土木学会論文集A1(構造・地震工学)
Online ISSN : 2185-4653
68 巻 , 4 号
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地震工学論文集第31-b巻
  • 中村 真貴, 原田 隆典, 金井 則之, 野中 哲也, 児玉 喜秀, 本橋 英樹
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_1-I_12
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     震源断層近傍の強震観測記録の蓄積に伴い,水平成分に比べると最大加速度,最大速度の大きい地震動上下成分が観測されてきている.そこで本論文では,わが国で最近発生した内陸被害地震の震源断層近傍(断層最短距離20km以内)における強震観測記録を用いて,表層地盤特性を考慮して,地震動上下成分と水平成分のフーリエスペクトル振幅比の平均値と標準偏差の周期特性を求めた.また,震源断層の極近傍での観測記録は極めて少ない現状を補う目的で,逆断層地震を想定した震源断層モデルから理論的に得られる岩盤における震源断層の極近傍(0.5km~10km以内)の地震動上下成分と水平成分のフーリエスペクトル振幅比の特性を求めた.これらのフーリエスペクトル振幅比特性と位相波特性を用いて,地震動水平成分波形が与えられた場合における地震動上下成分波形の作成法と数値計算例を示した.
  • 長尾 毅, 山田 雅行, 野津 厚
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_13-I_19
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     設計入力地震動を時刻歴波形として評価する際に,対象地点の強震記録が得られていないために,近傍のサイト増幅特性と対象地点の常時微動H/Vスペクトルをもとに対象地点のサイト増幅特性評価を行う場合について,近傍地点と対象地点の位相変化(位相特性)を合理的に評価する方法について検討を行った.
     サイト増幅特性の補正方法として,強震記録及び常時微動記録を用いた3種類の補正方法を考慮し,位相特性について使用する観測記録及びその補正の有無,工学的基盤への引き戻し条件によって5種類のモデル化を組み合わせて,サイト増幅特性と位相特性の補正を行った工学的基盤相当の時刻歴波形の算定を行った.得られた時刻歴波形のエンベロープや最大加速度から,サイト増幅特性の補正方法によって変化はあるものの,近傍強震観測点の観測記録に対してサイト増幅特性の周波数の変化分を位相特性には補正を行わないものを用いても,実務的には不都合のない設計用入力地震動であることが明らかになった.
  • Meghdad SAMAEI, Masakatsu MIYAJIMA, Hamid SAFFARI, Masato TSURUGI
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_20-I_30
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     The main purpose of this study is to predict strong ground motions from future large earthquake for Karaj city, the capital of Alborz province of Iran. This city is an industrialized city having over one million populations and is located near several active faults. Finite fault modeling with a dynamic corner frequency has adopted here for simulation of future large earthquake. Target fault is North Tehran fault with the length of 110 km and rupture of west part of the fault which is closest to Karaj, assumed for this simulation. For seven rupture starting points, acceleration time series in the site of Karaj Caravansary -historical building- are predicted. Peak ground accelerations for those are vary from 423 cm/s2 to 584 cm/s2 which is in the range of 1990 Rudbar earthquake (Mw=7.3) . Results of acceleration simulations in different distances are also compared with attenuation relations for two types of soil. Our simulations show general agreement with one of the most well known world attenuation relations and also with one of the newest attenuation relation that hase developed for Iranian plateau.
  • 能島 暢呂
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_31-I_39
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     「全国地震動予測地図」の「震源断層を特定した地震動予測地図」と「確率論的地震動予測地図」では,工学的基盤における強震動予測手法としてそれぞれ強震動シミュレーション手法による「詳細法」と距離減衰式による「簡便法」が適用されている.本研究では,日本全国の主要活断層帯に発生する地震158ケースを対象として,両手法による推定震度分布の面積比較を行って整合性を検証した.さらに,揺れの広がりの違いを震度5強以上,6弱以上,6強以上の面積比(詳細法÷簡便法)で表し,その要因分析を行った.モーメントマグニチュード,深部地盤モデルによる深部地盤深さ(せん断波速度700, 1700, 2700m/sの各上面深度),平均せん断波速度を説明変数とした重回帰分析により,面積比の予測式を構築した.
  • 一井 康二, 秦 吉弥, 村田 晶
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_40-I_53
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     道路盛土の耐震性評価のためには,盛土のある各地点における地震動を適切に設定する必要がある.今日までに様々な地震動設定手法が提案されていることを踏まえると,盛土の耐震性評価に適した地震動の設定手法を議論しておくことは有用である.そこで本稿では,委員会活動の一環として,地震工学の研究者・技術者を対象にアンケート調査を実施した結果について報告する.アンケートの内容は,種々の地震動設定手法の長所・短所についての技術者の認識の実態と,著者らが提案している常時微動計測結果により線状構造物である道路盛土をゾーニングする方法を実務に適用する際の課題である.
  • Tauqir AHMED, Riki HONDA
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_54-I_66
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     For dynamic analysis of structures, selection of ground motion (GM) is a crucial problem. For design, a tough GM should be used. It is difficult, however, to find such GM, because different GM can be the toughest in terms of different aspect. Uncertainty of structural properties complicates the problem. In this paper, an approach is presented to select design GMs out of a set of possible GMs using feature indices which are related with expected damage mechanisms of the structure. Uncertainty of nonlinear response is also incorporated. Quality of the GM selected in this scheme depends on the index considered. This paper discusses the efficiency of various indices through numerical simulations. Results verify the performance of the presented method and clarify several conditions to be taken into consideration.
  • 坂井 公俊, 室野 剛隆
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_67-I_78
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     位相の不確定性が構造物の非線形応答に与える影響を把握することを目的として,想定される範囲内の位相特性と同一の弾性加速度応答スペクトルを有する時刻歴波形を多数作成し,各波形の構造物非線形応答量の変化について検討を行った.その結果,同一の弾性加速度応答と想定規模より算定される位相特性を有する時刻歴波形であっても,位相の変化によって非線形応答が大きく変化すること,サイト特性の群遅延時間が大きくなるほど非線形応答量が小さくなること,震源特性としてディレクティビティーの影響が大きな地点ほど非線形応答が大きくなることなどが明らかになった.最後に今回得られた知見を踏まえて,位相特性の変化を考慮した設計地震動の選択例として,今回作成した地震動群の中から一定非超過確率を満足する時刻歴波形を抽出した.
  • 坂柳 皓文, 星隈 順一, 堺 淳一
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_79-I_92
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震では地表面の最大加速度が約27m/s2の非常に大きな地震動を観測したほか,各地で継続時間が非常に長い地震動が観測された.本研究ではこのような特性の地震動が構造物の地震応答特性に及ぼす影響を明らかにするため,1自由度振動系に対して,非線形時刻歴応答解析を行い,最大応答塑性率,履歴吸収エネルギー,残留変位等の観点から非線形スペクトルの考察を行った.その結果,今回の地震動では0.5秒以下の短周期において大きな応答加速度を示すものの,一般的な橋梁に影響を及ぼす周期帯では,兵庫県南部地震での観測記録や道路橋の耐震設計で一般に用いられている地震波と同程度もしくはそれ以下の応答となること等が分かった.
  • 河路 薫, 秋山 伸一
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_93-I_103
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     ボクセル有限要素法を用いて2011年東北地方太平洋沖地震による地震動伝播シミュレーションを行った.シミュレーションには,震源となった太平洋日本海溝付近から東日本全域を含む広大な地域を対象に作成した3次元地下構造モデルを用いた.シミュレーションの結果,震源の東側で発生した振幅の大きな地震波は太平洋沖に向って伝播するため,この地震波による日本列島への影響は見られない.一方,震源から南西に向って進む地震波は,振幅が比較的小さいものの,福島県沖で発生した地震波と干渉しながら増幅し,指向性を持って関東地方に伝播する.この地震波は関東地方の深い堆積層の影響を受け継続時間の長い地震動になるものと考えられる.
  • 松岡 一成, 片岡 正次郎, 長屋 和宏, 金子 正洋
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_104-I_110
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     河川堤防は材料が土であり,基礎である地盤と連続的な構造物となっているため,その耐震性を評価する際には,過剰間隙水圧の影響を考慮する必要がある.本論では,東北地方太平洋沖地震の際に河川堤防で観測された強震記録を用いて河川堤防の地震応答解析(等価線形解析及び有効応力解析)を実施し,その加速度応答と過剰間隙水圧の再現性を検討した.その結果、等価線形解析、有効応力解析ともに概ね応答波形を再現できているが、等価線形解析では短周期成分の再現が不十分であったため周波数依存度を考慮した解析を行うことで改善がみられた.有効応力解析では過剰間隙水圧の消散の再現性に課題が残った.
  • 後藤 浩之, 盛川 仁, 鍬田 泰子
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_111-I_118
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     2011年東北地方太平洋沖地震では宮城県大崎市古川地区において地震動による家屋被害が局所的に発生した.被害地域を供給区域とする古川ガスではガスの供給停止を判断することを目的とした地震観測が行われており,本震の地震動が記録されているがその前半主要動部分が欠測しているため,本研究では,同古川地区に設置されている他機関の本震記録,余震記録,および記録されていたSI値,最大加速度値を利用して欠測した前半部分の地震動を推定した.推定した古川ガスの地震動を応答スペクトルで比較すると,短周期側で他機関で観測された地震動より小さな応答を示し,0.5秒より長い周期ではほぼ似た傾向を示した.
  • 福島 康宏, 山田 真澄, 後藤 浩之
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_119-I_125
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(MW9.0)で地震動による道路被害や家屋被害が局所的に大きかった,宮城県登米市迫町佐沼で臨時余震観測を4日間行った.観測された余震記録を用いて,余震観測点と周辺の強震観測点とのサイト増幅特性の相違を考慮し,本震の地震動の推定を行った.その結果,佐沼でも被害の集中していた地域では震度7相当の大きな地震動であった可能性があることがわかった.
  • 末冨 岩雄, 福島 康宏, 石田 栄介, 猪股 渉, 乗藤 雄基, 山崎 文雄, 鈴木 崇伸
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_126-I_137
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     各種施設の被害推定に用いる地震動強度指標として,SI値や計測震度等が用いられることが多い.地震動の震源特性や地盤の増幅特性は周波数特性を有するので,より精度良く地震動分布を推定するためには,応答スペクトルを用いるのが有効である.一方で,即時被害推定システムにおいては,簡易に評価できる必要がある.本論文では,横浜市強震観測網の記録を用いて,各点の平均スペクトル比を評価し,これを用いて応答スペクトルの補間推定を行った.その結果,1)応答スペクトルを用いることが有効である,2)SI値への影響が大きい周期0.5~2.5秒において,深さ20mまたは30mまでの平均S波速度と増幅率の相関がよい,3)平均スペクトル比を用いることで精度良く地震動を推定できる,ことが分かった.
  • 池田 隆明, 小長井 一男, 片桐 俊彦
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_138-I_151
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     東京湾臨海部の埋立地において,工学的基盤を含めた複数の深度で地震観測を行う鉛直アレー地震観測が行われており,2011年東北地方太平洋沖地震での地震動を観測した.工学的基盤での最大加速度は50cm/s2程度であったが,観測地点周辺では液状化を含む工学的基盤以浅の表層地盤の非線形挙動に起因すると考えられる被害が見られた.そこで,地震観測記録の分析と地震応答解析結果から,東京湾臨海部に生じた地震動特性と工学的基盤以浅の表層地盤の非線形挙動の検討を行った.その結果,工学的基盤を含めた地震動には長周期成分の卓越が見られ表面波が含まれている可能性があること,表層地盤に発生した最大せん断ひずみは10-4~10-3レベルであったこと等が明らかになった.
  • 鈴木 猛康
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_152-I_160
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     2011年東北地方太平洋沖地震では,牡鹿半島で水平方向に5.3mの地殻変動が観測されたのをはじめ,地殻変動は東北地方にとどまらず,関東,中部,そして近畿地方まで及んだ.この地震の後,山梨県の西湖では,湖面上のボートがゆっくりと1m程度の振幅で上下に振動し,湖岸では津波のような波が押し寄せ,魚や貝が岸に打ち上げられた.本論文では,西湖の近くで観測された地震動に含まれる1分程度の長周期地震動成分を分析し,その卓越周期と西湖の閉鎖水域の断面形状に基づいて定義されるセイシュの1次固有周期を比較している.さらに,西湖の模型を製作し,模型の閉鎖水域を長周期地震動の卓越方向に加振することにより,模型の矩形の閉鎖水域の長辺方向に大きな水面変動が発生することを確認している.その結果,本論文では,2011年東北地方太平洋沖地震の際に西湖で見られた津波のような現象を,サイスミック・セイシュによって説明するものである.
  • 仲秋 秀祐, 坂井 公俊, 室野 剛隆
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_161-I_168
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     東北地方太平洋沖地震における津波被害は甚大ではあったが,震動に伴う鉄道構造物への被害は限定的であった.この要因を詳細に分析するための基礎的な検討として,東北地方太平洋沖地震と2003年5月に発生した三陸南地震という2つの大規模な地震を対象として,鉄道構造物位置の地震動を推定した.そして各地点の地震動特性と高架橋被害との関係性,ならびに両地震の大小関係と被害の大小関係について考察を行った.その結果,今回対象とした2つの地震の地震規模は大きく異なるものの,鉄道構造物の応答という観点からはそれほど大きな相違が無いことが明らかになった.また東北地方太平洋沖地震で高架橋に比較的大きな損傷が発生した箇所では,本地震の方が三陸南地震よりも構造物の応答が1.1~1.5倍程度大きな値を示していたことも分かった.
  • 野津 厚, 若井 淳
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_169-I_185
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     東日本大震災で被害を受けた港湾において微動観測および余震観測を実施することにより,サイト特性の面的な把握を行った.具体的には,まず,港湾内で微動観測を面的に実施することにより,港湾全体のサイト特性の概要を把握した.特に,施設背後と既存の強震観測地点における微動特性を比較することにより,強震観測地点における揺れが施設に作用した揺れを表しているかどうかの判断を行った.強震観測地点における揺れが施設に作用した揺れを表していないと判断される場合には,施設の背後において余震観測を行い,当該地点における詳細なサイト特性を明らかにした.さらに,得られた結果を総合して,サイト増幅特性と微動H/Vスペクトルとの対応関係についても調べた.
  • 上島 照幸, 金澤 健司, 村上 弘太, 仲村 成貴, 塩尻 弘雄, 有賀 義明
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_186-I_194
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     高経年化したアーチダムを対象として微動・地震動の長期継続観測を実施中であり,2011年東北地方太平洋沖地震についても本震記録,前震,多くの余震群の観測記録が,その前後での微動記録とともに得られた.これら観測データを分析して以下の知見を得た;1)微動記録からダムの振動特性を同定し夏期から冬期にかけての変動をみてみると固有振動数はダム表面温度と相伴って低下していることが分かった.2)東北地方太平洋沖地震時にはダム天端において極めて大きい最大加速度を持つ観測記録(約630gal)が収録された.地震動継続時間は3分程にも及ぶものであった.3)本震・微動のスペクトル解析から,本震時には微動時に比して卓越振動数が著しく低下したこと,本震後微動の卓越振動数は本震前微動のそれに概ね復していることなどが分かった.
  • 熊木 芳宏, 宮島 昌克
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_195-I_201
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     近年の地震による水道管被害は, ダクタイル鋳鉄管の継手抜け出しによる事例が多く報告されている. ダクタイル鋳鉄管は, 抜け出し防止機能を有する耐震継手, 有しない非耐震継手とに大きく分類され, 耐震継手の被害報告は無い. 非耐震継手は, 主に製造年代と口径により継手形式が異なることから, 被害率と継手形式とは関係があるものと推測される.
     本稿は, ダクタイル鋳鉄管の継手別被害から耐震適合性の新たな判断指標を提案することを目的とした研究の一環として, 継手別の抜け出し抵抗力の違いを実験により求め, 既往の研究との対比を行った. その結果, ダクタイル鋳鉄管の抜け出し抵抗力は継手によって差があることを明らかにした.
  • 本山 紘希, 室野 剛隆
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_202-I_208
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     地震による各地の変位波形やそこから得られる残留変位は,地震の特徴を理解する上で重要な情報である.各地の地震加速度記録を用いて変位波形を計算する際は時間積分を行うことが一般的であるが,多くの場合,変位波形にトレンド成分が発生し,正確な値を把握することは難しい.これは,観測記録の長周期成分が地震計の傾きや観測ノイズなどに影響されやすいためである.トレンド成分を取り除くために長周期成分をカットすることもあるが,長周期成分は変位波形への影響も大きいため,本来,慎重な扱いが必要である.そこで,観測記録から地震計の傾きという物理的に意味のある成分を特定・除去し,得られた波形に対して,依然観測ノイズの影響分が大きい場合のみ,影響を受ける周波数領域をカットする,という手法を提案した.また,フーリエ変換による波形の歪みを抑えるため,因果律を拘束条件とした周波数領域での積分手法を合わせて用いている.最後に,これらの手法を,岩手・宮城内陸地震(2008)に使用し,適用性を確認した.
  • 若井 淳, 野津 厚
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_209-I_219
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     地震動のフーリエ位相特性に着目した既往の研究の中には,過去に発生した大地震とそれに伴う特定の余震による地震動のフーリエ位相特性は概ね類似していることが指摘されている例がある.このことは,将来の大地震による地震動を予測する上で,中小地震による地震動のフーリエ位相特性が大変有用であることを示唆している.本論文では,例として2003年十勝沖地震(MJ8.0)を取り上げ,大地震による地震動とその震源域およびその周辺で発生した複数の中小地震による地震動のフーリエ位相特性の類似性を定量的に評価し,フーリエ位相特性の類似性と中小地震の発生位置の関係を示す.
  • 吉見 雅行
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_220-I_226
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     大阪南部地域にて実施された微動アレイ観測データをSPAC法,CCA法,nc-CCA法,V法にて解析し,各手法の解析能の違いを調べた.観測アレイ半径は10mから1000m程度であり,深さ1km内外までの堆積層のS波速度の推定を目的としたものである.全半径のアレイ観測を統合したSPAC法による位相速度推定値を真値と仮定し各手法の解析能を比較した.その結果,半径50m程度以下のアレイ観測ではCCA法とV法の解析可能波長は4点SPAC法の2倍以上であることがわかった.一方,半径100m以上のアレイ観測ではCCA法,nc-CCA法,V法はSPAC法と同程度の解析能力を有することがわかった.
  • 小野 祐輔, 野口 竜也, 佐藤 篤, Rusnardi RAHMAT PUTRA, 上村 修史, 池田 達紀, 清野 純史
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_227-I_235
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     インドネシア・スマトラ島中西部の主要都市であるパダンを対象に,常時微動観測に基づき地盤構造のモデル化と地震動増幅特性の推定を行った.常時微動観測の結果として,単点三成分観測によるHVスペクトル比の分布と,4台のセンサーを利用したアレイ観測によるレイリー波位相速度の分散曲線を求め,これらの情報を組み合わせることにより地盤のせん断波速度構造のモデル化を行った.本研究による地盤構造モデルは,基盤より浅部の堆積層をせん断波速度200m/sと400から700m/sの二層に分割したものとなった.設定した地盤構造モデルに基づき,パダン市街地を南北と東西に走る二つの測線に沿って,一次元有限要素解析により地震動の水平成分の増幅率の推定を行った.その結果,堆積層の層厚が異なることにより,地震動の増幅率が大きくなる領域が見出された.
  • 松尾 寛子, 盛川 仁, 松田 滋夫, 徳江 聡, 駒澤 正夫, 楠本 成寿
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_236-I_243
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     地盤構造推定のための重力探査に用いられるスプリング式重力計は,非常に高い精度を持つ反面,取り扱いが難しいことや測定に多くの時間を要するといった問題がある.そこで本研究では,比較的小型かつ軽量,さらに移動しながらの測定が可能な簡易相対重力計の開発を目指して基礎的検討を行う.検討にあたっては,フォースバランス型加速度計が重力計としてどの程度の性能を有するかを調べる.特に,移動しながらの重力測定で加速度計が妥当な値を得られるかについて注目し,様々な状況下で観測を行った.その結果,状況によっては,数mGal程度のオーダーで重力測定が可能であるということが明らかになった.
  • 渡部 龍正, 鍬田 泰子, 後藤 浩之
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_244-I_252
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     北海道では,軟弱な泥炭地盤が広がり,地震時には宅地や地中管路に被害が出やすい.北海道浦河町にも泥炭が堆積しており,1982年浦河沖地震や2003年十勝沖地震では建物被害だけでなく地中の水道管路にも被害が発生した.本研究では浦河町を対象にして,表面波探査から表層の泥炭地盤のS波速度や深さを推定し,泥炭地盤を有する断面の地震応答解析によって,表層の地盤ひずみを算出した.狭隘な谷筋に堆積した地盤の基盤面が不整形であることだけでなく,泥炭地盤のS波速度や深さが地盤ひずみに大きく影響することが明らかになった.さらに,基盤面の勾配が大きいところで過去の地震における管路被害が多く発生していることが分かった.
  • 大塚 久哲, 相部 岳暁, 副島 すみれ
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_253-I_259
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     現行の耐震設計では,地震による"揺れ"については多くの研究がされおり,その対策について検討されている.しかし,断層運動による"ずれ"の影響が考慮されている研究は少ない.本研究では地盤-地中構造物-断層系に対して地盤-構造物間の滑り・剥離の影響を考慮した3次元有限要素解析を行い,地中構造物への断層変位の影響を評価した.更に地中構造物の耐震対策として利用されている耐震継手の断層変位に対する適用性についても数値解析により検討し,継手間隔が密で個数が多いほど地中構造物の断面力が低減することを明らかにした.
  • 井澤 淳, 田上 和也, 室野 剛隆
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_260-I_267
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     本稿では,各種の地震動に対する累積損傷度法による液状化判定の適用性について検討することを目的とし,有効応力解析との比較を行っている.まず有効応力解析により,低加速度・長継続時間地震動であっても大振幅の直下型地震と同等の液状化が発生する可能性があることを示した.このような液状化現象を累積損傷度法により評価する場合は,多繰り返し部の液状化強度曲線を精度良く評価する必要があることを示した.また,累積損傷度法によって液状化に至るまでの地盤に作用するせん断応力比をある程度評価できること,過剰間隙水圧の上昇傾向を累積損傷度Dの増加傾向で評価できることが分かった.ただし,過剰間隙水圧の上昇による剛性低下を考慮していないため,液状化発生後のせん断応力を過大に算定してしまい,過剰に液状化する判定を与えてしまう可能性があることも示した.
  • 石田 栄介, 末冨 岩雄, 塚本 博之, 猪股 渉, 濱中 亮, 乗藤 雄基, 安田 進
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_268-I_273
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震では,震源域から離れた東京湾岸域でも大規模な液状化が発生した.液状化は,各種地下埋設管や道路・港湾施設等に大きな影響を及ぼすので,事前・事後において液状化の有無や程度を適切に推定することは,防災上極めて有用である.東京ガスでは,都市ガス供給の安全性を確保するため,地震防災システム「SUPREME」を構築し運用してきた.大震災発生直後においても,約4000点の地震計から観測情報を収集し,SI値分布推定,液状化推定,被害推定を行い,災害対応における判断に活用した.本論では,液状化推定の精度向上のため,千葉市湾岸エリアを対象として,液状化推定結果が実際の液状化域とよく対応していることを示し,継続時間の長さが液状化に影響したこと,千葉市美浜区と中央区での液状化程度の差は地盤条件が強く影響したこと等を示した.
  • 石川 敬祐, 安田 進
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_274-I_281
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     東北地方太平洋沖地震によって,東京湾岸エリアで発生した液状化被害の特徴は,埋立地の広範囲での液状化発生や液状化に伴う噴砂量が非常に多かったことが挙げられる.本報告は,湾岸エリアの噴砂の粒度特性や透水特性,噴砂の噴出特性に関して検討を実施した.その結果,噴砂は,細粒土を含む均質な細砂が主体であり,透水特性は,10-6(m/s)オーダーであった.ボイリング実験の結果,噴砂試料では,水の噴出と同時に土粒子も噴出し,地表に堆積した.一方,豊浦砂の様に透水性が良い試料では,水の噴出に伴う土粒子の噴出は確認できなかった.噴水時の土粒子の浮き上がり易さは,粒径の2乗に関係し,一方落下し易さは粒径の3乗に関係することから,湾岸エリアの様な細粒土を含む細砂が液状化すると噴砂量が多く発生することが考えられる.
  • 中澤 博志, 原田 健二
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_282-I_292
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     細粒分を多く含む砂の液状化について,1987年千葉県東方沖地震での液状化の発生を契機に検討され始めた.一般に,細粒分含有率あるいは塑性指数の増加に伴い液状化強度が増大するといわれているが,幾つかの既往の研究によると,細粒分含有率の値によっては供試体の相対密度が大きく異なり,同一条件下における液状化強度が評価されていないようである.したがって,本論文では,細粒分含有率が5%以下であるきれいな砂からシルトを対象とした幅広い粒度特性を有する地盤材料を対象に,最大・最小間隙比幅に着目した細粒分を含む砂の相対密度の補正方法および補正された相対密度と液状化強度との関係について検討した.一連の検討から,細粒分含有率が15%以上における相対密度の補正方法の提案および補正相対密度と液状化強度の関係から,液状化強度に対する細粒分含有率の影響について示すことができた.
  • 福武 毅芳, 張 至鎬
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_293-I_304
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     2011年東北地方太平洋沖地震では,広範囲に液状化が生じた.東京湾岸北部の埋立地に着目すると,震度5程度と加速度はそれほど大きくないが,液状化を激しく生じた個所が多数見受けられる.そこで,浦安地区を中心に残留沈下の測量を実施した.さらに浦安近傍の工学的基盤で観測された加速度を基に,液状化地点と非液状化地点について有効応力解析を実施し,K-NET浦安の加速度波形や測量した沈下量と比較した.沈下量が大きくなった原因としては,本震の継続時間が長かったことに加え,余震によっても沈下が助長されたことが示された.この現象は解析から得られた結果と整合し,余震の影響が無視できないことを示した.さらに連動型地震のように継続時間の長い場合に対する液状化のFL判定法の改善案も示した.
  • 安井 譲, 橋本 勇一, 野口 竜也, 香川 敬生
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_305-I_314
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     著者らが福井平野で実施した微動アレイ探査による地盤モデルと微動H/V探査および重力解析によるモデルとの間に不整合な様相がみられたので,微動アレイ探査モデルの再評価を試みた.再評価は,観測により得られた分散曲線を一本化して,それを遺伝的アルゴリズムで逆解析することとし,その一本化は微動H/V探査モデルの理論分散曲線に依拠する方法とした.微動H/V探査モデルに依拠することにより合理的な一本化が可能となる.再評価の結果,微動アレイモデルの信頼性は大きく向上したが,平野の端部にある地点の重力モデルとの不整合性については改善されなかった.
  • 秦 吉弥, 一井 康二, 常田 賢一, 野津 厚, 横田 聖哉, 金田 和男
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_315-I_330
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     2011年東北地方太平洋沖地震により,那珂I.C.周辺の高速道路盛土が崩壊し,常磐自動車道の通行が一部不全に陥る一要因となった.この経験を踏まえた今後の道路盛土の耐震性評価のためにも,崩壊地点における地震動の推定は非常に重要である.そこで本研究では,まず,崩壊地点近傍での余震観測結果および常時微動計測結果などに基づいて,当該地点におけるサイト特性を評価した.そして,サイト特性置換手法を用いて本震ならびに最大余震における被災地点での地震動を推定した.なお,推定地震動の適用性については,既存強震観測点での記録を再現し,一定の精度で推定可能であることを確認した.
  • 山田 和弘, 中澤 博志, 菅野 高弘, 藤井 照久
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_331-I_342
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     滑走路や誘導路などの空港施設が地震による被災を受けた際,地盤中の過剰間隙水圧上昇と有効応力の減少に伴い,地盤の支持力低下が想定される.このような地盤状況下で航空機が走行すると,航空機荷重による滑走路の変状等の発生が懸念される.本研究では,液状化前後の地盤の支持力を対象にした室内試験と模型振動台実験を実施した.室内試験では,液状化状態を模擬するための過剰間隙水圧比を制御したCBR試験,およびアスファルト舗装-液状化地盤モデルによる模型振動台実験を実施し,アスファルト舗装下の地盤が液状化した際の支持力への影響について調べた.
  • 藤田 大樹, 小濱 英司, 竹信 正寛, 吉田 誠, 規矩 大義
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_343-I_354
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     直杭式桟橋の模型振動台実験を実施し,桟橋が地震により変形した後の挙動に着目して検討を行った.桟橋模型は杭の全塑性モーメントに関する相似則を満足させた模型を作製し,杭が全塑性状態に達した後の変形特性や杭の応力状態を確認するため,同一の模型に対し複数回の模型振動台実験を行った.また,被災後に緊急物資等の荷役を行うことや余震が発生することを想定し,杭が全塑性状態に達した後に上載荷重を模した錘を載荷し,さらに地震力を載荷した.その結果,杭が全塑性に達しても局部座屈が生じない場合やひずみ硬化により強度低下しない場合,桟橋の変形は比較的小さいものであることを確認した.
  • 大矢 陽介, 小濱 英司, 高橋 英紀, 伊勢 勉, 吉田 誠
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_355-I_364
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     空港土木施設である進入灯橋梁の耐震性能照査の際,橋梁の慣性力に加えて護岸や海底地盤の変位による影響も検討する必要がある.レベル2地震時に基礎地盤が液状化すると,護岸は海側へ数メートルオーダーで変位し,海底地盤も同程度変位することも考えられる.この時,海底地盤の変位は護岸の変位に加えて,海底地盤の地層形状によって大きく左右されることは自明である.本論文では,進入灯橋梁が設置されるケーソン式護岸前面の海底面の傾斜に着目し,傾斜が地震時の護岸および海底地盤の変位に与える影響を大型模型振動実験において確認した.その結果,基礎地盤が完全に液状化しない条件では,海底地盤の残留変位は傾斜によって2倍程度大きくなるものの,護岸天端の変位は変わらない結果を得た.
  • 志波 由紀夫
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_365-I_382
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     地震動加速度波形が与えられたとき,それに対する構造物の応答の大きさを知るのに便利なのが,1質点系動力学モデルにより計算される応答スペクトルである.地中構造物の耐震設計においても,周辺地盤の地震時変位を算定する際にそれが利用されているが,本来は連続体としての地盤の動力学モデルで計算すべきであろう.また,地中構造物で重要なのは,地盤に生じるせん断ひずみの大きさであり,これが応答スペクトルと同様な形で表わされれば便利である.本稿はこうした趣旨から,地震動加速度波形が基盤入力波として与えられたとき,それに対する表層地盤の動的応答の大きさを地盤の固有周期ごとに表示する「地盤応答スペクトル」の作成方法を提案するものである.また,いくつかの具体的な計算例を通して「地盤応答スペクトル」の特性を見る.
  • 西本 聡, 池田 隆明
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_383-I_394
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     等価線形解析法は,地盤に生じる非線形性が拡大すると解析精度が低下する課題があり,適用範囲を考慮した上で使用する必要がある.そこで,同一地点を対象に異なるレベルの入力地震動を使用して地盤の等価線形解析を行い,最大せん断ひずみを指標として等価線形解析法の適用性について検討を行った.適用性の判定指標には,最大加速度,加速度時刻歴の包絡形,SI値を用い,非線形解析法による観測記録の再現度合を閾値と考え,良否を判定した.その結果,地盤に生じる最大せん断ひずみが1×10-3を超えると最大加速度の再現度合が低下する傾向がみられた.一方,土木構造物の被害に直結するとされる0.2~2.0Hzの周波数領域に限定すると,最大せん断ひずみが2×10-3まで拡大しても等価線形解析法が適用できると考えられた.
  • 森 伸一郎, 大竹 秀典
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_395-I_406
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     地すべり地の地震時挙動を考えるとき,地すべり土塊の3次元形状と地震応答特性を評価することが重要である.本研究は,それらの評価を微小地震観測により行うことが有効であることを例示する.我が国でも活動度の高い高知県の長者地すべり地で微動観測を行い,昼夜の別なく振動レベルが低く,はじめに通常の微動計では測定不可能なほどであることを示す.低レベル微動環境は微小地震観測にとっては好都合である.2日間の微小地震観測で3地震が観測でき,地震応答特性が評価できること,また,卓越振動数が特定できることを示す.卓越振動数と別途行った表面波探査によって得られた表層の平均せん断速度から4分の1波長則で得られた地すべり面深さは,既知のものと15%程度の誤差で一致した.
  • 秦 吉弥, 一井 康二, 山田 雅行, 常田 賢一, 竹澤 請一郎, 柴尾 享, 満下 淳二, 村田 晶, 古川 愛子, 小泉 圭吾
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_407-I_417
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     道路盛土の合理的な耐震検討の実施には,道路盛土の地震応答特性を正確に評価しておく必要がある.しかしながら,既往の研究では,動的FEM解析や動的遠心模型実験などを主体としてその評価が行われており,現場での記録に基づいた評価は非常に少ない.そこで本研究では,道路盛土(法肩および法尻)での中小地震観測結果および常時微動計測結果などに基づいて道路盛土の地震応答特性を評価した.さらに,動的FEM解析を併用することで盛土内のせん断波速度構造を把握できる可能性を示した.
  • 室野 剛隆, 加藤 尚, 豊岡 亮洋
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_418-I_422
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     電車線柱は,高架橋の大規模地震に対する応答値を与条件として設計されている.高架橋の耐震設計は,大規模な地震においては塑性化を許容し,塑性後のじん性で安全性を確保するような設計体系である.また,高架橋は塑性化すると振動周期が長周期化する傾向にある.一方,電車線柱と高架橋が共振すると電車線柱の応答は著しく大きくなるため,大規模地震で長周期化した高架橋の応答値を用いた現設計では,電車線柱にとって安全側とは言い難い.そこで本研究では,地震動の特性や入力レベルが高架橋と電車線柱の振動特性にどのような影響を与えるか検討を行った.その結果,中小規模の地震においても,電車線柱の応答が大規模地震よりも大きくなる可能性がある事が明らかになった.
  • 片桐 信, 原田 尚慶
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_423-I_431
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     本研究では,既設道路橋が免震化されることを想定し,そこに添架される管路系の対策を検討することを目的に,筆者らの開発したFEM-DEM結合解析法の添架管路・大変形応答解析への適用性について検討した.まず,円環を2次元平面応力状態の矩形断面に近似する方法を検討し,10G場において軸直角方向自重を受ける管路の自由振動解析から,その妥当性を検証した.次に,通信用鋼管路を対象として,橋台から橋桁への第1接続部までの間の管路についてモデル化し,ねじ継手等の弱点箇所が無い場合に,橋桁への第1接続部付近に伸縮継手ならびに伸縮屈曲継手を配置することによる管路応答の差について検討した.さらに,橋台近くにねじ継手を有する場合,ねじ継手の分離・再衝突を含めた挙動解析を行い,伸縮継手,離脱防止継手等を配置することによるねじ継手の破損低減効果を検証した.
  • 平井 良幸, 川島 一彦, 松崎 裕
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_432-I_443
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     斜橋が地震時に回転しやすいことはよく知られており,1995年兵庫県南部地震や2010年チリ・マウレ地震においても斜橋の回転による被害が生じたことが報告されている.本論文では,まず桁端と橋台パラペット間の遊間を見込んだ場合の斜橋及び直橋の回転条件を検討し,落橋に至るまでの桁の回転挙動を明らかにした.続いて,チリでは,支承は上下部構造とボルト結合されていないことから,大きな上下方向地震動を受け,桁が支承から浮き上がると,桁が回転しやすくなると考えられることから,桁の浮き上がりによる斜橋の回転特性について検討した.桁の浮き上がりが生じて摩擦力がゼロになる場合と摩擦力が伝達され続ける場合の応答の違いを解析し,桁の浮き上がりによって,桁の回転角が増加し落橋しやすくなることを明らかにした.
  • 片岡 正次郎, 長屋 和宏, 矢部 正明, 松岡 一成, 金子 正洋
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_444-I_457
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     東北地方太平洋沖地震の際に地震時水平力分散構造を有する高架橋の周辺地盤で観測された強震記録を用いて,この高架橋の地震応答解析を行った.設計時と同じゴム支承の剛性を用いた場合,橋脚上および橋桁上で得られた地震応答波形とは卓越周期が一致しなかった.ゴム支承の剛性を設計時の6倍とすると橋軸方向の卓越周期が一致した.支承-サイドブロック間の衝突と摩擦,さらに橋脚基部を固定にすると加速度応答波形およびスペクトルの形状がより一致するようになった.
  • 五十嵐 晃, 井上 和真, 古川 愛子, 宇野 裕惠, 松田 宏
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_458-I_469
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     橋梁に対して時刻歴応答解析により2方向性を考慮した耐震性能照査を行うためには,規定された照査用スペクトルに適合し,2次元入力としての特性が明確な2方向入力地震動時刻歴波形を用いることが望ましいと考えられる.このような性質を持つ2方向入力地震動を,相補直交成分波と呼ぶ概念を用いて作成する方法を提案した.道路橋示方書の標準波に基づき提案手法により作成した2方向入力は,各々の直交成分が照査用スペクトルに適合しており,かつ2方向弾性1自由度系に対し固有周期によらず1方向入力のスペクトルと整合する強度を持つという条件を十分な精度で満たしていることを示した.免制震橋梁の簡易モデルを用い2方向地震動を用いた動的応答計算により確認できると考えられる特徴的な応答性状等の検討を行い,地震動のタイプにより表れる入力の2方向性による影響の算出例を示した.
  • 山下 典彦, 藤田 麗, 島袋 武, 原田 隆典
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_470-I_478
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     構造物に設計外力を超える外乱が作用したとき,変形が一方向に進み大きく応答が片寄る場合があるが,その原因について検討した研究は少ない.本研究では,片寄り係数を導入し,塑性時における構造物の応答の片寄りのメカニズムについて解明することを目的としている.P-Δ効果を考慮した回転1自由度モデルや一般的な水平1自由度モデル, それらに直接基礎をモデル化した3自由度モデルを用いて,神戸海洋気象台の実地震動と単純化した矩形波で弾塑性地震応答解析を行った.そして,上部構造物の周期と高さが塑性率や片寄り係数へ与える影響や,上部構造物の周期の片寄り係数と塑性率の関係及び片寄り係数と残留変位の関係を検討し,周期別の変位波形の比較を行い,応答の片寄りについて考察した.
  • 大石 雅彦, 長尾 毅, 茂木 浩二, 大内 正敏, 佐藤 祐輔, 清宮 理
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_479-I_489
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     ニューマチックケーソンを基礎に適用した港湾施設の横桟橋を対象に,2次元地震応答解析を実施し,地震時の挙動を検討した.その結果を踏まえ,地盤の1次元地震応答解析により地盤ばねを評価し,これを骨組みモデルに適用することで本工法を適用した横桟橋のレベル1地震動に対する簡易耐震性能照査が可能であることを示した.
  • 松元 茉伊, 志波 由紀夫, 渡辺 和明
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_490-I_498
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     応答震度法は,幅広い地中構造物の耐震性評価に汎用的に用いられているが,その適用性については,十分な検討がなされていない場合があると考えられる.そのうち,本稿では,鉛直方向に長い地中構造物の場合として,長大立坑への適用性を検討した.地盤と立坑の地震時応答の関係に着目し,動的解析による評価結果との比較を行ったところ,従来の応答震度法は,立坑に生じる面内せん断応力の評価には適しているが,鉛直方向の軸応力の評価には適さないことがわかった.そこで,従来の応答震度法を応用し,立坑の鉛直軸応力と関係を持つ地盤の応答を用いる方法を検討した.そして,この新案を適用したところ,鉛直軸応力について,動的解析による評価結果とよく整合する結果が得られた.
  • 北原 武嗣, 田中 賢太郎, 山口 隆司, 岸 祐介, 濵野 剛
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_499-I_508
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     近年,構造物の地震応答に関して,海溝型巨大地震により励起される長周期かつ長継続時間の地震動の与える影響が注目されている.海溝型巨大地震では,数百秒程度の継続時間となることが予測されており,その際,構造物が最大荷重を履歴した後にも数十回~数百回オーダーでの繰り返し振幅を受けると考えられている.一方,鋼製橋脚の耐震設計として実施されてきた繰り返し載荷実験では,主に3回程度の繰り返しを行ってきた.そのため,海溝型巨大地震に対する鋼製橋脚の耐震設計に関しては,十分に解明されていないのが現状である.そこで本研究では,海溝型巨大地震のような継続時間の長い地震動を受ける既設高架橋の耐震性能を把握することを目的として,都市高架橋に多用されている単柱式鋼製橋脚を検討対象とし,数十回オーダーの繰り返し振幅が構造物の耐荷性能に与える影響について検討を行った.
  • 木下 幸治
    2012 年 68 巻 4 号 p. I_509-I_522
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
     都市内高架橋梁の交差する箇所等に円柱を有する鋼製ラーメン橋脚が多数採用されているが,このタイプの橋脚に対する研究例は少なくその耐震性能は必ずしも明確ではない.著者らは,円柱を有する既設鋼製ラーメン橋脚を対象に実績調査を行うとともに,その結果に基づいて選定した異なる形状の既設橋脚を対象にその耐震性能を把握してきた.本研究では,対象橋脚の地震応答特性に影響を及ぼすと考えられる地盤と上部構造のそれぞれの影響について検討した.その結果,コンクリート充填による補強を行った場合,地盤の影響は小さく,有利に働く場合もあることが明らかとなった.また,上部構造の影響として橋軸方向の応答低減効果があるが,橋軸直角方向の応答には殆ど影響を与えないことが明らかとなった.
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