量的にどのような影響を与えるかはあまり明らかになっていない.本報では,コア抜き調査をもとに修繕工法を選定したアスファルト舗装修繕工事現場を対象に,修繕前の路面性状調査及び修繕前後でFWDたわみ量調査を実施し,コア抜き調査によるひび割れ深さに着目した修繕工法の選定が,舗装の構造的健全度の概ね均一なレベルへの回復に寄与したこと等を明らかにした.
  • 川村 和将, 亀山 修一, 伊倉 雄弘
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_213-I_219
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー
     老朽化が進む舗装ストックに対し,安全性,快適性の確保と維持修繕費の低減を両立させるためにはPMSの構築が必要である.PMSを運用することにより,修繕のPDCAサイクルの推進が可能となる.PMSにはデータベースが必要不可欠であるが,NEXCOのデータベースには課題があった.
     本報文は,データベースの再構築を行ったので報告するものである.
  • 風戸 崇之, 荒木 駿, 貝戸 清之, 小林 潔司, 田中 晶大
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_221-I_228
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー
     舗装の構造耐力は道路が長年使用されることにより経時的に低下していくが,その低下の速度は様々な外的要因や内的要因が影響して多様に異なる.構造耐力の低下は舗装の構造的な健全性の低下と深く関係しているために,構造耐力の回復効果が期待できる補修を最適な時期に実施することが求められる.本研究では,高速道路を対象としたFWD調査データを活用して,舗装各層の構造耐力の低下過程を表現する劣化ハザードモデルを推定し,パフォーマンスカーブを作成する.その際,補修後に測定された調査データについては,補修前後の構造耐力の低下過程の差異を考慮する.本研究の結果として,舗装各層の道路特性ごとの劣化傾向の違いおよび補修層ごとの補修後の劣化の程度の差異を定量的に表現した.
  • 奥田 知之, 鈴木 康豊, 神武 直彦
    2017 年 73 巻 3 号 p. I_229-I_236
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー
     効率的な舗装維持管理を実現する為に,舗装劣化予測により将来の状態変化を予測し,点検,補修,更新等の維持管理コストを最適化する事が必要である.様々な舗装劣化予測モデルが提案されているが,それぞれのモデルがどの様な状況下で最適なのかを判断する事は容易ではない.
     そこで,本研究は時刻情報を持つ点検履歴データに対する,より実運用に近い予測モデルの予測精度を求める事が可能なタイムスライスクロスバリデーションを提案する.提案手法は,時刻方向に点検データを分割し,学習データからモデルのパラメータ推定を行い,そのパラメータを用いて試験データの予測を行った結果から,現実的な予測精度評価を行う.提案手法をRNNモデルによる舗装劣化予測に適用し,従来手法より現実的な将来の予測精度を評価可能であることを検証した.
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