土木学会論文集F5(土木技術者実践)
Online ISSN : 2185-6613
ISSN-L : 2185-6613
68 巻, 2 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
和文論文
  • 河野 伸征, 森 隆信, 竹下 卓宏, 中川 浩二
    2012 年 68 巻 2 号 p. 40-50
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/20
    ジャーナル フリー
     福大トンネルの開削工事は,小断面NATM工法で建設された福岡外環状共同溝と福岡市営地下鉄3号線トンネルの直上約5~8mまで大規模(幅約45m,深度約10~20m)に掘削する,過去に例の少ない近接施工である.特に,地下鉄は福大トンネル工事期間中に供用を開始する計画であり,トンネル構造上の安全確保に加えて走行軌道の安全確保が重要課題であった.一方,既設山岳トンネル直上を開削する場合の地盤ならびにトンネル挙動は不明確な点が多く,事前の影響予測手法が確立されていないのが実情である.
     本論文は,FEM解析を用いて事前安全予測,試験施工結果の検証を実施し,直上を開削した場合の既設山岳トンネル挙動を解明するとともに,上部開削時の変形係数や覆工-地盤間の結合条件に着目した影響予測手法を提案するものである.
  • 岩崎 郁夫, 太田 誠, 酒井 崇行, 長尾 千瑛, 上東 泰
    2012 年 68 巻 2 号 p. 51-62
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/19
    ジャーナル フリー
     現在,総合評価落札方式の入札制度が広く導入され,わが国の公共事業は新たな時代を迎えた.その中の一つに,設計・施工一括発注方式があり,高速道路会社をはじめ,いくつかの事業者がその試行を行ってきた.本稿は,中日本高速道路おける本方式適用の試行工事である新東名高速道路青木川橋工事に関して,その発注方式の仕組みを考察・検証するとともに,事業者,受注者におけるメリット・デメリット,実際の応札過程における設計・施工一括発注ならではの特色,受注後に実施された詳細設計での事業者と受注者で協議しながら解決した内容,また,今後の本方式の発展に向けた提言等を行うものである.
  • 富松 義晴, 三輪 滋, 濱田 政則
    2012 年 68 巻 2 号 p. 63-73
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
     本論文は,現在の土木を取り巻く閉塞的状況の根源を,土木事業と民衆とのかかわりの歴史の中に探り,土木の新しい展開の方向性を示したものである.まず,社会の土木事業に対する嫌悪感にも似た批判の原因として,日本の土木事業がどの時代においても権力者側の要求に沿って行われてきたこと,および民衆が共感し合意した公共の理念が形成されて来なかったことを述べる.また,明治以降,西欧的自然観のもと急速な社会基盤の整備が行われ,無制限に資源を採取し続けた結果,地球的規模での自然生態系の破壊が進行していることも土木に対する社会的評価の低下の要因として論述する.これらの閉塞的状況から土木が脱却するための方向として,土木技術者としての公共哲学の確立と西欧的自然観から日本人の自然観への回帰の必要性を示す.
feedback
Top