土木学会論文集A1(構造・地震工学)
Online ISSN : 2185-4653
ISSN-L : 2185-4653
70 巻, 1 号
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和文論文
  • 池田 学, 豊岡 亮洋, 家村 浩和, 岩田 秀治, 村田 清満, 市川 篤司
    2014 年 70 巻 1 号 p. 1-16
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/20
    ジャーナル フリー
     鉄道橋に免震機能を有するゴム支承を用いる場合,地震時の水平力分散のみ考慮して免震効果は耐震上の余裕代として設計を行うことが多い.この理由として,鉄道橋には軌道(レール)が連続して敷設されるため,軌道による免震効果への影響が不明確であることが挙げられる.そのため,軌道による地震時の橋梁の挙動への影響を明らかにすることが重要である.そこで,実大の直結軌道を用いて振動台実験を行い,地震時の軌道の挙動を明らかにするとともに復元力モデルを提案した.さらに,軌道が橋梁の挙動に及ぼす影響を明確にするため,この復元力モデルを用いて標準的な実橋梁を対象に解析的検討を行った.その結果,軌道の影響の有無により橋脚やゴム支承の応答が1~2割程度変わること,また隣接構造形式による影響が大きいことなどを把握した.
  • 杉山 裕樹, 田畑 晶子, 春日井 俊博, 石井 博典, 井口 進, 清川 昇悟, 池末 和隆
    2014 年 70 巻 1 号 p. 18-30
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/20
    ジャーナル フリー
     鋼床版のUリブ-横リブ交差部の下側スリット部に疲労き裂の発生が数多く報告されている.従来よりこの疲労き裂の対策として様々な構造検討が行われてきたが,製作性と疲労耐久性の両面に配慮した構造の確立には未だ検討の余地がある.本研究では,下側スリットの形状のみを変化させ,疲労き裂発生の原因となる応力集中を低減させる構造について検討を行った.シェル要素を用いたパラメトリックFEM解析と,ソリッド要素を用いて溶接部までモデル化した詳細なFEM解析により,応力集中を約75%低減させる改良構造を開発した.さらに,実大模型の疲労試験を実施し,提案する改良構造の疲労耐久性が現状構造と比較して著しく向上することを確認した.
  • 美島 雄士, 小野 潔, 西村 宣男
    2014 年 70 巻 1 号 p. 31-50
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/20
    ジャーナル フリー
     鋼製ラーメン橋脚隅角部の設計は道路橋示方書に具体的な規定がないため,従来から高速道路会社の設計基準に準じている.この設計法はせん断遅れに起因する応力集中を考慮した弾性設計のため,隅角部の重量が一般部に比べて増加し,施工性や経済性に不都合が生じる場合がある.さらに,大規模地震への適用性が確認できていない.このような背景から,筆者らは隅角部の新たな設計法の確立を目指し,隅角部の耐荷力や弾塑性挙動を解明すべく研究を重ねてきた.本研究では,これまでの研究で得られた常時およびレベル1地震に対する知見を整理し,新たにレベル2地震に対する検討を行ってそれらを体系化することで弾塑性挙動とフィレットの効果を考慮した設計法を提案した.また,提案設計法を用いて実橋を試設計することにより適用性と有用性を示した.
  • 田蔵 隆, 張 至鎬, 田地 陽一, 木全 宏之, 坂井 康伸, 齊藤 正人, Chandra GOIT
    2014 年 70 巻 1 号 p. 51-66
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
     斜杭基礎のキネマチック・インターラクションの特性把握を目的に,乾燥砂で満たされたせん断土槽に直杭基礎と斜杭基礎を並行に設置し,両者を同時加振する遠心実験を実施した.その結果,水平加速度応答に関して斜杭基礎の制震性向上の効果が全周波数領域にわたって得られること,地盤の非線形化に伴う剛性低下が激しくなると,水平加速度応答の低減率は一段と増大することが分かった.一方,斜杭の杭頭の曲げひずみならびに軸ひずみは直杭よりも大きくなる.これは斜杭による制震性向上の代償として,斜杭には大きな断面性能が求められることを示すものである.ところが地盤の剛性低下が顕著になると,杭頭の曲げひずみならびに軸ひずみの直杭に対する斜杭の応答倍率は小さくなり,制震性向上の代償が緩和される傾向を示すことが明らかになった.
  • 西村 政倫, 櫻井 信彰, 大久保 藤和, 佐竹 紳也, 松井 繁之
    2014 年 70 巻 1 号 p. 67-79
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
     鋼道路橋の桁端部における腐食形態の一つにウェブの減肉腐食があり,従来の補修・補強工法である当て板での断面回復では数年で再度発錆することがある.本研究では,ウェブに防食性能の高いゴムラテックスモルタルを吹付ける方法を考案し,せん断スパン比の小さい鋼I桁供試体に適用して,鉛直載荷試験により補修効果を確認した.さらに,FEM解析を行い,ゴムラテックスモルタルを吹付けた桁の耐荷性状を検討した.そして,初期剛性,降伏耐力,最大耐力に着目し,補修設計に必要なゴムラテックスモルタルの厚さが既往の耐力式で算定可能であることを明らかにした.
  • 橋本 国太郎, 杉浦 邦征, 西岡 勉, 丹波 寛夫
    2014 年 70 巻 1 号 p. 80-93
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,ウェブに低降伏点鋼を使用し,せん断降伏型履歴ダンパーとした横繋ぎ材で4本の鋼管柱を接合して構成される鋼管集成橋脚の縮小モデルに対し,軸力,ねじりモーメントおよび繰返し水平力を作用させた場合の力学的挙動を正負交番載荷実験およびFEM解析によって検討した.載荷実験では,ねじりモーメント単調,一定軸力+水平力正負交番,軸力+ねじりモーメント+水平力正負交番(水平力の載荷方向を2ケース)の合計4つの載荷パターンで行った.FEM解析では,これらの載荷パターンに加え,ねじりモーメント,載荷方向やウェブの幅厚比をパラメータとした解析を行った.これらの結果より,鋼管集成橋脚の座屈およびねじりを考慮した力学的挙動に関して,設計に有用な基礎データを提供した.
  • 村越 潤, 澤田 守, 山口 隆司, 彭 雪, 大嶽 敦郎
    2014 年 70 巻 1 号 p. 94-104
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
     近年,部材の簡素化,構造の合理化を図った鋼橋の普及により,高力ボルト摩擦接合継手は大型化し,ボルトが多列化する傾向にある.本研究では,接触面に無機ジンクリッチペイントを塗装した高力ボルト摩擦接合継手を対象としてすべり耐力試験を行い,母板厚やボルト列数等の構造諸元が,すべり係数に与える影響について検討した.母板厚を38,50,75mmと変化させ,ボルト列数を3,8,12列とした試験体を系統立てて試験した結果,いずれの試験体もすべり係数は0.4を上回る結果となった.ただし,列数が増加するにつれて母板と連結板間のずれ挙動に相違が見られること,母板厚75mmの場合の8列と12列の試験体を比較した場合,すべり係数(平均値)が約7%低下することが確認された.
  • 池田 博嗣, 松田 一俊, 加藤 九州男, 池田 浩一
    2014 年 70 巻 1 号 p. 105-117
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
     太陽電池アレイ支持物の設計において重要となる風荷重は,JIS C 8955により動圧力と風力係数CWおよびアレイ面積の積で表されるが,風力係数CWの利用においては,アレイの迎角がθ=15~45°の範囲に限定されており,近年採用が増えている10°程度の低迎角には対応していない.また,地面からアレイまでの間隔の違いが与える影響も未検討である.翼形状を持つ物体が地面付近を移動する場合,揚力が増す地面効果現象が発生するため,翼形状に似たアレイでも同様に揚力の増加が予想される.これらの風荷重を正しく評価できれば,アレイの安全性と経済性がさらに向上することが期待できる.そこで本研究は,単体のアレイを1/20で模型化した風洞実験を実施し,迎角と支持高さを考慮した風力係数CWの精緻化と推定を試みた.
  • 森 猛, 藤野 大地, 南 邦明, 谷口 哲志
    2014 年 70 巻 1 号 p. 118-128
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
     鋼構造物に用いられる溶接継手には数多くの種類があり,横突合せ継手は最も基本的な継手の一つである.横突合せ継手の溶接部に未溶着が生じると,疲労強度は低くなる.事実,未溶着を起点として疲労き裂が生じた例も少なくない.未溶着を有する横突合せ継手の疲労強度については,いくつかの研究がなされている.しかし,余盛と未溶着がある場合の疲労強度は明らかにされていない.
     本研究では,余盛と未溶着を有する横突合せ継手の疲労試験を行い,余盛や未溶着長さ,そしてルートギャップが疲労強度に与える影響を明らかにした上で,パラメトリックな疲労き裂進展解析を行い,疲労強度評価式を提案している.
  • 川崎 佑磨, 伊津野 和行, 生島 直輝, 山中 拓也, 四井 早紀
    2014 年 70 巻 1 号 p. 129-136
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
     2011年東日本大震災では,数多くの橋が津波によって流された.橋の流出を防ぐためには,支承や落橋防止構造の耐力を上げる構造力学的対策と,桁断面形状を変えることによる流体力学的対策とが考えられる.本研究では,整流板を桁に取り付けることによる流体力学的対策について実験的に検討した.桁の側面に直線状や半円状の整流板を取り付け,桁に作用する流体力を計測するとともに,桁周辺の流況を観察した.その結果,四角形の整流板を取り付けることにより揚力を軽減することができたが,水平力は変わらなかった.一方,三角形の整流板や半円形の整流板では水平力も鉛直力も軽減することができた.また,津波が橋に到達する際には,水だけではなく漂流物の衝突も問題となる.氷を流した実験より,特に揚力に影響があることがわかった.
  • 丹波 寛夫, 行藤 晋也, 木村 聡, 山口 隆司, 杉浦 邦征
    2014 年 70 巻 1 号 p. 137-149
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
     補修・補強工事において,既設部材側にブラスト処理が困難な場合を想定して,2種ケレンによる鋼材粗面と無機ジンクリッチペイント面の組合せを対象に,高力ボルト摩擦接合継手供試体を用いてすべり耐力試験を実施し,無機ジンク膜厚と2種ケレン面の表面粗さがすべり係数に与える影響を明らかにした.その結果,すべり係数は無機ジンク膜厚より表面粗さに強い相関があることが見られた.また,連結板に塗布した無機ジンク膜厚以上の表面粗さを有してもすべり係数に改善は見られず,すべり係数は頭打ちすることが分かった.試験結果を踏まえ,連結板の無機ジンク膜厚を50μm以上150μm以下確保した上で,鋼材粗面の表面粗さが算術平均粗さRa≧5μmの場合のすべり係数は0.4,Ra<5μmの場合のすべり係数は0.2を提案した.
エラータ
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