土木学会論文集E1(舗装工学)
Online ISSN : 2185-6559
ISSN-L : 2185-6559
77 巻, 2 号
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
舗装工学論文集第26巻
  • 今井 宏樹, 高橋 修, 中西 弘光
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_1-I_9
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

     熱や紫外線の劣化作用はアスファルト混合物の疲労特性に影響を及ぼし,疲労試験で得られる位相角や単位散逸エネルギーなどの粘弾性パラメータも劣化によって変化するものと考えられる.本研究では,劣化がアスファルト混合物の疲労寿命に及ぼす影響を明らかにするため,熱劣化させたアスファルト混合物の直接引張試験と繰返し圧縮引張試験を実施し,位相角や単位散逸エネルギーの変化と疲労破壊回数の変化について比較した.その結果,劣化したアスファルト混合物はスティフネスが高くなり,位相角や単位散逸エネルギーが小さくなることで疲労破壊回数が大きくなる傾向を示すが,比較的温度が高く粘弾性を呈する領域では疲労破壊回数が小さくなる条件もあることが分かった.

  • 掛札 さくら, 川上 篤史, 藪 雅行, 新田 弘之, 山本 富業
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_11-I_19
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

     アスファルト舗装の再生利用は40年以上行われてきており,アスファルト再生骨材は地域によって複数回再生利用されている.それにともない再生骨材の品質の低下や再生アスファルト混合物に与える影響が懸念され,様々な検討が行われている.過去に筆者らは,室内で劣化させた再生骨材を用いて,圧裂強度比および高温カンタブロ損失率が,再生アスファルト混合物の高温時のひび割れ抵抗性の評価に適用できる可能性を得た.そこで本研究では,舗装現場で実際に使用されている再生骨材を用いて,再生アスファルト混合物の性状試験を行った.その結果,実際の再生骨材でも前述の結果と同様に,圧裂強度比および高温カンタブロ損失率が高温時のひび割れ抵抗性の評価として適用できる可能性があり,これら評価から高温時のひび割れが生じにくい範囲を提案した.

  • 神下 竜三, 小瀬 詠理, 青木 康素
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_21-I_28
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

     阪神高速道路の鋼床版上舗装の基層には,たわみ追従性が高く,流し込みで施工可能,かつ床版上の凹凸部への容易に充填できるグースアスファルト混合物が従来から使用されてきた.近年,従来のグースアスファルト舗装と比較して,高耐久で低臭気な混合物の実用化に向けた取り組みが道路舗装各社において行われている.一方で,高耐久グースアスファルト混合物を鋼床版上の基層混合物に適用するための性能規定型の評価基準について整備されていない.本稿では,高耐久グースアスファルト混合物の性能規定することを目的に,鋼床版上舗装の基層に求める性能を評価する各種試験を実施した.その結果,高耐久グースアスファルト混合物は,従来のグースアスファルト混合物に対して,流動抵抗性やひび割れ抵抗性に優れることが確認できた.

  • 野本 真兵, 川島 陽子, 新田 弘之
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_29-I_36
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

     アスファルトの劣化や改質材の有無を判定する方法として赤外分光分析の有効性が報告されている.近年,赤外分光分析装置の小型化が進み,ハンドヘルドタイプも流通していることから,現場での活用が期待される.また,赤外分光分析には全反射吸収測定法(ATR法)以外にも測定法があり,対象に適した手法を選定することで,アスファルト混合物を非破壊で調べることが可能と考えられる.本研究では,拡散反射法および光音響分光法に着目し,アスファルトバインダやアスファルト混合物の赤外分光分析を行い,これらの測定法の適用条件を検討した.その結果,アスファルト混合物に適用する場合の測定条件や適用範囲などが明らかになった.

  • 光谷 修平, 丸山 暉彦
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_37-I_44
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

     アスファルトに求めるバインダーとして引張負荷に対峙する物理特性をその種類によらず比較評価する試験方法がない.そこで比較的広い温度帯で試験することで種類の異なるアスファルトの引張特性を比較評価する方法として荷重測定型伸度試験に着目し,その標準化に必要となる試験方法の整理を行うとともに,試験から得られる指標としてmaxEpσ maxEσを提案した.また,荷重測定型伸度試験の再現性,異なる種類のアスファルトの引張特性の差を識別する有効性などの検証に取り組み,アスファルト全般の物理特性の評価方法として活用できる可能性を確認した.

  • 曲 慧, 平戸 利明, 森川 祐, 原田 健太郎, 高木 秀彰
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_45-I_52
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

     アスファルト舗装の長寿命化を図るため,高分子材料により改質する方法が一般的に用いられている.材料改質において,化学的アプローチのほかに,材料に電子線を照射することで物理的に重合反応を促進させる方法が,自動車,医療・医薬品,電気・電子材料などの分野で利用されている.本研究では,電子線照射したアスファルトの物理化学的性質を理解し,照射によるアスファルトの改質効果,および劣化アスファルトの回復再生方法の両面について模索した.評価は,アスファルトに電子線を照射し,照射前後の工業的物性,混合物性状,粘弾性特性,組成および化学構造変化等を把握した.その結果,アスファルトに電子線を照射することでアスファルト自体の物理化学的性質が変化し,アスファルトの改質効果が得られることを明らかにした.

  • 佐々木 厳, 新田 弘之
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_53-I_58
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

     アスファルト舗装は供用中の気象作用により表面近傍ほど劣化が大きいことが指摘され,その対策法の一つとして,カーボンブラックにより紫外線を遮蔽することによる長寿命化が検討されている.新設バイパス道路における試験舗装として表層のアスファルト混合物にカーボンブラックを添加し,供用6年目まで追跡調査した.その結果,アスファルト劣化は舗装表面から10mm部分において特に顕著なこと,カーボンブラック添加により供用6年では2年間程度の期間に相当する紫外線劣化の遅延抑制効果があることがわかった.

  • 斎藤 優佑, 前島 拓, 澤田 美那子, 齋藤 賢人, 岩城 一郎
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_59-I_66
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

     本研究は床版コンクリート上層部の劣化がアスファルト舗装の早期破壊に及ぼす影響について実験的に検討したものである.まず,水浸ホイールトラッキング試験時における環境温度および供試体形状をパラメータとした載荷試験から,実道路橋で見られる劣化状態を再現し得る試験方法を考案した.そして,得られた試験結果から,床版コンクリートの砂利化がアスファルト舗装の早期破壊に及ぼす影響について検討した.その結果,橋面アスファルト舗装で見られる土砂の噴出現象を再現可能な試験方法を提案するとともに,砂利化直上におけるアスファルト舗装は,コンクリート床版の支持力低下に伴い舗装下部に輪荷重による曲げひび割れが生じ,これが上面側に進展することで早期破壊に至ることを示した.

  • 上野 千草, 木幡 行宏, 星 卓見, 丸山 記美雄
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_67-I_75
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

     舗装ひび割れ部や縁石・地覆前面の舗装端部などから浸入した雨水や融雪水は,舗装層間などの空隙を通じて舗装体内に広がり,層間剥離やポットホール発生の要因となっている.さらに,凍結融解作用が加わると,このような舗装損傷が加速する.このため,舗装内への水分の浸入を抑制する適切な止水技術や補修方法が求められている.本研究では,舗装層間に浸入した水分を直接検知する技術の開発を目的として,電気抵抗の計測による水分検知技術の適用性について室内および屋外において検討した.その結果,舗装層間に銅箔を用いた電極を埋設し,電気抵抗を計測することにより,層間の水分検知が可能であることが明らかになったことから,本研究で提案する技術は,止水技術等の性能評価に利用できる可能性が示唆された.

  • 松田 圭大, 川口 貴之, 川端 伸一郎, 中村 大
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_77-I_84
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

     二次元熱伝導解析を用いて舗装路下の凍結範囲を推定する際,本来は路面温度を用いるべきであるが,対象とする舗装路の路面温度が計測されていることは極めて少ない.そのため,外気温と路面温度との関係を明らかにし,容易に入手可能な外気温から路面温度を推定できることが望ましい.本研究では,北海道内130箇所の道路テレメータで観測された10年分の外気温と路面温度との関係を精査し,地域による違いについて検討した上で,各地域における路面温度と外気温の関係式を求めた.そして,地中温度が計測されている舗装路を対象とした二次元熱伝導解析を実施し,適切な関係式を選べば外気温から推定した路面温度を用いても実測に近い凍結深さが得られることを確認した.

  • 松田 圭大, 川口 貴之, 川端 伸一郎, 中村 大
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_85-I_92
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

     二次元熱伝導解析を用いれば,一次元凍結モデルでは困難な部分的な積雪や断熱材の敷設による道路横断方向における凍結深さの違いについても把握できる.しかし,最終的に入手しやすい限られた情報だけから凍結深さを推定するには,解析対象とする地盤の深さや境界条件など,解析方法に関する詳細な検討が必要である.そこで本研究では,二次元熱伝導解析を用いて一次元モデルを作成し,比較的均質な地盤で計測した温度計測結果に基づき,各層の熱的定数と地表面温度だけから最大凍結深さを推定しうる解析方法について検討した.そして,路面温度が計測されている供用中の舗装路を対象に解析した結果,最大深さを精度良く推定できることを確認した.さらに,そのためには路面温度の把握が重要であることや,既存の推定式を用いた熱的定数を用いても精度良く凍結深さを推定できることも確認した.

  • 窪田 諭, 並川 佳愛, 安室 喜弘
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_93-I_101
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

     道路構造物の適切な維持管理を実現するためには,視覚表現に優れ,情報共有可能な3次元点群データの利用が有効である.しかし,3次元点群データから形状を把握し,その任意箇所に損傷や点検結果を表現する維持管理システムは発展途上である.道路の3次元点群データは,広範囲を数年単位で測量して整備され,遂次更新されたデータを利用できる環境にない.道路構造物の変更が3次元点群データに反映されるまでに時間を要し,維持管理業務で最新のデータを利用できない課題がある.本研究では,道路維持管理のための3次元点群データの基盤を構築することを目的として,更新対象地物を地上型レーザスキャナとカメラで計測したデータを用いて,既存の3次元点群データを部分的に更新してデータの新鮮度を高める手法を考案し,実道路にて検証した.

  • 若林 由弥, 羽藤 英二, 渡邉 一弘
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_103-I_110
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

     膨大なストック量を有する道路舗装について限られた予算や人員で管理していくためには,舗装の早期劣化を予防し長寿命化によるLCC縮減を図ることが不可欠である.舗装内部の劣化が生じた場合,劣化箇所からの修繕を行わず安価な修繕を行うと,路面が早期に劣化し繰返しの修繕によってかえってLCCが増大するおそれがある.本研究では,舗装の内部劣化や修繕によって変化するLCCを定量的に評価するため,路面劣化と舗装内部の劣化の複合的な劣化状態を定義し,内部劣化によって路面劣化の遷移確率が変わるマルコフ劣化モデルを提案し,修繕計画ごとにLCCを評価可能な手法を構築した.また,架空の劣化モデルで数値計算を行い,内部劣化に応じた修繕を実施することでLCCを縮小できる可能性について定量的に評価できることを確認した.

  • 大野 聖也, 藤本 明宏, 酢谷 浩, 山田 健雄, 徳永 透
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_111-I_118
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

     凍結防止剤の散布は路面の温度や塩分濃度を基に実施されているが,スリップ事故の危険性や必要な凍結防止剤の散布量を判断するには,路面の水膜厚や残留塩量が必要になる.

     これまでに,筆者らはタイヤの飛散水による路面塩分濃度測定装置を改良し,走行しながら連続測定が可能な路面水膜厚の測定装置を開発した.本論文では,走行試験から本装置による路面の水膜厚,塩分濃度および残留塩量の測定精度を検証し,その特徴を捉えて改善点を明らかにした.得られた知見を以下に示す.(1)走行速度20km/hでは供給水量に対して飛散水量が少なく,測定精度は低下する.(2)路面塩分濃度が供給水の塩分濃度に近くなるほど,測定精度は低下する.(3)本装置は路面塩分濃度が8%未満では路面残留塩量を3.1g/m2の誤差で測定できる.

  • 富山 和也, 山口 雄希, 森石 一志, 幸谷 宥毅
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_119-I_127
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

     近年,建設生産性向上を目的に,舗装分野においても様々な三次元計測機器の活用が進んでいる.その一方で,三次元点群データ処理では,従来手法に比べ取り扱うデータ量が増大することから,効率的かつ合理的な解析手法が必要となっている.本研究は,多重解像度解析による高速演算アルゴリズムにより効率的に多次元データのフィルタリングが可能なDual-tree複素数ウェーブレット変換(以下,DTCWT)による,路面点群データ解析の有効性について検証したものである.その結果,DTCWTは,任意の波長への分解および縦横断方向への指向性を組み合わせたフィルタリングが可能であり,着目する変状成分を理論的に抽出することで,路面点群データの効率的かつ合理的な解析に寄与することを示した.

  • 山口 雄希, 森石 一志, 富山 和也, 幸谷 宥毅
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_129-I_136
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

     近年,ICT舗装工において地上型レーザースキャナー(以下,TLS)の活用が進められる一方,TLSの適用および計測条件によっては従来手法より非効率になる可能性が懸念されている.そこで,本研究では,従来のターゲットに変わり,高精度な全地球航法衛星システム(GNSS)により評定点を定めることで,計測前後の作業工程を省略した効率的な三次元点群の取得について検討した.さらに,TLSの特性として計測点密度が器械からの距離に依存する点を考慮し,TLS盛替え間隔を最適化し点密度の均一化を図った新たな計測方法を提案した.結果として,TLSとGNSSの組み合わせた新たな計測方法を確立し,従来手法と同等の精度で,スキャン時間の大幅な短縮および計測後のデータ処理におけるハンドリング性に対する優位性を示した.

  • 白井 悠, 川上 篤史, 寺田 剛, 姫野 賢治
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_137-I_143
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

     本研究では,転がり抵抗の小さなアスファルト舗装(以下,低燃費舗装)の長期耐久性に関する検証として,標準型と排水性重視型の2種類の低燃費舗装について,従来の排水性舗装との比較を行った.評価項目は,構造的耐久性についてはひび割れ率とわだち掘れ量,機能的耐久性については縦断凹凸形状(平たん性,IRI),すべり抵抗(BPN,動的摩擦係数),きめ深さ(MPD),および排水性能(浸透水量)とした.耐久性の検証は土木研究所の舗装走行実験場での促進載荷試験により,49kN換算輪数で10万輪ごとに各評価項目を測定し,120万輪相当まで実施した.結果,構造的,機能的のすべての評価項目において,従来の排水性舗装と同等の耐久性を有していることを確認した.

  • 泉尾 英文, 鍋島 美咲, 安久 憲一, 岸良 竜, 上野 敦
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_145-I_153
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

     コンクリート舗装の様々な路面を対象に,すべり抵抗性とテクスチャの関係について検討を行った.その結果,計測したテクスチャの曲線から,特定の路面波長の粗さ曲線を抽出して評価することが有効であり,すべり抵抗性には路面波長0.5mm以下の粗さによる影響が大きいことが分かった.路面波長0.5mm以下の粗さ曲線から算出した算術平均粗さ(Ra)は,DFTによる動的摩擦係数と強い正の相関を示した.BPNに対しても同様の傾向が認められたが,摩耗の程度によって関係性が異なり,同等のRaであっても摩耗作用を受けていない路面でBPNが高かった.これは,Raでは評価することができないテクスチャによる影響と考えられたため,他の指標も加えて相関分析を行った.

  • 小嶋 匠, 光谷 修平, 堀 温子, 堀 繁
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_155-I_162
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

     ポーラスアスファルト舗装の路面に研磨により図を描き,これを輝度の差異で識別させる研磨舗装は,光源と視点,対象路面の位置関係により輝度とその差異が変化し,図の識別が容易になったり,困難になったりする.そこで,研磨舗装のデザインのどこをどの程度研磨すれば意図した図が認識しやすいかを検討する為に,研磨程度の異なる路面の輝度を光源,視点を変えて計測し,その関係を整理した.さらに,その組合せが差異を認識できる輝度比であるかを評価した.

  • 何 宗耀, 前島 拓, 白井 悠, 髙田 厚, 岩城 一郎
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_163-I_170
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

     本研究は,大学構内において放熱管を埋設したコンクリート舗装を作製し,熱媒体の種類,温度,および放熱管のかぶり厚さが路面温度および融雪効果に及ぼす影響について検討した.その結果,屋外に設置したタンク内の水を舗装体内に循環させることにより,夏期における路面温度上昇と冬期における路面凍結の両方を抑制し得ることを示した.また,福島県郡山市の気候においては10℃程度の水を循環させることで,放熱管のかぶりが70mmという条件においても十分な融雪効果があることを明らかとした.さらに,3次元有限要素解析により,路面温度上昇と路面凍結の抑制に有効な循環水の温度を提案した.

  • 久保 裕一, 松岡 雄一, 亀山 修一
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_171-I_178
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

     本報告で対象とした空港のエプロンコンクリート舗装は,厚さ350mmの既設コンクリート版の上面に,厚さ130mmのコンクリート版を嵩上げした舗装構造を有している.この版厚480mmのコンクリート舗装の打ち換えに際して,取り壊し作業の効率化による夜間の工事騒音の期間短縮を目的として,嵩上げコンクリート版と既設コンクリート版の層間剥離の発生状況を把握した.コンクリート版中央および目地部でFWDによる表面たわみ量を測定し,逆解析を行い舗装各層の弾性係数を求めて層間剝離を評価した.その結果,層間剝離が発生したコンクリート版では,逆解析した嵩上げコンクリート版の弾性係数に対する既設コンクリート版の弾性係数の割合が低下する傾向が見られた.

  • 梅田 隼, 塚本 真也, 山口 和郎, 綾部 孝之, 寺田 剛
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_179-I_187
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

     舗装の維持管理において,舗装の健全度をネットワークレベルで把握するため,移動しながら連続的にたわみを測定する試験機の開発が世界各国で進められており,我が国においては「移動式たわみ測定装置(MWD)の実用化に関する共同研究」において中型車両を用いたMWDの開発が進められている.MWDは走行中の車両からドップラー振動計により路面のたわみ速度を観測することで,たわみ量を推定するものであるが,走行中の車両の振動によるノイズを如何に正確に除去するかが課題である.本研究ではドップラー振動計の観測値の差を計算するという新しいノイズ除去手法について検討し,実路での測定を行った.その結果,走行速度に依存することなくFWDとほぼ同等のたわみをMWDにて得られ,ノイズの除去が正確に行えることを確認した.

  • 渕上 翔太, 中村 貴久, 高橋 貴蔵, 桃谷 尚嗣
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_189-I_197
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

     鉄道のバラスト軌道において,列車荷重やつき固めによる補修作業によってバラストの破砕・細粒化が進行すると,雨天時に泥土がまくらぎ下から噴出する噴泥と呼ばれる現象が生じる.噴泥が生じると軌道の沈下量が大きくなり,補修作業の頻度が増大することが課題となっている.一方,バラスト軌道の補修作業を省力化する構造として,バラストに超微粒子セメント(SFC)ミルクを注入するSFCてん充道床軌道を開発してきたが,噴泥を生じたバラスト軌道には適用することができなかった.そこで本研究では,噴泥したバラスト軌道に適用可能なSFCてん充道床軌道の施工法を提案し,沈下特性を評価した.実物大軌道供試体の繰返し載荷試験および営業線における試験施工の結果,既設線省力化軌道として十分な軌道沈下抑制効果を有することを確認した.

  • 高石 将平, 海野 寿康, 飯高 裕之, 馬場 弘毅
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_199-I_206
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

     地震時におけるアスファルト乳剤安定処理路盤材料の繰返しせん断変形特性と液状化強度に及ぼす繰返し載荷速度(載荷周波数)の影響について,載荷周波数を3種類に変化させた繰返し三軸試験を実施して把握を試みた.その結果,載荷速度が増加するほど有効応力の減少や軸ひずみの発達が抑制される傾向がみられた.また,載荷周波数0.0031Hzと0.2000Hzで液状化強度RL20の増分を比較した際,乳剤添加量A=5%では,液状化強度RL20の増分が0.05であったのに対し,乳剤添加量A=20%では0.31となり,乳剤添加量が増加するほど繰返し載荷速度(載荷周波数)の増加にともなう液状化強度RL20の増加が大きい結果となった.

  • 永塚 竜也, 前川 亮太, 藪 雅行
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_207-I_215
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

     舗装の構造的健全性の低下要因のひとつとして,路盤内部への水の浸透が挙げられる.路盤内部に水が浸透すると,路盤の支持力や荷重の分散性に影響するといわれているが,水位の変動が及ぼす影響の程度は明らかになっていない.また,路盤に水が存在し得る実道において,水による路盤の性状の変化を原位置調査でどこまで把握できるかは不明である。そこで本研究では,路床の上面に土圧計を埋設した実大のアスファルト舗装供試体を構築し,路盤内部の地下水位を制御したうえで,路盤の支持力や荷重の分散性がどのように変化するのかをFWD載荷試験により把握することを試みた.その結果,路盤内部の地下水位が高いほど荷重の分散性は低下し,FWDたわみ量から推定した弾性係数も低下することが明らかになった.

  • Yafei ZHAO, Yukihiro KOHATA
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_217-I_224
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

     As roads often have a residual settlement on soft foundations, reducing the weight of the subbase course is an alternative way to solve this problem.In this study, the strength and deformation characteristics of artificial lightweight subbase course material under monotonic and cyclic loading were discussed. The specimens in the dry and optimum moisture content condition were applied cyclic loading by 10,000 cycles under three confining pressures (29.4, 49.0, and 68.6 kPa), and then the effects of cyclic loading on the strength and deformation were discussed. From the test results, it was found that the shear strength of the specimens after cyclic loading decreased in the dry condition, while the shear strength of the specimens after cyclic loading was basically unchanged in the optimum moisture content condition. And it is considered that the deformation modulus of specimens after cyclic loading increased in both conditions.

  • 山中 光一, 竹内 康, 川名 太, 峯岸 邦夫
    2021 年 77 巻 2 号 p. I_225-I_231
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

     路盤・路床の評価を行う際に用いられるMr試験結果は,MEPDGモデルに適用させることにより舗装の構造解析手法等に用いられている.これに対して現場試験として小型FWDによる剛性評価を行う場合もあるが,両評価方法から得られるたわみは,載荷速度等の違いから異なる値を示す.これら評価法の整合性を明らかにすることは,理論的構造設計を進める上で重要な課題であるが,同一材料を用いた両評価方法の整合性について検証するには至っていない.本研究では,小型FWD試験とMr試験を実施するとともにMLETによる順解析を行い,各手法の整合性について検討を行った.その結果,載荷時間を考慮した係数βをMEPDGモデルへ乗じ,接地圧分布を考慮したMLETによる順解析を行うことで,MLETより得られるたわみと小型FWDより得られるたわみは良く一致することが確認された.

feedback
Top