土木学会論文集E1(舗装工学)
Online ISSN : 2185-6559
ISSN-L : 2185-6559
75 巻, 2 号
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舗装工学論文集第24巻
  • 藤本 明宏, 山田 忠幸, 大皿 和正, 奥野 遼太郎, 寺崎 寛章
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_1-I_8
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/26
    ジャーナル フリー

     本研究では,車載式塩分濃度センサーを利用してタイヤによって飛散した水分から路面水膜厚を測定する装置を開発し,走行試験を通してその測定精度を検証した.得られた知見を以下に示す.(1)車内からの供給水とタイヤからの飛散水との混合塩分濃度を測定する装置を開発し,路面上の塩分濃度と混合塩分濃度から飛散水の重量を導く理論を提案した.(2)路面水膜厚は飛散水重量と累乗関係にあった.同じ飛散水重量の場合,走行速度が速い方が路面水膜厚は薄い.これらの関係により,飛散水重量と走行速度から路面水膜厚の算出が可能になった.(3)本装置は路面凍結問題に必要となる0.1mmオーダーの精度で路面水膜厚を計測できる可能性を有する.

  • 坂口 浩昭, 森 飛翔, 菊地 俊明, 入江 健夫, 窪田 光作
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_9-I_16
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/26
    ジャーナル フリー

     既往の研究では,道路舗装の劣化予測に関する研究成果が蓄積され,アセットマネジメントに活用されてきている.その多くは,劣化過程の不確実性に対応するため,確率的劣化予測を用いている.しかしながら,分析した劣化予測結果に対して,実測結果にて検証した研究は見受けられない.そこで本研究では,関東地方整備局管内の代表箇所における路面性状測定結果から劣化曲線を構築し,実測結果により検証した.具体的には,選定した代表箇所の劣化傾向を分析し,局所的に劣化した箇所を除外し劣化曲線を構築した.劣化曲線は,最小二乗法による近似式(直線・曲線)とマルコフ式にて構築した.構築した劣化曲線に対して,予測値と路面性状測定での実測値との整合性を確認し,舗装劣化曲線の構築に対する留意点を整理した.

  • 鈴木 達朗, 吉沢 仁, 井上 浩一, 中須賀 聡, 竹内 康
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_17-I_24
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/26
    ジャーナル フリー

     本研究は,全国の直轄国道における路面性状調査の結果を用いて,現在,運用されている舗装点検要領内(2016.10)に規定された診断区分II(表層機能保持段階)からIII(修繕段階)への移行過程におけるひび割れ率の劣化傾向に着目し分析を行ったものである.分析においては,複数年の点検履歴から単年度の平均劣化量を算出し,ひび割れ率の経年劣化量の分布傾向が概ね正規分布となることを確認するとともに,路面性状調査で発生する誤差を統計的に除外し劣化状況を分析する手法を提示した.また舗装劣化予測に信頼度の概念を導入し,信頼度別,交通区分別に劣化進行速度を求めるとともに,全国の標準的な舗装で起こるひび割れ率を診断区分別の生起確率として示した.

  • 亀山 修一, 長屋 弘司, 郭 慶煥, 洞口 克彦, 川端 伸一郎
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_25-I_31
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/26
    ジャーナル フリー

     本研究では,舗装の目視点検に代わるものとして,走行車両に搭載したGPS機能付きアクションカメラで撮影した動画を用いてPC上で目視点検を行うシステムを開発した.路面損傷の内,本研究ではひび割れのみを対象とした.ひび割れ率が既知の舗装を,本システムを用いて複数の被験者に目視評価をしてもらい,訓練(誤答箇所の学習)を重ねることで点検精度が上昇することを明らかにするとともに,点検精度を向上させるための方法を考案した.さらに,この方法によって訓練を積んだ点検者に6工区(各延長1km)の目視点検を行ってもらったところ,検出率(区分II以上)と的中率(区分III)はAランク(80%以上),検出率(区分III)と的中率(区分II以上)はBランク(60~80%)となり,十分な点検精度を有していることが明らかになった.

  • 川村 和将, 亀山 修一, 伊倉 雄弘
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_33-I_40
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/26
    ジャーナル フリー

     中日本高速道路株式会社は,道路構造物の日常点検において舗装の目視調査を定期的に実施している.調査は複数の点検員によって行われているため,同一の路面変状を目視しても点検員によって報告内容が異なる場合がある.また,切削オーバーレイ工などの修繕工事の計画に目視調査結果が必ずしも活用されていない状況である.筆者らは,日常点検を有効に活用するために,目視調査の現状を調査し,課題の抽出,改善策の検討を行った.その結果,変状が複合的に発生した場合の報告方法や,変状の概要を説明する言葉が点検員によって異なるなどが確認された.本報は,それらの課題に対する改善策や目視調査の修繕計画への活用方法などを報告するものである.

  • 亀山 修一, 佐々木 克典, 郭 慶煥, 城本 政一, 川端 伸一郎
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_41-I_47
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/26
    ジャーナル フリー

     本研究では,救急車による長時間搬送が頻繁に発生する釧路・根室圏の道路を対象に,救急隊員が運転の際に注意を払う箇所(運転注意箇所)を抽出し,路面損傷や路面性状値との関係について分析した.その結果,運転注意箇所は,橋梁ジョイント,縦断ひび割れ,横断ひび割れ,路面凹凸の4つであり,これらの箇所ではIRI100を4mm/m以下にすることが望ましいことが分かった.また,運転注意箇所として挙げられた橋梁ジョイントと低温ひび割れを取り上げ,前者では新たな段差補修工法を適用してその効果を検証し,後者では低温ひび割れの発生頻度と車両の振動加速度の関係について分析した.その結果,低温クラックは損傷が進行して発生間隔が短くなると,橋梁ジョイント以上に車両の振動に影響を及ぼすことが分かった.

  • 池田 茜, 遠藤 桂, 中島 伸一郎
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_49-I_56
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/26
    ジャーナル フリー

     中長距離ランナーが快適かつ安全に走行するためには「蹴り出しやすい」,「足裏への負担が少ない」路面が求められる.これを考えるとき,舗装材料の力学特性としての剛性や摩擦係数は重要であるが,路面のテクスチャについても,ランナーの感じ方は異なることが予想される.本研究では,テクスチャが走りやすさに与える影響を明らかにすることを目的として,走行試験とアンケート調査を実施した.その結果,テクスチャ指標として,MPDと歪度(スキューネスRsk)および尖度(クルトシスRku)が着地衝撃および蹴り出しやすさと関係があることが明らかになった.この関係性を用いて数種の異なる舗装路面について,走りやすさの観点から分類を行った.

  • 白井 悠, 川上 篤史, 寺田 剛, 藪 雅行, 姫野 賢治
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_57-I_65
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/26
    ジャーナル フリー

     本論文は,タイヤ/路面転がり抵抗性能の間接的評価方法の検討として,路面プロファイルデータをタイヤ接地面としてのマクロテクスチャ領域と,メガテクスチャ-ラフネス領域(以下,ラフネス領域)との2つの波長領域に分けて,転がり抵抗係数を推定する方法の検討結果について報告するものである.マクロテクスチャ領域は,二次元の平面テクスチャデータを用いた解析,ラフネス領域は,一次元プロファイルデータをウェーブレット解析することにより解析を行った.その結果,重回帰式の説明変数にマクロテクスチャ領域はピーク値からの下がり0.5mmのときの表面積比と,ラフネス領域は波長0.08~5.12mのプロファイルから求めたRMSを用いることで,IRI,MPDを説明変数に用いるよりも精度の高い推定式を提案できた.

  • 岡部 光樹, 髙橋 清, 富山 和也, 萩原 亨, 森石 一志
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_67-I_75
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/26
    ジャーナル フリー

     近年,全国的にサイクルツーリズムが注目されているため,自転車走行環境に大きく関わる舗装の改善は,サイクルツーリズムの推進において重要になる.しかし,自転車からみた路面平坦性の評価手法は確立されていない.そこで本研究では,新たに開発された自転車振動モデルによる実路面のデータにおける再現性検証および,自転車版の路面評価指標の構築を行った.その結果,自転車振動モデルは実路面のデータを適用した場合,モデル開発時と同様に再現性が高いことが示された.そこで,開発したモデルを用いて自転車版の路面評価指標を構築した結果,自転車の乗り心地を反映した値であることが明らかとなった.また,自転車と自動車では,乗り心地に影響する周波数帯が異なることから,構築した自転車版の路面評価指標であるBRIIRIに対する優位性が示された.

  • 森石 一志, 富山 和也
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_77-I_85
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/26
    ジャーナル フリー

     近年,三次元点群データを活用した効率的な道路の維持管理に関する検討が盛んに行われており,ICT舗装工においても,地上型レーザースキャナーにより取得した点群データによる舗装の出来形管理が実施されている.しかし,レーザー到達距離以上の延長がある道路で計測する場合,地上型レーザースキャナーを盛り替える必要があることから計測の効率化が求められている.また,出来形管理に使用した点群データの供用後の活用方法の検討も必要である.そこで,本研究では,地上型レーザースキャナーとGNSSの組み合わせによる効率的な点群データの取得方法を考案し,さらに取得した点群データによる路面の評価および維持管理について検討した結果,地上型レーザースキャナー等で得られた点群データの適用範囲が拡大できることを示した.

  • 光谷 修平, 小嶋 匠, 武田 有加里, 堀 繁
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_87-I_93
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/26
    ジャーナル フリー

     観光地や商店街の道路の景観を改良して集客を増やそうとする場合,舗装路面にゲシュタルトを描いてプレゼンスを持たせる方法が考えられ,アスファルト舗装や半たわみ性舗装にロードカッターで削溝し輪郭線とする方法が適用できる.本稿は,削溝によるゲシュタルトを設計する際に必要となる削溝の識別限界を試算するとともに,机上の設計を原寸大で紙に描き見え方を確認して修正する手法を提案するものである.

  • 伊藤 壱記, 桃谷 尚嗣, 木次谷 一平
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_95-I_103
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/26
    ジャーナル フリー

     軟弱路盤上に敷設されているバラスト軌道では,頻繁に補修を行う必要があるため,路盤改良の適用が望まれているものの,路盤材の締め固めを必要とする路盤改良工法では最終列車から始発列車の短い作業時間では施工が難しい現状があった.路盤改良の施工時間を短縮することを目的に,急硬性のグラウト材をバラストの間隙に充填する路盤改良工法が開発されたが,夜間に貨物列車の通過等によってさらに短い施工時間しか確保できない箇所では適用が困難な場合がある.そこで,本研究では,さらに短時間で構築可能な路盤改良工法として,グラウト材の充填を後日行う方法を開発するため,グラウト材の要素試験および実物大バラスト軌道の載荷試験により路盤改良効果を評価し,営業線にて施工性を確認した.

  • 木次谷 一平, 伊藤 壱記, 中村 貴久, 石川 達也, 岡安 崇史
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_105-I_113
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/26
    ジャーナル フリー

     バラスト軌道はまくらぎ下に道床バラストを敷いた軌道構造であり,列車荷重を繰返し受けることにより徐々に塑性変形し,塑性変形量の累積値が大きくなると補修を行うことで軌道の状態を安全に維持している.バラストは粒状体であるために列車の繰返し荷重による経時的な変形挙動を予測することは難しく,計画的な補修箇所の選定が難しい.そこで本研究は道床バラストの繰返し載荷による変形挙動の再現を目的とし,非古典的弾塑性論である下負荷面モデルを用いたFEM解析を実施した.道床バラストの要素試験およびバラスト軌道の実物大模型試験をシミュレートし,本解析手法の妥当性を検証した.

  • 今井 宏樹, 中西 弘光, 高橋 修
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_115-I_122
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/26
    ジャーナル フリー

     FWDによる散逸仕事量は,アスファルト舗装の損傷状態と相関性を有していることが知られている.しかしながら,FWDによる散逸仕事量は路盤・路床を含む舗装全体の損傷状態に基づくものであり,アスファルト混合物層のダメージ状態を表す特性値と捉えるためには,その妥当性を確認する必要がある.本研究では,FWD試験によってアスファルト混合物層のダメージ状態を評価することを目的に,実舗装上でFWDによる散逸仕事量を求め,同測点で採取した切取コアの繰返し圧縮引張試験により求めたアスファルト混合物層の散逸仕事量と比較して,これらの相関性について検討した.その結果,双方の試験による散逸仕事量の間には高い相関性が認められ,FWD測定データからアスファルト混合物層のダメージ状態を推定できる可能性が確認された.

  • 小池 海, 佐藤 勉, 大脇 真也, 佐藤 定夫, 西澤 辰男
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_123-I_131
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/26
    ジャーナル フリー

     磐越道で建設されたCRCPは,1990年10月の供用から継続的にひび割れ幅が広がり,横ひび割れ間隔は狭くなった.1996年からはコンクリート版表面が破砕するパンチアウトが発生した.損傷要因はセットフォーム工法による打継目及び塩害とされ,当該損傷箇所は2000年から超速硬コンクリートによる部分打換工とアスファルトオーバーレイ工による対策工を実施した.このことから損傷経緯及び得られた知見を論ずる.またその後約11年間安定を保持していたが,近年同様の損傷が多数発生している状況であることから,本論では2018年のコンクリート版の開削調査等を踏まえ,凍結防止剤散布による塩分濃度の上昇や,それに伴う鉄筋腐食の実態を明らかにするとともに,コンクリート版内部に発生している水平ひび割れのメカニズムについて論ずるものである.

  • 戸田 圭彦, 田中 克弘, 久利 良夫, 鎌田 修, 横田 慎也
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_133-I_141
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/26
    ジャーナル フリー

     鋼床版アスファルト舗装の縦ひび割れは縦リブ上や主桁上だけに生じるのでなく,それらの間にも生じる.縦リブ間は橋軸直角方向に正曲げとなることから,舗装表面では圧縮ひずみが卓越するが,圧縮ひずみ下においても縦ひび割れが発生するメカニズムは明らかになっていない.そこで,粘弾性体では圧縮ひずみ下にあっても引張応力が生じることに着目し,鋼床版アスファルト舗装の粘弾性解析結果から縦リブ間の応力とひずみの関係を整理した.その結果,縦リブ間は圧縮応力と引張応力が交互に作用する交番載荷状態にあることを明らかにした.また,この粘弾性的な引張応力はアスファルト温度が低温ほど大きいことを示した.さらに,粘弾性解析の結果から直接散逸エネルギーを求め,輪荷重周辺の散逸エネルギーが大きいことを示した.

  • 若林 由弥, 桑原 正明, 渡邉 一弘
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_143-I_150
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/26
    ジャーナル フリー

     膨大なストック量の舗装を効率よく管理していくためには,供用の目標年数よりも早く劣化が起こる「早期劣化区間」をいかに減らしていくかが重要である.しかし,舗装の早期劣化メカニズムについては明らかになっていない部分が多く,早期劣化が発生した際の措置を道路管理者が判断するのは難しい状況にある.そこで,実際に早期劣化したアスファルト舗装1路線を対象に開削調査等の各種構造調査を実施したところ,アスファルト混合物層内の滞水及び層間はく離が早期劣化の一因となり得るという知見を得た.その後,複数の早期劣化区間においてコア採取とFWD調査を実施した結果,同様にアスファルト混合物層内の滞水と層間はく離の発生及びアスファルト混合物層の支持力低下が確認され,これらが早期劣化の一般的な要因の1つであることを確認した.

  • 川端 伸一郎, 亀山 修一, 佐藤 厚子
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_151-I_158
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/26
    ジャーナル フリー

     凍上被害を受けた北海道内の国道より路床土(48試料)をサンプリングし,凍上性および地盤工学的な特性を調査した.凍上被害箇所の路床土は80%以上が粗粒土であり,締固めに適した良質なものが多く存在した.しかし,細粒分含有率の変動を調べると,数100mの範囲で大きく変化する例も確認されたことから,不同凍上による路面の段差や波打ちにつながる恐れも懸念された.凍上被害を受けた箇所の路床土には,非凍上性のものは含まれず,大部分が強凍上性に判定され,さらに極めて強い凍上性を示す試料も多くみられた.簡易的な指標によって凍上性の判定を試みた結果,凍上性の強弱を表す強熱減量(質的な凍上リスク)と凍上性への影響度を表す細粒分含有率(量的な凍上リスク)を組み合わせて用いることが有効であった.

  • 久保寺 貴彦, 郭 慶煥, 田中 宏司, 高橋 清, 内藤 健二
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_159-I_166
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/26
    ジャーナル フリー

     地中レーダは,表面から電磁波を地中に照射して,埋設管からの反射を利用して,画像判読により埋設管の土被りを測定する.著者らは,画像判読の向上のため,矩形の鉄板を埋設管上面に設置することに着想した.鉄板の有無と土被りが,画像判読に及ぼす影響を明らかにするため,埋設管を敷設した実験を行った.測定ケースは,地中レーダ2機種,土被り1.0m,0.8m,0.6m,0.2mの4ケースに対して鉄板有無の2ケース,合計16ケースとした.この結果,埋設管上面に鉄板を設置したことにより,判読不能な状況下でも画像判読可能になった.さらに,相対誤差は,5.8~7.8%であることがわかった.

  • 若月 洋朗, 木幡 行宏, 玉山 大助, 三田地 利之
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_167-I_174
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/26
    ジャーナル フリー

     道路フォーメーションの影響で素地を路床土とする場合は,舗装構造設計の材料モデルの設定が,物性条件や堆積環境の面で複雑なケースが要求されることがある。性能照査型の舗装設計法における設計用値としての変形係数は,レジリエントモデュラス(Mr)が用いられるが,Mr試験を標準規格で実施した結果からでは,排水条件を考慮した材料モデルを設定することは難しい.そこで,舗装工学と地盤工学の融合を図る一つの試みとして,地盤工学会基準の室内土質試験である「繰返し三軸試験」と「ベンダーエレメント試験」を組み合わせた「ベンダーエレメント併用繰返し三軸試験」を豊浦砂に適用し,舗装構造解析に必要な変形係数とポアソン比の設計用値の設定方法について検討した.

  • 河村 直哉, 坪川 将丈, 渡邊 緩子
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_175-I_183
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/26
    ジャーナル フリー

     アスファルトに関する既存の分析手法を参考に,油を含む回収アスファルトに対して組成分析,赤外線吸収スペクトル分析および示差熱天秤-質量分析を行い,油種推定の可能性を検討した.示差熱天秤-質量分析であれば,回収アスファルトが何らかの油を含むことを推定できるが,油種を推定するためには,油を構成する個々の炭化水素を分離し,それらの化学構造を推定する必要があると考えられた.これを踏まえ,熱分解-ガスクロマトグラフを用いた分析方法を新たに検討した.回収アスファルトが機械作動油を含む場合には,トータルイオンクロマトグラムの保持時間35~50分においてn-アルカン等とその異性体に由来するピークが現れ,軽油を含む場合には,炭素数nが13~27のn-アルカンのピークが現れることを明らかにした.

  • 横田 慎也, ロハニタラニディ , 澁谷 啓, 鎌田 修, 久利 良夫
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_185-I_193
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/26
    ジャーナル フリー

     既設アスファルト混合物の劣化性状を確認するためには,現地採取コアを用いた試験が必要と考えられるが,橋面舗装のように比較的薄層のコアを評価しようとする場合,既存の試験が適用できない場合がある.そのため筆者らは,薄層の供試体でも試験が可能な繰返しねじりせん断試験機を開発し,その適用性を検討してきた.本研究では,繰返しねじりせん断試験の各種試験条件が試験結果に与える影響を明らかにし,アスファルト混合物の力学的特性を十分に評価できることを示した.また,供試体厚さの違いが繰返しねじりせん断試験結果におよぼす影響を明らかにし,供試体厚さが異なる場合でも同一の指標で評価が可能となるように厚さによる試験結果の補正方法について提案した.

  • 川島 陽子, 新田 弘之
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_195-I_200
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/26
    ジャーナル フリー

     アスファルトは古くからコロイド構造であると考えられている.オイル成分中でアスファルテンやレジン分が集合体となって分散しており,酸化劣化が進行すると,この集合体がネットワークを形成してアスファルトの流動性を下げるとされている。アスファルテンは自身の極性基に由来する表面荷電を有しており,劣化によるアスファルテンのネットワーク形成という凝集現象に対して,アスファルテンの荷電特性が影響している可能性が考えられる.本研究では,劣化によるアスファルテンの荷電特性や凝集分散特性の変化を検証した.未劣化アスファルトのアスファルテンは,pH4近傍でアスファルテン粒子が凝集沈殿し,それよりも高pH域では分散していた.また荷電特性を表すゼータ電位はpHによって変化した.一方,劣化および再生アスファルトのアスファルテンには明確な凝集沈殿は見られなかった.荷電特性について,未劣化のアスファルテンよりも劣化や再生の方がアスファルテンのゼータ電位の絶対値が高かった.これは,酸化劣化によりカルボニル基が増え,負荷電の影響が増したことが要因であることが示唆された.

  • 寺田 剛, 渡邉 真一, 藪 雅行
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_201-I_207
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/26
    ジャーナル フリー

     道路橋RC床版が疲労,塩害,凍害,ASR等による劣化で損傷している事例が発生しており,防水対策が重要となっている.防水層とともに舗装も遮水性を有しているが,床版損傷の原因が舗装の劣化,ひび割れ等による遮水性が低下する(床版への水の浸入)との報告もある.現在,土木研究所では,「床版防水に配慮した橋面舗装の打換え技術に関する研究」を実施しており,その研究の一環として,床版が土砂化等で損傷している橋面舗装の実態を調査するため,舗装コアを採取して水の浸入の確認と遮水性などの試験を行った.その結果,舗装体の遮水性が高くても舗装端部,施工打継目,ひび割れ部から雨水が浸入することを確認した.

  • 田湯 文将, 新田 弘之, 川島 陽子, 川上 篤史
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_209-I_214
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/26
    ジャーナル フリー

     再生アスファルト混合物の持続可能な品質確保が望まれる中,筆者らは,これまでにアスファルトを繰り返し劣化・再生する繰り返し再生試験を実施することで,再生用添加剤の成分差異が,再生アスファルトと,その混合物の品質に与える影響を明らかにしてきた.しかし,アスファルトの繰り返し再生試験は,多大な時間と労力を要するため,繰り返し再生に適した再生用添加剤の選定方法の省力化が必要である.そこで,本研究では,繰り返し再生試験の省力化を目的として,針入度が5程度まで劣化した低針入度アスファルトを再生用添加剤により再生させたものと,繰り返し再生したアスファルトの性状を比較検討した.その結果,低針入度アスファルトを再生させることが,繰り返し再生に適した再生用添加剤を選定するのに有効であることが明らかとなった.

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