2012年7月,インドネシア共和国アンボン島で山体崩壊による大規模な天然ダムが発生し,1年後の2013年7月に決壊した.決壊に伴う大規模洪水により,下流の人口約5,200人の村で人家・建物の約3分の2が流失する大きな被害を被ったが,人的被害は3名と最小限に抑えられた.天然ダム発生後,インドネシア関係機関により監視・観測,警戒避難体制の整備,対策工の実施,住民への啓発活動などの取り組みが進められ,これらに対し,日本からは様々な助言と天然ダム湛水位の観測体制の強化や住民啓発活動に対する支援が実施された.日本及びインドネシア両国が行った対応を整理するとともに,災害発生前の現地関係機関の対応や住民の行動についてヒアリング調査を実施し,大規模災害から人的被害を回避できた要因について考察した.
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