土木学会論文集E1(舗装工学)
Online ISSN : 2185-6559
ISSN-L : 2185-6559
78 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
和文論文
  • 稲葉 紅子, 高橋 貴蔵, 渕上 翔太, 桃谷 尚嗣, 内藤 英樹
    2022 年 78 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/20
    ジャーナル フリー

     スラブ軌道はコンクリート道床,てん充層,軌道スラブ等からなる軌道の一つである.経年したスラブ軌道の一部では,軌道スラブの底面とてん充層の上面の間に空隙を生じる場合があり,これを検知することが維持管理上の課題となっている.本研究では,空隙の検知手法として打音法に着目し,実物大供試体による打音試験,固有値解析および教師あり機械学習による検討を行った.その結果,打撃位置およびスラブ軌道全体の支承状態が打撃音の音響特性に与える影響についても考慮する必要があること,教師あり機械学習を用いることで高精度に空隙を判定し得ることが示された.ただし,本研究では,独立性が明らかな未知のデータに対する判別性能の検証を行っていない.ゆえに,そのようなデータを判定した場合の判別性能については,別途検証する必要がある.

  • 安藤 政浩, 末原 俊史, 川上 篤史, 川島 陽子, 亀山 修一
    2022 年 78 巻 1 号 p. 12-27
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/20
    ジャーナル フリー

     わが国のアスファルト混合物は1980年代前半にリサイクルが始まり,繰り返し再利用されてきたため,近年では再生骨材に含まれるアスファルトの劣化が進んでおり,このことが再生アスファルト混合物(以下,再生混合物)の品質に影響を及ぼすおそれがあるが,これを評価する方法は確立されていない.本研究では,再生混合物の力学性状を,常温域はSCB試験,高温域は2点繰り返し曲げ試験,低温域はNAT-SCB試験で評価する新たな方法を開発した.また,これら3種類の試験によって,再生骨材の劣化程度,再生用添加剤の添加量,新規アスファルトの種類と量が再生混合物の力学性状に及ぼす影響を明らかにした.さらに,再生用添加剤の浸透性を高めるための新たな添加方法を考案し,実機プラントによる製造と実道における試験舗装で効果を確認した.

  • 中村 博康, 亀山 修一, 増戸 洋幸, 櫻庭 晃, 富山 和也
    2022 年 78 巻 1 号 p. 28-39
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/20
    ジャーナル フリー

     著者らは,舗装の早期劣化区間にて行った詳細調査において,若手技術者の育成を目的としたプログラムを実行した.本プログラムにはナレッジマネジメントのSECIモデルを導入し,若手技術者は熟練技術者と共に詳細調査の経験を積むことで暗黙知を獲得し(共同化),各種調査結果の分析・考察を通してそれを形式知に変換し(表出化),報告書を作成することで新しい形式知を得る(連結化)過程を体験した.プログラム実施後のアンケート調査から,若手技術者は,新たな形式知が増えたと実感し,さらにそれを所属先で活かせていることが分かった.また,北海道の中小規模の舗装会社を対象に若手技術者の現状と育成方法に関するアンケート調査を行ったところ,本プログラムに対するニーズがあることが分かった.

  • 竹内 康, 川名 太, 山中 光一, 木幡 行宏, 関根 悦夫
    2022 年 78 巻 1 号 p. 40-51
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/20
    ジャーナル フリー

     本研究では,舗装の理論的構造設計において適切な路床剛性評価を行えるようにすることを目的とし,現場において迅速に測定可能な小型FWD試験結果から,多層弾性理論を用いてMrの算出に用いる材料定数の推定方法について検討を行った.その結果,多層弾性理論による順解析より計算着目点が設定できること,計算着目点における載荷時の応力状態からMrの回帰式を用いて材料定数を求められることがわかった.また,過去のMr試験結果を用いた算定結果より,路床面からの計算着目点の深さと路床の弾性係数は1次関数で近似できることがわかった.

  • 高橋 茂樹, 加藤 亮, 山口 清人, 竹林 宏樹
    2022 年 78 巻 1 号 p. 52-69
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル フリー

     アスファルト舗装の設計は,設計期間を定め,その間に予想される大型車の荷重負荷に耐えられるよう,路床の支持力を考慮し,必要な舗装断面を求めるものである.しかしながら,現設計法で構築されてきた道路舗装が,一体どの位の構造的な耐久力を発揮し,実際どの位の疲労寿命を有しているのか,未だ検証はされていない.本稿では,高速道路で把握したアスファルト舗装の損傷実態から,供用中の舗装の構造寿命を推定し,現実の破壊モードを考慮して設計する方法を論じるものである.これにより,これまで曖昧だったアスファルト舗装の寿命を明確に設定し,実現象に即した構造設計を行うことで,長期に渡る信頼性を高めることが可能となる.

  • 佐藤 真理, 宇野 嘉伯, 伊藤 亮太
    2022 年 78 巻 1 号 p. 70-85
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/20
    ジャーナル フリー

     道路陥没事故は地中空洞の崩落により引き起こされ,空洞の拡大は埋設管破損部からの土砂流出が主要因として知られる.路面下空洞探査としてレーダー探査が普及する一方,発見された空洞の対策優先度や道路陥没発生危険性に関しては評価手法が確立していない.本研究では路床土を模擬した試料の細粒分含有率と,埋設管破損部を模擬した底面開口幅を変化させた実験を実施し,新たな空洞危険度評価指標を提案した.路床土の粒度特性より,空洞の浅部への進展を透水性で評価し,また開口幅に関して土砂流出が目詰まりなく断続的に発生する最小幅を評価することで,それぞれ数段階の危険度に分類した.それらに特殊土や地盤改良の有無を考慮して路床土物性値から空洞の陥没危険度を評価する指標の素案を構築し,実際の路床土に適用して妥当性を検討した.

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