土木学会論文集F5(土木技術者実践)
Online ISSN : 2185-6613
ISSN-L : 2185-6613
72 巻, 2 号
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和文論文
  • 及川 康, 片田 敏孝
    2016 年 72 巻 2 号 p. 38-47
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/20
    ジャーナル フリー
     2013年3月に気象庁は,「災害イメージの固定化」を助長してしまうことが危惧されていた従前までの津波情報(津波注意報・津波警報・大津波警報)の運用ルールを改め,定量的表現を排して3段階の定性的表現のみとするなど,総じて概略化の方向での改定を行った.本稿では,このような改定が一般住民にどのように受け止められる可能性があるのかについてアンケート調査に基づき検証を行った.その結果,改定後の運用ルール下においては「災害イメージの固定化」を払拭して迅速な避難行動を促進し,人的被害の軽減に貢献できる可能性がより高まったこと,しかしそれに対する住民評価は否定的なものが大半を占めていること,その背景には「曖昧さを嫌って物事を二律背反的に捉える心理傾向」が影響を及ぼしている可能性があること,などが把握された.
  • 西宮 宜昭, 花岡 伸也, 松浦 由佳子
    2016 年 72 巻 2 号 p. 48-59
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/20
    ジャーナル フリー
     開発援助では,住民参加型のコミュニティ開発プロジェクトが数・投入金額ともに増加している.本研究では,コミュニティインフラ建設を主な構成要素としている農村開発プロジェクトを事例とし,投入されるインフラの内容と実践方法によって発現するエンパワーメントについて,プロジェクトの実施過程に注目して分析した.その結果,包摂と参加,情報アクセス,説明責任,地方組織の能力の4条件を重視したコミュニティインフラ建設の実践方法によって生じる,行政と住民組織の能力改善や制度・ルールの改善といったエンパワーメントの発現メカニズムを解明した.さらに,ソーシャルキャピタルの改善がエンパワーメントに繋がることも見出した.また,インフラ建設プロジェクトの特質がエンパワーメント発現に結びつくことを示した.
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